「・・・兄さん」
少年、ミコトは朝になり目を覚まし一言呟くと心配そうに見ていた犬さんに気づく。
「どうした?犬さん」
「ミコト、大丈夫か?寝てるとき魘されてたぞ」
「大丈夫だよ、ただちょっと――」
「あの時の、か?」
「・・・うん」
俺が見た夢は、地面は大きく抉れ、その中心で大量の血を流し息絶えてる兄の姿。そして少し離れた家らしき残骸がある場所にはバラバラになった父の姿、その少し離れた場所には胴体真っ二つになった母の姿だ。
これらをやったのは今も忘れていない。俺の幸せを一瞬で壊したあの鬼。服装は紫色の上着に黒い袴、長い黒髪を一つに束ねている、まるで侍みたいな奴。そして額や首元から頰にかけて炎のような痣があり、何よりその顔には左右に三つづつ計六つの目を持ち右には壱、左には上弦の字が真ん中の目に刻まれた、書かれた?鬼の姿。名は――。
「黒死牟」
「?」
「彼奴は絶対に俺が殺す」
「・・・ミコト」
「ま!その前にこの子だな」
ミコトの横には昨日立ち寄った村で会った女の子、小奈津が気持ちよさそうに眠っていた。
~昨夜~
「おいミコト、この女の子の心配をするのが先じゃないか?」
「はい、そうでした」
ミコトは今、鬼に連れ去られそうになっていた女の子の心配より魚が炭になったことを先に気にしたことを犬さんにこっぴどく叱られていた
「う、う~ん」
「あ、起きたみたい」
「・・・ひ!ば、化け物!!」
目を覚ますと鬼に襲われた事を思い出し怯えだす。
「小奈津ちゃん。俺だよ昼に会った旅人のミコトおに「ミコトお姉ちゃん?」・・・男だからお兄ちゃんなんだけど・・・」
「・・・ミコト、お姉ちゃん?」
「そ、そうだよ、ミコト、おね、お姉ちゃんだよ」
「ぷふ」
犬さん、いま笑ったな?でも今は。
「う、うえーん!怖かったよぉ!お姉ちゃーん!!」
「うんうん。怖かったね、もう大丈夫だよ」
「う、うん!ううっうグスン」
「よしよし。今日はもう暗いから明日になったらお父さんとお母さんの所に戻ろう」
「・・・うん」
「よし。じゃあ今夜は側に居てあげるからお眠り」
「うん・・・スー」
「お休み小奈津ちゃん」
小奈津は助けられた事に気づき、また安心して夜を過ごせると分かると安心して直ぐにまた眠りに就いてしまう。
「安心してまた眠ったか」
「だねー」
「じゃあ俺達も寝るか」
「そうだな。お休み犬さん」
「ああ、お休みミコト」
~現在~
「さてそれじゃあ小奈津ちゃんもいるし朝ご飯作るか」
「昨日の残った魚と干し肉か」
「米もあるよ。それで、犬さんちょっとちょっと」
「?」
犬さんは手招きをするミコトの方に行くとそのまま小奈津ちゃんを預けられる。
「ミコト、俺を布団代わりにするか?普通?」
「昨日のお姉ちゃんのくだりで、笑ってたろ?」
「な、ナンノコトカナー?」
「その罰です」
「おい!」
「し!小奈津ちゃん起きるでしょ」
「うっう」
さて朝ご飯は、米はそのまま炊いて干し肉は水に漬けてダシを作るか。そして魚を入れてのお肉味の魚の味噌汁・・・悪く無いかも?
