仮面ライダー神器   作:puls9

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第十七節 アスク進撃、明かされる望み

石畳の部屋にアスクが帰ってくる。辺りにはついさっき倒したレジェスター達のトロフィーが散らばっていた。

 

「フフフーン」

 

鼻歌まじりで中央の豪華な椅子に腰掛ける。そして、小さな杯を取り出し、掲げた。

 

「この領域に散らばりしトロフィーよ。我が元へ集え」

 

その言葉に呼応し、部屋に散らばっていたトロフィー達が宙に浮き、アスクの元へと飛んでいく。トロフィー達は次々と小さな杯の中に吸い込まれ、杯が姿を変えた。杯は一回り大きくなり、装飾はよりきめ細かく、重厚感を感じさせるものになった。その中位の杯を手に取りアスクは笑う。

 

「さぁ、杯よ。まだ世界を変えられぬ、未完の杯よ。我が望みを叶えたまえ」

 

未完の杯が金色に輝く。溢れ出す光の中からブレスレット型のアイテムが姿を現した。

 

<レジェストライザー!>

 

アスクはそのアイテムを左手に装着する。

 

「フフフ。それじゃあ、計画を第二段階に移行させようか」

 

椅子から立ち上がり、未完の杯を宙に放る。未完の杯が独りでに浮かび、再び輝いた。瞬間、空間が歪み、巨大な穴が出来上がる。その中へ入りアスクの姿が完全に消えた。

 

 

 

 

 

「ハアッ!」

 

聖葉邸の修練場にて卓人が剣を振るう。鋭い一撃が対戦相手の流川を捉える。

 

「参りました」

 

流川がマスクを取り、腕で額の汗を拭う。

 

「すっかり追い越されてしまいました。もはや、私では相手になりませんね」

「そんなことは無いよ。まだまだ学ぶ事も多い」

 

卓人もまたマスクを取り、拳を握りしめる。そして、ファブニール戦での事を思い返す。新たな力を手に皆の中心となって活躍した燈哉。それに比べて自分に出来たのは燈哉のサポートだけ。

 

「もっと強くならないといけない。一人でも活躍出来るくらいに……」

「なら、僕が相手してあげようか?」

 

声がした方を振り返ると、そこにアスクがいた。修練場の壁にもたれかかり、不敵な笑みを浮かべている。

 

「レジェスター……!」

「アスクって呼んで欲しいなぁ。レジェスター(あいつら)と一括りにされるのは嫌なんだよね」

 

そう言うとアスクはゆっくりと修練場の中央まで歩いて来る。

 

「宣言通り、君の持つ全てのトロフィーをいただくよ」

 

アスクがトロフィーを取り出し起動させた。

 

<グラム!>

「変身」

 

ベルトにセットし、ボタンを押す。

 

<龍殺しの魔剣! DEAD END!!>

 

アスクの前にグラムが出現。漆黒の龍が纏わりつき黒いラメラーアーマーが装着される。

 

<グラムファイター!>

 

アスクがライダーへと変身を完了する。相対する卓人もトロフィーを取り出し、起動。

 

<カリバーン!>

「変身!!」

 

ベルトにトロフィーを取り付け、すぐさまボタンを押す。

 

<夜明けの王!引き抜け、選定の剣!!>

<カリバーンソード!>

 

卓人の前にカリバーンが突き刺さる。剣より放たれた光が装甲となり、ラウンダーへと変身した。

 

「ハッ!!」

 

ラウンダーが駆け出し、カリバーンを振り下ろす。対するアスクはそれを難なく避わすと、すれ違いざまに回し蹴り。もろに受けたラウンダーは体勢を崩し、床を転がった。

 

「がっ!?」

「その程度じゃ、僕には勝てないよ」

 

グラムを構えてアスクが挑発する。

 

「まだだ!!」

 

ラウンダーは起き上がると剣を構え、アスクへと突っ込んだ。アスクがグラムでカリバーンを受け止める。辺りに鈍い金属音が響き、二人の攻防が続く。

 

「やるね。だけど、」

 

激しい鍔迫り合いを征したのはアスクだった。力で押し返し、アスクがラウンダーを斬る。装甲が火花散り、後方へと吹き飛ばされた。

 

「ぐっ」

 

ラウンダーはどうにか立ち上がり剣を構えたが、もう遅い。

 

「終わりにしようか」

<グラム!>

<必殺奥義!!>

 

