ラブライブ!サンシャイン!!×ウルトラマンZ~遥かに輝き!0から1へ!! 作:ワーラー
今回は普段以上に文量が多いですが温かい目で見てください。
新しいウルトラマンやラブライブもスタートしましたし、これから楽しみが増えました!
それではどうぞ!!
快晴の空の下私、高海千歌とAqoursのメンバーは特訓と言う名の海水浴を楽しんでいた。
「晴れた〜!」
「眩し〜〜い!!」
ダイブする私と曜ちゃん、そして一足先に果南ちゃんがサーフィンをしている。
“バコッ!!”
「ぐっ…!」
水面から顔を出した私に鞠莉ちゃんのビーチボールが炸裂する。
「やったな〜!」
私も仕返しと言わんばかりにビーチボールを投げ返す。
「フッフッフッ…。そんなスローボールじゃ私を捉える事は出来ま「あっ!果南ちゃん!?」!?」
勝ち誇る鞠莉ちゃんの気を反らしボールでは無く海水を思いっきりぶっ掛けた!!
「アウチ!!」
転倒する鞠莉さんに
「梨子ちゃ〜〜ん!ハルキ君〜!!」
水着に着替えた梨子ちゃんとハルキ君も砂浜でジュースを飲みながら私達の様子を見ながら手を振っている。
「zzz……。」
片やルビィちゃんは浮き輪の上で波に漂いながら気持ち良さそうに寝ている。
「いひひっ…。よーし!」
曜ちゃんが何か悪戯を思いついたのか口元をニヤリと歪ませ海中に潜り爆睡しているルビィちゃんの脇腹を思いっきり擽った。
「ピギッ!アハハハハッ!!」
突然の刺激にパニックになったルビィちゃんは爆笑しながら転覆し曜ちゃんが救助してあげる。だが…
「曜ちゃん……!!」
今までの大人しい性格のルビィちゃんからは想像も出来ない程の剣幕で曜ちゃんを睨みつける。
「ヒッ…。じゃ、じゃあね!」
若干青ざめた曜ちゃんが脱兎の如く逃げ出しそれをルビィちゃんが追いかけるという珍しすぎる光景を私達は只々見ていた。
「ルビィちゃん、怒ると怖いッスね…。」
俺、夏川ハルキは普段からは想像出来ないルビィちゃんの様子に若干引いていた。
「……ルビィは普段大人しいのですけど昼寝を邪魔されるのが何よりも嫌いなんですの。」
まあ昼寝中にあんな事されたら確かにブチ切れそうになるのも分からなくもない。そんな事を思いながら俺は首に掛けてあるインカムを使い一先ずストレイジに定時報告をする事にした。
「こちらハルキ!空も快晴で浜辺は人で賑わい、千歌ちゃん達は海を楽しんでいます。今の所異変は確認出来ません。」
【こちら蛇倉…。ストレイジでも怪獣出現の報告は確認されてない。引き続き警戒をしながら、はしゃぎ過ぎない程度に合宿をしてくれ。】
俺は「オッス」と返事をし、通信を切ろうとするも花丸ちゃんがインカムをじっと見つめている事もあり、彼女に渡してみる。
「もしもし、こちらAqoursの花丸ズラ!!」
【うおっ、ビックリした!はいはい、こちら蛇倉。合宿は楽しんでますか〜?】
ノリノリで返す蛇倉隊長に「はーいズラ!」と答える花丸ちゃん。
「ズラ丸、パス!こちらヨハ…、善子です。昨日は色々とありがとうございました!」
【善子ちゃん、もう堕天使隠さなくても良いんじゃないか?皆から好評だぞ。まあ、昨日は怖い思いをさせてすまなかったな。】
蛇倉隊長の改めての謝罪に今度は梨子ちゃんが答える
「いえいえ、こちらこそ守って下さってありがとうございます。おかげで無事に合宿に参加出来ましたから…。ハルキ君なんて今までサングラス掛けてジュース飲んでましたよ!ドヤ顔で。」
「梨子ちゃん!!」
しれっと俺の現状までも報告する梨子ちゃんとインカムからヨウコ先輩とユカ先輩の笑い声が聞こえる。
【ハルキ、あんた何やってんの!?】
【そうよ!梨子ちゃん善子ちゃん、ハルキが女の子を嫌らしい目で見てたらすぐに報告してね。】
「そんな事する訳無いッスよ!」
俺が全力で否定するのを他所にダイヤさんを含む砂浜にいるAqoursのメンバーが爆笑する。
「了解しました。昨日ユカさんから貰ったガラオンの貯金箱、合宿で使わせてもらいます。善子ちゃんも今日はゲオザークの寝袋担いで持ってきてましたよ。」
「ちょっと!別に言わなくてもいいでしょ!?」
【2人共ありがとう。じゃあハルキ、忘れずに定時報告をするようにね!】
今度こそ通信が終了し定時報告を終えたがダイヤさんが今のメンバー全員の様子を見て半ば予想してたかの様に口を開く。
「今更言うのも何ですが、結局遊んでばかりですわね。」
「ハハハ…。まあこんな絶好の海日和に遊ぶなって言うのも無理な話しッスよ。多分…。」
そんな中、ダイヤさんを見ながら花丸ちゃんが冷めた目で
「ダイヤさんが言った様に、朝4時に来たらマルとハルキ君以外誰も居なかったズラ……。」
俺は一応誰かが来ても良いように浜辺に来てたが、まさか本当に1人来てると思ってもいなかったからビックリした。
