仮面ライダー神器   作:puls9

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本編の後に重大発表を行います。
ぜひ最後までご覧ください。


第四十四節 決闘! それぞれの思いを胸に

門出市の広場に鈍い音が響く。砂埃を舞い上げてシズレクとアヴァターラが転がる。二人が睨む先には無傷のフェンリル・レジェスター。好戦的に牙を剥き見下ろしている。

 

「やっぱりオレ様の敵じゃねえか……」

「くっ……」

 

やはりと言うべきか、前回同様二対一にも関わらず二人は劣勢だった。

 

「でもまぁ、雑魚を一方的に倒すのも楽しいからなぁ! このまま遊ばせてもらうぜ!!」

 

フェンリル・レジェスターが俊敏に動き回る。その動きは目で追いつけないほど。シズレクの懐に素早く潜り込むと右アッパーを見舞う。続け様にアヴァターラへ左ボレーを叩き込んだ。

 

「があぁぁっ!?」

 

装甲が火花を散らし、二人は悲鳴を上げる。その威力は凄まじく広場の脇に設置された花壇まで吹き飛んだ。

 

「痛った!」

「くっ!」

 

食らった箇所を手で抑えながら二人はよろよろと立ち上がる。だが、ダメージは大きい。両者共に肩で息をしている。

 

「ひぃ!?」

 

その時、花壇の裏側で影が動いた。二人の視線が集中する。彼らの見る先には二人の男の子。顔付きが似ている事からおそらく兄弟なのだろう。二人は身を寄せ合い怯えた瞳でこちらを見ていた。

 

「なんでこんな所に!?」

「まずいな……」

 

驚くシズレクとアヴァターラ。すぐさま兄弟を庇うように位置取ると二人が話しかける。

 

「いいか? 絶対に我々から離れるな」

「大丈夫だ。俺達が必ず守るからよ」

 

安心させるように優しく言ったのだが、兄弟は答えない。恐怖で言葉も出せないのだろう。かろうじて小さく頷くだけだった。それでも二人には充分。覚悟の表情を仮面の奥で作り、彼らは目の前の強敵を見据える。

 

「守るだぁ? 雑魚如きが。出来るもんならやってみろやぁ!!」

 

フェンリル・レジェスターが駆ける。そのスピードは今まで以上。まるで弾丸のように飛びかかってきた。まともに食らえばひとたまりもないだろう。しかし、その動きは単調。

 

((?))

 

だがその時、二人の間に疑問が生まれた。フェンリル・レジェスターの軌道がおかしいのだ。このまま落下すると着地地点は二人の後ろになる。脳裏に現在の立ち位置が鳥瞰図で浮かび上がる。

 

「「まさか!?」」

 

そして思い至った。フェンリル・レジェスターが狙っているのはシズレクとアヴァターラではない。その後ろにいる兄弟だったのだ。

 

「まさか見捨てたりはしねぇだろうなぁ!!」

 

確信的な笑みを浮かべるフェンリル・レジェスター。対称的に二人は苦い顔になる。重心を落とし、足腰に力を入れ、二人はフェンリル・レジェスターの突進をその体で受け止める。

 

「ぐあっ……!」

「ぐっ……!」

 

二人は地面に轍を描きながら押し込まれていく。どれだけ力を込めようともフェンリル・レジェスターは止まらない。二人の顔はさらに険しく変わっていく。このまま押し込まれ続ければ間違いなく兄弟を巻き込んで倒される。それが分かっていても今の二人に打てる手は無い。一歩、また一歩と後退していく。

 

(このままじゃ……)

 

あらゆるものに限界はある。渾身の力でフェンリル・レジェスターの攻撃を受け止めた二人ではあったが、ここに来て力が弱まりつつある。理由は簡単。単純に限界がきたのだ。手や足の感覚はもう薄れている。後はただ後ろに押されていくのみ。

もはやこれまで。二人は仮面の奥で悔しげに目を閉じた。

 

「が……頑張れ……!」

 

