仮面ライダー神器   作:puls9

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第四節 翡翠の凍将、人消える町

「何の様だ、酒呑童子?」

 

石畳の部屋でファブニールが鋭い眼光で睨みつける。視線の先には翡翠の和服を着た美丈夫、酒呑童子がいる。

 

「なに、近場に用があってな。ついでに顔でも拝んでやろうと思うたわけよ」

 

酒呑童子はそう言って快活に笑う。その様子にファブニールは顔をしかめる。

 

「はん!! どうだか?」

「まぁ、そう怒るな。ほれ、詫びだ」

 

酒呑童子がテーブルに徳利と御猪口を置く。そして、御猪口に酒を注ぐ。

 

「あん?」

「近場に用があると言うたろう? その品よ」

 

酒呑童子は御猪口をファブニールへ差し出す。

 

「誰がテメェの酒なんぞ飲むか!!」

 

ファブニールは手で御猪口を払いのける。御猪口は大きな音を立て部屋の隅へ転がっていく。

 

「むぅ、別に毒なぞ入っておらんのだが。…………ん?」

 

酒呑童子は不満気な表情を浮かべるが、傍らに待機していた白髪の青年に気付き、目を輝かせる。

 

「そこのお主。一献付き合わんか?」

「いや…………僕は」

 

白髪の青年はやんわりと断る。だが、酒呑童子は諦めない。徳利を手に白髪の青年の口に無理やり流し込む。

 

「う゛っ!?」

 

口の中に濃いアルコール臭が広がり、視界が揺らぐ。白髪の青年は吐き気を堪えながら、床に手を付く。

 

「相変わらずヤベェ度数だな」

「カッカッカ!これぐらいがちょうど良かろう?」

「んな訳ねぇだろ……」

 

酒呑童子の物言いに、ファブニールは呆れ顔になる。

 

「まぁいい。とっとと帰れ」

「そうもいかん」

「あ?」

 

ファブニールは眉間にシワを寄せて不快感を隠そうともしない。それに構わず酒呑童子は話を続ける。

 

「風の便りでな。当代の仮面ライダーが中々に骨があると聞く。お主の手を焼かせる程に、な」

「……それがどうした?」

「そ奴らで遊ぶのも一興であろうと思うてな」

 

酒呑童子は笑う。それは今までの快活な笑みでは無かった。それはまるで獲物を見つけた肉食獣のような凶悪な笑顔だった。

 

「そう言うわけでな、暫くここで楽しませてもらうゆえ。同胞には我から言い聞かせておくゆえ心配には及ばん」

 

酒呑童子は踵を返す。そして部屋を出る直前に振り返る。

 

「ではな、今度は一杯やろうぞ」

「お断りだ!!」

 

ファブニールの言葉を無視して、酒呑童子は去っていった。

 

 

 

 

門出市から西へ約十キロ離れた港町、福津市。そこに黒のバイクが一台停車した。

 

「着いたぜ! 福津市!」

 

そう言ってバイクを降りたのは燈哉だった。ヘルメットを脱ぎ、軽く伸びをする。

 

「ここが福津市……」

 

続いて降りてきたのは紗耶だ。辺りを見渡しながら、感嘆の声を上げる。

 

「ここにあるんだよね? アームズトロフィー」

「あぁ、情報が確かならこの町にある」

 

そう言いつつ、燈哉も辺りを見る。だが、特にこれといって目ぼしいものは見当たらない。あるのは小さな公園とコンビニぐらいなものだ。

 

「それにしても。聖葉さんに黙って来て良かったのかな?」

 

紗耶が眉根を寄せて呟く。

 

「仕方ないだろ。あいつ、前の戦いの傷がまだ治りきってねえんだし」

 

燈哉の言葉通り、先日のオーガレジェスターとの戦いで卓人は怪我を負った。幸い、軽い怪我ではあったので本人はすぐに復帰したのだ。

しかし、怪我は怪我。燈哉達は卓人を気遣い、2人で出向いたのだった。

 

「第一、聖葉にトロフィーの事話してみろ。無理してでも着いてくるぞ?」

「それは……まぁ、確かに」

 

