仮面ライダー神器   作:puls9

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第四十五節 激闘の果て、世界は光に包まれて

「決着をつけようぜ」

 

塔の最上階。燈哉が見据える先にはアスクがいる。相対する両者の手には既にトロフィーが握られていた。

 

「決着をつけよう……か。意外だね。君のことだからてっきり説得から入ると思ってたけど」

「最初はそのつもりだったよ。けど、」

 

燈哉はそこで言葉を区切り、一度目を閉じる。

 

「お前の仲間の覚悟を見たからな。事の良し悪しはともかくお前らも命懸けで戦ってんだ。そこを否定するのは違うと思った」

 

そして目を開けて覚悟を決めた顔を作る。決意の眼差しがアスクを射抜く。

 

「だからこそ。俺は俺のエゴでお前を倒す」

「……本当に。そういうだよ、君」

 

ため息を吐き、苦笑するアスク。その手の中で未完の杯が起動する。瞬間、塔の周囲に巨大なスクリーンが出現。同時刻、世界中の電波がジャックされ、双方には燈哉とアスクが相対する姿が映し出された。ざわめく人々。

 

「世界の存亡がかかってるんだ。視聴者はいた方が良いだろう?」

<レーヴァテイン!>

 

アスクがトロフィーを起動させる。すかさずベルトにセット。

 

「変身」

<破滅のエッダ! WORLD END!!>

 

ソードブレイカーがアスクの前に突き刺さる。剣より放たれた白い炎がアスクを包み、装甲となって装着された。

 

<レーヴァテインカタストロフィ!!>

 

突き刺さったレーヴァテインを引き抜き、禍々しき純白の戦士が降臨する。

 

「後悔すんなよ。勝つのは俺だ!」

<ヤタノカガミ! ヤサカニノマガタマ!>

<クサナギノツルギ!>

 

ヤタノカガミとヤサカニノマガタマ。二つの力を秘めたカップ型のトロフィーを展開。そこにクサナギアームズトロフィーを装填。すかさずベルトにセット。

 

<三位一体!>

「変身!!」

 

高らかに叫ぶ燈哉。その目の前に波打つ刃の剣。左右に勾玉と鏡が出現する。

 

<漲る闘気! 無敵の剣技! 三種の神器! 仮面ライダー神器!!>

<トリニティレガリア!>

 

三つの力が合わさり、燈哉は金色の鎧に白い羽衣を纏う戦士へと姿を変えた。クサナギを掴むと、切っ先をアスクへと向ける。

 

「俺はこの世界が好きだ。大好きだ! この世界でやりたい事がまだたくさんある。俺はお前を倒す。明日、皆と笑い合う為に」

「僕はこの世界が嫌いだ。大嫌いだ。もうこの世界でやりたい事なんて一つも無い。だから滅ぼす。今日、ここで終わらせる」

 

アスクはレーヴァテインを構え直す。睨み合う両者。先に動いたのは神器。

 

「ハァッ!!」

 

一直線に突っ込みクサナギを振り下ろす。対するアスクは悠然とレーヴァテインで迎え撃つ。互いの剣がぶつかる刹那、神器が翼を展開。体勢を無理矢理上下反転させ、振り下ろされた刃は振り上がる一撃へ。クサナギがアスクの顎へ迫る。

 

「へぇ」

 

素早いバックステップ。余裕綽々で躱したアスクの反撃が始まる。

 

「フッ!」

 

レーヴァテインで刺突。懸命に体を捩り躱そうとするも、

 

「ぐっ……」

 

右肩の装甲に突き刺さり、穴が空いた。怯む神器に追撃。アスクの刃が続けざまに振るわれる。

 

<ジュズマルツネツグ!>

<鏡収!>

<反鏡!>

 

ヤタノカガミから水のエネルギーが噴き出す。水が神器の前で膜を作りエネルギーのバリアになった。

 

「無駄だよ」

 

レーヴァテインに触れた途端、水のバリアは簡単に切り裂かれる。だが、神器には当たらなかった。一瞬の隙をついて飛び退き、距離を取った。

 

「あっぶねぇー」

 

右肩を手で押さえながら神器は安堵の息を吐く。

 

「そんな体たらくじゃ僕には勝てないよ?」

「まだまだこっからだ!」

 

呼吸を整え、神器は再び向かっていった。

 

 

 

 

 

 

塔の地下にて。天華がエンオウケンを振るい次々とグール・レジェスターを切り払っていく。だがその度に後続が襲い掛かり、今だヘル・レジェスターの元にたどり着けないでいた。