後方から声が聞こえた。それはか細く震えた声。されど確かな意思を持った声だった。目だけを動かし、後ろを見た。そこには目に涙を溜め、震える口を一生懸命に動かし、二人にエールを送る兄弟の姿。

 

「頑張れ! 頑張れ!!」

 

刹那。フェンリル・レジェスターの突進が止まった。否、止められた。

 

「!?」

 

フェンリル・レジェスターが目を剥く。彼の腕が徐々に押し返され始めた。

 

「何……諦めてんだ、俺はよぉ!!」

「後ろには……守るべき者がいるのだ!!」

「「負けてたまるかぁ!!!」」

 

二人が吠える。限界を迎えたはずの体に力が漲る。エッケザックスとガーンデーヴァを渾身の力で振り下ろす。

 

「ぐぉっ!?」

 

分厚い皮膚が裂ける。胸を抑え、フェンリル・レジェスターが後退った。

 

「今だ!」

<エッケザックス!>

<必殺神技!!>

 

そこへシズレクが飛び込む。だが、フェンリル・レジェスターは手強い。すぐさま体勢を立て直すと剛腕を振り上げて迎え撃つ。その様子を見てシズレクは仮面の奥でほくそ笑んだ。

 

「頼むぜ、白正!」

<ガーンデーヴァ!>

<必殺神技!!>

 

シズレクの後方でアヴァターラが弓を引き絞る。

 

「絶対に外さん!」

 

シズレクは首を横にずらすと後方より頬を掠め炎の矢が一直線にフェンリル・レジェスターの腕を射抜いた。大きく体勢を崩すフェンリル・レジェスター。

 

「食らいやがれ!!」

 

その無防備になった胴体へシズレクの必殺神技が叩き込まれる。

 

「ぐああああっ!!」

<エッケザックス!>

<ガーンデーヴァ!>

<<必殺奥義!!>>

 

痛みに顔をしかめながらフェンリル・レジェスターは上を見上げる。視線の先には太陽を背にこちらに足を突き出す二つのシルエット。シズレクとアヴァターラのライダーキックが炸裂。

 

「そんな……馬鹿な……このオレ様がぁ!?」

 

フェンリル・レジェスターの胴が貫かれ爆散。二人は片膝をついて着地する。

 

「まだ……動けるか?」

「おうよ……ヨユー……ヨユー……」

 

荒い息をしながら軽口を叩く二人。彼らの周りには騒ぎに引き寄せられたグール・レジェスター達がいる。

 

「とりあえず彼らを安全な所へ連れて行くぞ」

「ついでに倒せるやつは倒しとこうぜ」

 

グール・レジェスターを斬り伏せながら二人は兄弟の元へ駆けるのだった。

 

 

 

 

 

同時刻。病院の敷地内にヨルムンガンド・レジェスターが現れた。彼は余裕の笑みで建物を見あげている。

 

「っ……。お願い!」

<カイノクロコマ!>

 

すぐさま対応したのは紗耶。カイノクロコマトロフィーを起動させ、クロコマイルズを出現させる。

 

「ヒヒーン!!」

 

嘶きを上げ、アニマルモードのクロコマイルズがヨルムンガンド・レジェスターへと駆ける。凄まじいスピードで駆ける様は矢のよう。まともに食らった常人ではひとたまりもないだろう。だが相手はレジェスター。それも高位の。

 

「ふんっ!」

 

両腕の蛇を振り回し、側面からクロコマイルズを吹っ飛ばす。クロコマイルズは病院の生け垣に叩きつけられ、一撃の元に沈んだ。

 

「クロコマイルズ!……そんな」

 

狼狽える紗耶。ヨルムンガンド・レジェスターはそんな彼女を次のターゲットに選んだ。

 

「邪魔をした報いです。死になさい」

 

両腕の蛇が一直線に紗耶へ迫る。彼女は思わず目を背けてしまう。そんな紗耶の背中が突如引っ掴まれ、床に倒れるように押された。対象が狙いから外れた事で蛇が空を切る。

 

「貴方は!?」

 

