ラブライブ!サンシャイン!!×ウルトラマンZ~遥かに輝き!0から1へ!! 作:ワーラー
俺、夏川ハルキはユカ先輩の指示でストレイジの格納庫に到着した。
「バロッサ星人は見た所居ないな…。」
目視での姿は確認出来ないものの、Zさんが言っていた透明マントを奴が所持している以上、気を緩める事は許されない。キングジョーの電源を強制的に遮断する様、バコさんにその旨を伝える。
「よう…。無事に電源は切れたみたいだな。」
声のした方向に持っていたライフルの銃口を向けた先には、先程助けてくれたトゲの星人が刀を引きずりながら近づいていた。
「また出たなトゲトゲ星人!」
唐突に現れてくるコイツにも油断は出来ない。そして俺の正体を知っている以上、いつ手に持った凶刃を振り下ろすかも分からないのだが星人はほくそ笑みながら
「変な名前で呼ぶな…。」
と静かな口調で返される。
「…お前は敵なのか?それとも味方なのか?」
敵なら俺達を助ける事をしなくても良かった筈だ。
「敵か味方かは時と場合による。」
俺達の今の状況は奴にとって都合が良い為、敢えて手を出さないという事なのだろうか。そう思う中、トゲトゲ星人は自身の左人差し指を俺に見せてくる。
「愚か者は指を見る。賢い奴は…?」
「は…?」
何かの謎掛けだろうか?と一瞬思考が停止した俺に「ハルキ!上よ!!」と階段からヨウコ先輩が声を上げる。
“キアァッ!!”
天井に張り付いていたバロッサ星人が俺に向かって刀を振り下ろして来る!!
「チッ!!」
俺は間一髪、回避をしたが追撃で腹部を蹴り飛ばされてしまった。
「「ハルキ」君!」
善子ちゃんと梨子ちゃんが身を案じて叫ぶ中、ヨウコ先輩がライフルをバロッサ星人に向けて射撃をしようとする。
「駄目だヨウコ先輩!今撃ったら皆が回避出来ない!!」
ここでバロッサ星人を狙撃してもきっと回避される。その上で階段に飛び上がられたら先輩も民間人である善子ちゃんと梨子ちゃんも確実に斬られてしまう!
「くそう!!」
俺達はバロッサ星人がキングジョーの電源を入れる所を見ている事しか出来ず、あまつさえそのスイッチが壊されてしまった。
「アイツ好き勝手しやがって!バコさん、バロッサ星人にスイッチが壊されました。電源停止不能です!!」
俺はバコさんに状況を報告し、ヨウコ先輩と共にキングジョーの下に向かっていったバロッサ星人を追って駆け出した。
通信を聞きながら、キングジョーの現状を走りながら整理している。充填率が増しながら上腕部のパーツが合体している。あのロボットは4つのパーツで構成されている。バロッサ星人は合体したキングジョーで逃亡か、最悪この基地を破壊する可能性も考えると俺達に残された時間はもう殆ど無い!
「ううっ!」
「ヨウコ先輩!?」
一緒に走っているヨウコ先輩が腕を押さえて蹲る。どうやらバロッサ星人に放り投げられた際に打ちどころが悪く腕を負傷したのだろう。その状態で皆を守る為ライフルを構え続けていたのだが限界が来たみたいだ…。
「ハルキ、アンタは奴を追って!急いで!!」
ここで身を案じる事を今の先輩は望んでいない…。俺は一度頷きバロッサ星人を再び追い始めた!
「こちら整備班、現在バロッサ星人に襲撃されてます。負傷者も多数出て班長もやられました!!」
整備員からの通信が入り事態は尚最悪な状況に傾いている。俺が整備員と合流した時には起動したキングジョーの足元で銃を構えたバロッサ星人が勝ち誇った様に笑い声を上げる。
「そうだ…。おい、バロッサ星人!」
「バコさん!?一体何を…?」
左腕を負傷したバコさんが銀色の箱を持ってバロッサ星人の元に歩いていく。
「これ何だか分かるか?」
“バロ〜?”
「これは最終ロック装置だ!これを解除しないとキングジョーは動かない。」
それを聞いたバロッサ星人は途端にキングジョーとの距離を離し、バコさんに向かって歩を進めていく。
「ホラ、ホラホラ…!ホラっ!!」
バコさんが放り投げた最終ロック装置をバロッサ星人はダッシュで駆け出しながら拾い上げる。そして中身を確認し、スイッチを押そうとするが…。
“バロロ??”
不思議そうに首を傾げるバロッサ星人にバコさんが手に持った水筒のお茶をぶち撒けた!
「残念、それは俺の昼飯だ!!やれハルキ!!」
バコさんがくれた最後のチャンスを逃しはしない!俺は重機を機動させるコンセントを引っこ抜きお茶が滴るコンクリートに向けて突き刺した!!
「チェストーーー!!」
高圧電流が一瞬にしてバロッサ星人に辿り着きその体を感電させる!!
“バロバロバロバロ〜〜!”
