ラブライブ!サンシャイン!!×ウルトラマンZ~遥かに輝き!0から1へ!! 作:ワーラー
三日後
俺、夏川ハルキはウインダムを操縦し山道を走る蛇倉隊長とユカ先輩が乗る車を護衛している。
「宇宙ロボット…来たら困るなぁ~。」
「その割りには顔がにやけてるぞ。本当は見たいんだろ?メダルを取られない様にケースをしっかり持っておけよ。」
通信で隊長とユカ先輩の会話を聞き和やかな雰囲気になる。ユカ先輩もメダルから出るプラズマを遮断した事を通信で報告し、いよいよ作戦が開始される。
「ハルキ、気を抜くなよ…。ヨウコには別の任務があるから別行動をしてもらっている。お前だけが頼りだ!」
【オッス!来るならいつでも来いってとこッスよ!】
だからヨウコ先輩、俺達と一緒じゃないんだな…。でも隊長も期待してくれているし、頑張らなくちゃな!
そう思った矢先、突如山道に赤褐色の光線が直撃し隊長の車はギリギリで回避する。あんな所から落ちたら即死だ!
「お出ましか…。作戦開始だ!頼むぞハルキ!!」
【オッス!】
俺は再度気を引き締めて操縦桿を握る。車を襲ったのはウルトラマンと同じ身長の金色のロボットだった。ロボットは車を押さえようとするも俺はウインダムで羽交い締めにしてそれを阻止。
【こいつ…なんてパワーだ!】
パワー型かと思いきや、ウインダムに近い機敏さも持ち合わせている。格闘戦に持ち込むも金色のロボットの方がスペックがかなり上だ。
【大人しくしやがれ!】
俺は再度ロボットを羽交い締めにし、車から遠ざけようとした時、ロボットの肩から上のパーツが人形の様に取れてしまった…。
【は?】
俺は作戦中にも関わらず素頓狂な声を上げる。その時ロボットの胸から下のパーツが胸、腰、脚と分離しその中の一部がトンネルに入った隊長達の車目掛けて飛んで行ったのだ!
俺はロボットの頭だけは行かせまいと取り押さえるが、あろう事かその頭はウインダムを持ち上げ宙吊りにしてしまう。通信からは爆音が響いており、どうやらトンネル内部で攻撃をされているようだ。分離して攻撃、頭だけでウインダムを宙吊りにしても傷一つつかない異次元のスペックのロボットに俺は成す術も無く、振り落とされたウインダムは地上に叩き落とされた。
「ハルキ、作戦失敗だ…。ロボットに囲まれてる。」
嘘だろ…。何も出来ずに終わったのか?
メダルはロボットに奪われ、ロボットは消えてしまったそうだ。
俺は体勢を戻したウインダムを近くに停止させ隊長達に深々と頭を下げて謝罪をする。
「すみません!俺がアイツを取り逃がしたばっかりに…。」
「いいからいいから。」
俺はこってり隊長に絞られると思っていたがユカ先輩のその発言に思わずきょとんとした顔をする。
「え?いいからって…ダメじゃないですか!」
メダルを統先研に届けるのが俺達の任務なのに…。そう思いユカ先輩に抗議しようと思っていたが蛇倉隊長が両手を前に出し、「まあ落ち着け」と静止する。
「あのメダルは偽物だ。」
「は?」
二人は怪訝な顔をする俺を笑いながら説明を続ける。
「あのケースは電波を遮断するんじゃなくて、電波を出してたんだよ。」
「メダルが発するプラズマを分析して擬似的にね!」
蛇倉隊長とユカ先輩が俺に伝え、再度互いの顔を見て笑い合う。
「本物のメダルは近道を通ってヨウコが運んでる。もうそろそろ着いているだろ。」
だからヨウコ先輩は居なかったのか…。でも、
「皆して俺を騙してたんすか!?」
少し納得いかない俺は蛇倉隊長に抗議する。教えて貰っても良かったが隊長は「陽動作戦だ。」と笑い飛ばす。
「敵を欺くにはまず味方から。それにお前は嘘が吐けない性格だ…。そして、あのロボットを全力で止めないと陽動がバレるからな。」
確かに陽動を見抜かれたらヨウコ先輩にも負担がかかるかもしれない。「まあいいか…。」と呟く俺にユカ先輩も「良く頑張った!」とフォローを入れる。
「ヨウコはもう着いているだろう。ヨウコ、どうだ?」
蛇倉隊長は別行動をしているヨウコ先輩に連絡を取る。
私、ナカシマ・ヨウコは蛇倉隊長から通信が入り応答する。ハルキ達は上手く陽動作戦を成功させた様だ。
「こちらヨウコ、今到着しました。超電離ケース、引き渡します。」
蛇倉隊長から「宜しく頼む。」と応答があり、統先研の入口に立つ黄色い作業服の男に声を掛ける。
「ストレイジのナカシマ・ヨウコです。」
「お話しは伺っております。ご苦労様でした…。」
