仮面ライダー神器   作:puls9

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第ニ十七節 因縁を断ち切れ! 雌雄一対の剣!!

「あんたとの因縁、ここで断ち切る!!」

 

蒼と紅。二本の剣を携え、天華が駆ける。

 

「ちっ! あなた達、いきなさい」

 

妲己に操られたレジェスター達が行く手を阻む。だが。

 

「ハアッ!」

 

無数の矢がレジェスター達へ放たれた。フェイルノートを手にしたラウンダーが次々とレジェスター達を撃ち抜いていく。

 

「おらよっと!」

 

背後から天華へ飛びかかるレジェスターを神器が抑え込む。ムラマサで斬り伏せ、指一本触れさせない。その為、天華は難なく妲己の元へたどり着いた。

 

「覚悟しろ」

 

ドスの効いた声で天華が斬りかかる。妲己も双刀を取り出し応戦。激しい鍔迫り合いが始まる。右手に持った蒼い剣――<エンオウケン・蒼>と左手に持った紅い剣――<エンオウケン・紅>を同時に縦切り。勢いよく振り下ろす。

妲己はそれを双刀を交差させ受け止める。しかし、天華の攻撃は終わってない。すかさず右足で蹴りをかます。

 

「がっ!?」

 

後方へ仰け反った。そこへさらに追撃。両手を水平に薙ぎ払う。防御が間に合わず、妲己はより後ろへ下がる。

 

「あんたの能力のタネは知ってる。戦闘能力は私の方が上。負ける訳は無い」

 

形勢は徐々に天華に傾き、妲己を押していく。

 

「流石に数が多いね」

 

レジェスターの一体。タイガーレジェスター・トウコツの爪を躱しながらラウンダーが呟く。

 

「俺に手がある。卓人、こいつら一か所に集めてくれ!」

 

神器がラウンダーにドウジキリアームズトロフィーを投げ渡す。その意図を察したラウンダーは頷くと後方へ跳躍。一気に距離を取り、すかさずトロフィーをフェイルノートにセット。

 

<ドウジキリヤスツナ!>

<必殺神技!!>

 

風を纏った無数の矢がレジェスター達を巻き取り、一か所にまとめる。

 

「今だ!」

<オニマルクニツナ!>

<必殺神技!!>

 

ムラマサが炎を纏う。神器がそれを振り下ろし、レジェスター達が浄化の炎に飲み込まれた。

 

「これは……!?」

「俺達は一体!?」

 

炎が晴れ、レジェスター達が正気に戻った。そんな彼らの前に妲己が転がってくる。天華の一撃が妲己を吹き飛ばしたのだ。

 

「そうだ……俺達はこいつに!!」

 

妲己を見るなりレジェスター達が憎悪の顔で妲己を睨む。そして、

 

「やっちまえ!」

 

操られていたレジェスター達が次々と襲いかかる。

 

「なっ!?」

 

コントンの牙が、トウコツの爪が、キュウキの鎌が、トウテツの角が、他にも操られていたレジェスター達の攻撃が次々と妲己に命中していく。

 

「やっ!? 痛っ! やめなさい!!」

 

両手で防御するも多勢に無勢。妲己の体は着実に傷ついていく。

 

「やめなさいって言ってるでしょうが!!!」

 

狐火を作り出し暴発。彼女を取り囲んでいたレジェスター達が吹っ飛ぶ。

 

「このっ! あんた達、覚えてなさい」

 

狐火が妲己の体を包んでいく。

 

「まずい! 逃げるぞ!!」

 

神器が慌てて叫ぶ。妲己はこれで一安心とばかりに安堵の笑みを浮かべる。

 

「私のことを忘れないでください」

<ゲイボルグ!>

<必殺神技!!>

 

赤い閃光が突き抜ける。必中の槍が妲己を貫いた。

 

「ぎゃああああ!!!」

 

妲己が悲鳴をあげる。アルスターの一撃が決まる。だが逃亡は継続中。妲己が廃ホテルから姿を消した。

 

「逃げられた」

「まだよ!」

 

天華が外へ駆け出す。

 

「あいつは深手。あの傷ならそう遠くへは逃げられない。今日必ず仕留める!」

 

 

 

 

 

 

門出市の繁華街に悲鳴が上がる。逃亡を果たした妲己がその中心部へ転がり込んできた。街行く人々は突如現れた異形の怪人に慌てふためいていた。

 