「当ったり前よ!4時から特訓とか無理に決まってるじゃない。私達が全員揃ったの9時半よ!?」
善子ちゃんがビーチパラソルの下で至極当然の事を言う。
「梨子ちゃんも、まあ予想してたッスけどやっぱり来て無かったッスよね。しかも集まった時にはドベだったし…。」
「だってこの真夏に早起きするのなんて普段の練習以外じゃ不可能でしょ!?でもハルキ君と花丸ちゃん、4時から何して暇を潰してたの?」
真冬でも同じ様な言い訳をしそうな梨子ちゃんが俺達2人が何をやっていたのかを聞く。
朝4時から何をしていたかは俺、ウルトラマンZが回想をする。
「いやあ!今日からAqoursの合宿!楽しみッスね〜。」
まだ午前3時、月明かりが照らされる中ハルキがテンションを上げて着替えをしている。
『ハルキ、本当に行くのか?まだ誰も人が居ないと思うんだが…。』
昨日の梨子からは4時に集合との事だったが誰も来ない気がするのはウルトラマンである俺でも簡単に予想が出来る。バロッサ星人に蹴られた箇所は俺と一体化している影響もあるから大事にはなっていない筈だが…。
「いやいやZさん、あり得ないッスけど本当に誰かがいて一人ぼっちだったらせっかくの合宿なのに気分が良くないじゃないッスか。それに…」
そう言いながらハルキは押入れから大きな箱と持ち運び用の椅子を用意し、箱の中身を確認する。
「最近めっきり使って無かったッスからね。久しぶりにやりたいんですよ、釣り。」
立派な釣り竿を取り出しAqoursの曲を鼻歌で歌いながら点検をする。本命はこっちでありましたか…。
「さて、準備も出来たしこれから海釣りに出発ッスよZさん!!」
『お、おう…。』
そして誰も居ない浜辺に到着し、端にある船着き場に椅子を置き腰掛ける。
「さて、何が釣れるかな〜。でもそのまま海に返すんスけどね。」
分からん、何故そんな無駄な行為をするのか…。地球の娯楽はウルトラ難しいと思った中、俺は浜辺にポツンと誰かが立ち尽くしているのを発見する。
『ハルキ、ハルキ…。誰かがいるぞ!』
「まさか…本当に誰か来たんッスか。まだ時計を見ても4時過ぎッスよ!?」
俺は浜辺の人影を凝視しその人物を確認する。その人は俺達が良く知っているあの子だった!
『あれは、花丸じゃないか!?』
「噓ぉ!?」
ハルキは釣り竿が落ちないように箱と椅子で固定し、ダッシュで花丸の元に駆けつける。
「ちょちょちょ!!」
「あっ、ハルキ君!良かったズラ〜。ハルキ君だけはちゃんと来てくれたズラね〜〜!!」
歓喜余って飛びつく花丸をハルキが宥めながら取り敢えず自分が羽織っている服を彼女に一枚着させてあげるウルトライケメンっぷりを発揮させ、朝日が登るまで一緒に海釣りをする事にした。
「そうだハルキ君、東京で善子ちゃんとしていたカードのやつ、どうやって遊ぶのか気になるズラけど…。」
「えっ、あれッスか?」
そういえば東京で善子、淡島では果南と、十千万では千歌とゲームをしていたが地球の娯楽の一つなのだろうか…?
「良かったら簡単にルール教えるッスよ。」
「本当に!?善子ちゃんがやってたのを見てちょっと気になってて。」
一旦花丸に竿を預けカードデッキを何個か取りに戻ったハルキ。そして花丸と再度合流した後朝飯を食べ終わる頃には、粗方のルールを彼女はあっという間に物にしたのだった。
「あれをたった4時間前後でざっくりと理解したの…!?」
善子ちゃんの絶句を聞きながら俺、夏川ハルキは花丸ちゃんの頭に手を置きながら彼女を褒めまくる。
「ハルキ君からカードデッキも譲って貰ったズラ。多分売っても大した値段にはならないからって。」
「俺もビックリしたッスよ。花丸ちゃんダンスもそうッスけど、飲み込みが早いッスね!」
基本的なルールを覚えながら魚をキャッチアンドリリースするを繰り返し、有意義な時間を過ごせたとは思う。実際俺も何回か負けてしまう位、花丸ちゃんもデッキを回せる様にはなったのではないだろうか。
「ゴホン…。まあ特訓は後からちゃんとするとして、それより手伝いは午後からという事でしたよね?確か……。」
ダイヤさんが話を強引に戻し、店の手伝いの話を切り出すも…
「はて、そのお店は何処ですの!?」
辺りをキョロキョロ見渡し店を探す。このポンコツ感漂う動作に俺は笑いを堪えるのが精一杯であった。
「現実を見るズラ!」
「えっ!?」
「アッハッハッハ“バキッ!”痛って!!」
花丸ちゃんの一括を気の抜けた声で返すダイヤさんについに爆笑してしまい、彼女から渾身の蹴りをお見舞いされる。
「ほりょほりょ(ボロボロ)…。ル、ルビィちゃん本当に止めて!アハハハハハッ!!」
漸く捕まえた曜ちゃんは果南ちゃんに羽交い締めにされながら、ほっぺたを軽く引っ張られ間抜けな顔をしている。そんな中、ルビィちゃんからお返しと言わんばかりに脇腹を揉まれたり突っ突かれたりしながら擽られている酷い有様だった。