知り合ってまだ日は浅いが聖葉卓人という青年は何かと一人で突っ走ってしまう質である事は理解できた。

それこそ、今回のような一件も一人で解決しようとする事も想像に難くない。

それ故に二人は卓人に黙って来たのである。

 

「だろ。だから気にすんなよ。なんならいっそ、」

 

そこで言葉を切り、燈哉はいたずらっぽい笑みをつくる。

 

「俺達でトロフィーをゲットしてあいつを驚かせてやろうぜ」

「!? うん、そうだね!」

 

燈哉の言葉を聞き、紗耶は力強く頷いた。

その時、どこかで悲鳴が上がる。

燈哉と紗耶は顔を見合わせ、その方向へ駆け出した。声のした場所は商店街の一角。そこには逃げ惑う人々とそれを追いかける怪人達の姿があった。

 

「レジェスター!?」

 

怪人の姿を見て、燈哉は叫ぶ。

その姿形は間違いなくレジェスターであった。緑の皮膚に黄色のくちばし、手には水掻き、背中には甲羅が生えている。そして、一際目を引くのは頭部に付いている皿だ。

それはまるで、

 

「河童?」

 

思わず紗耶が呟く。

怪人、カッパレジェスター達は逃げる人々に襲い掛かる。

 

「危ない!」

 

燈哉はトロフィーを取り出し、駆け出そうとしたその時、エンジン音が鳴り響き、赤いバイクが飛び出してくる。

 

「何者だ!?」

 

突然現れたバイクを見て、カッパレジェスター達は身構える。

バイクに乗っていたのは燈哉達と同年代位の少女だった。長い黒髪を後ろで纏めており、切れ長の目からは鋭い眼光が放たれている。

 

「はぁ……またあんた達か」

 

少女が溜息混じりに言う。

 

「何だと!」

 

あからさまな少女の態度にカッパレジェスター達は怒りを浮かべる。

 

「まぁ、いいや。さっさと終わらせる」

 

そう言うと少女はアームズトロフィーを取り出す。それはシルバーの台座の上に柄の長い大太刀が突き刺さったトロフィーだった。少女がトロフィーを腰にかざす。

 

<ヒロイックドライバー!>

 

腰にベルトが巻き付く。そして、トロフィーを押し込む。

 

<レイエンキョ!>

 

少女がトロフィーをベルトにセット。

 

「変身」

 

ベルトの横ボタンを押し、少女が静かに言う。プレートが左側へ展開。ベルトに刻まれた顔と重なり、中華風の仮面へと変化。

 

<月夜の青龍!!氷!氷!氷!>

 

少女の前に大太刀が突き刺さる。大太刀より氷で出来た龍が出現し少女に纏わりつく。そして、少女の身体が水色のアンダースーツに変わり、氷の龍が砕け、筒袖鎧に身を包んだ翡翠の戦士となった。

 

<レイエンキョフリーズ!>

「仮面ライダー天華。あんた達の命、ここで断ち切る」

 

天華は大太刀、氷龍刀<レイエンキョ>を構え、カッパレジェスター達へと向かっていく。

 

「れい……えん……きょ?」

 

燈哉が首をかしげる。その問いに答えたのは紗耶だった。

 

「青龍偃月刀の事だよ。三国志演義における蜀の武将、関羽雲長が使った武器」

「へぇ〜」

 

燈哉が感心の声を上げる。

 

「って、そんな事言ってる場合じゃねえ!」

 

燈哉は慌ててトロフィーを構える。

 

「行くぜ!」

<オニマルクニツナ!>

「変身!」

<筆頭!必勝!必殺!火剣の戦士!!>

<オニマルフレア!>

 

燈哉は神器へと変身。オニマルを手に、走り出す。

 

「はあああ!!」

 

雄叫びを上げながら神器はカッパレジェスター達に突っ込む。

 

「助太刀するぜ!」

 

神器が天華の隣に並ぶ。

 

「そう……わかった」

 

天華は小さく返事をする。

神器は目の前にいる敵を見据え、改めてオニマルを構える。

 

「さぁ、覚悟しろよ!」

 

神器の言葉を聞き、カッパレジェスター達が身構える。

 

「ふん!」

 

まず最初に動いたのはカッパレジェスター。手に持った槍を突き出してくる。

 

