ラブライブ!サンシャイン!!×ウルトラマンZ~遥かに輝き!0から1へ!!   作:ワーラー

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第32話 サンシャイン!! 前編

俺、夏川ハルキとAqoursのメンバーはラブライブ地区大会に向けて新曲の振り付けを練習している。

「ワンツースリーフォー…、ルビィちゃんは今の所の移動はもう少し早く。」

「はい!!」

「善子ちゃんは気持ち急いで。」

果南ちゃんの指導の元、ルビィちゃんと善子ちゃんがステップと振り付けを修正し一旦休憩を挟む事にした。

「暑すぎズラ…。」

「今日も日差しが強いよぉ…。」

ぐったりと倒れる花丸ちゃんとルビィちゃんに曜ちゃんがポカリを渡す。

「ハイ!水分補給は欠かさない約束だよ。」

一方果南ちゃんはペットボトルの水をガブ飲みしながら内浦の海を眺めていた。

「今日もいい天気。」

「休まなくていいんですの?日向にいると体力持っていかれますわよ。」

「果南はシャイニーな子だからね。」

風の子ならぬ太陽の子の果南ちゃんとは対象的に善子ちゃんがコンクリートの上でバテていた。

「大丈夫ッスか…?」

「うぐぐぐ…。」

俺が団扇で善子ちゃんを扇いでいるのを見かねたダイヤさんが

「黒い服は辞めた方がいいとあれ程言ったではないですか…。」

と善子ちゃんの黒ローブを脱がせながら軽く頭を小突く。

「黒は堕天使のアイデンティティ。黒が無ければ生きていけない…。」

「何言ってスか?熱中症になるッスよ。」

訳の分からないボケをかます善子ちゃんをダイヤさんがジト目で見ながらローブを俺に渡す。このローブ、見た目は暑苦しそうだけどメッシュ加工なんだな…。

「千歌ちゃん飲んで!」

屋上の出入り口付近で梨子ちゃんに投げ渡されたポカリを千歌ちゃんが見事にキャッチする。

「私、夏好きだな…。何か熱くなれる!」

一気飲みし、青空を見上げながら呟く千歌ちゃんに梨子ちゃんも曜ちゃんも同意する様に笑いかける。

「よし、そろそろ再開しようか!!」

水分も取り、練習を再開しようと千歌ちゃんが気合を入れたその時

「ぶっぶ〜〜ですわ!!」

とダイヤさんが待ったを掛けた。

「オーバーワークは禁物ですわ!」

「By果南!皆の事も考えてね。」

鞠莉さんも忠告し

「そっか…、これから一番熱くなる時間だもんね。」

と千歌ちゃんが時刻を確認する。現在の時刻は13時半、ここから更に気温が上昇する事が分かった千歌ちゃんは手を合わせて軽く謝罪をする。

「ラブライブの地区予選も近づいて焦る気持ちも分かるけど、休みも取らないと大事になるッスよ?」

俺が千歌ちゃんを制止すると梨子ちゃんが笑いながら

「ハルキ君も“偶には”マネージャーっぽい事言うようになったね。」

とからかってくる。

「何ッスか!?“偶には”って!」

冷えたペットボトルを彼女の頬にグリグリと押し付けながら仕返しをする俺に

「こらっ!イチャイチャしてないで2人共百円出して。」

と果南ちゃんが俺達に催促をする。

「やって来たのですね。本日のアルティメットラグナロク…。」

待ってましたと言わんばかりに闘志を燃やす善子ちゃん。

「未来が!時が…、視える!!」

拳を振り上げる彼女を見た果南ちゃんが全員に

「ジャン〜ケン〜〜ポン!!」

と仰々しく名前を付けた善子ちゃんとは正反対に呑気な声を上げていた。

 

 

 

この俺、ウルトラマンZはアルティメットラグナロクと言う名のジャンケンに惨敗し、アイスの買い出しに行かされている善子をハルキの中からご愁傷様と合掌しながら見ている。

「どうして何時も負けるのかしら…。」

「1258円です。」

ジャンケンの結果に不服を感じる善子だったが、合計金額を店員に言われた瞬間

「誰よ!高いアイス頼んだの!!」

と青筋を立てて地団駄を踏む。

「足りない額は俺が出すからそうカリカリしないで下さいよ…。」

この買い出しジャンケン、いつも善子が負けてしまいハルキのバイクに乗せて貰いながら近くのコンビニまで連れて来られている。それも彼女以外に買い出しに行った事はこれまで一度も無いのだ…。