「これは今から外装を何とかしないと間に合わないんじゃ…。」
「そうですね。それに比べて隣は…。」
果南ちゃんとルビィちゃんの呟きはご最もであり、隣はゴージャスに飾り付けられた店内で美味しそうな焼きそばやカレーをお客が食べて昼食を楽しんでいる。俺達の所は内装は座敷もあり簡単に掃除をすれば営業は出来るが如何せん外観が潰れかけた店の様な有様であり、ダイヤさんが現実から目を背けたくなるのも分からなくも無い。
「隣は都会ズラ〜!」
「ダメですわ…。」
歓喜する花丸ちゃん、項垂れるダイヤさんに活を入れるように
「都会の軍門に下るのデースか?」
鞠莉さんがドヤ顔でライバル店を指差す。
「私達はラブライブの決勝を目指しているのでしょ?あんなチャラい店にッ!負ける訳にはいかないわ!!」
そうだった!俺達はラブライブを目指す為に特訓をするんだった。ここでくじけていたら何も出来ない。
「鞠莉さん…!貴女の言う通りですわ!!」
「っしゃー!!やる気がウルトラ出てきましたよ!!!!」
ダイヤさんと俺のテンションが最高潮に達し、二人でクロスタッチを交わす。
「テヘペロ!!」
俺からは見えなかったが鞠莉さんが海に浸かっているメンバーにウインクしながら舌を可愛く出していた。
「「これ…何?」」
私、桜内梨子はダイヤさんから渡された長方形の箱に千歌ちゃんと一緒に1つづつ入っている。
「それでこの海の家にお客を呼ぶのですわ!聞けば去年も売り上げで隣に負けていたそうではありませんか。今年は私達が救世主となるのですッ!!」
「「きゅ…救世主!!」」
屋根の上でふんぞり返っているダイヤさんの“救世主”と言うワードに私達2人の声がハモる中、店内の掃除と外観のリフォームを終えたハルキ君が私達に合流した。
「な…何スか2人共、そんなガラオンみたいな格好をして。」
キョトンとする千歌ちゃんにハルキ君が店内のレジ横に置いてあるユカさんお手性の貯金箱を見せる。
「ホントだ…。私達の側面4つだけど。」
「ダイヤ、どうしてこんなに熱くなってるの…?」
「ちょっと昔色々あって…。」
善子ちゃんのダイヤさんに対する疑問にルビィちゃんが深堀するなと言わんばかりに話をはぐらかす中、ダイヤさんが屋根から大ジャンプをして果南さんに詰め寄る。
「さあ、果南さんとハルキさんはこのチラシを!商売もスクールアイドルも大切なのは宣伝!!」
ダイヤさんが果南さんに宣伝用のチラシを押し当てる。押し当てるのは良いが胸に当てないでください。ハルキ君がチラ見してるから…。
「ハルキさんのバッキバキに割れた腹筋と貴女のそのグッラ〜〜マラスな水着姿でお客を引き寄せるのですわ!他の砂利共では女の魅力に欠けますので。」
おっさん臭いセリフを言うダイヤさんに若干引き気味な果南さん。
「なんか顔が怖いんだけど…。」
果南さんの正直な感想と千歌ちゃんの「砂利ってなあに?」の疑問に
「知らない方が良いと思う…。」
と答える私。
「果南ちゃんとは真逆の“スパーン”ぬああああっ!尻があああっ!!」
相変わらずデリカシーが無い事を言い出すハルキ君のお尻を、足だけは自由に使える私が思いっきり蹴り飛ばし悶絶させる。
「ううっ、思いの外キレイに決まりすぎて足痛い。……もしもし、こちら桜内梨子です。ハルキ君がたった今セクハラ発言をしてました。ビーチでの異変はありません。」
【了解!こちらも異常無しで〜す。ハルキには3人分の海の家の料理を時間が空いたら持ってくる様に伝えておいて。】
悶絶しているハルキ君の変わりに、自身の足を抑えて片足で飛び跳ねる私が定時報告を入れ、ユカさんからの言伝てを彼に伝えておいた。
「そして鞠莉さん、曜さん、善子さん!」
「ヨハネ!!」
善子ちゃんのお決まりの返しをダイヤさんがスルーしながら3人には料理を担当して貰うと分担を割り振る。
「都会の方々に負けない料理でお客のハートを鷲掴みにするのですわ!!」
グッとガッツポーズをするダイヤさんの熱気に当てられ、3人もテンションがみるみる上がっていく。
「面白そうだね!」
「堕天使の腕の見せ所!」
「それじゃあLet's cooking!!」
3人の右手を重ね、ガッツポーズをすると猛スピードで料理を作り始めた。
「よっ!ほっ!!」
手慣れた様子で焼きそばを作りながら同時進行でオムレツを焼いていく。
「美味しいヨキソバ!ヨーソロー!!梨子ちゃん食べてみる?」
オムソバならぬ、曜ちゃん命名ヨキソバが完成し私が味見をする事に。
「んん!?美味しい!これは…売れるわよ曜ちゃん!!」
程よく塩が効いた焼きそばとオムレツがマッチしてとても美味しい。その傍ら…
「クックックッ…。堕天使の涙……。」
善子ちゃんが不気味な笑みを浮かべながらたこ焼き器で真っ黒い何かを作っている。ダークマターか何かなの!?
