ラブライブ!サンシャイン!!×ウルトラマンZ~遥かに輝き!0から1へ!!   作:ワーラー

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第31話 はばたきのとき 後編

東京に行くことを決めた翌日に私、高海千歌とAqoursのメンバー一行は梨子ちゃんと待ち合わせをしている丸ノ内駅に到着していた。

「うわぁ…やっぱり東京は賑やかだね〜!」

相変わらずの人の多さと活気に感動する中、ダイヤさんが3年生と花丸ちゃん、ハルキ君に

「皆さん心をしっかり、負けてはなりませんわ!東京に飲まれないよう…!!」

上ずった声で4人に気をしっかり持つように檄を飛ばす中、ハルキ君と花丸ちゃんだけが律儀に「オッス!」やら「ズラ!」と返事をしている。

「大丈夫だよ!襲ってきたりしないから!!」

「あなたは分かっていないのですわ!東京がどれだけ恐ろしいかを…。」

宥める私だったが効果は全く無く、何故ここまで東京を敵対視しているのかをルビィちゃんに聞いてみる。

「お姉ちゃん、小さい頃東京で迷子になった事があったらしくて…。」

ごちゃごちゃに入り混じった電車の地図を見て号泣してしまったらしい。

「そういえば梨子ちゃんは?」

曜ちゃんが梨子ちゃんと合流できていない事を気にして尋ねるも、梨子ちゃんからはここで待ち合わせをしているとメールを見せる。近くに居るか探してみると、コインロッカーに強引に何かを詰める梨子ちゃんの姿を目撃した。

「梨子ちゃん?」

「うわっ!千歌ちゃん!?皆も…。」

狼狽えている梨子ちゃんも気になるがロッカーの中がパンパンになるまで何を入れていたのか気になった為、取り敢えず聞いてみる事にした。

「何入れてるの?」

「え〜っと…、お土産とか、お土産とか〜、お土産とか……。」

お土産というワードを聞いた私は条件反射の様に梨子ちゃんに急接近し見せてもらおうとする。みかん味のお菓子とか、東京にしかないスクールアイドルのグッズとかがあるかも知れないと思ったが、梨子ちゃんが驚いて落としたのは予想とは全く違う何かの本だった。

「アアアアアッ!!」

女の子が出しちゃいけない様な声を上げる梨子ちゃんが私の両目を塞ぎ視覚情報を強制的に遮断する。

「見えない!見えないよ!?」

「何でもない!何でもないから!!」

視覚を封じられた私が梨子ちゃん以外に微かに聞いたのはハルキ君と善子ちゃんが小さな声で何かを話していた事だった。

「何なんッスか…壁クイとか壁ドンって雑誌は?」

「詮索しないであげて。梨子の沽券に関わるから…。」

「オ、オッス…。」

コインロッカーにお土産?を入れた梨子ちゃんがいつもの笑顔を取り戻し目的地に行こうと発破をかける。

「行くって言っても何処に…。」

曜ちゃんの疑問に

「タワー、ツリー、ヒルズ?」

と鞠莉ちゃんが遊ぶ気満々の場所を提案していた。

「今日は遊びに来た訳じゃ無いんだよ!?先ずは神田明神に行くよ!」

私の提示した場所に「また?」とルビィちゃんが反応する。

「実は昨日“ある人に”連絡したら会ってくれるって!」

「「ある人?」」

花丸ちゃんとハルキ君の声がハモり私に誰が来るのかを問うも、話を聞くにはうってつけの凄い人という事だけは断言した。

「東京、神田明神…。」

「凄い人…?まさか!?」

ルビィちゃんとダイヤさんが想像を膨らませる。

「「まさか…!まさか…!!まさか…!!!まさか!!!!」」

 

 

「お久しぶりです。」

神田明神で待っていた凄い人が私達の姿を目にし挨拶をする。

「「「げっ!?」」」

その姿を目撃したハルキ君、梨子ちゃん、善子ちゃんはまるで会いたく無かった人物に再開してしまった様に顔をしかめていた。

「お久しぶりです聖良さん。」

そう、話を聞くにはうってつけの人…。Saint Snowの2人であった。

「「なんだぁ……~~~。」」

黒澤姉妹がまるで期待して損したかの様なリアクションをする中、鞠莉ちゃんと果南ちゃんが

「誰だと思ってたの?」

「さあ?」

とジト目で項垂れている2人を見るのだった。

 