「おっと」

 

それを軽く避け、神器はカウンターで蹴りを入れる。

 

「ぐふぅ!」

 

腹部を抑え、よろめく。

 

「まだまだ!」 

 

今度は横から別の個体が襲い掛かってくる。しかし、それも難なくかわすと、その勢いのまま、オニマルで斬りつける。炎を纏った一撃がカッパレジェスターに炸裂。

 

「グワァ!」

 

カッパレジェスターは吹き飛び、地面に転がる。

天華もまた、襲い来るカッパレジェスターをレイエンキョで捌き、隙を見て斬撃を放つ。

 

「くそぉ! こうなったら!」

 

追い詰められたカッパレジェスター達が二人に背を向け走り出す。

 

「逃げる気か!?」

 

神器が叫ぶ。

 

「逃さない」

 

天華がレイエンキョを地面に突き立てる。瞬間、地面が凍りつき、カッパレジェスター達の足を止める。

 

「足が動かない!?」

 

カッパレジェスター達が焦る。

 

「これで終わり」

 

そう言うと天華はトロフィーをレイエンキョに装填。

 

<レイエンキョ!>

<必殺神技!!>

 

レイエンキョの刃が輝き、エネルギーが集約される。そして、エネルギーが冷気となり龍を形づくる。

 

「ハアッ!!」

 

レイエンキョを振り下ろすと同時に龍が放たれ、カッパレジェスター達をまとめて呑みこむ。

カッパレジェスター達は断末魔を響かせる間もなく氷結し、爆散。辺りにトロフィーが転がった。

 

「ふぅ……終わった」

 

燈哉が変身を解く。その隣で同じく変身を解除していた少女が襲われていた人々に近づいていく。

 

「こっちに安全な場所があります。ついてきて下さい」

 

そう簡潔に述べると、少女は燈哉と紗耶の方へ顔を向ける。

 

「あなた達もついてきて」

 

少女はそう言うと歩き出す。

 

「お、おう」

 

呆気にとられながらも燈哉と紗耶は少女の後に続くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女に連れられ、たどり着いたのは、小さな体育館だった。周囲には避難してきた人達が溢れている。

 

「お帰り、桃ちゃん」

 

そう言って現れたは、長身痩躯の男性。年齢は30代半ばといったところだろうか。線の細さと優しそうな目つきのせいだろうか、少々頼りない印象を受ける。

 

「ただいま」

 

男性の言葉を受け、少女は無愛想な表情でで言う。

 

「そちらの方達は?」

 

男性が燈哉達に気付き尋ねると、少女は燈哉を指差しながら答える。

 

「こっちの人、私と同じ。仮面ライダー」

 

その言葉を聞き男性は驚いたように目を丸くする。だがそれも一瞬、すぐに柔和な笑みを作り、燈哉達に向き直る。

 

「初めてまして。僕は大洗 成都(おおあら せいと)です。桃ちゃんがお世話になりました」

 

丁寧な自己紹介と共に男性、大洗 成都が手を差し出す。

 

「いえ、そんなことないです。……俺は立脇 燈哉と言います。」

「私は椿坂 紗耶です。」

 

成都の手を取り、二人もそれぞれ挨拶を返す。

 

「ほら、桃ちゃんも」

 

成都が少女に促す。

 

美鶴城 桃(みつるぎ もも)。よろしく」

 

少女は渋々といった体で言う。どうやらこれが少女、美鶴城 桃の通常運転らしい。

 

「あの。今この町で何が起きてるんですか?」

 

燈哉が真剣な表情で問う。

 

「実は僕達も昨日ここに来たばかりだからそこまで詳しくはないんだけど」

 

そんな前置きをしながら成都が話し始める。

 

「数日前。突然レジェスター達が現れて、この町を襲った。そして、多くの人達が攫われたんだ」

「そんな! 早く助けに行かないと!!」

 

燈哉は思わず声を上げる。

 

「それは無理」

 

それまで黙っていた桃がきっぱりと言う。

 

「無理ってどういう事だよ?」

「攫われた場所が海の中だから」

「!?」

 

燈哉は絶句した。

 

「彼らはそこを竜宮城って呼んでいるみたいだよ」

「竜宮城……」

 