 

「くっ!」

 

思わず歯噛みする天華。そんな彼女を涼しい笑みで見つめるヘル・レジェスターは杖を掲げた。途端に魔法陣よりグール・レジェスターの新たな群れが出現する。

 

「このっ!」

 

先ほどからあらかた減らす度に追加で呼び寄せられ状況をリセットされる状態が続いている。このままではいずれ限界が来てなぶり殺しにさせるだけ。天華は内心焦りを募らせていた。

 

「さぁさぁさぁ! いつまで持つかしら?」

 

口元に手を当てヘル・レジェスターは楽しそうだ。

 

「こうなったら一か八か!」

 

天華がグール・レジェスターの隙間を抜って駆ける。標的はヘル・レジェスター。彼女さえ倒せればグール・レジェスター達も消えるはず。グール・レジェスターを無視して天華はヘル・レジェスターとの距離を縮めていく。

 

「ふふふ。無駄よ」

 

ヘル・レジェスターの杖から複数の光弾が発射された。それはゆらゆらと不規則に揺蕩いながら天華へと迫る。だがその動きは遅い。天華は難なく躱し、ヘル・レジェスターへと迫らんと足を踏み出した。その時、光弾が突如Uターン。背中に着弾。

 

「うあっ!?」

 

吹き飛ぶ天華。顔を上げると躱したはずの光弾がこちらへ向かってきている。

 

「もしかして追ってきてる?」

「ご明察。追尾出来るの。そ・れ・に、速度も自在よ」

 

刹那、光弾の速度が増した。不規則ながらもスピードを上げた光弾が次々と天華に着弾。

 

「きゃあっ!!」

 

その度に吹き飛ばされ天華は幾度も空を舞う。やがて全ての光弾が天華を襲い消えた。彼女の装甲は傷付き、所々ひび割れていた。そこにダメ押しとばかりにグール・レジェスターが迫る。

 

「はぁ……はぁ……」

 

それでも天華の目は死んでない。剣を杖代わりによろよろと立ち上がる。

 

「まだ動けるの? いい加減諦めたら?」

「冗談が上手いのね……世界の危機で諦められるわけ無いでしょ」

「ならどうやって切り抜けるかご教示いただけるかしら?」

「えぇ。良いわよ」

 

再び天華が駆け出した。しかし、今度はヘル・レジェスターのいる方とは反対。階段のある方角にだった。

 

「逃げるつもり?」

「まさか。勝つつもりよ」

<レイエンキョ!>

<必殺神技!!>

 

エンオウケン紅にレイエンキョアームズトロフィーをセット。氷の刃が振るわれた。

 

「!? これは……」

氷の刃はグール・レジェスターを凍らせながら盛り上がっていく。それは氷でできた高台と呼べる代物だった。

 

「これで準備完了」

<フェイルノート!>

<必殺神技!!>

 

天華はすかさずエンオウケン蒼にフェイルノートアームズトロフィーを装填。

 

「なぜアナタがそれを!?」

「借りたのよ。聖葉から」

 

必中の斬撃が絶え間なくエンオウケン蒼より放たれた。空間を埋め尽くす勢いだったグール・レジェスター達が次々と消滅していく。なにせ適当に撃っても当たるのだから供給が追いつかない。追尾する光弾すら先に破壊すれば怖くない。

瞬く間に地下には天華とヘル・レジェスターのみとなった。

 

「あんたの命、ここで断ち切る!」

<エンオウケン!>

<必殺奥義!!>

 

高台から跳躍した天華が空中で足を突き出す。一直線にヘル・レジェスターへと伸びていく。対するヘル・レジェスターもそのままではいられない。杖から光弾を発射し、妨害せんとする。

 

<レイエンキョ!>

<フェイルノート!>

<必殺神技!!>

 

二振りのエンオウケンで光弾を撃ち落としていく。だがその数は多かった。何個か撃ち漏らし天華に着弾する。

 

「はぁぁぁぁぁっ!!!」

 

それでも歯を食いしばり突き抜けた。その一撃がヘル・レジェスターを捕らえる。

 

「うぎゃあぁぁぁっ!?!!!」

 

断末魔と共にヘル・レジェスターが爆散。消滅した。

 

「うぐっ!?」

 

だが、天華も限界がきていた。上手く着地出来ず地面を転がりながら変身が解ける。

 

「くうっ……。あいつらの所に行かないと……」

 

這うようにほふく前進で桃は階段へ向かっていく。そして、一歩一歩とこれまた這うように階段を登っていった。

 

 

 