 

 

 

俺、夏川ハルキとAqoursのメンバーはSaint SnowにUTXという大きな高校の一室に案内される。高校というより良い所のオフィスの様な内装に鞠莉さん以外のAqoursのメンバーがそわそわしながら出された紅茶を飲んでいた。

「…予備予選突破おめでとうございます。」

梨子ちゃんがまるで社交辞令の様にSaint Snowの姉、聖良さんに言うもその口調から

「以前言われた事をいつまでも引きずらない!」

と鞠莉さんに咎められる。

「Sorry。PVは見たわよ!クールなパフォーマンスだったね。」

と鞠莉さんが改めて謝罪とライバルながら称賛の言葉を送っていた。彼女の大人な対応を見習い、俺も今までの事は引きずらない様に努めようとこの時思った。

「褒めてくれなくても結構ですよ…。再生数は貴女達の方が上なんだし。」

聖良さんも今の時点で負けを認めているが

「でも、決勝では勝ちますけどね。」

と今回の敗北のリベンジをここで宣言された。

「私と理亞は、A-RISEを見てスクールアイドルを始めようと思いました。」

あの夏合宿の日に少し調べて見たが、第1回ラブライブ優勝グループでμ’sと並ぶ有名なスクールアイドルでもある事が分かった。Saint Snowも、今のAqoursと同じ様に憧れのグループの何が凄くて自分達と何処が違うのかを考えていた事も…。

「答えは出ました?」

千歌ちゃんの問いに聖良さんも妹の理亞ちゃんも答えは出ず、だからこそラブライブで優勝して同じ景色を見るしか無いとの結論を付けたようだった。

「勝ちたいですか…?」

「「えっ?」」

千歌ちゃんのその問いに2人はキョトンとした顔を浮かべるも、再度このラブライブで勝ちたいかを真剣な表情で聞き返した。

「姉様…この子バカ?」

「相変わらず口悪いな!お前…。」

理亞ちゃんの一言に苛ついた俺が身を乗り出すも隣に居た鞠莉さんに席に着けと止められる。

「勝ちたく無ければ何故ラブライブに出るのです?」

「それは…。」

聖良さんの問いに言葉を詰まらせる千歌ちゃん。

「μ’sやA-RISEは何故ラブライブに出場したのです?」

それは俺にも分からなかった。Saint Snowも千歌ちゃんも憧れの人と同じ景色を見たい思いは同じ筈なのに、両者の考えの何かが違うという違和感しか俺には感じる事しか出来なかった。

「そろそろ、今年の決勝大会が発表になります。」

壁に掛けられている時計を見た聖良さんが決勝大会に使う場所を一緒に見ないかと俺達を誘う。この学校の正門前にあるモニターで発表になるのが恒例になっているそうなのだ。

 

 

 

 

Saint Snowと一緒にUTXの正門前に来た私、桜内梨子とAqoursのメンバー。既に大勢のスクールアイドルやファンが集まり、今年の決勝大会で使われる会場がスクリーンに表示される。その場所は…

「AKIBA DOME(アキバドーム)……。」

私が呟いた場所…、そこはラブライブでドーム大会が行われる程の大きなドーム。きっとスクールアイドルの誰もがその場所に立ちたいと願う所だった。

「本当に、あの会場でやるんだ…。」

「ちょっと…想像出来ないな……。」

決勝での会場を知ったSaint Snowは用が済んだのか早々に立ち去り、果南ちゃんと千歌ちゃんは自分達がここで歌うかも知れない実感が湧いてこないのか硬い表情のまま画面を見つめている。勿論、他の皆も。それを見た私は全員にある提案をする事にした。

「ねえ、音ノ木坂に行ってみない?」

その一言に皆が弾かれた様に私に視線を向ける。ここから近いし、前回は私の我儘で行けなかった事もあった負い目もあったから…。

「いいの?」

千歌ちゃんが確認するも、私は首を縦に頷き肯定する。

「うん!ピアノ、ちゃんと弾けたからかな?今はちょっと行ってみたいし、自分がどんな気持ちなのか知りたいの。」

自分の中にある壁を乗り越えた気がした私自身の気持ちを知りたい。皆はどうかを問うも、全員賛成との事だった。

「いいッスね。行けばμ’sとの違いが何か分かるかも知れないッスから。」

「そうだね!私も行きたいな。」

ハルキ君、果南ちゃんも同意し私達は早速音ノ木坂に向って歩を進めた。

 

