仮面ライダー神器   作:puls9

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第ニ十ニ節  討ち倒せ! 連合幹部!!

かつかつ、と足音が響く。手に槍と盾を持った巨人の歩みだ。やがて足音が止まる。巨人――ジャイアントレジェスター・ゴリアテの前には二人の男女が待ち構えていた。壱子と虎杖だ。

 

「悪いがお前の相手は俺達だ」

 

虎杖がトロフィーを取り出す。傍らで壱子もトロフィーを構えている。

 

「間に合ったかな?」

 

建物の上からアスクが顔を出す。そんなアスクを虎杖が手で制す。

 

「アスク様。ここは私達にお任せ下さい」

「俺達の活躍、見ててくれ」

 

二人がゴリアテを見据える。

 

<クトネシリカ!>

「変……身!」

 

虎杖がトロフィーをセット。ドライバーのボタンを押す。

 

<霊威の宝剣! ロンヌ! ロンヌ! ロンヌ!>

 

目の前にアイヌ刀が出現。そこから出た熊と狼と龍が虎杖に纏わりつき深緑の鎧となる。

 

<クトネシリカカムイ!>

 

複眼を輝かせ虎杖は変身を終えた。サマイクルが悠然とゴリアテを睨む。

 

<ゲイボルグ!>

「変身……」

 

壱子がドライバーを操作。変身のシークエンスに入った。

 

<クランの猛犬! 貫け、必中の魔槍!!>

 

目の前に槍が出現。現れた海獣が鎧となって壱子に装着される。

 

<ゲイボルグジャベリン!>

 

刺繍の紋様が入った蒼い装甲の勇士へとその姿を変えた。

そして二人はそれぞれ霊剣<クトネシリカ>と魔槍<ゲイボルグ>を手に取り戦闘体勢へと入る。

 

「それじゃあ、ここは君達に任せてあげようか」

 

 

建物の床に座り、アスクは見学モードに入った。

 

 

 

 

 

 

「ハアッ!」

 

天華 ダボウサンダーとメドゥーサの戦いの舞台は外へと移った。街の片隅にある廃墟へと。周囲に当然人影はない。気兼ねなく戦える。

 

「コントン、右!」

 

天華の指示を受け、妲己配下のレジェスター。人型の犬―ドッグレジェスター・コントンが右から飛びかかった。

 

「ハッ!」

 

ドッグレジェスターの動きに対し、メドゥーサは慌てることな即座に反応して蹴りを返す。

 

「トウテツ! トウコツ!」

 

その間にも天華は指示を続ける。タイガーレジェスター・トウテツが爪を剥き出しに、オックスレジェスター・トウコツが角を突き出しながらメドゥーサへと迫る。天華も追撃とばかりに飛びかかる。

 

「フッ!!」

 

メドゥーサが頭の蛇を伸ばし、周囲へ散らす。

 

「グウゥゥゥ!?」

 

蛇はトウコツとトウテツに絡みつき、その動きを封じる。一人難を逃れた天華がダボウを振るう。雷の蛇がメドゥーサへと襲いかかった。瞬間、メドゥーサの目が青く輝く。放たれた光が雷蛇を石へと変え、脆く崩れた。

 

「ちっ!」

 

その光景に天華が思わず舌打ちしたが、すぐに切り替えて仮面の奥に笑みをつくった。作戦通りだ。

 

「やれ、キュウキ!」

 

メドゥーサの背後に鼬のレジェスター―ウィーゼルレジェスター・キュウキが手の鎌を翳して襲いかかる。メドゥーサは右へと動いて躱し、掌底を放つ。

 

「遅いですよ!」

 

キュウキの体に衝撃が走る。体が吹っ飛び、付近のドラム缶に激突した。そして、メドゥーサはゆっくりと向き直る。目の前には天華。左右には拘束から抜け出したトウテツとトウコツ。背後には体勢を整えたコントンが構えている。

 

(五対一でも崩せない。こいつ、強い!)

 

天華が仮面の奥で汗を一筋流す。対するメドゥーサは笑みを浮かべたまま動かない。無数の蛇が周囲を警戒するように睨んでいる。詰まる所、彼女から生えた蛇は目であり牙なのだ。

 

(先に狙うのはあの蛇!)