「フッフッフッ…。シャイ煮……、コンプリート。」
鞠莉さんに至っては寸胴鍋で紫の湯気を浮かばせながら堕天使の涙に勝るとも劣らない邪悪な何かを作っている。二人共、心成しか恍惚な顔で作るから曜ちゃんがヨキソバを持ちながら引きつった笑みを浮かべて立ち尽くしていた。
「………あっ、曜ちゃん!私客引きがあるからそろそろ外に出てるね〜!!」
私はこの空間から逃げ出すようにそそくさと飛び出し千歌ちゃんと合流する。
「ああっ!待って、頼むからここに居てよ〜〜!!」
もう半泣き状態の曜ちゃんを私は見捨て、ダイヤさんに“一応”料理は出来上がった事を伝える。
「さあ!これで客がドバドバと…!!」
店頭にはダイヤさんと、彼女の命令でブルーシートの上でグラビアアイドルみたいなセクシーポーズを取る果南さん、ボディビルのポーズを取るハルキ君と突っ立っている私と千歌ちゃんと鞠莉さん以外に人っ子一人居ない状態だった…。
「なんで誰も来ないんですの!?」
愕然とするダイヤさんの背中に「こんにちは〜」とお客の声が木霊する。
「あっ、は〜い♡」
私達に青筋を立てて当たり散らしていた先ほどとは打って変わって営業スマイルをするダイヤさん。
「ここが千歌達がやってる海の家?」
「私ヨキソバ〜!」
同じクラスのよしみちゃんやむっちゃん、クラスメイトがほぼ全員来てくれてどうにか客は入りそうな様子になってきた。
「皆に電話したらすぐ来てくれたよ!」
千歌ちゃんが事前に電話をしてくれた事を告げそれを聞いていた果南さんと鞠莉さんがダイヤさんを見ながら爆笑する。
「最初からこうすればよかったんだね!本当ダイヤのお馬鹿さん。」
「本当、お・ば・さ・ん!」
「一文字抜けてますわ!!」
鞠莉さんの明らかにわざとな煽りに激昂したダイヤさんだったが初日としては上々な売上だったらしく、何とか黒字に抑えることは出来た。
海の家の手伝いも終わった夕方に私、高海千歌はAqoursのメンバーとハルキ君とで特訓を行っている。
「流石にお店の後だとちょっとキツイね!」
「そうッスね。でも昼間よりかは暑くないし、全然イケるッスよ!」
果南ちゃんとハルキ君が若干息を上げつつもランニング15kmを走り切る中、それ以外の私達は砂浜の上で突っ伏し全滅してしまっていた。
「こ、こんな特訓をμ'sはやっていたのですか…。」
「す、凄すぎる……。」
ランニングは一旦終わったが、流石に日も傾いたこの時間帯に遠泳は不可能とハルキ君に咎められ陸地で出来るトレーニングをする事になった。このまま泳ぐと私達の誰かが本当に海に沈みそうだし…。
「次は体幹をきちんと鍛えるよ。」
果南ちゃんの指示の元、ハルキ君がタイマーをセットし私達は体幹トレーニングを行う。
「今こそ…我が身に……うっ!!」
腕の感覚が無くなった善子ちゃんがバランスを崩し、私と花丸ちゃん、ルビィちゃんが将棋倒しの様に立て続けに上に乗っかってしまう。
「おいおい、大丈夫ッスか!?」
ハルキ君が心配して倒れた4人を救助しながらも、その様子を何処か楽しそうに梨子ちゃんが笑っている。
“ザッバーー!!”
「ううっ…冷っこい!!」
今日の練習も終わり皆で体に付いた砂をルビィちゃんが珍しく方言丸出しで水を引っ被りながら呻く。
「全く…お湯は無いんですの!?」
「何贅沢言ってんスか?」
ハルキ君は寒さを全く感じさせずダイヤさんに正論をかます。
「ハルキ君はなんでピンピンしてるの〜?」
「寒稽古とか毎年やってるからこの位余裕ッスよ。」
「流石武道経験者…。」
私の疑問に即答したハルキ君に梨子ちゃんも関心の声を上げる。
「それにしてもμ'sって凄い特訓してたんだね!」
ルビィちゃんが今回の過酷な特訓を憧れのスクールアイドルがやっていた事もあり増々μ'sの株を上げている。確かにハードな特訓を二日間やりきったであろう彼女達は正にレジェンドだ!
「アンタ達!他のお客さんに迷惑だから絶対騒がしくしちゃ駄目だからね?」
「分かってる〜!」
「オッス!」
美渡姉に釘を刺され騒がしくしすぎないように私が全員に再度忠告する。そんな中鞠莉ちゃんとハルキ君の腹の虫が盛大に鳴る。
「アイムハングリー!ご飯まだ?」
「そうッスね!俺も腹減っちゃって…。」
もうご飯時だし皆で食べようと海の家に戻った私が苦言を呈する。
「それが…。シャイ煮と堕天使の涙全く売れて無くて……。美渡姉が余った食材は自分達で処分しなさいと。」
「そんなに余ったの!?」
梨子ちゃんの問いに私は後ろの余り物を顎でしゃくり有様を見せる。机を埋め尽くすシャイ煮と堕天使の涙…。
「ヨキソバは見当たら無いッスね?」
察しが悪いハルキ君にも分かるように
「ヨキソバだけは予想の3倍売れて、これだけで余裕の黒字になりました。」
「お、オッス…。そうだ、ストレイジの皆からも好評だったッスよ!」
私の売上の結果とストレイジのメンバーからの素直な声に曜ちゃんが頭を掻きながら照れる傍ら、善子ちゃんと鞠莉ちゃんが綺麗に腰を90度曲げて謝罪をする。
「「申し訳無い!」デース!」
ハルキ君が2人に「ドンマイ」とフォローを入れる中、ルビィちゃんと果南ちゃん、花丸ちゃんが二品の味が気になっている様子であった。
「それってどんな味がするんですか?」
「ちょっと興味あるね!」
「マルも食べてみたいズラ!!」
3人のその言葉を待ってましたと言わんばかりに善子ちゃんと鞠莉ちゃんが頭を上げ猛スピードでシャイ煮と堕天使の涙を温め直す。
「急に元気になったッスね…」
ハルキ君がガラオン貯金箱を弄くりながら突っ込む中、全員の眼の前に二品が並べられる。
「「さあ、召し上がれ!!」」
「「「「「「「「い、頂きます…。」」」」」」」」
先ずは紫色の煮物、シャイ煮を恐る恐る食べる私だったがとても美味しく、全員がガツガツ食べている。
「シャイ煮美味しい!!」
「でも一体中に何が入ってるの…?」
「おおっ、アワビ入ってるじゃないッスか!」
「お代わりズラ!!」
梨子ちゃんがアワビを器用に箸で掴みながら疑問を口にする。
「フッフッフッ…。シャイ煮は私が世界から集めたスペシャルな食材で作ったアルティメット料理デース!!」
鞠莉さんがババーン!と具材のラインナップを公開する。真鯛やズワイガニ、アワビにサザエ、伊勢海老に一番目を引くマンボウまで入っている!!