顔を向けるとそこには英雄がいた。しかし、その顔はとても険しい。息も荒く、肩がしきりに上下している。

 

「おやおや。手負いのライダーのご登場ですか?」

「大丈夫か? 後は任せてくれ」

 

英雄が紗耶を庇うように前に出る。そして、二つのトロフィーを取り出した。

 

「その体じゃ危険ですよ!」

「どのみち、ここにいる時点で危険度は変わらない。私がやるしかない」

<アイギス!>

<ハルパー!>

 

二つのトロフィーをミソロジックドライバーにセット。英雄が力強く叫ぶ。

 

「変身!」

<鉄壁! 攻撃! 完璧! 紺碧の英雄!!>

<ペルセウス・ザ・仮面ライダー!>

 

右手にハルパー、左手にアイギスを携え、仮面ライダーペルセウスが降臨する。

 

「覚悟しろ。お前の好きにはさせん!」

 

先手必勝。ペルセウスが駆ける。迎撃に走る両腕の蛇を抜け懐へと潜り込んだ。横薙ぎにハルパーが振るわれる。

 

「おっと」

 

ヨルムンガンド・レジェスターは体を仰け反らせ躱す。そして反撃とばかりに伸ばした両腕をペルセウスの背中へと襲いかかる。ペルセウスは高く跳躍しながら後方へ飛び退き、回避。

 

「中々やりますね。ですが!!」

 

ヨルムンガンド・レジェスターが再び両腕を振るう。今度は左右から挟み打ちだ。

 

「ふっ!……くっ!?」

 

両方の武器でその攻撃を受け止めるペルセウス。だが、受け止めた瞬間、彼の体が強張った。傷はまだ全然癒えていない。攻撃による衝撃がその傷口を刺激し、体に激痛が奔る。思わず力が弱まり、挟み打ち攻撃がペルセウスにヒットした。

 

「うがぁっ!!」

 

装甲が火花散り、ペルセウスが武器を取り落としながら片膝をついて崩れる。その攻撃で限界が来たのかペルセウスの変身が解けてしまった。

 

「天鎧さん!?」

 

慌てて駆け寄る紗耶。地面に倒れ、激痛に悶える英雄。そんな彼らにトドメを刺すべくヨルムンガンド・レジェスターが両腕の蛇から溶解液を放った。

 

「きゃあ!」

「くっ……」

 

紗耶は目をつむり、英雄は悔しげに唇を噛む。

その時、二人に迫る溶解液がどこからともなく飛んできた銃弾によって撃ち落とされた。

 

「何ぃ!?」

<世界を守るライダー! 我らを繋げるスパイダー!>

<メモリアライズ! バッチグー!>

 

エンジン音と共に現れたのはバイクに乗った人影。それは黒のアンダースーツにエメラルドグリーンの装甲をした仮面の戦士。よく見ると胴の装甲は上から見た蜘蛛の形をしていて、顔に付いた仮面は蜘蛛の巣のよう。そして、腰には長方形のバックルが付いたベルトが巻かれており、その中心には蜘蛛のレリーフが刻まれた丸いアイテムが付いている。その姿はまさしく、

 

「仮面……ライダー……」

「その通り。おれ達(・・・)は仮面ライダー。仮面ライダーヴァリアブル」

 

小さく呟いた紗耶の言葉を拾い、ヴァリアブルと名乗った仮面の戦士が肯定する。年若い青年の声だった。バイクから降りたヴァリアブルは体を一回転させた。丁度病院に体が向いた時、両手から何かを発射する。空中で広がり、その全容を現した。それは蜘蛛の巣だ。まるで柵、あるいは立ち入り禁止のテープのように紗耶達の前で展開された。

 

「悪いがここから先は一歩も通さない」

 

ファイティングポーズを取り、ヴァリアブルがヨルムンガンド・レジェスターに向き直る。

 

「トワル。解析は済んだか?」

『勿論です。近隣の監視カメラよりあの怪物の攻撃パターンは既に確認済みです。データを共有します』

 

