仮面ライダー神器   作:puls9

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第六節 夜行衆来たりて、集うは三剣士

福津市での戦いから数日後。街を散策しながら、燈哉と紗耶はその時の出来事を卓人に語っていた。

 

「へぇ。そんな事が」

 

感心したように卓人は相槌をうつ。

 

「新たな仮面ライダーか……。ぜひ、僕も会ってみたいね」

 

卓人が笑みを浮かべる。その目には好奇心に満ちていた。

 

「まぁ、レジェスターと戦ってれば、そのうち会えるかもな」

 

燈哉は頭の後ろで手を組みながら言う。

 

「それにしても……そんな事件があったなら連絡してくれれば良かったのに」

 

卓人が苦笑する。

 

「えっと……。ほら、聖葉さん、前に怪我してたから。あんまり心配かけちゃいけないと思って」

 

そう言って、紗耶は申し訳なさそうな表情を浮かべる。場に気まずい空気が流れた。

 

「あーっ! そうだった」

 

見かねた燈哉が場の雰囲気を変えるべく大声を上げる。

 

「聖葉に聞きたい事があったんだ」

 

燈哉はポケットからムラマサアームズトロフィーとジュズマルアームズトロフィーを取り出す。

 

「前々から気になってたんだけどさ。何で台トロフィーによって座の色が違うんだ?」

 

ムラマサとジュズマル。二つの台座の色はそれぞれブロンズとシルバー。両者とも異なっている。

 

「ああ。それは恐らくだけど、台座の色によってランク分けされてるんだと思う」

 

卓人がトロフィーを見つめながら答える。

 

「ランク? どういう意味だよ」

 

燈哉が首を傾げ、頭にハテナを浮かべる。

 

「多分、メダルみたいにブロンズだとノーマルでシルバーになるとレアリティが上がるとか。その辺りじゃないかな」

「ん? ってことは、ゴールドもあったりするのか?」

 

燈哉が尋ねる。

 

「うん。あると思うよ。……僕はまだお目にかかった事が無いけど」

 

そう言いながら、卓人は少し残念そうな顔をした。

その時、グゥ〜と情けない音が鳴る。紗耶と卓人が向けた視線の先には、恥ずかしげもなく腹をさすっている燈哉の姿があった。

 

「……まぁ、そろそろお昼時だからね」

 

卓人が苦笑いをしながら左腕に着けている腕時計を見る。時計の針は正午を回っていた。確かに腹が空く頃だろう。

 

「あっ! あそこにお店があるよ」

 

紗耶が指を差す。そこには小さなカフェレストランがあった。店の前には立て看板が置いてあり、<キッチン大洗>と書かれている。

 

「いい感じのお店だね」

「大洗……最近どっかで聞いたような」

 

三人は店内へと入っていく。ドアが開くのと連動して呼び鈴が店内に響く。

 

「いらっしゃ……」

 

ウェイトレスであろう少女がふり返り、三人を見て硬直する。燈哉と紗耶もウェイトレスを見て驚きの声を上げた。

 

「「美鶴城!?/美鶴城さん!?」」

 

そう。そこにいたのは桃だった。

 

 

 

 

 

「退屈だ」

 

門出市の繁華街にある雑居ビルの屋上で、黄色い着物を着崩した童髪の少年が行き交う人々を見下ろしている。

 

「ああ~、退屈だ! 退屈だ!!」

 

少年は眉間にシワを寄せて不満げに呟くと、手に持った鉄杖の石突きでコンクリートを破壊する。

 

「あのあの、茨木殿。いたずらに騒ぎを起こしては龍の逆鱗に触れてしまいますよ」

 

少年――茨木童子に声をかけたのは、白い着物を着た少女だった。

 

「そーだよー。面倒事はごめんだよー」

 

少女の隣では、緑色の着物の少年が寝そべりながらあくびをしてている。

 

「ええい、龍がなんだ! やつが怖くて夜行衆がやってられるか!」 

 

茨木童子は再び石突きでコンクリートを破壊しながら叫ぶ。

 

