ラブライブ!サンシャイン!!×ウルトラマンZ~遥かに輝き!0から1へ!!   作:ワーラー

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第30話 はばたきのとき 前編

ラブライブ予備予選も無事終わった翌日の朝、松月の目の前で予選結果を待っていた私、渡辺曜とAqoursのメンバー。

「まだ分からないの?」

「全く…どれだけ待たせるんですの!?」

私の携帯を見ながらソワソワする黒澤姉妹。

「あああっ!こういうの苦手なんだよ!!」

果南ちゃんも焦らされる事にイライラしてしまい、海岸を走っていこうとする。

「結果出たら教えるねー!」

「いいよ、別に聞きたくない!」

千歌ちゃんが後で教えると言うも結果を知りたくない果南ちゃんだが、結果が分からなくても良いのかを問われると「それも嫌!」と首を横に振る。

「(うわっ面倒くさっ…。)」

内心そう思いながら外に置いてある自販機でジュースを買い自分も落ち着かない気持ちを一旦抑える。

「あんまり食べてると太るよ?」

隣でパクパクとパンを食べている花丸ちゃんが気になるのか鞠莉ちゃんが太る事を忠告するも、本人曰く食べていないと落ち着かないとの事で今も尚食べ進めている。

「リトルデーモンの皆さん、この堕天使ヨハネとAqoursに魔力を、霊力を…!全ての……力を!!」

善子ちゃんに至ってはアスファルトに鋼の錬○術師みたいな錬成陣と蝋燭を立てた中心で祈願をしているが、真横を通過した大型トラックの風圧でお約束の様に全部の灯が吹き消されてしまった。

「消すなーーーーッ!!」

「ううっ、不吉なんだけど善子ちゃん…。」

絶叫する善子ちゃんの端で涙目になりながら呟くルビィちゃん。皆の不安がピークに達しそうな時、やっと予備予選通過グループが発表された!

「来たっ!!」

その言葉に全員が私の周りに集まり携帯を見つめる。

「ううっ、緊張する…。」

千歌ちゃんの険しい顔を横目で見ながら私も画面を見つめていたが

「Aqoursのアですわよ?ア!ア!!ア!!!」

とダイヤさんが私の頭を抑えて圧を掛けていた。

「あああっ!頭押さえないで!!通過グループは【イーズーエクスプレス】…。」

Aqoursのアの字も無いグループ名に私達全員が肩を落とし打ちひしがれる。

「嘘…。」

「落ちた……。」

果南ちゃん、千歌ちゃんの死人の様な声を聞きながらサイトを閉じようとした時、画面に映っている※マークを注視する。

「あっ、エントリー番号順だった…。」

皆がギャグ漫画みたいにずっこけるも気を取り直してAqoursの名前を探していく。頭から探して4番目に……。

「Aqours…。あった!あったよ!!」

皆が手を上げ、喜びながら私も外のベンチに腰掛ける。これで千歌ちゃんも梨子ちゃんとの約束が果たせたし、私達も次のステージで歌える。

「いや〜、ホッとしたホッとした!さあハルキ君にも報告しよう!!」

ストレイジにいる彼に今回の結果を報告する為、予選通過の結果をスクリーンショットした。

 

 

 

 

ストレイジでのブリーフィングを終え蛇倉隊長から早く皆の所に行ってやれとの指示を受けた俺、夏川ハルキは部室の机を占領している舟盛りに言葉を失っていた…。

「さあ、今朝取れたばかりの魚だよ!皆食べてね!!」

果南ちゃんが用意してくれた魚を早速頂く。

「いやあ旨いっす!捕れたてはやっぱり身が締まっていて…!!」

ブリーフィングが終って美味しいものを食べる。これだけで沼津にいて良かったと心底思っていたのだが…。

「…何でお祝いに刺身?」

千歌ちゃんが果南ちゃんに問うも

「だって干物じゃお祝いっぽく無いかなって…。だから急いで捕れたての魚用意してきたの!!」

ドヤ顔で、褒めていいよ!とアピールをする果南ちゃんに千歌ちゃんと花丸ちゃんが引きつった笑みを浮かべる。

「千歌ちゃん、刺身嫌いなんスか?」

あんまり嫌いな食べ物が無かった覚えがあるが一応聞いてみる。まあ刺し身が苦手でも8人も居れば大きな舟盛りでもあっという間に平らげるだろうと思っていたが

「嫌いじゃ無いけどそれ以外に他にもあるでしょ?夏みかんとか!」

「パンとか!」

自分の食べたいものを挙げる千歌ちゃんと花丸ちゃん。

「嫌…その二品じゃ刺し身の方が絶対いいッスよ!」

「そうそう!鮮度が落ちない内に早く食べよう。」

皆が刺し身を口に運びその味を絶賛する中、ルビィちゃんがノートパソコンを抱えながら猛ダッシュで部室に駆け込んで来た。

「見てください!PVの再生回数が…!!」

そこに表示されていた再生回数はなんと約16万。前回よりも文字通り桁違いの数字を叩き出していた!