アスクが高く跳躍。そのまま、ラウンダーへと右足を突き出す。膨大なエネルギーを纏った蹴りがラウンダーを襲った。

爆発が起き、ラウンダーの変身が解除された。ボロボロになった卓人が地面へ倒れ伏し、意識を手放す。その衝撃で卓人の周りにカリバーンとフェイルノート。二つのアームズトロフィーが転がった。

 

「トロフィーゲット」

 

アスクがトロフィーを拾い上げる。そして、卓人の髪を鷲掴むとその首にグラムを突きつけた。即ち、この場で殺す算段だ。

 

「お待ち下さい!」

 

背後で流川が叫ぶ。その手には白いずだ袋が握られている。

 

「この中に坊ちゃまが今まで手に入れたトロフィーが入っております」

「これと引き換えに、どうか坊ちゃまをお見逃し下さい!」

 

流川が土下座せんばかりに懇願した。暫しの沈黙の後、アスクがグラムを下ろす。

 

「……いいよ。君のその忠誠心に免じて、今回は見逃してあげる」

 

アスクは卓人を地面へ置くと流川へ近づく。その手から白いずだ袋を奪い取と中身を確認する。その中には間違いなくトロフィーが入っていた。

 

「これは貰っていくよ」

 

アスクが手を上げる。瞬間、再び空間に穴が開く。

 

「次は天華のトロフィーだ」

 

そう言いながら、穴の中に入っていた。

 

 

 

 

 

 

カランと音を立て、キッチン大洗の扉が開かれる。

 

「すいません。まだ営業開始前で……!?」

 

扉の方へ返事をしようとした桃の顔が歪む。そこに居たのはアスクだった。

 

「君の持つ全てのトロフィー。テイクアウトで貰おうかな」

 

不敵な笑顔でアスクが近づく。

 

「渡すわけ無いでしょ」

 

傍らでアワアワしてる成都を尻目に桃がアスクを睨みつける。

 

「じゃあ、実力行使しかないね。……とは言え、ここで戦うのも忍びない。場所を変えようか」

 

アスクが親指と人差し指を擦り合わせ弾く。それに呼応し、未完の杯が輝いた。空間が歪み、アスクと桃をどこかへ転送する。

 

「ここは……」

 

桃が周囲を警戒しながら呟く。二人が飛ばされたのは、近くの公園だった。

 

「ここなら存分に戦えるね。それじゃあ、始めようか」

 

アスクがトロフィーを起動し、仮面ライダーへと変身を果たす。

 

<レイエンキョ!>

 

桃がトロフィーをベルトにセット。

 

「変身」

 

青龍偃月刀から現れた氷の龍が装甲となり桃を包む。

 

<月夜の青龍!!氷!氷!氷!>

<レイエンキョフリーズ!>

 

天華へと変身し、レイエンキョを構える。対してアスクはグラムを振り上げ、走り出す。

 

「ふっ!」

 

振り下ろされたグラムを天華がレイエンキョで受け止める。刃と刃がぶつかり合い火花を散らす。競り勝ったのはアスク。力で押し切られ、天華のバランスが乱れる。その隙をついてアスクは天華に回し蹴りを放つ。

 

「くっ……」

 

衝撃で天華が後方へ転がり、土を巻き上げる。

アスクが追い打ちをかけんと迫る。しかし、天華がすぐさま起き上がりレイエンキョを振るう。氷の壁がアスクを囲んだ。

 

「へぇ」

 

アスクが感心した声を上げる。だがそれだけだ。グラムで一閃し、氷の壁が粉々に砕け散った。

 

<ダボウ!>

<うねる大蛇‼雷!雷!雷!>

<ダボウサンダー!>

 

天華が形態を変え突撃。隙の出来たアスクへダボウを突き刺さんと駆ける。

 

「ハァァァッ!!」

 

稲光を帯びた一撃がアスクへと炸裂する。確かな手ごたえがあった。天華は、肩で息をしながら警戒体勢を整える。

 

「今のはなかなか良かったよ。でも、僕には敵わない」

<グラム!>

 

土煙の中に光が輝く。人影が煙の中を抜け天華の方へ。

 

<必殺神技!!>

 

エネルギーを纏ったグラムが振り下ろされる。回避が間に合わず、天華はそれをモロに受けた。痛みと衝撃に耐えきれず天華の変身が解除された。

 

「さぁて、トロフィーをいただこうか」

 