『ハルキ、ここまで来ると善子が可哀想になる。どうしたら良いんだ?』

「負けが見えてるのは分かってるんッスけどね…。俺が全員の買い出し行けば皆が休めるけど善子ちゃんが「今度こそは勝つ!」ってジャンケンをしようとするじゃ無いッスか?もう無理ッスよ…。」

俺の善子への同情も地球の諺である匙を投げられ、ハルキからも諦められている始末でありました。

 

 

「ずらぁ〜。」

「ピギィ〜。」

「ヨハァ〜。」

「全然こっちに風来ないんだけど…。」

アイスの買い出しを終え、図書室にある扇風機の前を占領しながら涼んでいる一年生に梨子が文句を言う中

「エアコン付けてくれないかな〜。」

と曜も設備を良くして欲しい事を口にする。ハルキの部屋にあったエアコンという物は地球人にとって必須なものなのだが

「統廃合の話が出てる学校に付く訳無いでしょ!」

と梨子からウルトラ鋭いツッコミが入る。

「まあエアコンを付けたかったら入学希望者を増やすしかない事は確かッスね…。」

ハルキも団扇で仰ぎながらのほほんと言う中、千歌が現時点での学校説明会の参加者は何人集まっているのかを鞠莉に聞いていた。

「参加者は今の所…。」

パソコンを立ち上げ、参加者の人数を調べる鞠莉。

「今の所〜?」

千歌も鞠莉の反応が気になるのか同じようにリピートする。

「今の所…。」

「今の所〜?」

「『今の所〜〜?』」

やたらと間を空ける鞠莉に千歌だけでなく、俺もハルキも気になってしまう。そしてパソコンに表示された人数は…

「ゼロ〜〜。」

おちゃらけた声音で発表する鞠莉に、千歌がガックリと肩を落とす。

「そんなにこの学校魅力無いのかな…?」

こんなに頑張っている彼女達の為にも少しくらい興味を持ってくれる人がいて欲しいと思う俺だったが、図書室の扉が開き千歌とハルキのクラスメイト3人が入って来た。

「あれ?むっちゃん達、どうしたの…?」

「うん、図書室に本を返しにね。」

むっちゃんが手提げに入った本を花丸に渡しながら質問を返し、いつきちゃんが今日も練習をしているのかと千歌に問う。

「うん。日差しが強いし暑いけど、毎日やってるから慣れちゃった!」

ニッと笑う千歌によしみちゃんが「凄い…。」と驚く中、休憩も終わり練習を再開する為、3人に手を振りながら図書室を去って行った。

「練習、毎日やってたんだ…。」

「学校を存続させる為に…。」

むっちゃんといつきちゃんの言葉に

「本当に凄いッスよね…。」

とハルキが返す。

「でも凄くキラキラしてて、なんか眩しく見える…。」

よしみちゃんも彼女を尊敬しているような声音で言う中

「学校を存続させる為だけじゃ無い…。多分、千歌ちゃんが最後までやり切りたいって思ってた物がスクールアイドルだったんスよ。」

と、ハルキも図書室の窓から青空を眺め3人に言う。

「じゃあ俺もそろそろ行くッスから。」

千歌達に合流する為、図書室を出るハルキに「「「千歌達に宜しく!」」」とむっちゃん達の言伝を預かり屋上に向かって行った。

 

 

 

 

