仮面ライダー神器   作:puls9

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第ニ十一節 開幕! 対龍連合攻略戦線!!

河川敷の橋の下。レッドキャップレジェスターが斧を振り下ろす。

 

「よっと!」

 

攻撃を避け、剣が薙ぐ。レッドキャップレジェスターの首を切断し体が力無く崩れる。

 

「ほいっと!」

 

背後に気配を感じ、即座に反転。同時に剣が振るわれた。ケンタウロスレジェスターの足が切り払われ、バランスを崩して落馬。すぐさま袈裟斬りにて一刀両断。

 

「あらよっと!!」

 

蓋を盾にしたラクーンドッグレジェスターが突進するも、片手で難なく抑えられる。その喉元を剣が突き刺す。血しぶきを上げ、消滅。

 

「いや~。やっぱ殺すは楽しいね〜」

 

シズレクがナーゲルリングを肩に担ぎ、笑う。見るからに楽しげだ。

 

「っと、いけない、いけない。楽しんじゃ駄目だった」

 

頭を振り、ため息を吐く。

 

「あ~あ。この性分マジで何とかならんかねぇ」

 

そうボヤくシズレクの周りには彼を囲む様に大勢のレジェスター達が陣取っていた。だがその誰もが後一歩踏み込めない。迂闊に動けば斬られる。それが分かっているからこその状態だ。

 

「皆の者、下がりなさい」

 

集団の後方より声が掛かる。レジェスター達が横にずれ、道が出来上がり、声の主が姿を現した。

 

「おっ! 何か強そうなのが出てきたな~」

「お初にお目にかかる。某はラクーンドッグレジェスター・ギョウブ。汝を斬らせていただこう」

 

ギョウブが日本刀を引き抜き、構えを取る。それを見るや否や、シズレクも臨戦体勢に入った。

 

「それは無理だな。勝つのは俺だからな!」

 

両者同時に駆け出す。河川敷に激しい金属音が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで……各個撃破の作戦じゃ無かったかしら?」

 

中華風の一室。豪華な長椅子に横たわり妲己が目を向ける。視線の先にはメドゥーサが佇んでいた。

 

「アンズー様より命を受けました。貴女の教育係をしろ、と」

 

メドゥーサがゆっくりと近づいてくる。そして、耳元でそっと囁やいた。

 

「アンズー様には貴女の考えなどお見通しですよ。だからこそワタシが遣わされたのですから」

 

嘲笑を含んだ声で言う。その言葉を聞き妲己がメドゥーサを睨みつける。

 

「貴女なら私に対抗出来る、と?」

 

妲己の瞳が赤色に妖しく輝く。

 

「えぇ、その通りですよ。試してみてください?」

 

メドゥーサが微笑む。瞳が青色に妖しく輝いた。二人の視線がぶつかり合う。

 

「!?」

 

瞬間、妲己が狐火を出現させ、メドゥーサに放った。メドゥーサはそれを難なく避わす。炎は近くの家具に当たり、燃える。

 

「何……」

 

騒ぎを聞きつけ桃が顔を出す。妲己は左手で顔を抑え、メドゥーサを睨んでいた。そこで桃は見た。彼女の右目が石から徐々に元に戻っているのを。

 

「貴女の力はワタシには効きませんよ。貴女が操る前にワタシが石に変えるので」

 

天敵。その言葉が妲己の脳裏をよぎる。嫌な汗が頬を伝う。

 

「ちっ!」

 

舌打ちをしながら妲己が席を立つ。

 

「どこへ行くのですか?」

 

メドゥーサが問いかける。口元に笑みを含みながら。

 

「化粧室よ。髪が乱れたから」

 

部屋を出るその刹那。すれ違い様に妲己が桃に告げる。

 

「あいつ殺しといて。駒は貸してあげるから」

「えっ!?」

 

桃が振り返る。聞き返そうとするも、妲己はそのまま姿を消した。入れ違いに虚ろな目をした四体のレジェスターが現れる。

 

「……」

 

どうせ逆らえやしない。桃はアームズトロフィーを取り出し、メドゥーサに向き直った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「改めて作戦内容を確認しようか」

 

噴水のある広場にやってきた燈哉とアスク。着いて早々、アスクが言った。

 

「まず作戦1。トーヤがここにイフリートを呼び込む」

 

人差し指を立て、数字の1を示す。

 

「作戦2。イフリートとの交戦を確認したら僕とワンちゃんとコジョーとで逃げられないよう包囲」

 

アスクは続けて中指を立てて2を示した。

 

「ついでに邪魔が入ったら戦闘に介入させないように足止めを行うから安心して」

 

ふ、と笑う。

 