 

市街地にて。シズレクとアヴァターラはグール・レジェスターと対峙していた。彼らの後方には兄弟の他、道中で出会った人々がいる。その時、グール・レジェスター達がいっせいに苦しみだし、次々と消滅していく。

 

「これって……」

「どうやら彼らがやってくれたようだな」

 

二人が塔の方を見る。最上階では時折閃光が瞬き、破壊音が響いていた。

 

「今のうちに彼らを安全な所へ避難させよう」

 

アヴァターラの言葉に頷き、二人は人々を連れて歩き出した。

 

 

 

 

 

 

同じ頃、塔の廊下でラウンダーとサマイクルが激しい鍔迫り合いを繰り広げていた。ラウンダーが横薙ぎ一閃。すんでのところで避わすサマイクル。すぐさま反撃とばかりに刺突を繰り出す。互いに一歩も譲らない凄まじい攻防が続く。

 

「これならどうだ!」

 

サマイクルがクトネシリカを操作して矢印を狼のレリーフに合わせた。

<小狼!>

<召喚!!>

 

クトネシリカよりエネルギー状の狼が出現。勢い良くラウンダーへ飛びかかる。体を捻り避わすとその背後へエクスカリバーを振るう。小狼の体が切り裂かれ、消滅。そんなラウンダーへ影が差す。

 

「!?」

 

いつの間に召喚したのか今度はエネルギー状の熊が迫っていた。

 

「くっ!」

 

素早く後退するラウンダー。さっきまでいた場所に熊の剛腕が叩きつけられ、床に亀裂を入れている。

 

「ハアッ!!」

 

ラウンダーが吠える。エクスカリバーが振り下ろされ、熊を一刀両断する。

 

<雷神の龍!>

<召喚!!>

 

続いて二体の龍が迫る。咄嗟にエクスカリバーで受け止めた。だが、それは悪手だった。

 

「せりゃぁ!」

 

サマイクルが突進。龍とサマイクルに押されてラウンダーが吹っ飛んだ。塔の壁に穴を開けて外へ投げ出される。いくらラウンダーが強かろうとも、高い塔の上から落ちればひとたまりもない。サマイクルは勝利を確信した。

 

<ダボウ!>

<必殺神技!!>

「何!?」

 

突如塔の外から稲妻の蛇が現れ、サマイクルに巻き付く。凄まじい力で引っ張られ、サマイクルは塔の外へと引きずり出された。視線を向けると切っ先をこちらに向けたラウンダーの姿。エクスカリバーからは稲妻の蛇がとぐろを巻いている。

 

「こいつ!」

「ハアッ!!」

 

重力に従い落下する二人。体を上手く動かし、互いに剣を振るう。ラウンダーが肩を切れば、サマイクルがお返しとばかりに膝を切リ返す。装甲は徐々にひび割れ、両者共にボロボロになっていく。

 

<雷神の龍!>

<召喚!!>

 

地面が迫り、サマイクルは龍を呼び出した。これに乗り、激突を防ごうという算段だ。対するラウンダーは、

 

<エクスカリバー!>

<必殺神技!!>

「!?」

 

眩い斬撃がサマイクルを襲う。虚を突かれ攻撃を諸に食らった。サマイクルが吹っ飛ぶ。

 

「ぐあっ!?」

 

地面に叩きつけられゴロゴロと転がる。そしてそれはラウンダーも同じ。着地が間に合わず、勢い良く地面に激突した。土埃が晴れると剣を杖代わりにして両膝をつくラウンダーがいる。骨折したのか、足があらぬ方向に曲がっていた。

 

「どうやら俺の勝ちのようだな」

 

対するサマイクルは五体満足。よろよろと立ち上がり、ラウンダーへ向かっていく。

 

「知らないのかい?エクスカリバーには鞘がある事を」

 

ラウンダーが腰に取り付けられた鞘を取り出すとエクスカリバーを納刀した。瞬間、優しい光がラウンダーを包んだ。折れ曲がっていた足が元に戻り、装甲から流れていた血が止まった。

 

「エクスカリバーの鞘には……治癒能力が……ある」

 

立ち上がるラウンダー。だが、彼も疲労困憊。立っているのがやっとの状態だ。両者の限界はとうの昔に超えている。次の一撃で決める。二人の心が一致した。

 

<エクスカリバー!>

<アロンダイト!>

<カリバーン!>

<必殺神技・三連!!>

 

金、青、白。三重の光が束なり、聖剣に宿る。ラウンダーは相手を見据え、エクスカリバーを振り上げた。

 

