INFINITE・THE WORLD   作:ZZZ777

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前回の続き。
さて、操は簪に何を言うのか...

今回もお楽しみください!


強さが欲しい少女

操side

 

 

「私の名前は、更識簪。門藤さん、教えてください。あなたの、強さの秘密を」

 

 

あの3人の処分を聞いた翌日の放課後。

俺はクラスメイトの布仏さんに連れられて整備室に来ていた。

呼び出された理由は、布仏さんの友人が俺に会いたいというからだ。

そうして案内した先にいたのが、この更識簪さん。

更識さんは俺が門藤操だという事を確認したら、先程の言葉を俺に向かって言ってきた。

 

 

その言葉を言われて、俺が感じたのは戸惑い。

だって初対面でそんな事を尋ねられたんだ。

動揺しない方が可笑しい。

でも、更識さんの真剣な表情が、この言葉が冗談ではない事を示している。

 

 

「えっと...更識さ「簪」え?」

 

 

俺が取り敢えず名前を呼ぶと、更識さんはそう言葉をかぶせて来た。

 

 

「え、あの、その...苗字で呼ばれるのは好きじゃ無いので、名前で呼んでくれると...」

 

 

「...分かった、簪さん」

 

 

苗字で呼ばれるのが嫌い...

絶対に何かあるな。

 

 

「それで簪さん、俺の話をするのは全然良いんだけど...その前に、君の話を聞かせてくれるかな?正直、急にそう言われたから理解が追いついて無くて...」

 

 

俺がそう言うと、簪さんはハッと表情を変えた。

多分、自分の説明をしていないという事に気が付いたのかな?

なんかこう、アワアワしてるし。

暫くしたら簪さんは落ち着いた。

 

 

「大丈夫?」

 

 

「は、はい。大丈夫です...」

 

 

「.....かんちゃん、話すの辛かったら私が...」

 

 

「大丈夫、これは本音じゃなくて、私がしっかりと言葉にしないと...」

 

 

俺が大丈夫か如何か確認すると、その後に布仏さんと簪さんがそう会話をする。

...この会話で、俺は簪さんの過去に何かあったという事を更に実感した。

 

 

「...じゃあ、私の話をします」

 

 

「ああ、分かった」

 

 

簪さんが言った事に、俺はしっかりと頷く。

俺が頷いたのを確認した簪さんは、そのまま説明をしてくれる。

 

 

簪さんは、日本の代表候補生で専用機持ち。

だが、専用機は完成していない。

完成していない理由は、織斑春十。

織斑春十の専用機、白式と簪さんの専用機、打鉄弐式は開発元が同じ倉持技研という企業で、元々は打鉄弐式の開発だけがされていたが、急遽造る事になった白式に全ての技術者を取られてしまい、未完成となってしまった。

そして未完成の打鉄弐式は、今現在簪さんが1人で組み上げている。

 

ここで、俺は疑問に思った。

途中まで作ってあるとはいえ、ISを1人で造るだなんて無茶な事を、何でしようと思ったのかと。

俺の疑問を察したのか、簪さんはその事も説明してくれる。

 

その判断をしたのは、簪さんの姉が原因らしい。

彼女はロシアの国家代表で、専用機持ち。

そして、その専用機は彼女が1人で組み上げた。

簪さんはそんな姉に対して、強いコンプレックスを抱いているようだ。

簪さんは昔から優秀な姉に周囲から比較されていたらしい。

時には罵倒されることもあった。

それでも頑張って来たが、ある日姉に言われた一言で完全に絶望してしまったらしい。

だから、力を、強さを欲したんだと。

姉や周りを見返すほどの、強さを。

 

 

そこまで聞いて、俺は思った。

 

 

.....何て、織斑一夏にそっくりなんだろうと。

優秀な姉に比べられ、罵倒され、絶望する。

当然だが出来事に差異はある。

それでも、余りにも織斑一夏に似すぎていた。

 

 

「門藤さん、お願いします!あなたは、IS3機を圧倒するほどに強かった!だから...だから.....!!」

 

 

全ての説明を終えた簪さんは、泣きそうになりながらそう俺に言ってくる。

...これは、俺の話もしないといけないな。

 

 

「...簪さん、君の話はしっかり理解できた。何故、強さを求めてるのかも。その上で、チョッと俺の昔話を聞いて欲しい」

 

 

俺はしっかりと簪さんの眼を見ながら、そう言葉を発する。

簪さんは、少し驚いた表情を浮かべたがやがて頷く。

チラッと隣を見ると、布仏さんも驚いているようだ。

それを確認してから、俺は言葉を発する。

 

 

「.....俺も、昔は簪さんと一緒だった」

 