「ハッハッハ! わかるぞ、茨木! 俺も暴れたくて我慢ならん!」

 

大きな声で同意するのは青い着物を着た大男だった。大男はあぐらをかきながら、しきりに頷いている。

 

「おぉ! わかるか、熊よ!」

「もちろんだとも、茨木!」

 

二人は快活な笑みを浮かべる。

 

「でもさー、勝手に暴れたら、棟梁の立場が危うくならない?」

 

肌色の着物の少年が床に寝そべりながら言った。

 

「むむ、それは……」

 

茨木童子が口ごもる。

 

「ならば手は一つのみ」

 

4体の視線が集まる。発言したのは赤い着物を着た男だった。男は、 中指で眼鏡を直し、口を開く。

 

「仮面ライダーを狙うのだ。」

「仮面ライダーを?」

 

すかさず茨木童子が聞き返す。

 

「そうだ、仮面ライダーと戦うぶんには逆鱗に触れる事はあるまい。さらに、龍達が手を焼いている仮面ライダーを倒したとなると、奴らの面子を潰す事も出来る」

 

赤い着物の男は二本の指を立て、茨木童子達にピースサインを作る。

 

「これこそ、一石二鳥と言うやつだ」

「クク……クックック! アッハッハッハッハ!!」

 

それを聞き、茨木童子は邪悪な笑みを浮かべ高らかに笑う。おもむろに立ち上げると4体を見回す。

 

「方針は決まった! 異論のある者はいるか?」

「いえいえ、ありません」

「同じく!」

「提案者に異論なし」

「そもそも、拒否権なくなーい」

 

4体は賛同すると、茨木童子の横に並び立つ。瞬間、5体の男女は異形の怪物へと、その姿を変貌させた。それぞれ額から角を生やしたオーガレジェスターの姿へと。

 

「ゆくぞ、者共! 仮面ライダーを血祭りに上げに!!」

 

茨木童子達はビルの屋上から飛び出し、眼下の街並みへと降下して行った。

 

 

 

 

 

「にしても、世間って意外と狭いんだなぁ」

 

キッチン大洗の店内にて。桃に案内され、席についた燈哉がそうボヤく。

 

「そうだね。私もびっくりしちゃった」

 

燈哉の隣に座った紗耶が小さく微笑みながら同意する。

 

「やあやあ、いらっしゃい。この前は助かったよ」

 

そう言って、キッチンから姿を現したのは成都だった。成都は、白いシャツに黒いエプロンを着けた格好でいる。

 

「まぁ、なんにせよ冷やかしに来た訳じゃなくて安心したわ」

 

そこへ、桃がお盆を手にやってくる。お盆の上にはお冷が三つ。桃はそれぞれの前に置くと、成都の隣に並ぶ。そんな桃の前に手が差し出された。

 

「はじめまして。僕は聖葉卓人。君の事は立脇君達から聞いてるよ。よろしくね」

「ええ、よろしく」

 

桃はその手を取る事なく、腕を組み、目を細める。どことなく卓人を見定めようとしているように見える。

 

「ねぇ。あなた、狐のレジェスター見なかった?」

「狐のレジェスター? 残念だけど、僕はお目にかかった事はないね」

 

卓人が申し訳なさそうに首を横に振る。

 

「そう。分かったわ、ありがとう」

 

桃は小さく礼を言うと、そのままキッチンの奥へと戻っていった。

 

「ごめんね。うちの桃ちゃんが。悪い子じゃないんだけどね……」

「うちの?」

 

苦笑いを浮かべて謝る成都に対し、燈哉は不思議そうな顔をして聞き返す。

 

「あ、変な意味じゃないよ! 僕と桃ちゃんは従兄弟同士なんだ」

「へぇ。そうだったんですか」

 

意外な事実を知り、燈哉は感嘆の声を漏らす。

 

「うん。今は一緒に暮らしてるんだ。……色々あってね」

 

成都の表情に陰りが見える。だが、それも一瞬の事だ。すぐに笑顔に戻ると、話題を変えるように燈哉達に話しかける。

 