「で、一杯いくらするんですの……?」
ダイヤさんの素朴な質問に鞠莉さんが
「さあ?10万円くらいかな?」
“ブッ!!!!!!”
このアホみたいな金額を知ったハルキ君以外のシャイ煮を食べた全員は盛大に…噎せ返った!!
「じゅ、10万!!??」
「高すぎるよ!!」
花丸ちゃんが絶句する中、私が鞠莉さんに対し盛大に突っ込む。
「ハルキさんは何でそんなにガツガツ食べれるのです!?」
何食わぬ顔でシャイ煮を食べ進めるハルキ君にダイヤさんが驚きと疑問が入り混じった声を上げる。
「いや〜、だって鞠莉さんッスよ?高い食材用意するに決まってるじゃ無いッスか。一人暮らしの身だから有り難く食べないと…。」
当たり前の様にニ杯目を鞠莉さんから貰い、シャイ煮を食べ進めるハルキ君。そうだった、思い返して見れば我夢さん達とバーベキューをした時も普段中々食べれない食材ばかり出てたんだった…。
「ハァ~、これだから金持ちは…。」
「ハハハ…。次は堕天使の涙を。」
果南ちゃんが軽くため息を付く中、ルビィちゃんが善子ちゃんが作った堕天使の涙を口の中に放おる。
「………。」
無言が続き、ハルキ君だけがシャイ煮を食べる咀嚼音だけが異様に大きく聞こえる様な気がする。この堕天使の涙も、もしかしてビックリする位美味しかったりするのだろうか…。
「ル、ルビィ…?」
無言が続く中ダイヤさんが声を掛けた瞬間、ルビィちゃんが顔を真っ赤にしながら汗を吹き出しダッシュで浜辺に向かって駆け出した。
「ピギャー!辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛いっ!!!」
“モグモグ…。”
食べ続けるハルキ君を余所にルビィちゃんの反応と机の堕天使の涙を見た全員が若干顔が青くなる。
「ちょ、ちょっと!一体何を入れたんですの!?」
ダイヤさんがドヤ顔をしている善子ちゃんに問い詰める。
「タコの変わりに大量のタバスコと唐辛子で味付けをしたこれぞ“堕天使の涙!!”」
皆が堕天使の涙をちびりちびりと食べる中、善子ちゃんだけがこれを躊躇無く一口で食べる。激辛が好きなのは練習の合間に聞いていたけどまさかこれ程とは…。
「そうだ千歌ちゃん、歌詞は進んでる?」
私達2年生組が食べ終わり梨子ちゃんが作詞の進行状況を聞いてくる。
「う〜〜ん、中々ね……。」
「難産みたいだね。」
色々取り入れたいワードはあるけどそれを歌詞にしようとすると中々良いものが出来上がらない。
「作曲はどうッスか?」
ハルキ君もお腹が満腹になったのか話に加わり梨子ちゃんに聞くも、色々考えているけど歌詞のイメージから取り入れたい為、なるべく早く歌詞を作らなければいけない事を自覚する私。
「ごめんね、毎回待たせちゃって…。」
「良い曲にしたいッスね。俺には作詞も作曲も衣装を作る事も出来ないけど、何か力になれる事があったら3人とも遠慮無く言って下さい!」
ハルキ君の言葉に私達は頷きやVサイン、敬礼等、三者三様で返事をする。そこからは皆で余った品を皆で摘まみながら、善子ちゃんと花丸ちゃんがカードゲームをしている様を応援しながら楽しんでいる。
「クックック…、この如何なる効果も受け付けない最強の黒き羽が居る限り私の勝ちは揺るぎないわ。」
「じゃあそれを生贄に捧げ光の怪獣を召喚して、開○の使者を召喚するズラ。」
「……えっ!?」
いとも簡単にモンスターを引き離され、善子ちゃんが半ば現実逃避に近い様な声を上げる中、花丸ちゃんのターンはまだ続く。
「墓場に闇が3体いるからこれを召喚して特殊効果で光の怪獣を破壊するズラ。そして全員で攻撃。」
フラグを立てまくった善子ちゃんを瞬殺した花丸ちゃんが勝利の万歳をする横で果南ちゃんが驚嘆の声を上げる。
「千歌ちゃ〜んソース切れちゃった!」
ゲームの観戦をしている私に曜ちゃんが堕天使の涙とヨキソバ改良する為のソースが足りなくなってしまい、家から取って来る事にした。
「ピアノコンクール?」
玄関前で志満姉の声が聞こえ、梨子ちゃんのお母さんと話をしているのを偶然聞いてしまった。
「ええ。案内が来たらしいんだけど、あの子出るとも出ないとも言っていなくて…。」
私も初耳のワードだったが海の家で待っている曜ちゃんを待たせちゃ悪いと思い、この事を頭の隅に置きながら自宅のソースを持って出たのだった。