アスクが桃へと迫る。痛む体をなんとか起こし、桃がアスクを睨む。アスクはそれに構わず一歩、また一歩と近づいていく。

 

「っ……」

 

もはやここまでと思われたその時、二人の間に人影が割り込んだ。

 

「来たね、トーヤ」

 

仮面の奥で口元に笑みを浮かべる。視線の先にトロフィーを構えた燈哉が立っていた。

 

 

 

 

 

「どどどどうしよう!?」

 

キッチン大洗の店内。一人置いていかれた成都が慌てていた。店の中を右往左往している。すぐに追いかけたいが場所が分からない為、どうする事も出来ない。

すると、鈴が音を立て、扉が開いた。

 

「すいません。まだ準備中でして」

 

デジャヴを感じながらも対応する。だが、その相手を見て、恐怖に慄いた。

 

「桃ちゃんの弱点、見〜つけた!」

 

途端に成都の目が虚ろに変わった。

 

 

 

 

 

 

「美鶴城さん、大丈夫!」

 

桃の元へ紗耶が駆け寄る。桃の肩へ手を回し、木の影へと共に避難する。そして、公園の中心で燈哉とアスクが対峙していた。

 

「前回ぶりだな、アスク」

「そうだね。君のトロフィーいただくよ。彼のようにね」

 

アスクが二つのアームズトロフィーを取り出す。それは卓人が使っていたトロフィーだった。

 

「それは聖葉の!?」

 

燈哉がギリッと奥歯を噛みしめる。

 

「そう。僕が奪った」

「なら返してもらうぞ」

 

アスクの言葉に怒りを孕んだ声で燈哉が返答。トロフィーの上部を押し込み、起動した。

 

<オニマルクニツナ!>

 

トロフィーをベルトに取り付け勢い良くボタンを押す。

 

「変身!」

<筆頭!必勝!必殺!火剣の戦士!!>

 

剣から放たれた炎を纏い、赤い装甲が装着される。

 

<オニマルフレア!>

 

神器となった燈哉がアスクにオニマルの切っ先を突き付ける。

 

「行くぞ」

 

お互いが走り出す。火花を散らしながら激しくぶつかり合う。

 

「ハァッ!」

 

神器が舞うような身のこなしで、アスクにオニマルを振るい、炎の斬撃を連続で放つ。対するアスクは、一太刀ずつ確実にそれを弾き返す。

 

「やるね。さすがはトーヤだ」

 

アスクは感心した声を上げると、距離を取った。そして、一つのレジェスタートロフィーを手に取る。狼の顔がついたウェアウルフレジェスタートロフィーだ。

 

「けど、それはここまでだ」

<ウェアウルフ!>

 

アスクが左手につけたレジェストライザーにトロフィーを装填。スロットの上についたボタンを押す。

 

<コンバイン!!>

 

アスクの両腕と両足にアーマーが追加された。腕の装甲には鋭い爪が、足には小型の車輪が3つずつ付いたローラースケートになっている。仮面ライダーアスク ウェアウルフアーマーの完成だ。

 

「レジェスターが武装になった!?」

 

木の影で紗耶と桃が驚きの表情を浮かべている。

そして、神器へ向けて、アスクが走り出す。一瞬で懐に潜り込むと鋭い爪で斬り上げた。

 

「ぐぁぁぁっ!!」

 

胸の装甲に衝撃が奔る。神器が背中から地面に着地。ゴロゴロと土を巻き上げながら転がった。

 

「だったら、」

<ドウジキリヤスツナ!>

 

すぐさま起き上がった神器がトロフィーを変え、姿を変える。

 

<風雲!風流!封殺!風剣の戦士!!>

<ドウジキリウインド!>

「これならどうだ!」

 

風を巻き上げ、神器が上空へと飛んだ。近接は不利だと判断し、空から風の斬撃を飛ばしていく。

 

「目には目を、風には羽をってね」

<ヴァンパイア!>

<コンバイン!!>

 

アスクがヴァンパイアレジェスタートロフィーを装填。両腕両足の追加装甲が消え、今度は背中に蝙蝠の様な機械翼が装着された。

 

「行くよ」

 

アスクが地面を蹴り、大空へ飛翔する。そして、神器目掛けて突撃する。

 

「お前も飛べるのかよ!!」

 

神器がドウジキリで受け止める。しかし、アスクはギリギリと神器を押し込んでいく。

 