電撃で悶えながらも逃走を図るバロッサ星人を追う為俺も外に駆け出した。
「待て!!」
逃走する中何かがチャリンと落ちる音が聞こえたがその時の俺は気に止める余裕は微塵も無かった。
外に出たバロッサ星人は巨大化し自身が所持している大量の武器を地面に突き刺しその内の一振りの刀を担ぎながらストレイジ基地を見据えている。
「あの大量の武器でストレイジを破壊させる気か…。行きますよZさん!!」
俺はゼットライザーのスイッチを押し、ウルトラの空間に飛び込む。
「変幻自在、神秘の光!ティガ先輩、ダイナ先輩、ガイア先輩!!」
多くの武器や道具を使うバロッサ星人に対抗する為俺は先輩達のメダルをセットする。
『ご唱和ください我の名を!ウルトラマンZ(ゼーーット)!!』
「ウルトラマンZ(ゼーーット)!!」
変身した俺達はゼットライザーを構えバロッサ星人と向かい合う。互いに距離を詰め攻撃を仕掛けるも斬撃を与えられない状況が何度か続き、俺達は光の魔法陣を使用しバロッサ星人の刀をライザーで払い落とす!
“バロ!?”
完全に虚を突かれたバロッサ星人は地面に突き刺した武器という武器を持ち攻撃を仕掛ける。だが…
「付け焼き刃で覚えた武術が簡単に通じる訳が無いんだよ!」
間合いに入った瞬間に回し蹴りを叩き込み星人の武器を今度は素手でへし折った!
「チェストー!」
背負い投げの要領でバロッサ星人を投げ飛ばし反撃に対する様に俺達は構えを崩さない。だが星人は予想もしなかった行動に出た!
“バロ!バロッ!バロバロ!!”
何とバロッサ星人は地面にある砂や砂利を掴み俺達に向かって投げつけて来た。
『コイツ!卑怯な手を…!!』
ピンポイントで目を狙われ俺達が悶える中、手に装着する槍を持ったバロッサ星人が突撃してくる。
「マズイ!」
蛇倉隊長との稽古で培った、気配を頼りに対応する技術を活かし槍の刺突を回避し、建設途中の施設に深々と刺さった。反撃をする為、バロッサ星人は槍を引き抜こうとするも施設を構成しているコンクリートや鉄板が引っ掛かったのか抜けないでいる。ここがチャンスと思い俺達が拳を叩き込もうと間合いを詰めた瞬間バロッサ星人の左掌が眼前に写り、そのまま掌を回転させ俺達は目を回してしまう。
“ジュワッッ…。”
目線を離した隙に槍を引き抜いたバロッサ星人は俺達を蹴り飛ばし、馬乗りになりながらマウントポジションを取る。
“バロバロバロッ!!”
俺達の反撃を許さず、槍を叩きつけるバロッサ星人の前に胸のカラータイマーが点滅を始める。時間が許されず活路を開く事もままならない中
「Z様〜!!」
とヨウコ先輩の声が木霊した。
私、桜内梨子はストレイジから脱出したバロッサ星人が何かを落としたのを発見し、ユカさんがこれをパソコンで解析している。
「このメダル…!」
ウルトラマンのメダルが描かれた3枚のメダルを解析するユカさん。
「重力波に干渉する物質…。原因はこれだったのね!」
作戦室での疑問が晴れたのか笑みを浮かべるユカさんの横から、ヨウコさんがメダルを持ち出し外に出ようとする。
「ヨウコ、何処行くの!?」
「Z様に渡すのよ!…ううっ!!」
メダルを渡す為走り出そうとするヨウコさんだが腕の痛みが引いていないらしく、蹲ってしまう。
「ヨウコさん、肩貸しますよ。このメダル、ウルトラマンに渡すんですよね?」
頷くヨウコ先輩の身体を支え二人で一緒にストレイジを出た。
外を出た時、ウルトラマンZはバロッサ星人に馬乗りにされ手に持った槍で叩きつけられている。
「Z様〜!これを使ってください!!」
私の肩に掴まりながらメダルを投げそれをウルトラマンZは見事キャッチした!