「ええっと、前回が大体5万再生だった気がするから……。」

「3倍も増えてるズラ〜!!」

俺と花丸ちゃんが驚きで口をあんぐり開ける中、ルビィちゃん曰コメントも沢山書き込まれているとの事で

「可愛い…。」

「全国出てくるかもね。」

「これはダークホース!!」

と花丸ちゃん、ダイヤさん、果南ちゃんがコメントを読み上げる。

「良かった。今回は0じゃ無くて…。」

「そりゃそうでしょ?予選突破したんだから。」

曜ちゃんが東京での結果と同じにならなくて良かったと安堵する中、善子ちゃんが当たり前だろと突っ込みを入れる。

「まあ少なくとも、これで0だったものが1に出来た…。あの姉妹も少しは俺達の事を見直すんじゃないんスか?」

東京でAqoursを散々コケにしてくれたSaint Snowの事を思い出す。自分の携帯であの姉妹の最新楽曲の再生数を見たところ、俺達の方が上だったし、暫くは大きな顔は出来ないだろうと踏んでいた。そんな時、千歌ちゃんの携帯から電話が鳴り応答する。

「もしもし?梨子ちゃん!」

どうやら梨子ちゃんから電話な様で、皆に聞こえるようハンズフリーにして携帯を机に置く。

「結果見たわよ?予選突破おめでとう!」

「ピアノの方は?」

千歌ちゃんの問いに梨子ちゃんもバッチリと言わんばかりの明るい声音で、無事に弾けた事を伝えられる。

「探していた曲が弾けた気がする…!」

「良かったね!!」

「おめでとうッス!」

俺も自身の壁を乗り越えた梨子ちゃんを激励し、曜ちゃんも次は一緒に歌おうと彼女に伝える。

「次は9人で一緒に歌おうよ!全員揃ってラブライブに!!」

曜ちゃんの提案に梨子も明るく肯定し電話を終えた皆の顔はとても晴れやかな表情だった。

『ハルキ、曜が梨子に持っていた蟠りは無くなったみたいだな?』

「(みたいッスね!)」

デスドラゴを倒した翌日から千歌ちゃんと曜ちゃんのダンスも彼女達らしい動きになっていたし、良い方向に傾いたのだろう。

「今年のラブライブで有名になって浦高を存続させる…。気合が入りますわ!」

「頑張ルビィ!」

ダイヤさんが浦高と書かれた扇子を広げ、ルビィちゃんと一緒に改めて気合を入れる。それを見ていた果南ちゃんも、学校説明会もバッチリやり切るしかないねと黒澤姉妹にサムズアップを送っていた。

「説明会?」

千歌ちゃんの疑問に鞠莉さんが9月に行うことをこの場で伝えた。

「きっと今回の予備予選で学校の名前もかなり知れ渡った筈!」

「当然ッスよ!きっと説明会に参加をする受験生がドバドバと…!」

「鞠莉、今どの位参加希望者がいるの?」

ダイヤさんの言う通り、予備予選突破のネームバリューはかなり多いものになると俺も踏んでいた。善子ちゃんが鞠莉さんに現時点での説明会の参加希望者を調べてほしいと頼み、彼女も機嫌良く本校のサイトを検索する。だがその笑顔は一瞬で崩れ、愕然とした表情を浮かべていた…。

「0……。」

「「「え?」」」

俺、ダイヤさん、善子ちゃんが半ば現実逃避に近い声でもう一度鞠莉さんに問いかける。だが回答はさっきと変わる事無く、現時点の参加希望者は0人だとはっきり告げられた。

「はああっ!?」

「嘘…、嘘でしょ!?」

この現実に部室の空気が凍り付き、俺とダイヤさんがもう一度よく見てくれと鞠莉さんに頼む。だが再度確認しても0のまま数字が変わることが無く

「0…。」

「1人も居ないって事…。」

千歌ちゃんと曜ちゃんの問いに頷く事しか出来ない鞠莉さんの顔は誰よりも悲壮な顔をしていた。

 

 

 

 

学校説明会参加人数が0という現状をどうしたら良いのかも分からず私、高海千歌は果南ちゃんの家のウッドデッキで曜ちゃんと話をしていた。

「東京のイベントでも0、学校説明会でも0。……また0かあ〜〜〜。」

雲一つない青空を仰ぎつつ、0という数字に呪われているのではないかと思う中

「入学希望となると話は別なのかな…。」

と、曜ちゃんも目の前にあるかき氷を突っつき、以前高山さんから貰ったエスプレンダーを型取った小物入れにあるラムネ菓子を食べながらぽつりと呟いていた。

確かにバス通学で山の上にあって、生徒も少ないという三重苦の高校だが良い所も沢山ある。Aqoursと同じ位、学校にも興味を持って欲しいのだけど…。

「だってあれだけPVが再生されてるんだよ?予備予選が終わった帰りだって…。」

 