 

「え?」

 

 

「俺の元姉と元兄は優秀だった。それに比べて俺は普通だった。だからこそ、俺も比較され、罵倒された」

 

 

「「っ!」」

 

 

俺がそう言った事で、簪さんと布仏さんは目を見開いている。

そっくりだという事に気が付いたからだろう。

 

 

「それだけじゃない。俺は元兄に虐められていた。友人なんか1人もいなくて、俺の周りにいる人間は、ほぼ全員俺の事を虐めて来た。元姉は助けてくれなくて、唯一俺の味方だった近所のお姉さんも引っ越してしまった」

 

 

「「.....」」

 

 

2人とも、俺の話を黙って聞いている。

その表情は悲しそうなものだった。

 

 

「でも、俺は変われた。さっきから元姉と元兄って言ってるのは、俺があの2人の弟だった人間とは違う人間になったからだ」

 

 

「?」

 

 

「俺は10年前、記憶をきれいさっぱり失った事がある」

 

 

「「え!?」」

 

 

俺の言った事に、簪さんと布仏さんが驚いたような声を発する。

まぁ、急に記憶喪失の経験があるだなんて言ったら驚くのも当然だ。

 

 

「その時に出会ったのがみんな...俺のかけがえのない友人で、俺を門藤操にしてくれた人達なんだ」

 

 

正確に言うなら、人間よりもジューマンの方が多いけど。

 

 

「みんながいたから、俺は変われた。みんながいたから、俺は強くなれた。みんながいたから、支え合うことが出来たから、俺は今こうやって前を向いて生きていけてるんだ」

 

 

俺はそう言って、改めて2人の事を見る。

2人とも、目をしっかりと開いて俺の事を見ている。

 

 

「その上でさっきの質問に答えよう。俺の強さの理由を」

 

 

俺が改めてそう言うと、簪さんはグッと身を寄せて来る。

その事に俺は笑いながら、言葉を発する。

 

 

「俺が強く入れるのは、さっきも言った通りみんながいて、支え合えう事が出来るから」

 

 

「支え合う事が、出来るから...?」

 

 

「そう。人間、いや、動物は1人で出来る事には限界がある。だからこそ、生き物は支え合うんだ。そうする事で、1人での限界は、乗り越えることが出来るから」

 

 

俺がそう言うと、簪さんは下唇を嚙む。

 

 

「でも!お姉ちゃんは、1人でISを!」

 

 

「お姉さんと簪さんは、違うだろ?」

 

 

簪さんが言った言葉に俺がそう返すと、簪さんは目を丸くする。

 

 

「確かに、お姉さんは1人で組んだのかもしれない。だからって、それが簪さんに関係があるかどうかと言われたらそれは否だ。だって、人間は、動物は、同じ種族でもバラバラで、だからこそ、支え合うものだ」

 

 

「人間は、バラバラ...」

 

 

「そう。何から何まで同じ人間がいたら、それはもう人間じゃない。クローンかロボットだ。簪さんは、お姉さんとは違う人間だ。だから、簪さんは簪さんなりの強さを見つければいい。自分の強さっていうのは、他の人達の影響を多少を受けるとはいえ、最終的には自分で決めるものだよ」

 

 

「っ!」

 

 

俺がそう言うと、簪さんは衝撃を受けたような表情を浮かべる。

俺はそれを見てもう1回笑ってから言葉を発する。

 

 

「それに、俺からしてみれば簪さんは十分強いと思うよ?」

 

 

「え?」

 

 

「自分でISを組み上げようとした意志の強さと、布仏さんを頼った支え合える強さはあるじゃないか」

 

 

俺がそう言うと、簪さんは布仏さんの事を見る。

見られた布仏さんは、少し恥ずかしそうに笑みを浮かべる。

 

 

「だから、簪さんも自信をもって1歩踏み出してみようよ!」

 

 

最後に、俺はしっかりとそう言う。

すると、簪さんは暫くキョトンとした表情を浮かべていたが

 

 

「.....はい!」

 

 

満面の笑みを浮かべて、そう返事をしてくれた。

ふぅ~~。

簪さんが前を向けるきっかけにちょっとでもなれたかな?

 

 

「門藤さん、今日は話をしてくれてありがとうございました」

 

 

「いやいや、簪さんが前を向けたらそれでいいよ。あと、俺の事は操でいいよ。布仏さんもね」

 

 

「...分かりました、操さん。私の事は呼び捨てで良いですよ」

 

 

「私も~~、あだ名で良いですよ~~」

 

 

「.....これから、友達としてよろしくね、簪、のほほんさん!」

 

 

「「はい、よろしくお願いします!」」

 

 

良し!

新しい友人ゲット!