 

そう考えた天華はメドゥーサの頭をめがけてダボウを一閃。

メドゥーサは余裕綽々でそれを避わす。そのまま蛇を伸ばし一瞬にして全員を縛り上げた。

 

「まず貴女から石にしますね」

 

メドゥーサが天華を見る。

 

「くっ!」

 

拘束を解こうと天華が藻掻く。だが、ビクともしない。その間にメドゥーサの目が徐々に青く輝き始める。

 

(不味い! 石にされる!!)

 

天華が焦る。仮面の奥で冷や汗が流れる。

 

「!?」

 

その時。メドゥーサの背後から剣が振り下ろされる。不意打ちだ。だが、剣は蛇の一つに止められた。メドゥーサには当たっていない。

 

「あなたは!?」

 

天華が驚きの声を上げる。メドゥーサにアロンダイトを振り下ろしたのはラウンダーだった。

 

「新手……ですか。ついてませんね!」

 

メドゥーサがお返しとばかりに拳を突き出した。が、ラウンダーは飛んでそれを避けると素早く切り上げる。メドゥーサの頭部の蛇が数体切断された。ラウンダーはそのまま無言で追撃。次々と蛇を刈り取っていく。

 

「ウグゥッ!?」

 

そして、メドゥーサの体からも血が噴き出る。

 

<アロンダイト!>

<必殺神技!!>

 

エネルギーがアロンダイトへと集約する。そこへ逆上したメドゥーサが腕を伸ばすが、意に返す事無く勢いよく振り下ろした。

 

「イヤァァァ!!?!」

 

メドゥーサの胴が袈裟懸けに切断され、消滅した。と同時に拘束も解け、天華がその場に倒れ込む。顔を上げるとラウンダーがコントンへと迫っていた。

 

(ヤバい!?)

 

ラウンダーが倒れ込んでいたコントンにアロンダイトを躊躇なく振り下ろす。ガキン、と金属音が鳴る。天華が間に割って入り阻んだ。

 

「……何故邪魔をする? こいつらは緋眼妖華のレジェスター。僕らの敵だ」

「……っ!! あなたには関係無い」

 

天華が仮面の奥から睨みつける。ラウンダーは深くため息を吐き、言葉を続けた。

 

「なら仕方ない……。君ごと倒して街を救う」

 

ラウンダーが天華を蹴り飛ばす。不意をつかれた天華は反応できなかった。そのまま壁に激突すると、視界が微かに霞んだ。

 

「皆、逃げなさい!!」

 

天華の声を聞き、四体のレジェスターが素早く逃亡を始めた。

 

<アロンダイト!>

<必殺奥義!!>

 

エネルギーが足へと集約。高く飛び上がり、天華へ向けて足を突き出した。

 

「ウッ!!」

 

命中と共に衝撃音が辺りに響き渡り、天華から火花が飛び散った。地面を転がり変身が解除される。その弾みでダボウのアームズトロフィーがラウンダーの足元へと転がる。

 

「ならトロフィーは回収させてもらうよ。君がもう邪魔出来ないようにね」

 

ダボウを拾うと天華へと迫る。その瞬間、桃の周りを火柱が囲う。やがて火が消えるとそこに桃の姿はなくなっていた。

 

「ぐっ……はぁはぁ……」

 

桃が膝から崩れ落ちる。彼女が転移したのは薄暗い部屋の一室。

 

「お疲れ様、桃ちゃん」

 

妲己が薄く笑う。

 

「言いつけは守れてなかったけど、駒を減らさなかったのは及第点。今回は見逃してあげる」

 

そう言うと妲己は部屋を後にした。

 

「逃げられたか……」

 

廃墟にて、ラウンダーが一人ゴチる。建物を屋上から周囲を見渡している。その時、耳をつんざくような激しい音が響く。市街地方面から風と水の柱が上がった。

 

「!?」

 

