「それでは、お世話になりました」
「いえ、此方こそ良い経験が出来ました」
「それは良かった」
「でもお体はお大事に」
「あはは」
「おい、ミコト」
「どった?愈史朗」
「・・・死ぬなよ」
「・・・愈史朗が俺の心配だ、と!?明日は雨かぁ!」
「!違う!珠世様の為に働いてもらわないと困るだけだ!」
「そうだな、じゃあな」
「フン!」
「ばいばい」
「それでは、ミコトさん犬さん。どうかご武運を」
「ありがとう御座います」
「珠世、愈史朗お前らも気を付けろよ」
「はい」
「言われなくとも」
陽光があるためお見送りは建物の玄関までだが、ミコトと犬さんは頭を下げ珠世の建物を出る。
珠世さん達とは良い関係になれそうだ。だって、2年間の旅の話を楽しそうに聞いてくれたよ、いつも無惨から逃げ隠れしていたから外のそういう話は凄い興味が有ったみたい。何を話したかと言うと、色々だよ!・・・適当だねうん。
まず北の国とかでアイヌ民族?って人達と仲良くなって子供達と雪合戦したり、鬼と戦ったり、南の国で遊んで海で泳いだり、鬼と戦ったり、富士山と呼ばれる山に登って死にかけながら鬼と戦ったり、藤の花が綺麗に咲き誇る山に入ると鬼の巣とも思える場所で大量の鬼と戦ったり・・・・・・・・・・・・。
「・・・あれ?俺の旅の話って・・・鬼と戦ってばっかりじゃね!?」
「何言ってんだ?ミコト」
「いや、俺が珠世さん達にした話って鬼と戦った話ばっかじゃない?」
「鬼との戦闘以外だと、アイヌの子達と雪合戦したり海で泳いだり富士山登って死にかけたり藤の花が綺麗なとこ言ったりとかだろ?」
うわ~。犬さん俺の考えてたこと全部分かってるじゃん。これがいわゆる家族愛?・・・はず//
「お前今はずいこと考えたろ」
「言わないで」カー//
手で自分の顔を押さえているがミコトは耳まで真っ赤になっていた。
「それでミコトよ~。鬼と協力関係になったんだからそろそろ、鬼殺隊とも手を組むか?」
「それは、まだ勘弁かな~」
「なんで?」
「だって鬼殺隊みたいな大きい組織って命令は絶対遵守だろ?そしたら鬼狩りしながらのんきな旅が出来ないじぁんか」
「だから何時も隊士を助けても直ぐに別れるのか」
「そだよ~。あ、でもあの隊士の子は大丈夫だったかな?」
「誰のこと?」
「ほらあの、隊服の上に花柄の羽織を着て特徴的な狐の面を付けた女の子」
その説明に犬さんは、う~ん?と少し首を捻り、少ししてから「あ、あれか!」と思い出す。
「いたなそんな子が。確か鬼の攻撃で足を怪我した子か?」
「そうそう、水の呼吸を使ってた子」
「大丈夫だろ」
「ちゃんと歩けてたら良いね~」
「あとあの女性じゃ無いか?」
「誰?」
「虫の羽のような羽織に蝶の髪飾りを付けた女性だよ」
「あ~。氷を使う鬼と戦ってた女性か。確か、重傷だけど死に至るほどの怪我じゃ無いだろ?」
「まあ、お前が割って入ってあの鬼と戦ったお陰だしな」
「あの鬼は強かった・・・って!戦ってないけどね!あの女性を助けることが第一で、割って入って直ぐにあの女性を連れて逃げたもん」
「まあ一緒だろ。忍者の人達に教えて貰った煙幕が使えたな」
「鬼は藤の花が嫌いだから、藤の花も使って作った、鬼から逃げる専用の藤の花の煙幕も良かったよね。あとさあ、彼奴ってぱっとしか見てなかったからあれだけど、上弦の弐じゃ無かった?今更だけど」
「そう言えばそうだな」
「今更思い出したぜ!ははは」
「そこのお嬢ちゃん、ちょっと良いかな?・・・ちょ、ちょっと!!そこの君!」
「ははははい?・・・あ」
ミコトはお嬢ちゃんと言われたことに素で無反応でいた。だが、声を掛けてきた人に肩を掴まれ振り帰ると、それは警官だったことが分かると少し表情が固まる。
「お嬢ちゃん。その腰にぶら下げてるモン、見せて貰って良いかな?」
ヤバイヤバイヤバイ!?警官だ!?刀隠すの忘れてた!!どうしよどうしよどうしよ!
