ラブライブ!サンシャイン!!×ウルトラマンZ~遥かに輝き!0から1へ!! 作:ワーラー
それではどうぞ!!
「得票、0票ですか…。」
私、高海千歌はダイヤさんに今回出場したライブの結果を伝える。
「やっぱりそういう事になってしまったのですね。今のスクールアイドルの中では…。」
30組のスクールアイドルの中で結果は最下位、その上誰にも評価をしてもらえずラブライブを目指すのを諦めろだの、遊びじゃないだの罵声を浴びせられ、ダイヤさんにも何か言われると思っていたが以外にも優しい声音に私は内心驚いている。
「先に言っておきますけど、あなた達は決してダメだった訳では無いのです。」
ダイヤさん曰く、私達Aqoursはスクールアイドルとして充分練習を積み、見てくれる人を楽しませるに足りるパフォーマンスもしているがそれだけではダメな事も…。5000組近くいるスクールアイドルの中の100位以内に入っているのにも関わらず上位のスクールアイドルはまるで次元が違っている事も身に染みて分かってしまった。
「7236…。何の数字か分かります?」
「ヨハネのリトル「違うズラ。」ツッコミ早っ!!」
ダイヤさんの数字に善子ちゃんがボケるが花丸ちゃんの普段から想像出来ない冷淡なツッコミが入った。
「んんっ…!去年最終的にエントリーしたスクールアイドルの数ですわ。第1回ラブライブと比較すると10倍以上と言われていますの。」
「そんなに多いんスか…。」
ハルキ君の意見も最もだ。今の時点で約5000組、まだエントリーしていないだけで今後グループが増える事なんて火を見るより明らかなのだから。
「そもそもスクールアイドルはラブライブが開催される前から人気があったのですわ。しかし、ラブライブの開催と共にそれは爆発的になった…。A-RISEとμ'sによってそれは揺るぎない物になり、アキバドームで決勝が行われる様になった事でレベルの向上を生んだのです。」
そしてダイヤさんの話は続く。
「あなた達が支持されなかったのも、“私達が歌えなかった”のも仕方のない事なのです…。」
ダイヤさんの口から発せられた、歌えなかったと言う言葉に私達全員が驚きの声を上げる。
「やっぱりそうだったんスね…。」
ハルキ君だけが納得したような口調でダイヤさんに返した。
「どういう事よ?」
善子ちゃんがハルキ君に訊ねるとため息を一つ付き
「あの時の電話の事話して言いッスか?俺、隠し事するの苦手なんッスよ…。」
と何か許可を貰うもダイヤさんは肯定し、私達にある事を伝える。
「皆が東京に行く前日にダイヤさんから電話があって、今回のライブで皆の前に大きな壁が立ち塞がるって。そしてこの壁がAqoursのターニングポイントになるって…。」
「ターニングポイント…。」
梨子ちゃんの呟きにハルキ君が頷き話を続ける。
「今回のライブで俺達が惨敗するのも分かっていた様な口振りと、スクールアイドルやラブライブに関係する知識もただのファンじゃ無い事は今までの様子で何となく分かった。ダイヤさん、アンタもしかしてスクールアイドルをやってたんじゃないッスか?」
ハルキ君の予想はズバリ当たり、ダイヤさんはその事をあっさり認めた。
「流石にバレますか…。ハルキさんの言う通り私は一年生の時、スクールアイドルをやっていました。果南さんと鞠莉さんと一緒に…。」
その時の話をダイヤさんは昔を懐かしむ様に話し出した。
私、松浦果南は鞠莉に話をする為彼女の家である淡島ホテルにいる。相変わらずだだっ広い庭だ…。
「いつ以来かな?果南に呼び出されるの…。」
手に持っている懐中電灯でモールス信号を送り鞠莉を呼び出した私は早速話を切り出す事にする。
「ダイヤから聞いた。千歌達がスクールアイドルのイベントで東京に行ったって…。そしてボロ負けしちゃったって。」
「そっか…。」
半ば予想していた様な口調に苛立ちを覚える。スクールアイドルを始めた頃はこんな事になるなんて思わなかったのにな…。
私とダイヤと鞠莉がまだ一年生だった頃、浦の星には既に統廃合になるという噂があった。私は高校なんて卒業証書さえ貰えればどこでも良かったが親友であるダイヤや鞠莉が同じ学校に志望した事もあり、そこでもいいかなと思ったのが志望動機だった。
「スクールアイドル?」
鞠莉がダイヤの提案したワードに疑問符を浮かべる。
「そうですわ!学校を廃校の危機から救うにはそれしかありませんの!!」