私の部屋で全員(ハルキ君以外)布団を敷き雑魚寝をしながら玄関前で志満姉と梨子ちゃんのお母さんが話していたピアノコンクールについて携帯で調べてみる。
「zzz…美味しそうなマシュマロデース……。」
「ううっ…。」
「イヒヒッ…。」
鞠莉ちゃんに引っ付かれている果南ちゃんがうめき声を上げている横でユカさんから貰った鮫怪獣の寝袋に入っている善子ちゃんが不気味に笑っている。
「ピアノコンクール…、この日ってラブライブ予備予選と同じ日?」
携帯のメモに登録してあるラブライブ予備予選の日時を再確認するとやはり同じ日であり、梨子ちゃんはどっちを選ぶんだろうと無性に気になってしまう。
「梨子ちゃん?うわっ掛け布団全部余所に行ってるよ……。」
相変わらずの寝相の悪さに若干引きつつも梨子ちゃんを起こすためほっぺたを弄くりイタズラをする。
「梨子ちゃ〜ん?あれ起きない…。梨子ちゃ〜〜ん?」
耳を摘んだりブタ鼻にしたりしても全く反応せずお腹や横腹を揉みしだいた時にやっと気づき物凄い形相で睨みつけられた…。
「ウヒヒッ…。千歌ちゃん…何してるの。」
「ヒッ…!ごめんなさい。」
擽られ、笑った顔の直後に凄まじい怒気を含んだ顔に私は即謝罪し少し話がしたいと言って浜辺に誘う。
「釣れないッスねぇ…。ん?おーい!」
浜辺で釣りをしているハルキ君に声をかけられ、梨子ちゃんもマネージャーのハルキ君にも伝えておきたいとの事もあり、3人分の釣り竿を用意して貰いピアノコンクールの事を話す事にした。
「ピアノコンクールとラブライブ、同じ日だけど心配しないで…。ちゃんとラブライブに出るから。」
梨子ちゃんも初めてピアノコンクールの案内が来た時はちょっとビックリしたみたいで、チャンスがあったらもう一度出たいとも思っていたそうだった。
「合宿が始まって皆と過ごして…。ここに引っ越してきて浦ノ星に通って、怪獣が出て怖い思いもあったけど、スクールアイドルが自分の中でどんどん大きくなっていった。」
Aqoursの活動も楽しくて私やハルキ君の出会いに感謝をしてくれた。
「自分に聞いてどっちが大切なのかがすぐに答えが出た。今の私の居場所はここなんだって…。」
Aqoursを大切に思ってくれる気持ちが凄く嬉しかった。彼女にとってピアノも同じくらい大切な筈なのに…。
「そっか…。」
「……。」
返す私と無言のまま笑顔で口角を上げるハルキ君に梨子ちゃんが笑いかける。
「今の目標は今までで一番の曲を作って予選を突破する事。それだけ…。」
梨子ちゃんの決意を聞いた私は彼女の意見を尊重し
「梨子ちゃんがそう言うなら私は…」
「だから早く歌詞下さい。」
尊重すると言おうとした際、歌詞の催促を促され今言うか?とお互い吹き出してしまう。
「歌詞が無いといい曲出来ないんだからね?さあ、風邪引くといけないから早く寝よう。」
私とハルキ君に戻ろうと声を掛けるも彼だけはまだ釣りを楽しみたいとの事だったからここに残るみたいだった。
『ハルキ…千歌と梨子が話している時、一言も口を開かなかったけどどうしたんだ?』
俺、夏川ハルキは梨子ちゃんのピアノコンクールの事を聞きながらAqoursのマネージャーとして彼女の決断が本当に後悔しない選択なのか分からないでいた。
「Zさん、梨子ちゃんはああ言ってますけど本当にいいんスかね?」
『どういう事だ?』
せっかく自分の中で足踏みしていたピアノへのスランプを克服できる機会があるのに、それを見送る事が本当に彼女の中で後悔しない道になるのだろうかと思っている。確かにマネージャーとしては皆でラブライブに出ることが正解なのだろう。でも梨子ちゃん自身が本来やりたかった事や乗り越えたいかも知れない壁を放棄してしまってスクールアイドルを続けることが正しいのだろうか…。俺の思いにZさんも首を捻りながら考えるも答えは出ず、2人で悶々と唸ってしまう。
「梨子ちゃんがコンクールに出場したとして昔のトラウマが出てしまった時、もしそれを克服できるかどうかで彼女の心が良い方にも悪い方にも転がってしまう気がして…。」
克服出来た時は笑顔で帰ってくる筈だ。信用していない訳では無いが克服出来なかった時、彼女はきっと笑顔にはならない。優しい梨子ちゃんが皆の為に心を擦り減らして作曲をしてしまう事は絶対にしてほしく無いし、誰もその事を望んではいないだろう。