「言っておくけど、失敗したら次は無いよ。相手も馬鹿じゃない。同じ轍は踏まないだろうさ」

「つまり最初で最後のチャンスって訳だな」

 

燈哉は頷いた。そう、ここを逃せば次は無い。ここで勝てなければ作戦そのものが成り立たなくなるのだから。

 

「ワンちゃん達も準備に入ってる。ここで必ず仕留めるよ」

 

そう言って立ち去ろうとするアスクは燈哉が声をかけた。

 

「取引しようぜ」

 

燈哉が放ったその言葉にアスクの足が止まった。

 

「取引?」

 

振り返るアスクに燈哉は大量のレジェスタートロフィーを見せる。

 

「このトロフィーとお前が卓人から奪ったトロフィーを交換してくれ」

「へえ……鬼丸じゃなくていいんだ?」

 

面白そうにアスクが笑う。

 

「今は卓人のトロフィーの方が優先だ」

 

燈哉が毅然とした態度で答える。

 

「まあいいよ。……はい」

 

アスクは未完の杯から二つのアームズトロフィーを取り出し、燈哉のトロフィーと交換した。

 

「……二つだけ?」

「そうだよ。彼から奪ったのはその二つだけ。残りは彼の執事さんから獲った物だからね」

「せっこ! うわ、せっこい!!」

 

燈哉が叫ぶ。アスクを指差し、抗議の視線を送る。

 

「何とでも言えばいいさ。自分が優位になるよう臨機応変に振る舞うのも経験が成せるものだからね」

 

涼しい顔でやれやれと首を振る。その表情はしてやったりと得意気だ。

 

「経験って……。お前何歳だよ」

 

ジト目でアスクに問いかける。するとアスクは指を折りながら数え始めた。

 

「う~んと、ひぃふぅみぃよぉ。……ざっと3000くらいかな」

「……マジかよ……めっちゃジジイじゃん!」

 

信じられない顔で燈哉が呟く。

 

「はっはっはっ。ぶん殴るよー?」

 

アスクは満面の笑顔で拳を握りしめる。その笑顔には物凄い圧がかかっていた。

 

「にしても3000歳かぁ……。てことは、関ヶ原の戦いとか生で見た事ある感じか?」

「残念だけどその頃は海外を歩き回ってた頃だよ」

 

拳を収めると、つまらなそうに燈哉の戯言をあしらう。

 

「あぁでも、フランス革命の時はヤバかったよ。街中ピリピリしてて、下手に動くと処刑台の上。脱出したくても中々出来なかったからね」

 

アスクは懐かむようにしみじみと語り出す。

 

「後は異端審問。レジェスターは不老不死だから、魔女だなんだと因縁をつけて追いかけ回してくる。しかも中には仮面ライダーもいたから厄介極まりなかったね」

 

そこまで言ったところでアスクの表情が陰る。

 

「大体のレジェスターは徒党を組んで撃退してたけど僕は半端者だったからね。人間からは怪物(レジェスター)、レジェスターからは人間。居場所なんてどこにも無かったよ」

 

皮肉そうに笑う。

 

「それがお前が世界を滅ぼそうとしてる理由……なのか?」

「何割は、ね」

 

少し悲しそうな顔をして、アスクは近くの時計を見て時間を確認する。

 

「そろそろ始めようか。二人も待ちくたびれてるだろうし」

 

アスクは踵を返し、作戦地点に向かって歩き始めた。

 

「あ! そうそうトーヤ」

 

ふと何か思い出したかのようにアスクは立ち止まって燈哉に声をかける。

 

「どうやってイフリートを呼び出すつもりだい?」

「んなもん、叫べば来るだろ」

 

至極当然のように言い放つ燈哉。アスクの目が点になった。

 

「は?」

「だから、叫べば来るだろ? あいつ血の気多そうだし」

 

燈哉はもう一度同じ事を繰り返す。しかしアスクの疑問はまだ晴れない。

 

「しょうがねぇなぁ。百聞は一見にしかずだしやってやるか」

 

そう言うと燈哉は空に向かって叫んだ。

 

「かかってこいイフリート! 俺が相手だぁ!!」

 

辺り一帯に燈哉の声が木霊する。

 

「どうしたどうした? 俺が怖くて出てこれないか!! この雑魚レジェスターが!!!」

 

燈哉が挑発的な笑みでさらに続けた。

その直後、広場に火柱が上がる。炎は徐々に人の形を形成し、ジンレジェスター・イフリートが姿を現した。

 

「誰が雑魚レジェスターだぁぁぁ!!!」

 

鬼の形相で怒りの咆哮を上げ、燈哉を睨み付ける。

 

「ほら、見たか! ちゃんと来たぞ!」

 