仮面の奥で目つきを鋭くさせ、ラウンダーは市街地へと動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

ブンッと風を切る音。勢いよく槍が振り下ろされ、地面に亀裂が奔った。アルスターとサマイクルは攻撃をきっちり避わし後退。アルスターとサマイクル。そして、ゴリアテの戦いも激しさを増していた。

 

「ハアッ」

 

アルスターがゲイボルグを突き出す。ゴリアテは盾を滑らせ往なす。アルスターのバランスが崩れた。

 

「フッ!」

 

その隙を見逃す者はいない。ゴリアテの槍がアルスターへと迫る。

 

「させるかよ!!」

 

サマイクルが割って入る。クトネシリカで槍を受け止めた。

 

「クソッ。重い……んだよぉ!」

 

サマイクルが力任せに弾き返した。後退するゴリアテ。

 

「虎杖さん!」

 

二人が同時に飛びかかり、クトネシリカとゲイボルグが乱舞する。だが、ある攻撃は盾で受け止め、ある攻撃は槍で弾き返す。

 

「ちっ」

 

どれも決定打にならず、サマイクルが苛立ったように舌打ちする。ゴリアテの牙城を崩せない。

 

<小狼!>

 

鞘を回転させ、狼のレリーフを矢印に合わせる。

 

<召喚!!>

 

クトネシリカより黄金に輝く狼が出現。ゴリアテに牙を剥く。

 

「フン」

 

ゴリアテは慌てる事無く盾で受け止め、吹き飛ばす。

 

「それを待ってた!」

 

サマイクルが吠える。

 

<クトネシリカ!>

<必殺神技!!>

 

二体の竜が飛び出し斬撃と共に盾を弾き飛ばした。これでゴリアテを守る物は無い。

 

「決めろ、壱子!!」

 

サマイクルが叫ぶ。

 

<ゲイボルグ!>

<必殺神技!!>

 

小さく頷き、トロフィーをゲイボルグにセット。アルスターがゲイボルグを振り回し、ゴリアテ目掛けて投擲。槍は黄金の軌跡を描きながら、ゴリアテの胴を捉えた。

突き刺さったゲイボルグがゴリアテの中で枝分かれ。全身を串刺しにして破壊する。

 

「グオォォォアアァァァ!!」

 

断末魔を響かせ、ゴリアテの体が砕けて消滅した。

 

「やった!」

 

アルスターが小さく拳を握った。その後ろからサマイクルが寄ってくる。

 

「お疲れさま」

 

アスクが降りてきて労う。

 

「さて。向こうはどうなってたかな?」

 

そう言って遠くを、広場の方を振り返った。

 

 

 

 

 

 

広場の中で水の刃と炎の球がぶつかり合う。その衝撃で霧が発生。神器は後退し、迎撃の体勢を整える。すると、霧の向こうから幾つのも炎の球が発射された。

そのうちの幾つかはジュズマルで斬り、幾つかは無事に回避。

 

「ふぅ~」

 

神器は安堵の息を吐く。その間に霧が晴れ、イフリートが姿を現した。

 

「ギャハハハ! 相性が良いだけで勝てると思ったか、ザコライダー!」

 

高笑いしながら周囲に炎の球を展開する。無尽蔵に炎を連射するイフリートを相手に神器は苦戦を強いられていた。

 

(クソっ! 攻撃が激しすぎて近寄れねぇ……)

 

だが一応手が無いではない。

 

(ミカヅキなら近づける。けど、)

 

ミカヅキでは本来の策が使えなくなる。それではイフリートを倒せない。本末転倒もいいところだ。

 

(天下五剣が使えれば……)

 

内心でそう悔やむ。神器は無意識の内に唇を噛み締めていた。ふと、その脳裏に言葉が響く。

 

「たとえ伝説に名を残した名刀であろうと、使い手が未熟ならばなまくらも同然」

 

いつだったかの戦いの記憶が蘇った。あれからどれだけの月日が経った。どれだけの戦いを経験した。今、自分はどこまで強くなれたのか。試してやる。武器(性能)でなく技量(実力)で。ジュズマルの柄を強く握り締め仮面の奥で口元を緩ませる。

 

「どうしたどうしたぁ!!」

 