「ハァァァァッ!!」

 

アスクが叫ぶ。神器が弾かれ、地面に倒れる。倒れた神器へ向けて、アスクが急降下。グラムで縦斬り。

 

「やべっ!」

 

神器が即座に体を転がし、なんとか回避。地面が砕け、土や小石が吹き上がる。土煙が晴れるとアスクがグラムを手に佇んでいた。

 

「さてと。戦力差が分かったところでどう? 手持ちのトロフィー、明け渡してくれない?」

「何!?」

「僕、無駄な戦いはしない主義なんだ」

 

そう言いながら両手を上げ、無害なアピールをする。

 

「嘘つけ! ……てか、何でそんなにトロフィー集めてるんだよ?」

 

素朴な疑問をぶつける。前々から気にはなっていたが誰にも聞けずにいた問いだ。

 

「あれ、知らなかったの? ふーん……」

 

アスクが首を傾げた。物凄く意外そうに。

 

「なら、教えてあげるよ」

 

そう言いながら、アスクがグラムを鞘に納める。

 

「かつて全てのトロフィーは一つの存在だった。それは神話や伝説、伝承に語られし物。救世主が使ったとされる器」

「それ即ち、聖杯」

「聖杯!?」

 

神器が驚きの声を上げる。紗耶と桃も目を見開いていた。無理もない。神話や伝説等において有名どころの最たる物なのだから。

 

「全てのトロフィーを集めた時、世界を一瞬で塗り変える力が手に入る。どんな望みも思いのままになる奇跡の力だ」

「そして僕は、その力を使って世界を滅ぼす」

 

恍惚とした声でアスクは両手を広げる。いずれ至るその光景を夢想するように。

 

「滅ぼす!? ……何で、そんな……」

「大嫌いだからさ。この世界が」

 

仮面の奥。アスクの顔から笑みが消え、声のトーンが低くなる。今までのような芝居がかった話し方とは違う。ドスの効いた声色に思わず気圧される。

 

「弱者は踏みにじられ、善人は損をする。悲しみと苦しみは連鎖し、憎しみとなる。ならば世界に価値は無く」

「綺麗さっぱり消し去ってしまった方が良い」

 

アスクは言い切った。一切の淀み無く、ただそれが当然だというかのように。

 

「……どうしてお前がそんな考えになったのか俺には分からない。けど、どんな理由があっても世界を滅ぼすなんて事は間違ってる」

 

神器がゆらりと立ち上がる。その表情には静かな怒りがあった。

 

「そんな事は絶対にさせない!」

 

神器の声にトロフィーが応える。五つのトロフィーが輝き、一つとなった。

 

<天下五剣!>

 

神器の周りを五つの剣が囲む。五色の輝きが神器を包みこんだ。

 

<火剣!水剣!風剣!光剣!土剣!天下五剣!!>

<ワールドファイブレード!>

 

光が弾ける。仮面ライダー神器 ワールドファイブレードとなった。

 

<ミカヅキムネチカ!>

<オオデンタミツヨ!>

「こっからは全身全霊の全力だ。覚悟しろ!」

 

連続でトロフィーを操作。左手にミカヅキを、右手にオオデンタを持ち、構える。

 

「そう。じゃあこっちも全力を出してあげよう」

 

アスクがトロフィーを取り出す。金色の台座の上に龍の顔が乗ったレジェスタートロフィーだ。

 

<ドラゴン・ザ・ファブニール!>

<コンバイン!!>

 

アスクがファブニールレジェスタートロフィーを装填。ベルトから流し込まれた大量のエネルギーが全身を覆い、アーマーを形成する。

背中に大きな翼、両腕に鋭い爪、腰から尻尾、胸に龍の顔がついた鎧が追加された。それは文字通り龍を纏った戦士のよう。

 

「「ハアァァァッ!!」」

 

両者が同時に駆け出す。爪と刃がぶつかり合う。火花と咆哮が交差し、昼下がりの公園に甲高い音が響き渡っていく。

 

「っらァァッ!!」

 

神器がオオデンタを地面に突きつける。地面が盛り上がり鋭利な角となってアスクに迫る。

 

「フッ!」

 

翼をはためかせ、アスクは空へ飛び、攻撃を回避。胸の龍がその口を大きく開けた。エネルギーが収束し、青白い炎のブレスが放たれる。

 

「ちいっ!」

<ジュズマルツネツグ!>

<ドウジキリヤスツナ!>

 