「さて。ご注文はいかがしますか、お客様? 当店の料理はどれも絶品ですよ」

 

そう言うと成都は笑顔で三人の顔を見回す。燈哉達はメニューに手を伸ばそうとした、その時。

店の外から悲鳴が上がる。

 

「「「!?」」」

 

悲鳴が聞こえたのだろう、キッチンの奥から桃が飛び出してきた。

燈哉と卓人もまた勢い良く立ち上がる。

 

「紗耶達はここで待っててくれ」

 

そう言うと、燈哉と卓人、そして桃の三人が同時に店の外へと駆け出していった。

 

 

 

 

 

 

外に出ると、逃げ惑う人々でごった返していた。

 

「きゃああああっ!!」

 

再び悲鳴が上がる。声のした方へ向かうと、五体のオーガレジェスターが街を破壊しながら暴れまわっていた。

 

「レジェスター!?」

「何でこんな場所に!?」

 

燈哉達がオーガレジェスター達の前に立ちはだかる。それを見た五体の内、真ん中にいる黄色のオーガレジェスターが不敵に口を開く。

 

「来たか、仮面ライダー共」

 

その言葉に燈哉達は警戒を強める。まるでこちらを待っていたかの様な物言いだ。

 

「お前らは一体……?」

 

燈哉の問い掛けに対し、黄色のオーガレジェスターは待ってましたとばかりに声を張り上げる。

 

「フハハハハ!聞いて慄け、見て恐れよ!俺様の名はオーガレジェスター・茨木童子」

 

名乗ると同時に鉄杖を振り回し、ポーズを取る。

 

「同じく、オーガレジェスター・熊童子!」

 

青色のオーガレジェスターが茨木童子の隣に並び、メリケンサックを着けた拳でファイティングポーズを決める。

 

「ククク。吾輩こそはオーガレジェスター・金熊童子」

 

赤色のオーガレジェスターがさらにその隣に立ち、自慢の金棒を肩に担ぐ。

 

「あのあの、私はオーガレジェスター・虎熊童子です」

 

白色のオーガレジェスターがのこぎりを引き摺りながら、茨木童子達に続く。

 

「オーガレジェスター・星熊童子。よろしくー」

 

そして最後に緑色のオーガレジェスターがやる気無さ気に、名乗りを上げる。そして、列に並ぶと手に持った薙刀の柄を床に軽く叩く。

 

「我ら夜行衆、鬼大五将!」

 

決め台詞を言い終えると、茨木童子達は一斉に決めポーズを取った。心なしか背後に、爆発が見えた気がする。

 

「……」

 

予想外の展開に燈哉達は困惑していた。しかし、すぐに気を取り直し、燈哉が口を開く。

 

「何で街を襲う。何が目的だ!」

 

その問いに対して茨木童子は笑みを浮かべる。それは愉悦に満ちたものだった。

 

「ふむ。強いて言うなら、ただ暇だっただけの事よ」

「なっ!?」

 

燈哉はそのあまりにも身勝手な理由に思わず声を上げる。そんな反応を見て、茨木童子はよりいっそう不敵な態度を取る。

 

「という訳だ。貴様らには俺様達の暇つぶしに付き合ってもらうぞ」

 

そう言って茨木童子は錫杖を構える。それに合わせて他の四体も戦闘態勢に入った。

 

「ふざけんな。そんな理由で……」

 

燈哉は怒りに体を震わせる。歯を食いしばり、茨木童子を睨みつけた。燈哉の後ろで卓人と桃も目を鋭くさせている。

 

「お前達は絶対に倒す!」

 

燈哉達はアームズトロフィーを取り出し、起動させる。

 

<ムラマサ!>

‹カリバーン!›

‹レイエンキョ!›

 

「「「変身!!」」」

<抜刀!決闘!激闘!妖刀の戦士!!>

<夜明けの王!引き抜け、選定の剣!!>

<月夜の青龍!!氷!氷!氷!>

 

三人の前に日本刀と西洋剣、青龍偃月刀が出現。そこから現れた鎧を纏う。

 