ヴァリアブルのベルトより別の声がした。丁寧な言葉使いの女性の声だ。ヴァリアブルの複眼が輝く。その目には幾つものデータが駆け巡っていた。

 

「たった今、勝利の道は繋がった!」

 

ヴァリアブルが動き出した。対応するようにヨルムンガンド・レジェスターが右腕を振り回す。

 

『軌道を予測。ソート、気を付けて』

「了解だ」

 

ヴァリアブルの視界に様々な計測数値が現れる。

 

「なるほど。これを避けても左腕が追撃に動ける体勢か……。でも、」

 

攻撃を横っ飛びで避わすヴァリアブル。予想通り、そこに左腕の追撃が迫る。腕が触れる刹那、ヴァリアブルの体が引っ張られその攻撃は空を切った。ヴァリアブルは近くの柵に移動していた。

 

「!?」

 

驚くヨルムンガンド・レジェスター。よく見るとヴァリアブルの手から糸が柵へと繋がっている。

 

「掌の糸にはこんな使い道もあるんだぜ」

「おのれ!」

 

ヴァリアブルが柵から離れヨルムンガンド・レジェスターへと向かっていく。苦虫を潰した顔でヨルムンガンド・レジェスターは溶解液を発射。

 

<ヴァリアブラスター!>

 

ヴァリアブルは余裕綽々といった体で腰のホルダーから武器を取り出した。エメラルドグリーンのラインが入った黒い銃だ。銃口を構え、連続で引き金を引く。溶解液が次々と撃ち落とされていく。その間にも二人の距離は縮まっていた。

 

<ブレードモード!>

 

ヴァリアブラスターを変形させると先端にエネルギー状の刃が出現。懐へ一気に潜り込み振るう。

 

「ぐあぁぁっ!?!!」

 

ジュッと皮膚が焼け、その痛みでヨルムンガンド・レジェスターは後退る。そこに追撃。ヴァリアブルが連続斬り。ヨルムンガンド・レジェスターがもんどりを打つ。

 

『ソート、決めましょう!』

「あぁ。行くぞ、トワル!」

 

ヴァリアブルがバックルの横についているグリップを引き展開する。するとバックルの中心にあったアイテムがスライドして全体像を露わにする。それはクリアグリーンのバッジだった。ヴァリアブルはその上部のボタンを押す。

 

<アクセス!>

 

勢い良くグリップを押し込み、バッジが再びバックルの中心に戻った。ベルトから発生するエネルギーがヴァリアブルの全身を駆け巡る。

 

「ハァッ!」

 

両手から大量の蜘蛛の巣が辺り一面に展開。ヴァリアブルは蜘蛛の巣の一つに飛び乗った。その蜘蛛の巣に着地すると勢い良く跳ねた。さながらトランポリンのように蜘蛛の巣から別の蜘蛛の巣へと飛び跳ねていく。

 

「何だこれは!?」

 

ヨルムンガンド・レジェスターを囲むように飛び移り、すれ違いざまに攻撃を仕掛けていく。迎撃しようにも飛び跳ねる度にヴァリアブルのスピードは増していき、既にヨルムンガンド・レジェスターには捉えきれない程だ。

 

「くそっ……こんな筈では!!」

 

攻撃を食らいながら狼狽えるヨルムンガンド・レジェスター。その視界にヴァリアブルの足の裏が映る。

 

<スパイダー! ヴァリアビリティストライク!!>

「ぎゃあああ!!」

 

必殺の一撃がヨルムンガンド・レジェスターを貫いた。断末魔を上げて消滅。ヴァリアブルが綺麗に着地を決めた。

 

「凄い……!」

「助かった……のか……」

 

呆然と見つめる紗耶と英雄。そんな二人を振り返るヴァリアブル。その時、遠くで悲鳴が上がる。

 

「!? トワル、場所は!」

『検索済みです。ルートを表示します』

「了解!!」

 

ヴァリアブルがすぐさまバイクに跨がる。

 

「あ、あの!」

 

そんなヴァリアブルに紗耶が声をかけた。

 