「千歌ちゃんが前言っていたんス。皆を笑顔にするのがスクールアイドルだって。俺はステージには立てないッスけど、少なくともメンバーの皆くらいは笑顔にしたい…。」
俺一人の発言で危ない橋を渡らせ笑顔を奪う真似だけはしたく無い事は確かだった。
「梨子ちゃんとダンスの相談するけど千歌も来る?」
合宿2日目の昼に果南ちゃんからダンスの相談を持ちかけられた私、高海千歌はハルキ君と一緒に梨子ちゃんの家で作戦会議をする事にした。
「大切な物?」
「それが歌詞のテーマ?」
梨子ちゃんに私の今回の歌詞で伝えたい物を上げ、ダンスの振り付けも同時進行で進ませる。まだ出だししか完成していないから早めに作りあげて皆と負担を減らしてあげたいとは思うのだが…。
「大切な物……。」
梨子ちゃんが一瞬、何か思い詰めた顔をして自室の机にある紙に視線を向ける。そこには“海に還るもの”と書かれた楽譜が置かれていた。
「(あの歌詞…。)」
海の音が知りたいと言ったあの日の事を思い出す。そもそも梨子ちゃんは曲を作る為、この内浦に来た事も…。
「梨子ちゃん、梨子ちゃんも読んでみて?」
果南ちゃんの声に梨子ちゃんも反応し、私達4人は歌詞とダンスを同時進行で時間が許すまで進めていった。
「千歌ちゃん…、晩飯前にちょっとだけ相談があるんスけど?」
作詞とダンスの粗方の目処が付いた夕方、ハルキ君から相談を持ちかけられた私は自室で少しの間話を聞くことにした。
相談を受けそれを2人の間で解決した後、海の家で善子ちゃんと鞠莉ちゃんがガックリと肩を落としている所を見た私は今日の売上を何となく察してしまった。
「今日も売れなかったんスか?シャイ煮唐堕天使の涙…。」
「駄目!そんな事言ったら。」
ハルキ君の傷口に塩を塗る様な発言を静止していると厨房から曜ちゃんが「出来た!!」と声を上げる。
「自信作!船乗りカレーWizシャイ煮と愉快な堕天使の涙達。」
シャイ煮と堕天使の所を鞠莉ちゃんと善子ちゃんの声真似をしながら皆の前に凄い見た目のカレーを置く。
「凄い見た目…。」
「ううっ、ルビィ死ぬかも…。」
果南ちゃんの率直な感想に、昨日堕天使の涙を食べて酷い目にあったルビィちゃんが絶句する。
「じゃあ梨子ちゃん!召し上がれ!!」
曜ちゃんが梨子ちゃんに毒…味見をさせ、梨子ちゃんが恐る恐るカレーを口の中に入れる。
「んん!?美味しい!!」
「「えっ!?」」
梨子ちゃんのその言葉に善子ちゃんと鞠莉ちゃんがいち早く反応し二人共とそそくさと食べている花丸ちゃんと一緒にカレーを掻き込む。
「OH!デリシャス!!」
「パパから教わった船乗りカレーは何にでも合うんだ!」
鞠莉ちゃんがほっぺたを押さえて絶賛する中、お父さん直伝の料理に曜ちゃん自身もご満悦の様子だった。
「これなら明日は完売ですわ……!」
そろばんを弾きながらガラオン貯金箱を回転させ、ダイヤさんが邪悪な笑みを浮かばせている。この味なら確かに完売は確実だろう。
「ではこれから、ラブライブの歴史とレジェンドスクールアイドルの講義を行いますわ!」
カレーを食べ、温泉に浸かって私の部屋で布団を敷こうとした時、ダイヤさんからラブライブの説明をするから全員正座をしろと言われる。
「今からするの…?」
「うわぁ!!」
「そこ!カードを収める!!」
「「「すみません」」ズラ!!」
早く寝させろと言わんばかりのリアクションの果南ちゃん、嬉しそうなルビィちゃん、ダイヤさんに叱られ謝罪をするハルキ君、善子ちゃん、花丸ちゃんを横で見ながら講義が始まる。
「大体貴女達はスクールアイドルで有りながらラブライブの何たるかを知らなすぎですわ。」
先ずはA-RISEの誕生からとこれから長くなりそうな予感がしたが、微動だにしない鞠莉ちゃんに不信を持ったダイヤさんが彼女の眼前で手を振る。
「鞠莉さん、鞠莉さ〜ん、聞こえてますか?」
その時鞠莉さんの目が剥がれ落ちダイヤさんが絶叫を上げる。
「ピ…ピギャーー!!」
「…これシール貼ってるだけッスね。」
気絶するダイヤさんをハルキ君が抱え、隅に寄せた時、後から寒気がした私は襖を振り返る…。
“静かにしろって言っただろ!?”