<クトネシリカ!>

<必殺神技!!>

 

サマイクルもまたクトネシリカを振り上げた。彼の周りには狼、熊、そして二体の龍が召喚されていた。

 

「「はぁぁぁぁぁ!!!」」

 

同時に両者が剣を振り下ろした。走る斬撃。駆ける狼と熊。追従する龍。そしてそれらを一切合切ことごとく蹴散らしていく聖剣の一振り。力の差は歴然。その輝きが召喚された全てを消滅させ、サマイクルへと到達する。

 

「俺は……!」

 

渾身の力を込めて聖剣の一撃を受ける。彼の脳裏に浮かぶのは首を吊った妹の姿。地面を抉りながらサマイクルが後ろへ引きずられる。

 

「絶対に……!!」

 

次に浮かんだのは自分に手を差し伸べるアスクの姿。歯を食いしばり、柄に力を込める。また一歩後ろへ下がった。

 

「世界を滅ぼすんだ……!!!」

 

続けて浮かぶはアスクと壱子の笑っている顔。クトネシリカが弾かれ、聖剣の光がサマイクルをのみ込んだ。衝撃波が辺りに吹き荒れる。やがて晴れるとそこには変身が解け、地面に倒れ伏す虎杖の姿。目は閉じているものの胸が上下し、微かな呼吸音が聞こえる。

 

「はぁ……はぁ……」

 

ラウンダーの変身が解けた。肩で息をした卓人が崩れ落ちる。

 

「聖葉!」

 

丁度登ってきた桃が壁を支えに寄ってくる。それを見た卓人はふっと笑みを作った。

 

「大丈夫?」

「あぁ。なんとかね」

 

大の字に寝転がり卓人は塔を見上げる。

 

「後は任せたよ、燈哉」

 

 

 

 

 

最上階での戦いは熾烈を増していた。

 

<ドウジキリヤスツナ!>

<鏡収!!>

<反鏡!!>

 

ヤタノカガミから暴風を、クサナギから斬撃を飛ばす神器。しかしその全てがレーヴァテインによって阻まれる。

 

「くそっ……」

 

仮面の奥で顔を険しくしながら神器が悪態をついた。ここまで彼の攻撃はまったくと言っていい程通用していない。目の前に立つアスクに傷一つ付けられないでいた。

遠距離では当たらない。しかし近づこうにも全てを無に帰すレーヴァテインがあまりにも厄介だ。下手な動きでは致命傷になりかねない。

 

「攻撃は終わり? なら今度はこっちから行こう」

 

アスクが駆け出した。鍔迫り合いすら出来ない以上距離を取るしかない。斬撃を放ちながら神器が素早く飛び退く。だが、斬撃を切り捨てながらアスクが加速。両者の距離が縮まっていく。

 

「はっ!」

 

遂にアスクが神器を捉えた。レーヴァテインが振るわれる。 

 

「ぐっ!?」

 

身をかがめ神器が避わす。その頭にアスクが手を置き、素早く背後に回り込んだ。そのまま背中を踏みつけ、神器が床に組み伏せられる。

 

(しまった!?)

 

アスクがレーヴァテインを逆手持ちし、神器の背中に向けて刃を振り上げた。もはやこれまで。神器がそう思った時、アスクが不意に手を止めた。

 

「……」

 

武器を下ろし立ち上がると神器を解放する。

 

「どういうつもりだ……?」

 

訝しむ神器に対しアスクが人差し指を上に向ける。

 

「時間切れだよ。君は時間をかけすぎた」

 

塔が揺れ、天井が開く。見上げるとそこにはエネルギー状の巨大な剣に禍々しい光が宿っている。 

 

「まさか!?」

「そのまさかさ。それじゃあ、切り捨てるよ。この世界ごと」

 

アスクがレーヴァテインを振り下ろす。連動するように巨大な剣も勢い良く地面へ向けて動き出した。

 

「させるかぁ!!」

 

翼を広げ、神器が飛び出した。

 

<三種の神器!>

<鏡収!!>

<反鏡!!>

 

ヤタノカガミからエネルギー状のバリアが展開。振り下ろされた剣を受け止める。凄まじい衝撃が神器を襲う。

 

「うおぉぉぉぉ!!!」

 

痛みを堪え、神器が吠える。剣の勢いはさらに増していく。神器も一歩も譲らない。力を込めると呼応するように展開されたバリアがより輝く。二つの力のぶつかり合いが目が眩むほどの強い閃光を生んだ。

そして、世界は光に包まれた。




次回、最終節。
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