当時ダイヤから聞いた時、東京で廃校寸前だった高校がアイドル活動をして有名になった事で入学希望者が増え、今でも入学志望の生徒が後を絶たないという有名校になったそうだ。廃校を阻止したスクールアイドルμ'sのライブを動画で見た時は私も興奮したがそこからダイヤのテンションがハイになり何本もあるDVDを徹夜で観させられた…。
「鞠莉スタイル良いし一緒にやったら絶対注目されるって!」
鞠莉もダイヤもスタイルは良いしおまけに歌も上手い。興味を持った私も参加をするが鞠莉が入ればいい線行くんじゃないかと本気で思っていた。
「sorry…、そういうの興味無いの。」
案の定断られたがダイヤが「行け!」と言わんばかりに顎をしゃくって合図をし、私は後ろから鞠莉に抱きついた。
「離してよ~!」
「良いって言うまでハグする!」
二人でイチャイチャしながらダイヤも交えて鞠莉を根負けさせ、私達はスクールアイドルとして活動を開始していった。
「町の人も学校の人もスクールアイドルだと応援してくれたじゃない…。」
「学校でライブもやって上手く行ったしね。でも三ヶ月後、“あれ”が起こった…。」
私達はスクールアイドルとして活動した期間はたった3ヶ月…。長くて短いアイドル活動は終わりを告げる。
「東京?」
アイドル活動を始めて3ヶ月後の7月。ダイヤの口から出た単語をそのまま返す。
「そうですの!私達が呼ばれたんですの!!」
「ダイヤ…。鼻息が随分veryhard。」
テンション高く万歳をするダイヤを茶化す鞠莉に笑いながら、東京の大会で有名になり名前を上げる…。私達はその日から前以上に練習に力を入れ始めた。
でも…、私は歌えなかった……。内浦とは違う巨大な会場の空気感に圧倒され、他のグループと私達ののパフォーマンスの差に私は歌う前から打ちのめされてしまった。
「外の人に見て貰うとか、ラブライブで優勝して学校を救うとか…、そんなの絶対無理なんだよ!」
「だから諦めろって言うの?」
あの時のライブで分かった筈なのに鞠莉はまだ食い付いてくる。
「私はそうするべきだと思う。」
そう言い、去ろうとする私に鞠莉は両手を広げてハグを求めてくる。こんな話をしている最中にハグなんてする気持ちは微塵も起きず私は鞠莉の横を通り過ぎた。
「誰かが傷付く前に…。」
身の丈に合わない目標を目指した私達の結果がこれだ。千歌達は結果がどうであれ歌えただけ全然マシ。でも今回の事で彼女達の心に傷を負う位ならもう諦めて欲しい…。
「私は…諦めない。必ず取り戻すの、あの時を!果南とダイヤと失ったあの時を!!私にとって宝物だったあの時を…。」
鞠莉の叫びが庭に木霊し、私は逃げる様にその場を去った。
私、高海千歌は家に帰り帰りを待っていたしいたけの顎を撫でている。
「早くお風呂入っちゃいなよ~!」
美渡姉の声に空返事を返す私を梨子ちゃんとハルキ君が不安そうに見つめる。
ダイヤさんは歌えただけ立派で、今まで反対していたのは彼女達が味わった苦い経験をさせたくないという優しさだった事も…。
「梨子ちゃん、ハルキ君…。少し考えてみるね。私がちゃんとしないと皆困っちゃうもんね…。」
本当にどうしたらいいんだろう…。駅から車に乗る前、曜ちゃんから言われた言葉を思い出した。
「千歌ちゃん…。辞める?スクールアイドル…。」
その言葉で私の頭は一瞬真っ白になった。ハルキ君が思わず曜ちゃんの胸ぐらを掴んで「いい加減にしろよ?お前…。」と私を庇ってくれたけど…。
「このまま続けても、何も変わらないのかな?輝きなんて無いのかな…?」
そう呟いた私は結局お風呂にも入る気も寝る気にもなれず時間だけが過ぎていった。
私、桜内梨子はあれから寝る気にならずベランダで曇り空をずっと眺めている…。ダイヤさんの経験を聞き、リーダーである千歌ちゃんがスクールアイドルを続けていくかどうかでAqoursの今後が変わる文字通りターニングポイントになるのだ。部屋に戻ろうとした時、視界に何か動く物を発見し目を凝らしてみる。
「あれ…。千歌ちゃん?」
昨日の服のまま、無表情で海岸を目指す千歌ちゃん。私はハルキ君にダメ元で電話を掛けながら玄関を目指した。
「もしもし、梨子ちゃん?どうしたんスか?」
「ハルキ君!千歌ちゃんが!!海に!!!」
このままだと千歌ちゃんが自殺してしまうんじゃないかと思った私は海岸を目指す。ハルキ君も合流した時には彼女の姿はもう見えなかった!