<ムラマサブレード!>

<カリバーンソード!>

<レイエンキョフリーズ!>

 

 

それぞれ仮面ライダーへと変身を遂げる。

 

「行くぞ!」

 

神器となった燈哉の掛け声を合図に両者が同時に駆け出す。まず最初に動いたのは茨木童子達の方であった。

 

「ふんぬぅッ!!」

 

茨木童子が力任せに鉄杖を振り下ろす。燈哉はムラマサで受け止めるも、凄まじい力の前に吹っ飛ばされない様に持ち堪えるのがやっとだ。

 

「ククク、隙きありだ」

 

そこにすかさず金熊童子の金棒が振るわれる。咄嵯に反応した燈哉だったが完全に避ける事は出来ず、左腕に一撃を食らう。

 

「ぐわぁぁぁ!!」

 

燈哉が吹っ飛び、地面を転がる。それを見た金熊童子は金棒を持ち上げながら再び攻撃を仕掛けようと向かってくる。

 

「ハァッ!」

 

だがその時、横からラウンダーが割って入る。カリバーンで金熊童子の攻撃をいなすと、そのまま腹部を斬りつける。

 

「グオォッ!」

 

痛みに耐えかねて、金熊童子が後ろへ下がる。

 

「大丈夫かい?」

 

ラウンダーが神器の方を振り返る。そこに天華の声が届く。

 

「聖葉、危ない!」

「油断大敵ー」

 

足を払う様に星熊童子の薙刀が振られる。それを跳躍して回避。だが、空中では熊童子が待ち構えていた。

 

「貰ったぁぁぁ!!」

 

丸太の様な太い腕から放たれたメリケンサックの拳がラウンダーの懐を捉える。

 

「ぐっ!」

 

吹き飛んだラウンダーは地面に勢い良く叩きつけられ、砂埃が上がった。そこへ茨木童子が追撃を仕掛ける。

錫杖による打撃がラウンダーを襲う。 

 

「させない!」

 

天華がラウンダーの前に立ち、茨木童子の攻撃を防ぐ。

 

「あのあの、私の事を忘れないでくださいね」

 

天華の頭上から声が聞こえた。見ると、虎熊童子がのこぎりを振り下ろしながら迫っていた。天華が気付いた時にはもう遅い。

 

「あ゛あ゛あ゛!!」

 

鋭いのこぎりの刃が天華の装甲を削り、火花を散らす。よろよろと後退し、片膝を着く。

 

「くそ……こいつら強い……」

 

神器が呟く。茨木童子達の攻撃はどれも重く、そして速い。だがそれ以上に、コンビネーションが上手かった。

一体が攻撃すると、他の一体が追撃に入る。単純だが、最も効果的な戦法を取ってくる。

 

「どうする? こっちは連携なんて殆ど出来ないし」

「確かにね。多少は連携出来るかもしれないけど練度は向こうが上。分が悪いと言わざるを得ないね」

 

卓人が冷静に分析する。その言葉を聞いて燈哉は悔しげに唇を噛む。

 

「なら、連携を取らせなければいい」

 

天華がレイエンキョを地面に突き刺す。瞬間、地響きと共に氷の壁がせり上がり、一直線に茨木童子達に迫る。

 

「ほう。考えたな」

 

茨木童子達は左右に散開し、壁を避ける。

 

「かかった」

 

その時、壁が曲がった。茨木童子を残し、四体が閉じ込められる。

 

「分断成功。……行くよ!」

 

天華の声を皮切りに神器達が茨木童子に向かっていく。まず最初に仕掛けたのはラウンダーだった。

 

「はぁぁ!!」

 

雄叫びを上げながらカリバーンで斬りかかる。茨木童子はそれを錫杖で防ぐ。金属音が鳴り響く中、ラウンダーの背後から天華が飛び出す。

天華はレイエンキョを茨木童子に向けて振り下ろす。

 

「チィッ!」

 

だが、茨木童子は瞬時に反応し、バックステップで距離を取る。

 