目深に帽子を被る男はこちらと目を合わせようとしない。人見知りをするタイプなのだろうか…。私は一礼し
「では、受け取りのサインを…“ガチャ…。”」
私が書類を取り出そうと視線をケースから外した瞬間、ケースの蓋が開いた…。
「え?」
私が呆けているのもつかの間、上空から四つの飛行物体が飛翔してくる。
「ハハハハハッ!!」
男が高笑いをしながら私に背中を向け逃走し始めた。
ヤバい…、こいつの頭がおかしくないなら今飛んで来た飛行物体とアイツはグルのはず。ここでメダルを奪われたらあの三人の陽動作戦は水の泡だ。
「隊長!緊急事態です。作業員にケースを奪われました!!現在逃走中の作業員を追跡しています。」
「俺達も直ぐに向かう。」
緊急事態を知らせるサイレンの中、施設内にいる研究員や作業員が私と逆方向に向かって走ってくる。人混みを避けながらケースを奪った作業員を追うも段々と距離が離されていく。その時、轟音と共に四つの飛行物体が合体し金色のロボットとなって地上に着陸した。
「こちらヨウコ!ロボットにここを突き止められてしまいました!」
ロボットは目から赤褐色の光線を発射しその衝撃で私は倒れてしまう。その時…。
“シュワッ!”
上空からZ様が駆けつけた!
Zさんに変身した俺は、あのロボットと交戦する。上空からの奇襲で飛び蹴りを放っても、ロボットは数歩後ろに下がるだけで体したダメージにはなっていない様子であった。
“シュワッ!!”
間合いを詰め、手数で応戦するも分厚い装甲と器用に攻撃を捌かれ、力任せに俺達を転ばせる。ロボットは目線を地面に向け作業員を見る。アイツのメダルを回収する前にあのロボットを止めるしかない。
「『ゼスティウム光線!』」
俺達得意の光線を放つもロボットの装甲を一瞬溶かす程度で全く気にしていない様子であった…。
『き、効かない!?』
「嘘だろ…。」
ウルトラの空間でZさんが驚きの声を上げる。これまで多くの怪獣を倒したこの光線でもダメなのか…。そう思っているのもつかの間、ロボットは俺達を無視して目線の延長線上にいるヨウコ先輩に目からの光線を発射する!直撃したら人間なんて影も形も残らない…。俺達はヨウコ先輩背中で庇い、そのまま地面に叩きつけられた。その衝撃で先輩も作業員の男も転倒し、放り出された超電離ケースをロボットはチャンスと言わんばかりに額のランプから光線を発射し吸収しようとする。
“ジュワッ!”
俺達もここが最後のチャンスと言わんばかりにそのケースをむしり取った!
「やっぱりウルトラメダル!」
俺はむしり取ったメダルを見て声を上げる。見た目は今までのメダルでいう、“先輩達”に近いメダルであった。
『おお!コスモスさん、ネクサスさん、メビウス兄さんのメダルだ!』
青、銀、赤いウルトラメダルのウルトラマンを見てZさんも驚く。
『この使い方はウルトラフュージョンじゃ無くて…。ええっと……。』
「えっ?忘れたんッスか!?」
使い方を忘れたZさんに俺は声を荒げる。人生の先輩に対する口の聞き方では無いがそんな事を気にする余裕は今の俺には無い。
『ウルトラ面目ない…。』
Zさんも謝罪をする中ロボットが背後から攻撃を仕掛けてくる。メダルの使い方が分からない以上、今までのメダルで戦うしかない。地面に倒れた俺達を殴るロボットに耐える中、山から下山したユカ先輩が声を掛ける。
「ウルトラマン!そのロボットの弱点は分離する瞬間!接合部が剥き出しになってる!!」
そうか!接合部は装甲が取り付けられない。そこを叩けば勝ち目は充分にある筈だ。
『ウルトラナイスな情報だ!』
「オッス!まず押し戻しましょう。真っ赤に燃える、勇気の力で!」
俺はZライザーに三人の兄さんのメダルをセットする。
「真っ赤に燃える、勇気の力!マン兄さん、エース兄さん、タロウ兄さん!」
『ご唱和ください我の名を!ウルトラマンZ(ゼーーット!!)』
「ウルトラマンZ(ゼーーット!!)」
ベータスマッシュに変身した俺達はロボットを押し戻し力で引き離す。ロボットと力は拮抗するが決め手に欠けてしまい膠着状態となってしまった。こちらは三分という制限があるが、多分あのロボットには活動時間の制限が無い。このままだとこちらのエネルギーが先に尽きてしまうのは明白だ。
『ダメだ!どうしよう…!!』
Zさんも焦り、俺に助言を求める。
「えっ?俺に聞くんッスか?」
そういえば、あのロボットは四つに別れて飛行してたな…。それなら!