手の止まった神器へ向けて、イフリートが次から次へと火球を飛ばす。着弾の直前、神器が空へ飛び上がった。

 

「馬鹿が! 空中ならば唯のいい的だぞ!!」

 

空中の神器へ火球が迫る。

 

「フッ!」

 

神器がジュズマルを振るう。ジュズマルから放たれた水が神器を包み込む。さながら防火マントのように火球を防ぐ。

 

「何だと!?」

 

驚きを隠せないイフリートの懐へ神器は素早く潜り込んだ。

 

「最後の仕上げだ!!」

<ドウジキリヤスツナ!>

<必殺神技!!>

 

ジュズマルの水を風が巻き込み、イフリートを飲み込み、閉じ込めた。それは洗濯機のように渦巻き、空へ昇る柱となった。

 

「このっ!」

 

イフリートが火球を放つも、意味を無さない。水と風に巻き取られ一瞬にして消えていく。

 

「うぉぉぉぉ!!」

 

神器が吠える。それに呼応するように威力が増していく。そのまま徐々にイフリートの姿が小さく弱々しくなっていく。

 

「くそっ! 消える! 消えてしまう!!」

 

イフリートが藻掻くがもう遅い。イフリートは風前の灯火だ。

 

「チクショォォォ!!」

 

断末魔を上げ爆散した。

 

「うっし! やったぜぇ!!」

 

変身を解き、燈哉はガッツポーズを決める。

 

「そっちも終わったみたいだね」

 

戦いの決着を見て、アスク達が寄ってきた。その姿を見て燈哉はVサインを送る。

 

「おう! 勝ったぜ!! 作戦通りだ!」

「とか、今ごろ思ってるんだろうなァ」

 

広場の門の影に蠢く灯火が一つ。イフリートだ。事前に体の一部を分離させておいたのだ。その為、消滅を回避。

 

「負けたのはむかつくが、ここはひとまず体勢を整えて、ん?」

 

イフリートの前に影が差す。見上げた瞬間。イフリートを剣が突き刺した。

 

「ギャァァァァ?!!!」

 

悲鳴を上げ、イフリートが消滅。今度こそ、その命を散らした。その声を聞き、燈哉達が振り返る。声の先には地面にアロンダイトを突き立てるラウンダーの姿があった。

 

「せ、聖葉!?」

 

燈哉が驚愕の表情を作り、すぐに笑顔に変わる。そして、ラウンダーへと駆け寄った。

 

「お前、変身出来るようになったのか。やったな!」

 

そんな燈哉の鼻先にアロンダイトの切っ先が突きつけられた。

 

「聖葉?」

「何故、あいつと一緒にいる?」

 

ラウンダーがアスクを睨みつけながら言う。仮面に隠れているが悪感情が滲み出ている。

 

「同盟を組んだんだよ。門出市を守るために」

「本気で言ってるのか? 約束を守る保証もないのに?」

 

信じられないといった声色でラウンダーが非難する。

 

「他に手立てが無かったし、仕方ないだろ。……それに、あいつならちゃんと約束を守るよ。その方がメリットが大きいからな」

 

燈哉がアスクを一瞥しながら言う。その目には信頼が浮かんでいる。その様子にラウンダーは仮面の奥で顔を歪めた。

 

「もしそれで裏切られたら、君はどうするつもりだい?」

 

静かな口調でラウンダーが尋ねる。

 

「責任を取る。あいつ等とも戦って、門出市を守る」

 

迷いのない燈哉の言葉。ラウンダーは頭を振ると深くため息を吐いた。

 

「どうして君はそう楽観的なのさ! 一人で勝てる訳無いだろう!!」

 

ラウンダーが怒鳴り声を上げる。

 

「君には失望したよ……」

 

ラウンダーが剣を構え直す。そして鋭い視線で燈哉を睥睨する。

 

「立脇燈哉、僕と戦え」

 

突然の宣戦布告。それに対して燈哉が目を剥く。

 

「君を叩きのめして、その甘い考えを改めさせる」

 

ごくりと唾を飲み込む。燈哉は呆然とラウンダーを見つめるのだった。

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