♢
「う、うう。良い匂い」
「起きたね。おはよう小奈津ちゃん」
「あ、おはよう、お姉ちゃん」
「おはよ(だから男なんだよな~)」」
「良い匂いだねお姉ちゃん」
「朝ご飯出来てるよ」
「はーい。行こワンちゃん」
「ワン!」
ご飯を食べた後は小奈津ちゃんを村まで連れて行く。ご飯食べてからは犬さんのお陰で元気になって良かったよ。
♢
「さて村に着いたな・・・ん?」
村に着くなり、村人達が慌ただしく動いてることに気づき何かあったのか訪ねようとしたが、村の人の1人がミコト達に気づく。
「あ!貴方は昨日の旅人さん!って!小奈津ちゃん!?おーい皆!小奈津ちゃんがいたぞぉー!!」
「小奈津!」
「お母さん!!」
無事に小奈津ちゃんを両親とは行かないが母親の元に送り届けれた。が、なんか小奈津ちゃんの家に招かれたよ?父親もお礼を言いたいかららしい。
「娘を助けて頂き」
「私達夫婦」
「「心より感謝を」」
そして俺は今、小奈津ちゃんの家の客間?にいるが・・・この家もの凄い屋敷なんだが。小奈津ちゃんの父親はこの大きな村の村長らしい。やばい、俺最初は小奈津の母親を村の住人だと思ってた、だって村人と同じ服で土で汚れて野菜の入ったかごを持ってたもん仕方無いよね?
「どうかなさりましたか?まさか!私たちに何かご無礼が!?」
「いえ、ただもの凄い屋敷なので・・・その~、俺の場違い感が凄いと」
「そんな事は御座いません。大和様」
「様など辞めてください。俺は旅人、ただのよそ者ですよ」
「いえいえ!!滅相も御座いません。大和様は私達の命より大事な娘を救ってくださいました。なんとお礼したら良いのやら、感謝しても仕切れません」
両親はまたもや額を畳に着け謝礼を述べる。だが、そおゆうのにミコトは慣れてないから慌て出す。
「いや本当にそんなにお礼を言わなくても良いですよ」
「そうは参りません!大和様が居なければ娘は私達の元に帰ってくるどころか遺体すら・・・」
「まさか本当に叔母から聞かされていた人喰い鬼が存在したなど、娘から聞かなければ存在など信じずに子供をおとなしくさせる為の作り話だとばかりに」
「そうね貴方。私も父や母から聞かされたときは同じ事を思ったわ」
二人は子供の頃に言われていた事をとゃんと聞かず、信じなかったことを後悔していたが、二人はあることを思い出す。
「確か鬼は鬼狩り様が倒してくださるとも聞いたことが・・・なら!大和様も鬼狩り様ですか?」
「いえ、貴方達が聞いた鬼狩りは鬼殺隊の事でしょう」
「鬼殺隊?」
「そうです。そして俺は鬼狩りにして
「そう、なんですね?」
「はい。あ、そうだ」
「なんでしょう?」
「これからは娘さんに藤の花の入ったお守り袋をあげて下さい」
「?」
「鬼は藤の花を嫌い苦手とします。なので藤の花のお守りは小奈津ちゃんを守ってくれましょう」
「なるほど。・・・いや、いっそのことこの村の周りに藤の花のを飾るか?」
「それは良いと思いますは貴方」
この方達の感覚おかしくない?この村結構大きいよ?てかさっきから村村言ってるけど大きさ的に町って感じなのよ。ここからそこそこ行った距離に浅草あるし。
「お父さん、お母さん!大和お姉ちゃん!昼ご飯出来たよ!」
小奈津が客間に入り昼ご飯が出来たと知らせに来る。その証拠に襖の近くには女中が立って居た。
「どうでしょう大和様、いっそのこと今日は此所に泊まりませんか?」
「・・・そーですね。お言葉に甘えさせて頂きます」
「はい」
「あ、あと一つ誤解の訂正を。俺はこんな見た目でこんな声で小奈津ちゃんにミコトお姉ちゃんと呼ばれてますがれっきとした男ですから」
「「・・・え」」
♢
~翌日~
「一晩お世話になりました」
「いえいえ。大和様ならいつでも何日でも居てくれても構いません」
あの後結局小奈津ちゃんの家に一晩泊めて貰った。ちゃんと小奈津ちゃんには俺が男と理解して貰った、だって夜に一緒にお風呂入ろって言われたもん。そして俺は今この村を出ようと思ってたんだがまさか村の人全員で送り出して下さるとは思わなかった。
「なんだか恐縮ですね。流石に村人全員でとは」
「いえいえ、当然ですよ!」