 

 

 

梨子ちゃんの提案でUTXから歩いて数分、μ’sの母校である音ノ木坂に到着した私、高海千歌とAqours。

「この上にあるの…?」

「長い階段ッスね…。」

曜ちゃん、ハルキ君が緊張した表情で呟く。彼の言う通り、思った以上に段数が多い階段で学校の正門が見えない。

「ううっ、緊張する…。どうしよう、μ’sの人が居たりしたら…!?」

「へ、平気ですわ!その時はサ、サインと写真と…握手を……。」

「ただのファンズラ…。」

曜ちゃんとハルキ君とはまた違う意味で緊張している黒澤姉妹を見た花丸ちゃんがやんわりツッコむ中、私の足は無意識に音ノ木坂の正門に向って階段を掛け登っていた。皆が後から追ってくるのを感じながら私は一番に学校の全体像を目にする。贔屓目かもしれないけど、憧れのμ’sが居たというだけでとても歴史がある様に思える学校にこの時思えたのだ。廃校寸前の学校を救い、ラブライブに出て奇跡を成し遂げた彼女達が通ったこの場所が…。

「懐かしいな…。」

在学していた頃を懐かしむ様な、自分の乗り越えたかった壁を超えた事を喜ぶ様な晴れやかな顔をした梨子ちゃんの呟きに、私もつい笑顔になった。

「あの…。何か…?」

私達10人が学校を見つめているのが気になったのか音ノ木坂の女子生徒が声を掛けてきた。

「すみません、ちょっと見学してて…。」

謝罪をする曜ちゃんを察したのか女子生徒は、スクールアイドルをやっているのかを尋ねる。

「俺達、μ’sの事知りたくて来たんスけど…。」

ハルキ君が代わりに答えると、女子生徒も

「そういう人多いですよ。でも…。」

私達以外にもここに来るスクールアイドルは多い事を告げ、女子生徒は一拍間を空ける。

「残念ですが、ここには何も残っていないんです…。」

「えっ?」

私は一瞬、女子生徒の言葉が理解出来なかった。彼女の話では、どうやらμ’sは自分達の物も優勝の記念品も、形に残る物は何一つ残さず卒業したそうだ。

「でも、物なんて無くても心は繋がっているからって…。」

この言葉は当時のμ’sが残した、在校生や今後来るであろうスクールアイドルに伝えて欲しい唯一のメッセージとなっているそうだ。

「(心は繋がっているから…。)」

私が考えを巡らしている最中、1人の女の子がお母さんの元を離れ、私達の後ろにある階段の手摺を滑っている。

「えへへっ!!」

見てくれた?と言わんばかりの屈託の無い笑顔で私達にVサインを送り、お母さんの元に戻って行った。

「どう、何かヒントはあった?」

「うん…。ほんのちょっとだけど。」

心の繋がりを残したμ’sとさっきの屈託の無い笑顔の女の子。憧れの人達の何が凄かったのか何となく分かった気がした。言葉に表せない小さな気付きだと自覚しながら…。

「梨子ちゃんは?ここにまた来て良かった?」

その問いに梨子ちゃんは笑顔で

「私も来て良かった。」

と肯定する。

「ここに来てはっきり分かった。私、この学校好きだったんだなって!」

笑顔で学校を見つめる梨子ちゃんに微笑み、私は改めてμ’sの母校である音ノ木坂に向って頭を下げる。それを見た全員、同じ様に頭を下げ感謝の言葉を述べた。

【ありがとうございました!】

 

 