「あのバカ千歌!」
ハルキ君が海に向かって駆け出す。
「千歌ちゃ-ん!千歌ちゃーーん!!」
私の声に一拍置き千歌ちゃんが浅瀬から顔を出して
「あれ?梨子ちゃん??」
と間の抜けた声を出していた。
「バカ千歌!お前~!!」
あの短時間でかなり遠い所まで泳いでいたハルキ君が青筋を浮かべ怒りまくる。
「もう!一体何してたの!!」
本気で心配した私は思わず声を荒げる。
「あはは…、何か見えないかなって…。」
「え?」
「はあ?」
千歌ちゃんの回答に私達二人は呆れた声を上げ一先ず話を聞くことにする。
「ほら、梨子ちゃん海の音を探して潜ってたでしょ?だから私も何か見えないかなって…。」
「……、それで?」
私は千歌ちゃんに問う。
「何も見えなかった…。でもね、だから思ったんだ。続けなきゃって。私、まだ何も見えていないんだって。先にあるものが何なのか…。」
昨日と同じような悔しさを押し殺した顔のまま、千歌ちゃんは続ける。
「このまま続けても0なのか、1になるのか、10になるのか…。ここで止めたら全部分からないままだって…。」
そう言った千歌ちゃんは何かを決意した顔でスクールアイドルを続ける事を伝える。
「だから私は続けるよ、スクールアイドル。だってまだ0だもん。」
0と言う言葉を何度も繰り返す千歌ちゃん…。そうだ、あのライブでの結果は最下位、そして誰にも支持されないという0という字…。
「0なんだよ…。あれだけ皆で練習して、歌も衣装もPVも作って、頑張って頑張って皆にいい歌聞いて欲しいって。クラスの皆の期待にも答えたいって思って…。」
段々と千歌ちゃんの声が震えていく…。
「スクールアイドルとして輝きたいって…。」
そう呟いた彼女は大粒の涙をこぼしながら自分の膝を叩きこれでもかと言うくらい叫びだした。
「なのに0だったんだよ!?悔しいじゃん!!」
「千歌ちゃん…。」
ハルキ君も震えた声で呟く中、千歌ちゃんは本音をぶちまける。
「差が凄いあるとか、昔とは違うとかそんなのどうでもいい!悔しい!!ラブライブは諦めろとか遊びじゃないとか言われて、もの凄く腹が立ったし悔しかった!!やっぱり私…悔しいんだよ……。」
私は自然と千歌ちゃんに近づき後ろから抱き締める。
「良かった…、やっと素直になれたね…。」
「だって私が泣いたら皆落ち込むでしょ…。今まで頑張ったのに、せっかくスクールアイドルやってくれたのに悲しくなっちゃうでしょ?だから…、だから…!」
私は千歌ちゃんを強く抱き締める。こんなに私達の事を思ってくれているリーダーなんて他に居ない!