「うるさいわね」

 

傷口を抑え、苛立たしげに人々を睨む。

 

「貴方達を利用してあげる。光栄に思いなさい」

 

妲己の瞳が赤く染まる。誰を操ってやろうかと吟味し始めたその背後から声がかかる。

 

「あれ? レジェスターじゃん。何でいるんだ?」

 

そこには偶々遭遇した壕人が立っていた。こんな街中に怪人態でいることに目が点になっている。

 

「まぁ、いいか」

<ナーゲルリング!>

「変身!」

 

気を取り直し、壕人はシズレクへ変身。立ち向かう。

 

「ちょうど良いわ。私の駒にしてあげる」

 

双刀を振り下ろす。シズレクはそれを回避。踊るように懐へ潜り込み、膝蹴り。

 

「ぎゃっ!!」

 

鳩尾に炸裂し、妲己が後退。

 

「このっ! 私を見ろ!!」

 

妲己が赤い瞳を向ける。風を切る音と共に妲己の左目から血が吹き出る。ナーゲルリングの一閃が切り裂いたのだ。

 

「ぎゃああああああ!!!」

 

妲己が左目を手で抑え悶絶。床をゴロゴロと転がる。

 

「わた、私の眼が!? ああああああ!!」

「よし! トドメといくか!!」

 

そんな事はシズレクに関係無い。ベルトを操作し必殺技の準備を始めた。

 

(ま、まずい!!)

 

妲己は再び狐火を出現させ、行方をくらました。

 

「ありゃ? 逃げられちゃった……」

 

シズレクが頭を掻く。

 

「とりあえず近くを探してみるか」

 

そして付近の路地裏へと足を進めるのだった。

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

息も絶え絶えに妲己はおぼつかない足取りで公園へと足を運んだ。

 

「ここなら……」

「ここなら安心だと思った?」

 

妲己の言葉を誰かが引き取る。顔を上げるとそこには天華が立っていた。

 

「!?」

 

慌てて振り返る。公園の出口には神器とラウンダーがそれぞれ退路を塞いでいる。周囲には他のレジェスター達も構えを取っている。逃げ場は無い。

 

「言ったでしょ。今日ここで終わらせるって」

 

エンオウケンの切っ先を妲己に向けながら天華が迫る。

 

「こ、このっ!!!」

 

妲己が双刀を手に駆ける。

 

「ハアッ!!」

 

だが。そんな破れかぶれの攻撃は通用しない。妲己の双刀は弾き飛ばされ、宙を舞って遠くに突き刺さる。彼女にもはや抵抗する術は無い。

天華はエンオウケンを地面に突き刺さす。そして、それぞれの柄にアームズトロフィーを差し込んだ。

 

<レイエンキョ!>

<ダボウ!>

<<必殺神技!!>>

 

二本の剣がエネルギーを纏う。天華の行動はまだ続く。今度はベルトのトロフィーを折りたたみ、再び展開。

 

<エンオウケン!>

<必殺奥義!!>

 

天華の足にエネルギーが集約していく。

 

「必殺技を三つ同時に!?」

 

燈哉が驚きの声をあげる。

 

「ハアアアッ!!!」

 

氷の刃と雷の刃が妲己を切り裂き、空高く打ち上げる。天華は高く跳躍し、妲己を追い越した。そして、二羽の鴛鴦と共に急降下。天華の両足が妲己の胴を捉えた。

 

「キャァァァッ!!」

 

悲鳴を上げ、妲己は地面へ勢いよく激突。ゴロゴロと転げまわり止まった。その体は粒子となって徐々に消え始める。

 

「そんな……私が、死ぬ……?!」

 

その事実に妲己は顔を青ざめ、周囲を見渡した。

 

「だ、誰か! 私を助けなさい!!」

「助けてくれたら何でもしてあげるわ! だから、早く!」

 

妲己の必死な声が響く。だが、誰も反応しない。その場の全員が目をそらし、そっぽを向いている。

 

「反応しなさいよ! ねぇ!」

「早く私を助けなさいよ!!!」

 

その言葉を最後に妲己は完全に消滅した。レジェスタートロフィーが芝生の上に音もなく落ちる。

 

「終わった……」

 

桃が変身を解く。その顔は晴れやかだ。

 

「さて、トロフィーを」

 