美渡姉が片目でそう訴え眼光をギラつかせている。
「ヒッ…!今日はもう遅いから寝よう!」
「遅い?まだ9時だよ!?」
曜ちゃんが早すぎるでしょ?と言わんばかりの反応に、私が圧を掛けて言いくるめる。
「今日は早く寝ないと旅館の神に尻子玉抜かれるんだよ!!」
「よ、ヨーソロ…。」
曜ちゃんを黙らせハルキ君を除いた女子全員が猛スピードで布団を敷いて就寝をした。
スクールアイドル講義が一瞬で終わり早めの就寝をした私、桜内梨子とAqoursのメンバー達。
「目が…目がぁ……。」
「ウヒヒ……。」
「柔らかい怪獣デースzzz」
「ウウッ…アハハハッ……zzz」
呻くダイヤさん、笑う善子ちゃん、鞠莉さんに抱きつかれ、苦しげに悶えと笑い声を上げる果南ちゃんの四重奏のせいで中々寝付けないでいた。
「梨〜子〜〜ちゃん!」
「コラ……。」
昨日と同じ様に悪戯を仕掛けようとする千歌ちゃんを眼力で黙らせる。
「はい…。少しお願いがあるの。」
「こんな夜中に何処行くの?」
外に連れ出された私に千歌ちゃんは「良いから良いから!」と軽くスルーされながら今ではお馴染みとなった海の家に向かう。
「オッス!来たみたいッスね。」
「ハルキ君!?」
軽く敬礼をしながらハルキ君が出迎える中、海の家の中にある一台の大きなピアノを丁寧に拭いている。
「ハルキ君に頼んでもらったの。考えてみたら聞いた事無かったなって…。」
するといつの間にか千歌ちゃんの手には私がコンクールの為に作曲した楽譜があった。
「(いつの間に持ち出したのよ…。)」
私が疑問に思う中、ここなら人も居ないから弾いて欲しいとの事であった。
「梨子ちゃんが考えて、悩んで、一生懸命気持ちを込めて作った曲でしょ?聞いてみたくて!」
「少しだけでいいッスから。お願いします!」
そんないい曲じゃ無いと思いながらも鍵盤の前に立ち音を奏でる。人前で弾くのは本当に久しぶりだったが、演奏する間に気分も乗り最後までミス無く終える事が出来た。
「いい曲だね。」
「本当ッスよ…。」
率直な感想にむず痒さを覚えながらお礼を言う私。
「凄く良い曲だよ。梨子ちゃんの思いがいっぱい詰まった…。」
あの曲を完成させるのに随分時間がかかったと思いながら3人で空に浮かぶ月を見ている。その時2人がお互いの顔を見合わせ私にある事を告げた。
「梨子ちゃん、昨日の話を聞いて俺達思ったんスけど。」
「……ピアノコンクールに出て欲しい。」
昨日ラブライブに向けての決意を告げたのに2人共何を言ってるのだろうと困惑と若干の怒りを覚えた私だったが2人の思い詰めた顔を見て何かを言うことが出来ないでいた。
「こんな事言うの変だよね…。滅茶苦茶だよね…。」
「すんません、梨子ちゃんもラブライブに向けていい曲作って予選を突破するって言ってくれたのに。」
絞り出す様に声を出す2人に「私が一緒じゃ…嫌?」と投げ掛ける。
「違うよ!一緒が良いに決まってる!!」
力強く即答する千歌ちゃんがどうしてこの提案をしたかを教えてくれた。
「スクールアイドルを続けて梨子ちゃんの中にある何が変わって…、またピアノに前向きに取り組めたら素晴らしいなって!」
ハルキ君も頷きながら
「余計なお世話かも知れないッスけど、やりたかった事や越えたかった壁を乗り越えるチャンスがあるのにそれを捨ててまでラブライブに出ることが本当に正しいのかって、昨日の話を聞いて思ってたんス。」
「でも……。」
昨日言ったように予選を突破してその先にある0を1にしたい。それを思うとラブライブに出る事が一番大切な事の筈だ。
「この町や学校や皆が大切なのは分かるよ。私もハルキ君も他のAqoursの皆もそうだもん。でも梨子ちゃんにとってピアノは同じ位大切な物なんじゃ無いの?その気持ちに答えを出してあげて…。」
「俺はライブを見に来てくれた人の前に、このAqoursの皆が笑顔になって欲しい。勿論梨子ちゃんも。でも…。」
言い淀むハルキ君に代わって千歌ちゃんが続きを話す。
「もし、もしだよ?梨子ちゃんがピアノコンクールにハルキ君の一存で出て、失敗してしまったら笑顔になれないしそのせいで梨子ちゃんの心に傷を付けてしまうんじゃ無いかと思ってたから昨日思っていても言えなかったみたい…。」
2人考えに納得をした私はもう一度考えてみる。ピアノのスランプから抜け出す為に内浦に引っ越して来て、そのチャンスが今巡ってきた。でもラブライブと同じ日にコンクールも開催される事を知った時、心の何処かであの日のトラウマがまた出てしまってピアノに対する熱意が冷めてしまう事が怖かった。本当はあの日の出来事を乗り越えたい筈なのに…。
「私、待ってるから。何処にも行かないって…。ここで皆と待ってるって約束するから!」
「俺もッスよ。どんな結果になったとしても誰も離れないし否定もしない。梨子ちゃんには笑顔でいて欲しい。俺は皆も…梨子ちゃんを笑顔にしたい!!だから…。」
2人が手を差し伸べ思いの丈をぶつける。優しい2人の気持ちを知った私の目には思わず涙が溢れていた。
「本当、変な人達…。」
手を取り、そのまま2人を思いっきり抱きしめる。もう涙でぐしゃぐしゃになり、嗚咽を漏らしながらも一言しっかり伝えた。
「大好きだよ…!」
ハルキとAqoursのウルトラナビ!
ハルキ 「今回紹介するのはエリ巻恐竜ジラース」
Z 『首にある大きな襟巻きが特徴の怪獣で本編ではセレブロがテレスドンを強化してしまったぞ!』
千歌 「湖に潜んでいた怪獣でウルトラマンと戦った怪獣だよ。それ以降は出現していないみたいだけどまた出て欲しいな〜!」
ハルキ、Z、千歌 「『「次回もお楽しみに!!」』」