むっちゃん達と別れ練習を再開し、一日のメニューを全てこなした俺、夏川ハルキとAqoursのメンバー。

「ふう〜、今日も動いた動いた!」

千歌ちゃんのやり切ったというリアクションに

「でも日に日に良くなってる気がする!」

「そうッスね。素人目線だけどダンスの動きも洗練されてると思うッスよ?」

と、曜ちゃんと俺が相づちを打つ横でダイヤさんが歌の完成具合を梨子ちゃんに聞いていた。

「花丸ちゃんとハルキ君と歌詞を詰めてから、果南ちゃんとステップを決める所です。」

「ハルキ君、ストレイジの任務で忙しいのにいつもありがとうズラ。」

花丸ちゃんのお礼に

「オッス!飲み物渡したり、ペースメーカーだけじゃなくて、少しは皆の力になりたいッスから!!」

と答える俺。今回初めて歌詞を考えたがかなり苦戦し、改めて千歌ちゃんの苦労が分かった気がする。

「よしよし!ハルキや梨子、花丸のお陰で聴いてる人のハートにシャイニー出来る曲が出来るわ〜!」

俺達3人の頭を撫でながら褒める鞠莉さん。毎度の事ながらこの年になって頭撫でられるのは結構恥ずかしいんだが…。

「まあ、とにかく今は疲れを取って明日に備えよう。」

果南ちゃんの指示で部室に戻ろうとした時、屋上にむっちゃん達3人が訪ねてきた。

「あっ、いたいた…。千歌〜〜!!」

「あれ?むっちゃん達、帰ったんじゃなかったの?」

俺達が屋上に行った後もAqoursの事が気になったらしく、練習が終わるまで待っていた様だった。

「千歌達さ…、夏休み中ずっとラブライブに向けて練習してたんでしょ?」

「そんなにスクールアイドルって面白いのかなって…。」

よしみちゃんといつきちゃんの問いに肯定する千歌ちゃんに、むっちゃんがある提案をした。

「私達も、一緒にスクールアイドルになれたりするのかなって……。学校を救う為に。」

「本当ですか!?」

ルビィちゃんの返しに、むっちゃんも首を縦に振り肯定する。統廃合の話が出た当初は、皆最初は仕方が無い、たかが学生の自分達が頑張っても無理なんじゃないかって思っていたそうだ。だが皆この学校が大好きで、何もせずに廃校になったらきっと後悔すると思っている生徒が多数いる事を告げられる。千歌ちゃん達だけじゃ無く、スクールアイドルとして自分達も力になりたいと思う人が沢山いる事を、俺達はこの時知ったのだった。Aqoursのこれまでの行動が皆の心を動かした事を実感した俺達は目に涙を浮かべる。

「ううっ…。やろう!皆で!!」

千歌ちゃんの鶴の一声で浦の星全員をスクールアイドルとしてエントリーする事を決めたのだった。でも……。

「……………。」

梨子ちゃんが見せた、思い詰めた顔に気付いた俺はこの時、何を伝えたかったのか聞けないでいた。

 

 

 

 

「そっか…。皆をスクールアイドルとしてステージに立たせてあげる事、出来ないんだ……。」

「うん…。」

私、高海千歌は帰宅後に早速浦の星全生徒をスクールアイドルとして輝かせる為色々と模索している最中だったのだが、たった今梨子ちゃんからそれが実現出来ないという悲報に肩を落としていた。梨子ちゃんが調べてくれた情報だとラブライブに参加できるのは事前にエントリーした人数までであり、メンバーの増員は認められずステージ上に上がる事も出来ない事が規定されているみたいだ。

「ごめんね。千歌ちゃん、色々考えてくれたのに…。」

申し訳無さそうに謝罪をする梨子ちゃんに気にしていないことを告げる私。むしろギリギリにこの事実を知る事態にならなくて良かったと思う事が不幸中の幸いだっただろう。

「あのね梨子ちゃん、今日むっちゃん達と話していて思ったんだ。何で入学希望者が0なんだろうって…。ここに居る生徒達皆、この学校が大好きなのに。素敵な場所だって思っている筈なのに…。でもこの現状を覆せないのはその事がまだまだ伝わって無いって事だよね。」

ラブライブがどうでもいい訳では無い。でも私達の通っている学校の良さがきちんと伝わる事が出来れば0を1に出来るかも知れない。

「いや、学校の全員がステージに上がれなくても皆の熱意があれば“0が1に変わる”!!」

そう確信した私の言葉に口角を上げた梨子ちゃんが無言でサムズアップを送る。だが…。

「千歌ちゃん……!!」

サムズアップを送った彼女が突然、霊でも見えてる様な青ざめた表情で私の後ろを指差す。

「うわっ!お母さん!?」

ドッキリが大成功した子供の様に笑うお母さんが梨子ちゃんに改めて自己紹介をした。

「初めまして高海千歌の母です。貴女が梨子ちゃんね?」

「は…初めまして。」

互いに挨拶を交わした後、東京に居る筈のお母さんが何故帰っているのかを問う私。

「いや〜東京で仕事してたんだけど、千歌がスクールアイドルっての始めたから志満と美渡から見に来てって電話が来たのよ。ハルキ君もマネージャーなんでしょ?」

また余計な事を…と思いながら

「とにかく今は梨子ちゃんと大事な話をしてるから他所に行ってて。」

とお母さんに下に降りるように言う。

「はいはい。後でハルキ君を迎えに行ってきて?今日は焼肉だから。それと千歌、今度は……“辞めない”?」

お母さんの何かを試す様な口振りに私ははっきりと伝えた。

「辞めないよ…。今度は、今度こそは絶対…!!」

 

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