「どうしたのかな?嬢ちゃん?」
どうs・・・嬢ちゃん?・・・あ、これだ!!
「良いですけど一つ良いですか?」
「なんだい?」
「俺この見た目でちゃんとした男です」
「・・・・は?」
「今だ!犬さん走るぞ!!」
「おう!」
「あ!まて!って犬が喋った!?ってあの子、走るの速!?待てぇ!」
ピー!!と警官が走りながら笛を鳴らすが、ミコトと犬さんは既に人混みにまぐれ警官をやり過ごす。が、加勢しに来た警官に見つかりまた走り出す。それはもう、疾きこと風の如くって感じで。
☆
「つ、疲れた~」
警官に追われた後は浅草を出てもダッシュで走り続けた事で警官をまけたが、日は暮れ夜になり、ミコトも犬さんもヘトヘトになっていた。
「お前な~」
「ご、ごめんよ犬さん」
「ちゃんと刀を隠せぇ~い!!馬鹿野郎!!」
「マジごめんって!」
「は~。それでここ何処?」
「・・・あ」
「おい」
「あはは」
――ドン!!
「「!?」」
何か大きな音が響いた事に2人は驚く。そして犬さんがミコトを見ると右目は薄ら光、桃の目になっていた。
「お前って本っ当に鬼を引き寄せるか、鬼の所に行く体質だな!」
「あはは、さあ行ってみよう」
「おうよ!」
犬さんと音のした方にしばらく走ると高台に出た。それで、鬼殺隊の隊士が、1,2,3・・・・・全部で14人と。皆それなりに強そうだけどボロボロで、それに比べてあの鬼はかなりの巨体に筋肉ムキムキ、か。
「ん?う~ん?」
「どうした?」
「あの鬼、下弦かな?」
「どうだろな。参ってみれば分かるじゃん。どうせ行くだろ?」
「ああ、行こう」
ミコトは走り出し、勢いよく高台から飛び出す。
黒髪を後ろで束ねた女の隊士が鬼に刀を向けるが、既にボロボロで立っているだけで限界だった。
「ハアハアハア。まだまだ!」
「お!いいな。そうまだ行けるよな!俺をもっと楽しませろよ人間!」
「柱が!来るまでぇ!耐える!!うああああああああ!!」
「そうだ!!もっと楽しませろぉぉおおお!!」
女の隊士は走り出し鬼は思いっきり拳を振り下ろす。
――パン!パン!パン!
だが突如として上空から手を叩く音がして、2人の動きは止まり上を見る。
「鬼さんこちら♪手の鳴る方へ!
「え!?ひ、人!?」
――ゴロゴロゴロ!