「いい攻撃だったな。だが、」

 

茨木童子が不敵に笑う。その傍らで氷の壁が轟音を立てて砕け散る。

 

「時間をかけ過ぎたな!」

 

氷の中から四体の鬼が現れる。多少の傷はあるものの、全員健在だ。

 

「いいや」

 

それを見て尚、ラウンダーは動じる事無く冷静に言う。

 

「狙い通りよ」

 

仮面の奥で笑みを浮かべ、天華がその言葉を引き継ぐ

 

<オニマルクニツナ!>

 

氷の壁を脱出した四体の前に人影があった。神器がトロフィーを手に立っていた。

 

<筆頭!必勝!必殺!火剣の戦士!!>

<オニマルフレア!>

 

姿を変え、神器がたオニマルを構える。

 

<オニマルクニツナ!>

<必殺神技!>

「行くぜぇぇぇ!」

 

炎を纏う一閃が四体目掛けて放たれる。四体は各々の武器で受け止める。

だが、その瞬間炎が爆ぜ、威力が上がる。

 

「!?」

 

炎の斬撃が四体を徐々に押してゆく。

 

「これがオニマルの力だ!」

 

神器の声に呼応するように炎の勢いがさらに増す。

伝承にて鬼を切ったとされる鬼丸国綱の力がその真価を発揮したのだ。

そして遂に鬼達の武器を溶かし、四体が競り負ける。

 

「「「「ギャァァァ!!」」」」

 

悲鳴を上げて吹っ飛び、四体は地面に叩きつけられる。

 

「何だと!?」

 

茨木童子が驚愕のあまり、思わず手を止める。ラウンダー達はその隙きを見逃さなかった。

 

「今だ!!」

「ええ!」

 

ラウンダーの掛け声に応え、天華が地を蹴って跳躍。そして、両者同時に武器を振り下ろす。強烈な一撃が茨木童子の胴を捉えた。

 

「ぐわぁっ!」

 

茨木童子が地面を転がり、四体の元へ。

 

「これで終わりだ!」

 

神器達が止めを指すべく、茨木童子達へと迫る。

 

「ほう。楽しそうであるな」

 

瞬間、背筋に悪寒が走った。

背後より神器達の間を通り抜け、翡翠の和服を着た美丈夫が茨木童子達の元へと歩いていく。

 

「と……ととと、棟梁!」

 

美丈夫の姿を確認した茨木童子が青い顔で慌てる。

 

「我を差し置いて随分と楽しそうであるな、茨木?」

 

棟梁と呼ばれた美丈夫は笑みを浮かべながら茨木童子に尋ねる。

 

「いや……これは……その……」

 

茨木童子の青い顔がさらに蒼白に変わってゆく。その慌てようを見て、美丈夫は面白そうに口角を上げた。

 

「まあよい。これよりは我が遊ばせてもらうゆえ。お前達は大人しくしておれ」

 

茨木童子達に言い残し、神器達の方を向く。

 

「さあて……仮面ライダー達よ。お初に御目に掛かる。

我の名は酒呑童子。夜行衆を統べる鬼の王よ」

 

酒呑童子の中から金色の光を放つトロフィーが姿を現す。

 

「あれは!?」

 

それを見て、ラウンダーが驚きの声を上げる。

それは、ゴールドの台座の上に鬼の生首を模した彫像が着いたレジェスタートロフィーだった。

 

「金色の……トロフィー……」

<オーガ・ザ・酒呑童子>

 

酒呑童子はトロフィーを手に取ると鬼の生首を押し込む。そして、自らの胸に突き立てる。すると、トロフィーは体に取り込まれ、今度は全身から黄金の光を放ちながら、その姿を変異させる。

 

翡翠の肉体。額に生えた二本の長い角。瞳孔のない赤い瞳。その手には自らの背丈と同じ位の大剣が握られている。纏うオーラは明らかに今までのレジェスターとは格が違う。

 

「では、いざ尋常に勝負とゆこうかの」

 

酒呑童子が剣先を向け、ゆっくりと歩き出したのだった。

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