燈哉がどや顔でアスクを見る。アスクはなんとも言えない表情で燈哉を見ていた。

 

「初めて君と手を組んで後悔した気がするよ……」

 

アスクは呆れ顔で広場を後にした。そして、広場で燈哉とイフリートが対峙する。

 

「イフリート。勝たせてもらうぜ」

 

燈哉がトロフィーを取り出す。

 

<ジュズマルツネツグ!>

<水勢!推進!遂行!水剣の戦士!!>

<ジュズマルウォーター!>

 

水を纏いし刃―ジュズマルを構え、神器が言う。

 

「やれるもんならやってみろや!!」

 

叫びと同時にイフリートは巨大な火球を作り発射。そして水と炎が激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風を切る音と共にけたたましい金属音が辺りに響き渡る。シズレクとギョウブ、両者の刃がぶつかり合い、激しい鍔迫り合いが繰り広げられていた。だがギョウブの方が優勢。スティレットと日本刀では日本刀の方がリーチが上。その為シズレクは攻めあぐねていた。

 

「くぅ〜!! やるねえ、お前」

 

シズレクがギョウブに向かってニヤリと笑う。

 

「そちらも中々の腕前。ではこちらも本気で行こう」

 

ギョウブも日本刀を鞘に収め、姿勢を低く構える。

 

「何だ? 居合い切りってやつかぁ!?」

 

疑問符を浮かべ、シズレクが首を傾げる。

その刹那、ギョウブが一瞬にしてシズレクの懐に入った。

 

「なにっ!?」

 

反応出来ない速度で間合いを詰めたギョウブはそのまま抜刀する。斬撃がシズレクの鎧に火花を散らす。

 

「痛ぁー!?」

 

驚くシズレクに追撃が迫る。ギョウブの刃がシズレクへと。その斬撃が届くその瞬間、シズレクの姿が消えた。

 

「!?」

 

驚いてギョウブが周囲を見回す。だがどこにもシズレクの影が見当たらない。

 

「どこへ行った?」

「ここだぜ」

 

声の方を向くとナーゲルリングを振るうシズレクの姿があった。

 

「なっ!?」

 

斬撃がギョウブを襲う。重い一撃をモロに喰らいギョウブが吹っ飛んだ。

 

「くっ、一体何が!?」

 

よろよろと起き上がりながらギョウブがシズレクに睨む。

 

「さぁ、お前に分かるかな!」

 

シズレクがギョウブへ駆ける。繰り出す斬撃をギョウブは辛うじて弾き、カウンター気味に刀を突き刺した。しかし、またシズレクの姿が消える。

 

「くっ! どこだ?」

 

不思議そうに周囲を見回すギョウブ。ふと何かに気付き足元に視線を向ける。そこには手のひらサイズになったシズレクがナーゲルリングを手に仁王立ちしていた。

 

「そ、その姿は!?」

「へへ〜ん♪」

 

得意気にシズレクがギョウブを見上げていた。

 

「まさか、汝の能力とは!」

「その通り。小さくなれる能力だ」

 

そう言ってシズレクが縮小化した体を元に戻す。同時にナーゲルリングを振るう。シズレクの斬撃を辛うじてギョウブが弾く。

 

「ならば、これでどうだ!」

 

ギョウブは再び刀を鞘に収め、体勢を低くした。居合い切りが来る。

 

「セイヤァ!!」

 

素早い斬撃がシズレクを襲う。だがその斬撃は空を切った。

 

「何ぃ!?」

 

驚きの表情を浮かべるギョウブ。周囲にシズレクの姿は無い。足元も見るが影一つ見当たらない。

 

「それじゃあ終いにしようか」

 

ギョウブの頭上からシズレクの声がする。

 

<ナーゲルリング!>

<必殺神技!!>

「まさか?!」

 

手のひらサイズのシズレクはギョウブの頭の上にいた。そして、エネルギーを宿したナーゲルリングをギョウブへと突き立てた。

 

「ギャァァァァ!!!」

 

ギョウブが悲鳴をを上げる。ナーゲルリングを突き立てるシズレクの体が等身大へと戻っていく。元のサイズとなった剣とシズレクの重量が上乗せされ威力が増した。

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

 

そしてギョウブは断末魔を叫びながら爆散した。

 

「よっし! 勝ったぁ!!」

 

ガッツポーズを取りシズレクは変身を解除した。

 

「うん?」

 

振り返ると戦いを見守っていたレジェスター達が武器を取り構えていた。それを見て壕人は途端に笑顔になる。

 

「おっ! 連戦? いいね~」

 

そう言うと壕人はトロフィーを取り出し、レジェスター達に向き直った。

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