俺、夏川ハルキとZさんは槍を振り上げたバロッサ星人を蹴り飛ばしヨウコ先輩から受け取った3枚のメダルを確認する。マン兄さんの顔に良く似た2枚のメダルと大きな角が特徴的なウルトラマンのメダルが手元にあった。
「このメダルは…?」
『ジャック兄さん、ゾフィー兄さん、ウルトラの父のメダルだ!斬撃を強化する力がある。行くぞハルキ!!』
俺達は早速ゼットライザーに、この3枚のメダルをジャック兄さん、ゾフィー兄さん、ウルトラの父の順にセットした。
「チェストー!」その時、ゼットライザーの中心から光の刃が生成され再び刺突をしようとしたバロッサ星人の槍を払い落とす!斬撃を繰り出し十分に互いの間合いを取った俺達は腕を目の前で回転させ竜巻を発生させる。
「『M70竜巻閃光斬!!』」
巨大な竜巻に飲み込まれた宙に飛んだバロッサ星人を、今度はリング状の刃で細切れにする。
“バロバロバロバロバロバロッサーーー”
爆発し戦いを終えた俺達はヨウコ先輩と梨子ちゃんにアイコンタクトをし、通り雨が去った青空に飛翔した。
「よっしゃあ!…そういえばあの海賊野郎、最期に何て言ってたんッスか?」
バロッサ星人の断末魔に疑問を持った俺はZさんに通訳を頼む。
『俺の弟達がきっと仇を討つ…だとさ。』
「海賊宇宙人なんかに負けないッスよ!何人でもかかってこい!!」
この新しいメダルと技で返り討ちにしてやろうと意気込む俺にZさんが言いにくそうに声を掛ける。
『ハルキ…、バロッサ星人は一度に卵を1万個産む。つまり弟は9999人居るって事だ……。』
訂正、やっぱりもう来ないで欲しいと掌を即効で返す俺だった。
戦いが終わり負傷者の手当も終わった格納庫でストレイジのメンバーが小休憩しながらパソコンを操作している。
「お疲れ様ッス。ヨウコ先輩もバコさんも大丈夫なんスか?」
「まあね…。梨子ちゃんが肩貸してくれたお陰でZ様にメダルを渡す事も出来たし、ありがとうね!」
ヨウコ先輩がお礼を言う中、はにかむ梨子ちゃんに俺も笑みを浮かべる。あのメダルが無ければ勝てなかったかもしれないし…。
「善子ちゃんが応急手当をしてくれたから俺も助かったよ…。他の隊員の手当もしてくれてありがとうな!!」
「フフッ、堕天使の治癒能力を持ってすればこの程度、雑作も無い!」
バコさんのお礼に堕天使モードで返す善子ちゃんに皆が笑う中、俺やヨウコ先輩にこのキングジョーを乗りこなせるか?とバコさんが質問をする。
「防衛ロボットを生かすも殺すもパイロットの腕次第だ。コイツは機動性、攻撃力も耐久力もセブンガーやウインダムと桁違いの性能になるだろうしな!」
その期待に答える為俺とヨウコ先輩は敬礼をしながら返事をする。
「ハルキ、今日は良くやった。特別に明日から3日間休みを取れ。Aqoursのマネージャーとしての仕事をしっかりやれよ。」
定時報告も忘れずにな、と蛇倉隊長から直々に休みを貰いお礼を言う俺にメンバー2人が笑う。その後ろでうっとりとした表情でタブレットを眺めるユカ先輩にヨウコ先輩が「何見てんの?」と声を掛ける。
「画面の宇宙人様…素敵!解剖したい!!」
“ブッ!!!!”
恍惚な表情でサイコな事を言うユカ先輩に俺に休暇命令を下しコーヒーを飲んでいた蛇倉隊長が勢いよくそれを吹き出した!
「今日は何かすんません。鍵を届けに来てくれたのに宇宙人の騒動に巻き込んで怖い思いをさせてしまって…。」
ストレイジを出て近くのバス停にあるベンチに座っている2人に謝るも、梨子ちゃんと善子ちゃんは「気にして無いよ。」と笑顔で返す。
「アンタは大丈夫なの?あの星人に思いっきりお腹蹴られてたじゃない。」
バロッサ星人の蹴りで若干痣が出来ていたがそこまで重症な訳では無く運動や出撃には支障が無い事を伝える。
「なら良いけど、特訓の時は余り無理しない様にね。きっと隊長も、ハルキ君の体の事を分かって休みを取らしたと思うし…。」
「オッス!無理の無い範囲で特訓はやりますよ。」
そう言うと俺の腹が大きな音を立てて鳴り、この際一緒に昼飯を食べないかと提案をする。
「迷惑を掛けたお詫びもしたいし、沼津で一緒に何か食べません?」
「だから迷惑じゃ……、まあ私達も食べて無かったし一緒に食べようか。所で善子ちゃんはこの寝袋どうやって持って帰るの?」
「確かに、このまま担ぎながら店に入るのもね…。」
2人がゲオザーク寝袋をどうするか悩んでいるが、善子ちゃんをバイクの後ろに乗せ、彼女の家に荷物を置いてから沼津で食べることを提案する。
「ありがとう!流石私のリトルデーモン!!」
「こ〜ら!調子に乗らないの。」
いつもの善子ちゃんのセリフに梨子ちゃんがツッコミ、一旦彼女の家を目指すべく別行動を取った。
その後たらふく昼食を食べた俺達はゲームセンターで時間を潰し夕方になると梨子ちゃんをバイクに乗せて家まで送る事に。明日は一応、ダイヤさんの指示で朝4時に浜辺に集合と梨子ちゃんからの言伝てを受けそれぞれの家路に着いた。
「明日から忙しくなるな…。」
俺の呟きにZさんもテレパシーで
『ウルトラシャイニーな特訓になるでございますよ!』
と鞠莉さんの様な言葉になったのを内心ツッコミながら普段より早く眠りについたのだった。