「助けてくれてありがとうございます!」

「おう。どういたしまして」

 

片手を上げて礼を返し、ヴァリアブルはアクセルを全開にする。そのまま悲鳴のした方角へと走り去っていった。

 

 

 

 

 

 

その頃、燈哉と卓人は走っていた。場所は塔の中のだだっ広い廊下。その広さに反して人影一つ見当たらない。まるで誘い込まれているかのようだった。そんな廊下を警戒しながら二人は進む。最上階まで後少し。もう人踏ん張りだ。

 

「それで勝算はあるのかい?」

「まったく無い」

「……だと思ったよ」

 

きっぱりと否定する燈哉に卓人は呆れ顔になる。

 

「でも、何とかするしかない。だろ?」

「不思議だよ。何の根拠も無いのに信じたくなるんだから」

 

小さくため息を吐いて卓人は笑った。そうこうしている内に二人は最上階にたどり着いた。廊下の遙か先に扉が見えてくる。

 

「もしかしてあそこか?」

「だろうね」

「よし、行くぞ!」

 

目的地が見えた事で二人の走る速度が上がった。

その時、廊下の柱の影から人影が二人を立ち塞ぐように現れた。

 

「!?」

「君は……」

 

現れたのは潟永 虎杖。鋭い目つきでこちらを睨んでいる。

 

「ここから先には行かせねぇ」

 

そう言うと虎杖はトロフィーを取り出す。

 

『何をしているのかな? 君はお呼びじゃないんだけど』

 

その背後から声がかかる。いつの間にかそこにはアスクがいた。燈哉と卓人が驚の表情を作る。だが、よく見るとその体は稀にノイズが走ったようにブレている。杯の力で作った立体映像だ。

 

「ふん。俺の知ったことかよ」

 

振り返る事もなく、虎杖が言う。その声色には怒りが滲んでいた。

 

「やめておいたほうが身のためじゃない? どうせ勝てないって分かりきってるだろう?」

「うるせぇよ! お前の魂胆なんかとっくに見抜いてんだよ!」

 

虎杖が吠えた。

 

「壱子が死んでビビったんだろ? この計画が失敗したら俺がどうなるかとか考えたんだろ? 勝手に日和やがって!!」

「……」

 

その言葉に対しアスクは何も言わない。ただじっと虎杖を見つめている。

 

「確かに俺は弱い。きっとこいつらには敵わない。それでも。それでもなぁ!」

 

そこで言葉を切り、虎杖は絞り出すように口を開いた。

 

「俺は、お前と一緒に世界を滅ぼしたいんだ!!」

 

アスクの目が大きく開かれる。

 

「あの時、俺は間違いなく人生のどん底だった。そんな俺に手を伸ばしてくれたのはお前だ。例えばそれが駒として利用する為だったとしても。嬉しかったんだ……」

「コジョー……」

「だから俺はお前と一緒に戦う。お前が必要としてなくても勝手に戦う。恩を返す為に、世界を滅ぼす力になる」

 

虎杖の話を聞き終えたアスクは深いため息を吐いた。そんな態度とは裏腹にどことなく嬉しそうに見える。

 

「まったく……。どいつもこいつも、僕の駒は馬鹿ばっかりだ。……勝手にすると良い。僕はもう知らないからな。武運を祈るよ」

 

アスクは背を向ける。瞬間、姿が消えた。廊下にいるのは三人だけになった。

 

「あぁ、そうさせて貰うぜ」

<クトネシリカ!>

 

トロフィーを起動させ、虎杖はベルトにセットした。

 

「変……身」

 

高らかに叫び、ベルトのボタンを押す。

 

<霊威の宝剣!! ロンヌ! ロンヌ! ロンヌ!>

<クトネシリカカムイ!>

 

目の前に突き刺さる剣より狼、熊、龍が出現し虎杖の鎧と変わる。そして、仮面ライダーサマイクルへと変身を遂げた。

 

「さぁ、始めようぜ」

 

クトネシリカを手にし、サマイクルが二人へ切っ先を向けた。

 