村長、いや正確には町長か?まあそんな人の娘を助けただけでこれだからよほど人々に好かれてんだろうなこの家族は。
「確かお次は浅草に向かうんですよね?」
「はい」
「そうですか。またいいつでも来て下さい。歓迎いたします」
「ありがとう御座います。それでは」
ミコトはお辞儀をすると旅に出発した。見送っていた人も手を振り小奈津は大きく手を振って、また来てねと言って見送った。
♢
「良いところだったな」
「そうだね~」
「でも驚いた。お前がちゃんとした言葉を使えるなんてな」
「犬さんヒドイ!俺もやるときはやるよ!」
「ははは」
二人(片方は犬だけど)は楽しそうに喋りながら浅草を目指す。そしてしばらくして夜には浅草に着いた。
「ようやく付いた」
「今回は速かったな」
「だね~」
浅草に入り歩きながら喋っているとふとあることに気ずいた犬さんは気になったことをミコトに質問をする
「なあミコト、浅草に鬼が居るなんて情報有ったか?」
「?無いよ。来たのはただの観光」
「・・・観光」
「そう観光」
「観光かい!!」
「なんだよいきなり」
「いや、まあ観光は正しいのかもしれないが今までの日々が鬼狩りの日々だったからな」
「仕方ないね~それは・・・・・・うわ~綺麗だ」
「は?」
犬さんはいきなりミコトが綺麗だと言った事に疑問の声を上げる。何故ならミコトが見ているのは
「お、おいミコト!何言ってやがる!大丈夫か?」
「なにって、犬さんこそ何言ってんだよ」
変な犬さん。この辺は見慣れた風景なのにここだけレンガ?の壁で作られて、ようふうって奴かな?でも綺麗な場所。あの建物は薬屋?違うな病院か?なら丁度いいや、薬品や包帯が無くなったから帰るか聞きに行こうかな。
「行くよ犬さん」
「は?行くって何いってぇぇぇぇぇえええええ!?!?!?!?!?みと、みこみとっとえええええええ!?!?!?」
「何言ってんの?行くよ犬さん早く」
「・・・・・・うそやん」
犬さんは驚愕するが無理は無い。ミコトは普通に何かが見えてるみたいだが、犬さんはミコトがいきなり壁の中に入って消えた様にしか見えないのだから開いた口が塞がらなくなっていた。が、ミコトを信じて進むとそこは壁が無くなり広い場所に一つの建物が建っていた。
「どったの?犬さん」
「・・・あ、ああ」
ミコトが半分の距離まで行くと、建物の中から1人少年が出てくる。
「止まれ!」
「あ、スミマセン。俺は「黙れ鬼狩り!!」は?お、にがり?」
「珠世様に危害を加える者は誰だろうと許さん!!」
ッ!今気づいたが此奴、鬼だ!なんで気づかなかった!?そう言う血鬼術か?まあとりあえず。
「鬼なら殺す!」
「駆除する!」
少年の鬼は目のような模様の描かれた紙を額に付けると走り出す。が、特に何も起きる事無くミコトは刀を振るう。
(此奴は俺がどこに居るのか分かるのか!?)
「死ね」
――ザシュ!
「ッ!バカな!?」
ミコトは振り下ろした刀を避けられるが即座に刃を返し横なぎを放つ。それを少年の鬼は寸での所で首を横向きにして首を切られるのでは無く、首から顔半分を縦に切られるだけに止める。そしてすぐさま後ろに飛び後退する。
(俺が見えてるのか?しかも此奴のあの目は!)
ミコトの右目に桃の印を宿した眼、桃眼になる。そして刀を鞘に戻し抜刀の構えをとり目を閉じる。
「
目を開き一気に駆け出す。この時、少年の鬼が見たのは大きな一直線の川だった。
そしてミコトの刃が少年の鬼の首を斬ろうとした瞬間に女性の声が止めに入る。
「お待ち下さい!」
「あ?」
流石にミコトは動きを止め声の方を見ると花柄の着物を着た綺麗な女性が立っていた。
「誰だお前?いや、お前も鬼か」
「わたくしの名前は珠世と申します。そしてその子、愈史朗を殺すのを待って下さい」
「た、珠世様!?」
珠世と名乗る女性は鬼とは思えない綺麗な言葉使いでミコトに頭を下げる。
「待って何する?」
その答えに珠世は頭を上げ、口を開く。
「お話をしましょう。鬼狩りにして鬼殺隊に非ずの、桃眼の鬼狩り・・・・・・大和様」
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出来れば桃並みの甘さで!