 

予備予選が終わり皆で学校に帰ろうとした時2人の女子校生がAqoursに、正確には果南ちゃんとハルキ君に声を掛けてきた。

「あの、Aqoursの果南さんと…。」

「マネージャーのハルキさんですよね?」

女子高生の問い掛けに狼狽えながらも肯定する果南ちゃんと、対象的に「オッス!」と答えるハルキ君。

「「サイン下さい!!」」

色紙とサインペンを渡され増々オロオロする果南ちゃんと、何故か手慣れた様子でサインと端にセブンガーのポップなイラストを書くハルキ君。

その近くでは曜ちゃんが違う高校の女生徒とツーショットを撮り、また別の場所ではルビィちゃんに握手を求めるファンから逃げ回っていた。

「お待ちなさい。」

ルビィちゃんを追いかけるファンを姉のダイヤさんが静止し

「変わりに…私が写真を撮らせてあげますわ。」

「どちら様ですか…?」

「アッハッハ!全く認知されて無いじゃないッスか!アッハッハッハッ“バキッ!!”アアアッ!腹がっっ、鳩尾がああっ!!!!」

認知されていないダイヤさんに、サインを書き終え爆笑したハルキ君が彼女からボディブローを叩き込まれる中々にカオスな空間が生まれていた。

 

 

「って大人気だったのに…。」

「ダイヤさんとハルキ君の下りは要らなかったんじゃないかな…。」

私の回想に曜ちゃんがツッコミながら、これで生徒が増えなかったらどうすれば良いんだろうと考える。廃校が確実に決まってしまうのは明らかだ…。

「μ’sはこの時期には廃校を阻止してたんだよね?」

「えっ、そうだっけ?」

μ’sの話題を上げる曜ちゃんが、音ノ木坂を廃校から救っていた事を聞き私はビックリして聞き返す?

「うん、学校存続がほぼ決まっていたらしいよ。」

「そうなんだ…。」

憧れの人達と同じ時期に始めたのに何も変わらない学校の現状。一体私達には何が足りていないんだろう…。

「仕方ないんじゃ無いかな…?この学校でスクールアイドルをやるっていうのはそれ程大変って事。」

ダイビングから帰ってきた果南ちゃんが話に加わり私を励ます。

「店も今日は予約0。東京みたいに放っておいても人が集まる所じゃ無いんだよ。」

ラムネ菓子を噛りながら、今学校でダイヤさんと鞠莉ちゃん、ハルキ君を助っ人に入れた3人が学校説明会についての見直しをしていると告げられた。

「でも、それを言い訳にしちゃ駄目だと思う…。それを承知の上で私達はスクールアイドルをやってるんだもん!」

憧れのμ’sの様に輝きたいし、生徒も殆ど居ない廃校寸前だけど、大好きなこの学校を救いたいという強い気持ちがあるからこれまでスクールアイドルをやってきたのだから。

 

 

家に帰った私は、部屋に貼られているμ’sのポスターに目を向ける。初めて彼女達を見た時は自分とそんなに変わらないって思っていた。普通の人達が頑張った結果、輝いていたんだって思っていたのに…。

「何が違うんだろう…。」

リーダーの差なのか、普通と勝手に思っていただけでそもそもオーラが違っていたのか…。

「もう考えていても仕方がない。行ってみるか!ハルキ君は明日ストレイジの任務休みって言ってたし!!」

電話を掛けようとした時

「何処に?デートでも行くの?」

と私の真横で美渡姉が首を傾げていた。

「違うよ。ん?何で美渡姉が居るの?」

「何が違うんだろうって言ってた時から居たわよ…。」

今気付いたのかと言わんばかりの目で見られたが構うことなく皆に電話を繋げる。

「東京?」

曜ちゃんの問いかけを肯定し

「うん、見つけたいんだ。μ’sと私達の何が違うのか。μ’sがどうして学校を救えたのか、何が凄かったのか。それをこの目で見て皆で考えたいの!」

「そうッスね。それが分かれば学校を救える大きなヒントになるかも知れないッスから!」

「つまり、再びあの魔都に降り立つという事ね。」

ハルキ君も善子ちゃんも賛成し

「私は1日帰るのを伸ばせば良いけど…。」

梨子ちゃんが若干慌てた様子であったが全員東京に行くことに異論は無く、明日出発することに決定した。

「良し!後は…。」

私は携帯でスクールアイドルのサイトを開き、あるグループを見つける。話を聞くにはうってつけの人に…。

 

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