音ノ木坂を後にし、電車に乗った私達は夕日に照らされながら今日の事を話している。と言っても私と3年生以外は皆寝ているけど。

「結局東京に行った意味はあったんですの?」

私は海を見ながらダイヤさんが果南ちゃんや、鞠莉ちゃんに尋ねるのを横で聞いている。

「そうだね…。μ’sの何が凄いのか、私達と何処が違うのかハッキリとは分からなかったかな……。」

「果南はどうしたら良いと思う?」

果南ちゃんにどうしたら良いかを尋ねる鞠莉ちゃんに、学校は救いたいけどSaint Snowの2人には思えないとの事だった。

「あの2人、1年の頃の私みたいで…。」

そう言いながら私と同じ様に窓から海を見て黄昏れる果南ちゃん。

「(何も残さなかったか…。)」

あの生徒が言ってた事を思い返し、駅に到着した電車の扉が開く。その扉の向こうに夕焼けに照らされている大きな海を見つけた。その時、疑問に思っていた何かが分かった様な気がした私は

「ねえ、海見に行かない?皆で!!」

と寝ているメンバーを強引に起こし、一旦下車させるのだった。

 

 

電車を降り海岸で広い海を見渡すAqoursのメンバー。夕日が海を照らしながら水平線に沈む様子を見ながらμ’sの何が凄かったのかを話す。

「多分、比べちゃ駄目なんだよ。追いかけちゃ駄目なんだよ…。μ’sもラブライブも輝きも……。」

何が凄いのかと言う答えになっていないのは分かっているし、殆どのメンバーは首を傾げていた。

「どういう事?」

「さっぱり分かりませんわ…。」

善子ちゃんとダイヤさんの疑問に

「私は…何となく分かる。」

と果南ちゃんは私の考えに肯定してくれた。

「一番になりたいとか、誰かに勝ちたいとか、μ’sってそうじゃ無かったんじゃないかな?」

「勝ち負けじゃ無い…?」

梨子ちゃんの思いに疑問符を浮かべるハルキ君。2人に頷き、μ’sの凄い所は何も無い所を何も無い場所で自由に走った事だと思うと述べる。

「皆の夢を叶える為に…。背中を追いかける事じゃ無く、自由に走る事。全身全霊、何も囚われずに自分達の気持ちに従って!!」

私の言葉に皆の顔が夕日に照らされて明るくなる。

「自由に…。」

「Run&Run」

「自分達で決めて…、自分達の足で!」

果南ちゃんが、鞠莉ちゃん、ダイヤさんが!

「何かワクワクするズラ!」

「ルビィも!」

「全速前進だね!」

「オッス!」

花丸ちゃん、ルビィちゃん、曜ちゃん、ハルキ君が同意するも

「自由に走ったらバラバラになっちゃうんじゃない?」

「何処に走っていくの?」

皆が別々の方向に向って、グループとして成り立たなくなる事を危惧する善子ちゃんと梨子ちゃんが一つ目標を決めたほうがいいんじゃないかと提案する。当然目標は…

「私は…0を1にしたい!あの時のままで終わらせたく無い!!」

東京のイベントで思い知った他のスクールアイドルとの大きな差、学校説明会の参加人数と私達には0という数字が立ち塞がっている。今居る場所がドン底ならここから這い上がりたい。少しでも前に進んで輝きたいという強い気持ちが全員にあると強く思っているから…。

「それでこそAqoursのリーダー、高海千歌ッスよ!」

「何か本当にこれで1つに纏まれそうな気がする!」

「遅すぎですわ。」

「皆シャイですから!」

ハルキ君、果南ちゃん、ダイヤさん、鞠莉ちゃんの言葉に皆がはにかみ、全員集まって掌を重ねる。その時曜ちゃんからある提案をされた。

「待って、掌を重ねるんじゃ無くて…こうしない?」

曜ちゃんは右手の親指と人差し指を伸ばし、皆でそれを繋いで大きな0を作り…

「0から1へ!」

と指で1を作って真上に掲げる事を提案する。満場一致で採用され、改めて皆で輪になり大きな0を作る。

「0から1へ…。今、全力で輝こう!Aqours!!」

【サーーンシャイン!!】

指先を天に掲げジャンプした皆の笑顔はとても輝いていた。果南ちゃんが言った様にAqours10人が1つに纏まった事を皆が実感するような笑顔だった。

 

 

家に帰って寝る前、私は部屋に貼っていたμ’sのポスターを剥がすことにした。私らしく、仲間たちと目の前の景色を見て真っ直ぐに走る。それが輝くという事だから…。憧れたμ’sの人達の背中ではなく自分だけの景色を仲間と一緒に探して走る事を決意したから!

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