「バカね…。皆千歌ちゃんの為にスクールアイドルやっている訳じゃないの…。自分で決めたのよ。」
ふと私達以外の気配を感じ、後ろを向く。
「私も曜ちゃんもルビィちゃんも、花丸ちゃんも、もちろん善子ちゃんも、ハルキ君も。」
「オッス!」
ハルキ君も頷き、浜辺にいるメンバー全員が千歌ちゃんに向かって手を振っている。
「千歌ちゃんは感じた事を素直にぶつけて、声に出して。」
全員が千歌ちゃんの周りに集まってくる。その時、千歌ちゃんは責が切れたかの様に泣き出した。
「うわああああああん!!」
そして私も今回の事で一つ目指したいものがある。
「私、思うの…。今から0を100には出来ないかもしれない…。でももしかしたら1にする事は出来ると思う。私もそれが知りたい!!」
これが私の知りたい事。今が底なら這い上がりたい!そう思い声に出した私を千歌ちゃんはいつもの満面の笑みで「うん!」と返した。
「すげぇ…。俺、要らねぇんじゃねぇかな?」
笑顔になった千歌ちゃんとは真逆にハルキ君の目には普段からは想像出来ない悲しい顔をしていた。
「俺、ダイヤさんにあの時電話で皆の心のケアもして欲しいって頼まれてたんッス…。でも結局気の効いた言葉も言えなくて…。何の為のマネージャーなんだろう…。」
良くも悪くも真面目なハルキ君だからこそどう声を掛けていいか分からなかったのかもしれない…。でもこれだけは言える。私はハルキ君の肩を掴み、伝える。
「そんな事言わないで!Saint Snowに向かって言い返したハルキ君は凄いと思った。私が、皆が思っていても言えなかった言葉を言ってくれた時嬉しかった!!」
「でも…。」
自信を喪失しているハルキ君に千歌ちゃん、曜ちゃんも力強く頷く。
「ステージには居なくてもハルキ君も一緒。私はそう思ってる!」
「Saint Snowに言った時も、私に怒った時も、ハルキ君は誰かの為に何かを言える優しい気持ちがある。だから自信を持って!!」
そう言った二人に続き一年生がハルキ君背中を軽く叩く。それは彼に対する信頼の証の様にも見えた。
「皆…、ありがとうございます!!」
ハルキ君は改めてお礼をし、曜ちゃんに昨日の事を謝りお互いに仲直りをする。
「さあ皆家に行って温泉に入ろう!レッツ「ああ!千歌ちゃん…。」ふぇ?」
ルビィちゃんが突然大きな声を出し、千歌ちゃんが本日二度目の頓狂な声を上げる。
「あの…、もう遅いんですけど……、服が…。」
「えっ…?服……、あああーー!!」
ルビィちゃんの指摘ももう遅く、白いカッターシャツから下着が透けていた!
「嘘!?じゃあハルキ君見てたの!?ねえ!!」
怒る千歌ちゃんをなだめる私だったが曜ちゃんが
「梨子ちゃんも人の事言えるの?それ?」
と私を指差す。
「○□△※☆×」
私も自分の服を再確認し、寝巻きのまま海に入った事に今更ながら気付いた。
「「ハルキ君!!!!」」
「いやいや、不可抗力!どうしようも無いじゃないッスか!?」
ハルキ君の言い訳に花丸ちゃんと善子ちゃんがため息を付く。
「こんな女の子の胸ぐらを掴むエロマネージャーにはお仕置きが必要かもね…。」
と曜ちゃんが笑いながらハルキ君を海に沈めようとする。私達ももう開き直り全員でハルキ君に制裁を加えた。
「ヤバいヤバい沈む…!アハハハっ!揉むな!頭を叩くな!!」
顔を海水に付けたり脇腹を擽ったり頭を叩いたりしながら皆昨日の暗い気分が嘘の様に、童心に帰ったように笑う。この瞬間から本当の意味でAqoursが始まったのかもしれない。ここから1にする為に!!
翌日、部室には今回の結果と、以前貰ったストレイジの腕章にある言葉を刺繍し結果用紙の隣に貼ることにした。私達の目標
0から1に!