すかさず成都が補足。燈哉はオウム返しに呟く。

そこに紗耶が手を上げながら発言する。

 

「あ、あの。仮面ライダーになれば助けにいけるんじゃ?」

「それも無理。たとえ仮面ライダーになってもせいぜい常人より長く潜れるだけ。辿り着く前に限界がくる」

 

桃は淡々と事実を述べる。

 

「第一、相手は水中に長けてそうな奴らばっか。間違いなく分が悪い」

「そ、そんな……」

 

紗耶が絶望的な表情を浮かべる。

だが燈哉は違った。紗耶とは逆にその表情は明るい。

 

「いや、一つだけ手はあるぜ」

 

燈哉は自信ありげに笑う。

 

「俺達がここに来たのはトロフィーの情報があったからだ。そのトロフィーならもしかしたらこの状況を打開出来るかもしれない」 

 

そして、携帯を取り出し、操作。画面を見せる。画面に映っているのは一つの文章だった。 

 

『向かうは古より奉り、祈り捧げし場所。探し物はずぶ濡れの先に在り』 

「これって……」

 

燈哉の見せた文章を読み、成都が呟く。

 

「そう。これはトロフィーの在り処を示す暗号。この『向かうは古より奉り、祈り捧げし場所』って言うのは、恐らく神社とか教会とかの神聖な場所ってことだと思う」

 

燈哉が顎に手を当てながら話す。

 

「なら神社だね。福津市に教会は無いし。でも、神社だけでもかなりの数になっちゃうよ」

 

成都が言う。

 

「片っ端から当たってみますか?」

「それよりも『探し物はずぶ濡れの先に在り』の部分を考えて見ようよ。そしたら、もう少し場所を絞れるかも」

 

今にも動き出しそうな燈哉を制し紗耶が提案する。

 

「ずぶ濡れ、ずぶ濡れ。……池……とか?」

 

燈哉が考えを口にすると、桃が否定する。

 

「それは無い。神社の池はだいたい浅い。ずぶ濡れにはならない」

「なら、川とかですかね?」

 

今度は紗耶が意見を出す。しかし、今度は成都によって否定されてしまう。

 

「川も可能性は低いと思うな。神社の近くに川はあったけど、水深は深くは無かったからずぶ濡れにはなりそうも無い。それに、ずぶ濡れの『先』っていうのが気になるかな」

「じゃあ、他にずぶ濡れになれる場所なんて……」

 

紗耶の言葉を皮切りに四人の間に暫し沈黙が訪れる。

 

「滝」

 

静寂を破ったのは桃だった。

 

「滝ならずぶ濡れになる」

 

その言葉を聞き、燈哉が目を輝かせる。

 

「それだ!!」

 

燈哉が叫ぶと、紗耶も納得したように頷く。

 

「そして、福津市で滝がある神社は一つ」

 

桃が地図を広げ、指差す。

そこは、燈哉達がいる場所からは少し離れた場所にある小さな山。その中腹地点に神社の記号があった。

 

「この水勢寺だけ」

 

そして、桃は力強くそう宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

話の後、燈哉と紗耶、そして桃は水勢寺へと向かった。成都は避難者達の面倒を見る為、体育館に残るそうだ。

 

「ここが水勢寺か」

 

水勢寺は山の中に存在するお寺で、歴史ある建造物である。だが、住職達はレジェスターの被害を受け、全員避難した為、寺はもぬけの殻だった。

 

「えーっと、滝はどっちだっけ?」

 

地図を見ながら、燈哉は言った。

 

「確か入口から右側って言ってたよ」

 

紗耶が答える。

 

「おっしゃぁ! 右だな!」

 

燈哉が歩き出そうとしたその背後から声がかかる。

 

「ねぇ」

 

振り返り確かめると声の主は桃だった。

 

「どうした、美鶴城?」

「あなた達。狐のレジェスターを見なかった?」

 

突然の言葉に二人は顔を見合わせ共に首を傾げる。

 

「いや、見てねぇけど。俺達が戦った相手って言えば、吸血鬼に人狼、後は鬼ぐらいだな」

「そう。教えてくれてありがとう」

 

