『CHAOS:WOLF+』-深淵と化した人狼遊戯- 作:兎々乃 まりぃ
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『1日目:朝+』
気がつけば、俺は地べたに寝転んでいた。
周りには見たことあるやつ、見たことないやつも混じっていた。
霧が濃く、視界が悪い。そんな中で俺は、一番初めに目覚めたようだった。
スバル 「どこだここ…?また異世界転移でもしたっていうのか?」
俺、『ナツキ・スバル』の声に反応したのか。周りにいるやつの一人が体を起こす。
そいつは俺にとって見覚えのある…というか知り合いみたいなものだ。
他の異世界でも何度か出会った_『サトウ・カズマ』だ。
カズマ 「ん…?お前、スバルか!」
スバル 「お前は確か…カズマだったか。久しぶりだな。」
カズマ 「おう、久しぶり。…ところでここ、どこだよ。」
そう聞かれても困る、と答えた。
そんなことを話していると周りに寝ていた他の人達も目覚め、起き上がる。
俺は何気なく、ジャージのポケットに手を入れる。
スバル 「…何か入ってるな。入れた覚えもないんだが。」
そこに入っていたのは一枚のメモ用紙サイズの紙。
折りたたまれたそれを開くと、そこには日本語でこう書かれていた。
「_気がつけば、見知らぬ場所で目を覚ます。
ここは狼が生き延びているという呪われた村…。
人狼を探し当てなくては。このままでは全滅だ。」
まるで人狼ゲームが始まる前の文言。
鵜呑みには出来ないが、否定も出来ない状況だった。
実際に霧が晴れた後に現れた、山小屋のような建物の数々。
それを周囲の森林ごと取り囲む、残された濃霧。
カズマ 「流石に、本当の事じゃないよな…?」
スバル 「…一回周りのやつに声をかけてみる。真偽はそれからだ。」
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『1日目:昼+』
俺はここに集められたであろう人達に声を掛けた。
魔女にスライムに女神に…エミリアたんもいた。
何がどうしてこうなったかは誰も知らなかった。全員、俺と似たような経緯で、
「気がついたらここにいた」らしい。
俺はメモの内容、そこから考えられる状況を全員に話した。
スバル 「…というわけだ。人狼がどうのっていうのは、憶測にすぎないけどな。」
リムル 「この状況からして、憶測というより殆ど正解かもな。」
明らかに俺より年上の話し方をするスライム…「リムル・テンペスト」は
続けてこう言った。
リムル 「俺のスキルに『智慧之王(ラファエル)』…割と何でも答えてくれる能力があるんだが。こいつに話しかけても反応が返ってこない。ここが人狼ゲームを進めるためだけの空間なら理由としては十分だ。」
「スキル」…そういう世界にいるのか。俺とは文字通り、色々次元が違う。
その話を聞いて、「メイプル」と「キリト」が反応した。
メイプル「うへぇ…やだなぁ、リアル人狼ゲーム!みたいな…。チャットも出来ないし…。」
キリト 「ああ。俺も同じだ。メッセージが機能してない…というより、ゲームの姿のまま現実にいるみたいだ。」
「チャット」、「メッセージ」…この二人はゲームの世界から来たっぽいな。
異世界転移とかしていない日本人に会ったのはいつぶりだろう。
カズマ 「アクア、お前また何かやったか…?」
アクア 「こ、今回は何もやってないわよ!うん!」
ターニャ「そいつのことだ。どうせ何か隠しているんだろう?」
「サトウ・カズマ」、「アクア」に「ターニャ」。この三人は以前、別世界で会った事がある。
アクアのあの慌てよう…何かしら関わっているに違いない。
ベル 「みんな、どうしているんだろう…何か無いといいんだけど…。」
アズサ 「ホントにね。ああ、我が家が恋しい…みんな無事かなぁ。」
「ベル・クラネル」、「アズサ・アイザワ」。
アズサさんは日本からの転生者、ベルに関しては完全にファンタジー世界の出身。
…そういえば、レムたちは今頃どうなっているだろう。
エミリア「…スバル、ボーっとしているみたいだけど、大丈夫?」
スバル 「ありがとうエミリアたん。そうやって心配してくれるだけで、前向きになるってもんよ!」
エミリアたんは相変わらず、天使のように接してくれる。
スバル 「そういうことで、これからどうすればいいか。意見を聞きたい。」