「時間が惜しい。燈哉、ここは僕が引き受ける。先に行け」

 

卓人が前に出る。その手には既にトロフィーが握られていた。

 

「!? 分かった!」

 

燈哉が頷くと同時に卓人がトロフィーを起動させる。瞬時にベルトへセット。

 

<エクスカリバー!>

「変身!」

 

ボタンを押しながら叫ぶ。

 

<円卓の王! 振り抜け、泉の聖剣!!>

<エクスカリバーキング!>

 

白亜の装甲を纏い、背中からマントを靡かせて卓人が仮面ライダーラウンダー エクスカリバーキングへと変身した。

 

「ハァッ!」

 

ラウンダーがサマイクルの元へ駆ける。同時に燈哉もその脇を抜けるべく走り出した。

 

「行かせるか!」

「そうはさせない!」

 

燈哉の行く手を遮らんと迫るサマイクル。そんな彼をラウンダーが妨害する。エクスカリバーとクトネシリカがぶつかり合い、鍔迫り合いが起きた。その隙に燈哉は抜け出し、扉へと向かっていった。

 

「邪魔しやがって」

 

もう追いつけないと理解したサマイクルは忌々しげにラウンダーに吐き捨てた。

 

「どういたしまして」

 

剣と剣が弾かれ、互いに距離を取る。両者武器を握り直すと再び激突。広い廊下に金属音を響かせ、激闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

桃はゆっくりと地下への階段を降りていた。やがて最後の一段を降りると曲がり角。恐る恐る覗き込む。目の前には広い空間が広がっている。そこは薄暗く、中央は地面が盛り上がり、魔法陣が妖しく輝いている。まるで祭壇のようだと桃は思う。魔法陣の上には人影が立っている。ヘル・レジェスターだ。

 

「ふふふ。いらっしゃい、仮面ライダーさん」

 

視線に気付いたヘル・レジェスターが声をかける。桃も観念して、その姿を露わにした。

 

「あんたが大量のレジェスターの製造元であってる?」

「えぇ。そうよ」

 

ヘル・レジェスターが杖を掲げる。魔法陣の輝きが強まり、複数のグール・レジェスターが這い出してくる。それを見た桃が目を細め、鋭く睨んだ。

 

「なら、あんたごとぶっ倒す」

 

桃がトロフィーを取り出した。

 

<エンオウケン!>

「変身!」

 

トロフィーをベルトにセットし、叫ぶ。

 

<雌雄一対の剣!! 双! 双! 双!>

<エンオウツインズ!>

 

二振りの剣より鴛鴦が羽ばたき、桃の装甲へと変わる。羽が舞い散る中、仮面ライダー天華へ変身が完了した。エンオウケンを手にヘル・レジェスターを見据える。

対するヘル・レジェスターも応戦するように、さらにグール・レジェスターを呼び出した。

 

「さぁ、かかってきなさい」

 

塔の地下で麗しき戦いが幕を開ける。

 

 

 

 

 

 

そして。塔の最上階。長い廊下を抜けた先、豪奢な装飾の扉が開け放たれた。扉が開く音を聞き、アスクは瞑っていた目を開ける。玉座に座る彼の視線が向かう場所には燈哉が立っている。アスクの口元が弧を描いた。

 

「やぁ。やっと来たね。待ちくたびれたよ」

 

玉座から立ち上がりアスクは嬉しそうに笑う。対称的に燈哉は笑顔すらなく真剣な顔付きでアスクを見ていた。

 

「アスク……。決着をつけようぜ」

 

両者はトロフィーを掲げる。いざ、世界の命運をかけた頂上決戦の時。





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人×電脳生命体=未知数


日本中のテクノロジー技術が集まる科学都市、祭波市。そこで巻き起こるのはやがて世界の命運を握る事件。
怪人へと変貌する人々。その装置を配る謎の組織。
人々の悲鳴が響く時、二つの力が今一つになる!

「たった今、勝利の道は繋がった」

新連載 仮面ライダーヴァリアブル

2025年2月、連載開始予定
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