God don't even know our road   作:榊さん家の悠人くん

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いつもの放課後

 キーンコーンカーンコーン

 

「早く帰ろうぜ」

「それじゃ、また明日なぁ~」

「今日どっか寄って行こうよ!」

 

 1日の授業が終わり放課後の教室内は、いつもの通り喧騒に包まれている。

 それでも、早々に帰宅していく者、部活に向かう者、教室に残り話をしている者等さまざまだが、見てみれば各々の行動はパターン化されているのだろう、たとえ意識をしなくとも、ほとんどのクラスメートが毎日同じような行動を取っている。つまらない、毎日の1コマだ。

 ただ、そんなことを言ってみても、オレ自身も普段と同じく幼なじみの2人と話をしている最中であるのだが。

 

「おい!慎也、お前聞いてんのかよ?」

「ああ、悪い。聞いてなかった」

 

 しまった。どうやら、オレが周囲の人間観察をしている間にも、話は続いていたらしい。いや、当たり前のことだが。

 

「ちゃんと聞いてろよ」

 

 そう言って、幼なじみの1人は肩を竦めていた。

 

 彼の名前は霧島康成。小学校時代からの付き合いで、お互いの家も近くにある。背が高くてイケメンで、運動もこなし勉強も出来る超人な奴だ。ただ、人付き合いが得意じゃないため康成のことを苦手な人も多い。特に先輩達とは相性が良くないみたいで、ハラハラさせられることもしばしばあるが。

 

「まあまあ、やっクン。シンがボケボケなのは今に始まったことじゃないんだがら」

 

 そして、フォローなのか何なのか良く分からない事を口走っているのが、もう1人の幼なじみ。市村美沙。

 

 康成と同じく、小学校からの付き合いで、オレの家とはお隣さんである。160センチ後半の身長で黒髪長髪の、なかなかスレンダー(胸が控えめとかいうと怒る)な女子だ。康成の彼女でもあり、オレ同様いつも彼の行動にハラハラさせられている。

 

「いま、失礼なこと考えなかった?考えたよね?」

「いや、気のせいだろ?」

「そう?シンのことだから、私の胸がどうのこうのって考えてるのかと思ったのに。ま、ほんとに考えてたら玉潰すけど」

 

 心を読むな。エスパーか君は!つか、怖いからそれ。あと、女の子が玉潰すとか言っちゃいけません。

 潰される前に、話題を変えないといけないな。

 

「それより、何の話だったっけ?」

 

 取りあえず、もともとの話題に戻してみよう。オレのために。

 

「ああ、忘れてたわ。簡単に言うと今週の日曜日は陸上部が休みだから、久しぶりに何処か遊びに行こうかって話よ。思い出した?」

 

 思い出したって、いま美沙本人が忘れてたとか言わなかったか?

 

「おお、思い出した思い出した。大丈夫だ」

「ほんとかよ。怪しいもんだな」

「……」

「無視かよ!」

 

 康成がなにか言っているが無視だ無視。

 

「けど、珍しいな。日曜日に部活が休みなんてのは。なんかあんのか?」

「ん?ただ単に、土曜日に記録会があるから、次の日は休みってだけだよ?」

 

 記録会というと、美沙も走るわけか。ま、結果は当日を待つまでもなさそうだが。

 

「だが、美沙はビリ確定だな?慎也」

 

 康成よぉ、オレが言わなかった事を口走るだけでなく、こっちに振るのか?

 

「美沙はカメ部長だからな。ハハハ」

 

 って、オレもついつい乗っかっちゃたよ。何故か、口が止まらないよ。

 

「カメよりは早いに決まってんでしょうが!バカシン」

「っぐは……いいパンチだぜ美沙……」

 

 何故か、オレだけ殴られたよ。鳩尾にストレートだよ。しかも康成スルーだよ。彼氏だからか?愛なのか?愛なんですか?

 

「まったく、人を馬鹿にするからこうなるのよ……そして、愛なのよ」

 

 この子また心を読んでるよ。しかも、答えてくれてるよ。声小さかったけど。

 

「見てなさいよ。今度こそビリ脱出してやるんだから」

「なら、土曜日に冷か、いや、応援に行ってやるよ。もちろん慎也、お前も行くだろ?」

 

 いまのは、突っ込み待ちか?オレに突っ込ませて、また美沙に殴られるのを見て楽しむのか?ここはスルーが正解か?

 

「ああ、もちろん行くよ。美沙会場はどこなんだ?」

「県西の運動公園よ」

 

 なんか、康成がガッカリしてる。なんで、そんなにオレが殴られるの見たいんだよ。

 

「あそこなら、近いから行きやすいな」

「当日の私を見てビックリさせてあげるわ」

 

 美沙は精一杯胸を張ってそう宣言している。が、オレは何も考えないぞ。読まれるからな。

 

 ギロリ!

 

 美沙から何か、とてつもなく恐ろしい視線が浴びせられている気がするが気のせいだな。うん、気のせいだ、気のせい。そうに違いない。

 

「まあ、落ち着け美沙。また慎也から、ちんちくりんな電波受信したんだろうが、いいから落ち着け。どうどう」

「ふしゃー!ふしゃー!ふう、ふう」

「美沙も大概ノリいいよな」

「よしよし、どうどう。落ち着いたか?」

「ええ、もう大丈夫」

「そうか、なら聞くが。美沙、時間は大丈夫なのか?」

「え、時間?時間ならまだ……」

 

 そう言いながら、壁掛け時計を見た美沙は、それ以上言葉が続かなかった。そして、数瞬の時を置いて、硬直から解けた美沙は大慌てで自分の鞄を掴み走り出した。

 

「じゃーね、2人とも」

 

 振り返ることもなくそう叫びながら美沙は教室を後にした。

 

 因みに、今の時間は4時25分。SHLが終わったのが3時50分なので、すでに35分も経っていたのだ。ご愁傷様と、康成と一緒に2人で合掌しておく。けど、美沙は部長なのに遅刻はどうなんだろうか?

 

「康成、俺たちもそろそろ帰ろうぜ」

「そうだな、帰るか」

 

 それぞれ、自分の鞄を手に取り席を立つ。が、なぜか康成はオレを見てニヤニヤした顔をしていた。正直気持ち悪い。

 

「なんだよ、気持ちわるい」

「いーや、加奈ちゃんが待ってるもんな、と思っただけだ。妹思いだよな、お兄ちゃん」

「オレはお前の兄貴じゃねぇよ!」

 

 加奈にお兄ちゃんと呼ばれるのはいいが、康成に呼ばれるのはいただけない。鳥肌が立ちそうだった。

 

「今は違うが、将来的には分からんぞ?俺と加奈ちゃんが結婚すれば、慎也は俺のお兄ちゃんだ」

「加奈はやらないからな。と言うか、美沙が聞いてたらキレるぞ絶対に」

「重婚の認められている国に行けばいいのさ」

「よし、美沙が部活終わったら、教えてやらないとな」

 

 言うが早いか、オレは康成を置いて教室を飛び出した。

 だが、さすがは康成である。前触れもなくダッシュしたのに、あっという間に追いつかれてしまった。そして。

 

「最終的には、美沙と加奈ちゃんが決定するんだからな?慎也が否定しても、あの2人がOKをだしたら、なあ?」

「……」

「無視かよ!」

 

 こいつは、1度締め上げたほうが良いんではないだろうか?何はともあれ、まずは。

 

「……」

「だから、無視かよ!」

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