アズサ 「やっぱり、脱出口を探すのが一番じゃないかな。」
メイプル「アズサさんに賛成!早く出れるならそれがいいと思うよ!」
「脱出口を探すか」、という前に
いつの間にか離席していたキリトが口を開く。
キリト 「さっき確認してきた。…あの霧がある限り、脱出は不可能だ。」
カズマ 「どういうことだ?霧に入ったら元の場所にでも立ってるのか?そんなテンプレみたいな_」
キリト 「正解。」
ベル 「…本当なんですか?キリトさん。」
キリトは頷く。
そういうことなら、やるべきことは当然。
ターニャ「…素直に人狼ゲームに付き合えということか?」
リムル 「それしかないな。協力しようものなら、人狼が動くだろう。」
アクア 「マジなの?マジなの!?こ、この中に狼がいるって!食べられちゃうって!」
スバル 「…決まりだな。そしてここは、時間の進み方もおかしいっぽいな。」
俺は空を指さす。夕陽が沈み、夜になろうとしている。
夜。ゲーム通りなら人狼が動く。
リムルが一時的な解散を提案し全員がそれに同意。
俺は出来る限り他の人と合わない森の中へ入っていった。
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『1日目:夜+』
こんな馬鹿げた状況で、人狼ゲームをやれだと?
付き合いきれないと感じた私は、霧の前で脱出するすべを探していた。
いつの間にか胸ポケットに入っていたカード…『村人』と書かれていたそのカードは、
私が何の能力も所持していないことの証明でもあった。
やはり、『存在X』が、私を生きるチェスの駒のように眺め、愉悦に浸る為としか考えられない。
ターニャ「さて、霧に入ると元の位置に戻る、だったか。」
事実を確認しようと霧の中に入るよりも先に、
背後の低木が音を立てる。
ターニャ「…こんなところで、何をしているんだ?」
夜の月明かりすら入らない森の中で、そいつは何も言わずに手を挙げる。
ターニャ「成程。私が、最初の犠牲者というわけか。」
退路は霧の中。元の場所に戻る上、私に武器がないということを考え。
…見出した最善策は、「死体となり、危機を知らせる」ことだった。
薄れゆく意識の中、聞き覚えのある声を聞いた。
それが誰だったかなど考える暇は無かった。ただ、そいつはこんなことを言った。
「ハズレを引いたか」、と。
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『1日目:深夜+』
人数分用意された小屋。
そこで俺は作戦を立てることにした。
_サトウ・カズマ、村人。
そう書かれたカードが、いつの間にかポケットに入っていた。
俺は確かに「サトウ・カズマ」だ。
誰がどんな理由で、俺の名前を知ったのかは全くわからんが_
カズマ 「村人かぁ…ここでも最弱引くのか、俺は。」
村人。何の能力も持たないが、投票を左右する役職。
預言者や霊能者と比べると、やはり見劣りする立ち位置だった。
人狼陣営にそそのかされることが無ければ、村人陣営の勝利に貢献できるはずだ。
カズマ 「最初に殺されなきゃいいが。頼むぞ俺の幸運!」
そう祈った矢先、背後のドアからノックが聞こえる。
一応鍵をかけてはいる為、人狼から襲撃を受けることはないだろう。
しかし、自分で開けるとなると話は別だ。この扉の向こう…恐らく人狼だ。
俺はドア越しに、人狼であろう人物に話しかける。
カズマ 「こんな夜中に…名を名乗ってもらおうか!」
すると、ドアの向こうから返事が返ってきた。
…「リムル」の声だった。
リムル 「俺だよ、リムル・テンペストだ。生存しているかの見回りだ。カズマがまだ生きていることを確認できただけでいい。」
カズマ 「…なんだよ。人狼かと思ったじゃないか。」
リムル 「悪かった。でも、カズマは生きていてよかったよ。」
安心すると同時に、疑問が生まれた。
今思えば、こんなことを聞くべきではなかったように思える。
カズマ 「ちょっと待て。カズマ『は』って、どういうことだ?」
リムル 「…ああ、見つかったんだよ。…『死体』が。」
…一瞬、信じられなかった。
本当に人狼がいたこと、そして。
『あの中に人を殺した奴がいる』という事実が。
_「ターニャ・デグレチャフ」が
死体で発見されました。
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