上空からミコトが振って来るのと同時に鬼の前に轟音と共に雷が落ちる。
「なに!?雷の呼吸の使い手?」
ミコトの登場の少し後にボトリと音が鳴る。その正体は鬼の両腕だったが、鬼は直ぐに後ろに下がり両腕を再生させる。
「あなたは!・・・え?だれ?ほんとに・・・」
「お前だれだ!新手の鬼狩り?いや、その目は・・・!そうか、お前が、桃眼の鬼狩りかぁぁああ!!」
鬼の叫び、後ろにいた女隊士は勿論周りに居た隊士達も反応をして、ミコトを見る。
「貴女が桃眼の鬼狩り!?いやそんな事より、逃げて!その鬼は下弦の壱よ!!」
「下弦の壱?」
「そう!俺は下弦の壱、豪鐵!会えて嬉しいぞ、桃目の鬼狩り!俺はもうじき上弦の鬼に入れ替わりの血戦を申し込む!貴様の首をあの御方の手土産にさせて貰う!!」
「・・・いっひ!いっひひひひ!!」
笑う。左人差し指の爪を噛み、次に大きい声で笑う。
「あっははははは!なら」
左足を前に出し、刀を右手で担ぐ。
「鬼さん♪一緒に一緒に♪・・・遊びましょ?」ニヤリ
「いいな!行くぞ!」
豪鐵は駆ける。その速度はさっきまで戦ってた鬼狩り達でさえ目で追うのがやっとの速度なのに対して、ミコトは未だに刀を担いだ体勢のまま重心を下ろして動かない。
(何考えてるのあの人!?もう鬼の拳が直そこに!!)
「
――ゴロゴロゴロゴロ!
一歩踏み出し刀を勢いよく振り下ろす。すると、豪鐵の振り下ろした左腕を縦に切り左胸から右脇腹にかけて袈裟斬りにする。
「がは!」
「う、うそ・・・あの鬼を簡単に切り裂いた!?」
「良いぞ!お前ぇえ!」
即座に傷を回復して回し蹴りを放つ。ミコトは刀の柄で受け止め、後ろに大きく後退するが何事も無かった様に着地する。
「次は本気で行くぞ」
――血鬼術『
豪鐵の体は普通の肌色から赤黒くなり月明かりを少し反射する。
「へ~え」
「ダメよ!その血鬼術は、今の鬼の姿は生半可な攻撃では傷すら入らない!!それどころか刀が折れるは!」
なるほど、他の隊士はこれで皆やられたのか。だから他の隊士も逃げろとか言うのか。でも、これを自信満々で使うとかこの鬼はアホなのか?だってこれは。
「くだらない」
「なに?」
「次はこっちから行くぞ?」
そう言うと、ミコトは刀を鞘に直し腰を落とし抜刀の構えを取る。
(何あの構え?霹靂一閃?でも無い。あの人の呼吸が雷の呼吸ならあれは自分で編み出した型?)
いまのミコトの構えは重心を低くして右足を前に出し左足で体重を支えてる感じだ。
「
浅草で愈史朗に使った技を放つ。
「う、そ」
豪鐵が最後に見たのは、流れる大きな川にいきなり視界が揺らぎ、首が無くなり血が噴き出し川を赤く染める自分の体だった。
「やっぱり弱かった。あ、血の採取~採取~」
「あ、あの!貴女は本当にあの桃眼の鬼狩り様ですか?」
「ん?俺は桃眼の鬼狩りだよ。じゃあな」
「ま、まっ」
「あ、そうそう。あの鬼の遺体は日の光に当てればちゃんと消えるから」
「もしもーし」
「だからな・・・は?・・・蝶?」
何時のまにかミコトの背後に立ち、声をかけたのは、隊服を着た女性で、まるで蝶の翅を思わせる白い羽織を纏っている。極めつけは、身に付けてる髪飾りが、蝶そのものの形だ。
「柱!胡蝶さま!?」
「お前が柱?」
「はい、蟲柱 胡蝶しのぶです」
現れたのは鬼殺隊を支える9人の柱の1人、蟲柱 胡蝶しのぶ だった。
~大正コソコソ噂話?~
豪鐵は、人間だった頃に「素晴らしい提案をしよう。お前も鬼にならないか?」と誘われ鬼になった。最終目標は、鬼に誘ってくれた鬼と永遠に戦い続ける事だった。
感想や評価。よろしければお願いします!出来れば、桃並みの甘さで。