「Zさん、こっちも四体に別れ…、いや無理だな。」
俺の思い付きにZさんは『それだ!』と言わんばかりに声を上げる。
『ハルキ!変幻自在のガンマフューチャーだ!!』
「そうか、先輩達の力を使えば…!行きましょう!!」
“あの技なら”対抗出来ると思い、先輩達のメダルをセットする。
「ティガ先輩、ダイナ先輩、ガイア先輩!」
『ご唱和ください我の名を!ウルトラマンZ(ゼーーット!!)』
「ウルトラマンZ(ゼーーット!!)」
ガンマフューチャーに変身した俺達は以前倒した合体怪獣にした“あの技”を仕掛ける。
「『ガンマイリュージョン!』」
指を鳴らすと三人の先輩が出現し、俺達は同時に光線を仕掛ける。
““““シュワッ!!””””
光線が直撃したロボットはその場から撤退するように四つに分離する。ここが勝負の際だ…。俺達は両手を広げ、光の輪を四つ出現させる。
「『ガンマミラクルホールド!!』」
光の輪はロボットのパーツを拘束する。動きを止め、止めを刺そうと考えた俺だがZさんの
『回収したメダルの使い方を思い出したぞ!』
との声に耳を貸す。
『ハルキ、三つのメダルをZライザーにセットしろ。ライトニングジェネレードだ!!』
「オッス!」
俺は先ほどのメダルをZライザーにセットする。
“コスモス、ネクサス、メビウス”
Zライザーから音声が鳴り、Zライザーを上に掲げる。
「『ライトニングジェネレード!!』」
俺達の叫びと共に上空から光の輪目掛けて四つの光柱が突き刺さりロボットのパーツを焼き付くした!!
「あのメダル、結局統先研に届けられなかったのか…。」
戦いを終えた俺達は千歌ちゃん達と待ち合わせをしている秋葉原駅でメダルの事について話をしている。ユカ先輩がある意味作戦失敗だよねと呟いているが蛇倉隊長が
「まあ、ウルトラマンZが持って行ったんだから仕方ない。奴なら悪用をする事は無いだろう。」
とユカ先輩にフォローを入れる。
「長官はそれよりも、あのロボットに夢中になってるみたいだ…。部品を回収するんだとよ。」
メダルは俺達が持っている事への若干申し訳無さがあるが、長官があのロボットに目を着ける事も気になっている。蛇倉隊長も良く分かっていないらしいが…。
「宇宙の秘宝か…。」
「どうしたんッスか?」
ボソッと呟くヨウコ先輩に声を掛けるも「何でもない。」とはぐらかされる。
「それよりもそろそろ到着するんじゃない?」
ヨウコ先輩が時計を指差し時刻を見る。時刻は10時を過ぎており「ハルキくーん!」と聞き慣れた声がすると、千歌ちゃん達が手を振って走ってきた。
任務も終わり、今度は千歌ちゃん達Aqoursの番…。だが三日前、ダイヤさんから電話で伝えられたあの言葉を思い出す。
「東京のイベントで彼女達は壁に直面すると思います。今は詳しく伝える事は出来ませんが、ここがAqoursのターニングポイントになるかもしれません…。その時、出来る事なら皆の心のケアをお願いしたいのです。」
ダイヤさんのあの言葉…。皆には伝えていないが、彼女は何かを知っている。まるで自分が経験し、大切な物を失った様な口振りに俺は不安を覚えずにはいられなかった。