燈哉達が歩き出す。そこに人影が跳躍。アルスターがトロフィーの元へ一番に辿り着く。

 

「回収、完了」

 

トロフィーを拾い上げたアルスターの背後の空間が歪む。そこからアスクが姿を現した。

 

「アスク様、こちらを」

「ありがとう、ワンちゃん」

 

アルスターからトロフィーを受け取り、アスクはご満悦の表情だ。

 

「トーヤもありがとう」

「おう。こっちこそ助かった。ありがとな」

 

アスクの皮肉を躱し、燈哉が手を振って礼を言う。その言葉にアスクが一瞬目を見開き、肩をすくめ、自嘲気味に笑う。

 

「そうだった。君はそういう奴だったね……。ワンちゃん、帰るよ」

 

アスクはそう言うとアルスターを伴って歪みの中へ消えていった。

 

「さて、と。俺らも帰るか!」

 

燈哉の言葉を受け、全員が微笑みながら頷いたのだった。

 

 

 

 

「お主らはこれからどうする?」

 

戦いを終え、街灯の下に四体のレジェスターが集っていた。その内の一体。トウテツが問いかける。

 

「しばらくはゆっくりしたいもんだねぇ」

 

大きく伸びをしながらキュウキが答える。トウコツとコントンも賛同するように頷く。

 

「なら俺が休ませてやるよ」

 

どこからか声が響く。瞬間、四体の真ん中からシズレクが出現した。

 

「永遠にな」

<ナーゲルリング!>

<必殺神技!!>

 

エネルギーを纏った一閃が四体を薙ぐ。一瞬にして体が崩れ、四体が断末魔を上げる間もなく消滅した。レジェスタートロフィーがアスファルトに落ちる。シズレクがそのトロフィーを拾い上げる。そして変身を解き、近くに置いてあったずだ袋にトロフィーを放り込む。袋の中には大量のレジェスタートロフィーが入っていた。

 

「大量、大量♪ こりゃあ、俺の望みが果たされるのも近いかな~」

 

ずだ袋を肩に担ぎ、壕人は鼻歌を歌いながら闇の中に消えていった。

 

 

 

 

 

「皆、ごめんなさい」

 

キッチン大洗の店内にて桃が深々と頭を下げる。

 

「僕からもごめんなさい」

 

その隣で成都も頭を下げる。

 

「事情があったとはいえ、皆に刃を向けたのは到底許される事じゃない。だから本当にごめんなさい」

「気にしてねぇよ」

 

燈哉が腕を組みながら笑う。

 

「家族を人質に取られてたんだろ? 俺だって逆の立場なら同じ事をしてたかも知れない。だから俺は気にしてない」

「僕も同意見だよ」

 

卓人が微笑む。

 

「僕だって君の事情も知らず攻撃した事もあったし。むしろこっちこそ謝らせてほしい。ごめんなさい」

 

卓人が頭を下げた。

 

「二人共……」

 

桃が頭を上げ、二人を見る。そんな桃の前に紗耶が歩み出る。

 

「……良かった。無事で本当に良かったです」

 

目を潤ませながら紗耶が呟く。紗耶の表情に釣られ桃の目にも涙が溜まっていく。

 

「ごめんね。痛かったでしょ?」

 

桃が紗耶の頬に触れる。そこは以前妲己に脅され殴ってしまった箇所だった。

 

「大丈夫です。きっと美鶴城さんの方が痛かったと思うから」

 

紗耶が笑顔をつくる。その言葉を聞き、桃が紗耶を抱きしめる。

 

「ありがとう……紗耶」

「はい……桃さん」

 

二人の抱擁を見ながら、燈哉と卓人が笑い合う。

 

「一件落着だね」

「だな」

 

そんな彼らに成都が声をかける。

 

「お詫びと言ってはナンだけど。今日は腕によりをかけて振る舞うよ」

「うおっ! 持ってました!!」

 

燈哉が勢いよく椅子に座る。

 

「燈哉……」

「現金だね」

 

紗耶と卓人が苦笑しながら席に着く。三人はメニュー表を広げ、何するか相談を始める。成都は調理の為にキッチンへ消えた。

 

「ふふ」

 

口元を緩ませ、桃もキッチンへ歩いていく。

 

「皆。本当にありがとう」

 

入り口で振り返り、屈託の無い笑顔でそう呟いた。早朝のキッチン大洗に久しぶりの笑い声が聞こえたのだった。

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