両手の剣を持ち替え、ジュズマルとドウジキリを同時に振るう。ジュズマルの水をドウジキリの風が巻き上げながらアスクのブレスを相殺した。

 

「やるね」

 

アスクが素早く神器の横へ移動。左腕の爪を向ける。爪の切っ先に黒いエネルギーが集中していく。

 

「ぐぉっ!」

 

剣を交差させ防御。だが、力は向こうが上。体が弾き飛ばされ、近くのジャングルジムに激突。その衝撃でジャングルジムがひしゃげ、崩れた。

 

「クソッ! 天下五剣の力を使ってるのに……」

 

なんとかジャングルジムから脱出し、距離を取る。神器は天下五剣の力を使っても押し切れないアスクの強さに驚嘆していた。

 

「当然だよ。今の僕はヒューマンレジェスターとグラム、そしてファブニールの三つの力を有してる。五つを合わせてやっとゴールドクラスの力に負ける訳にはいかないでしょ」

 

アスクが右手のグラムを振るう。黒い斬撃が一直線に飛んでくる。

 

<ミカヅキムネチカ!>

 

神器が素早くミカヅキを召喚。光速で動き回避する。

 

「しょうがない。なら奥の手だ」

<オオデンタミツヨ!>

<オニマルクニツナ!>

 

神器が二つの剣を召喚。そして、手に持っていたミカヅキを仮面のクラッシャーに噛ませた。

 

「!?」

 

驚くアスクを余所に神器がオオデンタとオニマルを掴む。

 

「三刀流?!」

ふぉのふぉうふぃふぁ(その通りだ)!」

 

再び光速で動き、アスクの後方から神器が剣を振り下ろした。炎と岩が混ざりあった一撃がアスクに炸裂。大きく後方へ吹き飛ばす。

 

「やってくれる」

 

アスクは楽しそうにそう呟くと、体勢を立て直し構える。神器も剣を構え、迎撃の準備を整えていた。

 

(とは言え、こっちのダメージはかなり多い。そろそろ決着を着けないとな)

 

神器が頭の中で思考を巡らせる。蓄積されたダメージは大きい。体が微かにふらついているのは本人も自覚していた。

 

「いい加減ケリを着けようぜ」

<天下五剣!>

<必殺奥義!!>

 

神器がベルトを操作。足にエネルギーが集約される。

 

「そうだね。そろそろ終わりにしようか」

<ファブニール!>

<必殺神技!!>

 

アスクもレジェストライザーを操作し、必殺技を発動させる。両手の爪にエネルギーが集中する。

神器が飛び上がり、蹴りを放ち、アスクが両腕を突き出した。互いの技がぶつかり、公園内に衝撃波が駆け巡る。しばらくの激突の後、神器が体を反らした。

 

「何?!」

 

左肩の装甲でアスクの攻撃をいなしながら、その脇を抜ける。だがその威力は凄まじい。触れた瞬間、装甲が火花散り、激痛が奔る。しかしで神器は止まらない。

 

<ムラマサ!>

<必殺神技!!>

「うぉぉぉぉぉ!!!」

 

レジェストライザー目掛けてオオデンタを振り下ろす。その赤紫のオーラを纏った一撃がアスクへと叩き込まれる。

 

<グラム!>

<必殺奥義!!>

 

漆黒のオーラを纏った尻尾が振り抜かれた。神器の胴に命中し、吹っ飛ぶ。地面を転がり、変身が解除される。その拍子に天下五剣がベルトから外れ、五つのトロフィーに分離して散らばる。

 

「へへへ。どうだ!」

 

変身が解けた燈哉が得意気に笑う。その手にはファブニールレジェスタートロフィーが握られていた。アスクは左手を見る。先程の攻撃でレジェストライザーが半壊。装甲もボロボロになっていた。

 

「なら返してもらおうか」

 

アスクが近くに落ちていたオニマルアームズトロフィーを拾い上げながら燈哉へ迫る。

その時、背後から殺気を感じ飛び退く。アスクが立っていた場所に人影が飛び込んで来た。振り下ろされた剣が空を切り、土煙を上げる。

 

「!?」

 

その人影を見てその場の全員が驚いた。人影は全員が全く知らない人物だったのだから。黒のアンダースーツにブロンズのチェーンメイル状の装甲が装着された戦士。即ち、新たな仮面ライダーがそこにはいた。

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