それだけ言うと桃は歩き始める。もう話す気は無いのか終始無言だ。燈哉達は慌てて追いかける。そして、三人は右へ曲がり、そのまま本堂を通り過ぎ目的の場所へと辿り着く。

そこには轟音を響かせ流れる大きな滝があった。

 

「おぉ、あった! これが噂の滝か!」

「凄いね」

 

燈哉と紗耶は感嘆の声を上げる。一方、桃は無表情のまま滝を眺めていた。 

 

「それじゃあ、始めますか」

 

燈哉はそう言うとトロフィーを取り出す。

 

<ムラマサ!>

「変身!」

<抜刀!決闘!激闘!妖刀の戦士!!>

<ムラマサブレード!>

 

燈哉が神器へと姿を変える。それと同時に鞘からムラマサを引き抜き、斬撃を滝へと飛ばす。すると、滝は斬撃によりその裏側を見せる。そこには予想通り、空洞が広がっていた。

 

「よし、行ってくるぜ」

 

神器は空洞の中へと突入する。そして、滝の前に紗耶と桃が取り残された。

 

「あの。さっきの話なんですけど……」

 

紗耶が恐る恐る口を開く。

 

「何かあったんですか?」

「……別に。あなた達には関係の無い話だから。気にしないで」

 

素っ気なく返す桃だったが、紗耶は食い下がる。

 

「でも……」

 

その時、二人の前に足音が近づいてくる。

 

「カーッパッパッパ!」

 

現れたのはカッパレジェスター。その数、三体。

 

「おうおう。かわいい女の子が二人もいるじゃねぇか」

 

カッパレジェスター達は舐め回す様に二人を見る。

 

「気に入った。俺様達が竜宮城へ連れてってやるぜ」

 

舌なめずりしながらカッパレジェスター達が二人へ迫る。

 

「はぁ……。気持ち悪い」

 

心底嫌そうな顔をしながら桃が紗耶を庇う様に前に出る。そして、トロフィーを取り出した。

 

<レイエンキョ!>

「変身」

<月夜の青龍!!氷!氷!氷!>

<レイエンキョフリーズ!>

 

その姿を天華へと変え、桃は仮面の奥でカッパレジェスター達を睨みつける。

 

「ハッ!」

 

レイエンキョを構え、カッパレジェスター達へと突撃する。 

 

「カァッ!!」

「フゥン……!」

 

カッパレジェスター達もそれぞれ槍を手にし、天華を迎え撃つ。

 

「ハアアッ!!!」

 

気合と共に振り下ろされた刃を、カッパレジェスターの一体が軽々と受け止める。が、しかし。槍がみるみる内に凍りつく。

 

「なんだこれは!?」

 

驚きの声を上げ、槍から手を離す。そこが好機。動揺している隙に腹に蹴りを食らわせ、怯んだ所を斬り伏せる。

 

「こいつ、強いぞ!」

 

仲間がやられた事に焦ったのか、カッパレジェスターの一人が後ずさる。だが、それが命取りとなった。

 

「ハッ!」

 

鋭い声とともに放たれた斬撃が相手の胸元を正確に捉え、切り裂く。

 

「ぐあああっ!!!」

 

悲鳴を上げて消滅。残るは一体。

 

「くっ、こうなったら……!」

 

もはやこれまで。自暴自棄となったのか、槍を片手に突っ込んでくる。

しかし、天華は冷静だった。ベルトのトロフィーを押し込む。

 

<レイエンキョ!>

 

すかさずベルトの横ボタンを押す。

 

<必殺奥義!!>

 

右足に冷気が纏わりつき、氷の龍が天華を囲む様に現れる。そして、高く飛び上がり、カッパレジェスター目掛けて一直線。強烈な蹴りが炸裂。カッパレジェスターは吹っ飛ばされ、断末魔を上げながら爆発四散。

こうして戦いは終わった。

その頃、燈哉は空洞の行き止まりへとたどり着いた。そこには青色のトロフィーが置かれている。燈哉は恐る恐る手を伸ばす。そして、手を触れた瞬間、その脳裏に情報が流れ込んでくる。 

 

「これは!?」

 

トロフィーを手に取り、それを見つめる。

 

「これなら、いける!」

 

そう言って、燈哉は口元に笑みを浮かべたのだった。

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