嬉しい!!

 

 

「...連絡先交換する?」

 

 

「良いんですか?」

 

 

「自分から言ったのに断らないよ」

 

 

「私も良いですか~~?」

 

 

「勿論!」

 

 

そうして、俺は簪とのほほんさんの2人と連絡先を交換した。

.....如何する?

釣りに誘うか?

仲を深めるなら誘った方が良いけど、流石にいきなりすぎるか...?

 

 

「えっと、操さん、如何しました?」

 

 

いや、誘おう!

それに、これは簪の為にもなるかもしれない!

 

 

「簪、GWって空いてるか?俺、何人かと釣りに行くんだけど、簪も来る?」

 

 

「え、釣り...ですか?」

 

 

「うん、メンバーは俺と1組の4人と2組の1人だけど、簪、話を聞く限りクラスメイトとも馴染めて無いんだろ?」

 

 

「う!?」

 

 

「なら、チョッとここでコミュニケーションの練習してみない?」

 

 

俺がそう言うと、簪さんは暫く考えるように顎に手を置く。

そうして約3分後。

 

 

「行かせてください」

 

 

「ああ!のほほんさんも来る?」

 

 

「かんちゃん1人だと心配だから、私も行きま~す!」

 

 

のほほんさんがそう言うと、簪は

 

 

「チョッと!それじゃあ私が子供みたいじゃない!」

 

 

と少し顔を赤くしながらのほほんさんに詰め寄る。

のほほんさんはアハハ~~と誤魔化しているが、如何考えても誤魔化せてない。

 

 

「ま、まぁまぁ。簪、落ち着け」

 

 

「.....は、はい」

 

 

俺が宥めると、簪は何とかといった感じで落ち着く。

 

 

「じゃあ、そろそろ時間だから帰ろうか」

 

 

俺は腕時計を見ながらそう言う。

そこそこな時間話しをしていたため、もう既に時刻は最終下校時刻に迫っていた。

 

 

「そうですね、帰りましょう」

 

 

「うんうん~~帰ろう~~」

 

 

そうして、俺はそのまま2人と共に雑談をしながら移動をする。

 

 

「へぇ、簪は特撮ヒーローが好きなんだ」

 

 

「はい!だから、操さんの専用機もまさに特撮ヒーローみたいでカッコイイって思ってました!」

 

 

ヒーロー、か。

俺は世界の王者、ジュウオウザワールド。

動物戦隊ジュウオウジャー。

デスガリアンと戦い、地球を救った。

そうだけ聞くと、ヒーローなのかもしれない。

でも、俺はヒーローなのだろうか?

 

 

「操さん、如何しました?」

 

 

でも、俺は仲間を、地球を守るために戦う。

これまでも、そしてこれからも。

 

 

「いいや、何でもない!」

 

 

この先、何も起こらない可能性もある。

でも、何かあったときは俺が戦う。

それが、門藤操だ!

 

 

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「いただきます!」

 

 

時刻は、19:30。

俺は自室にて今日の晩御飯を食べていた。

今日のメニューは餃子。

皮は市販品だけど、タネは自作のものだ。

俺はタレが付いた餃子を白米にバウンドさせてから口に入れる。

その後、白米を口の中に入れる。

うん、美味しい。

 

 

「.....簪のお姉さん、か」

 

 

簪の苗字は、更識。

そして、俺の部屋に盗聴器を仕掛けた疑いがあるのは、更識生徒会長。

簪のお姉さんと更識生徒会長は如何考えても同一人物だ。

 

 

「さてさて、如何なって来るのかねぇ...」

 

 

俺はそう呟いて、そのままご飯を食べ進める。

 

 

「ご馳走様でした!」

 

 

俺は食べ終わったので食器類を洗う。

そうして、俺はベッドの縁に座って一息つく。

スマホを取り出してメッセージアプリを開く。

そして取り敢えず友達登録している人物一覧を開く。

そこには、ズラッと名前が連なっている。

その事に俺は思わず笑みを浮かべてしまう。

織斑一夏としての記憶がある俺としては、こんなにも友人と呼べる人物がいるのが嬉しくなる。

あっちの世界ではジューマンのみんながまだスマホ使うのが難しくて、ジュウオウチェンジャーや折り畳み携帯電話で連絡してたから、俺の元々のスマホには大和と真理夫さんと何人かの動物学会のスタッフの人と、後はジューマンの中でも比較的スマホに慣れたバドとラリーしか登録されて無かったからな。

 

 

「そうだ!ラウラに連絡を入れよう!」

 

 

確か、ドイツと日本の時差は...8時間か。

って事は今こっちが19:50だから、ドイツは11:50。

そろそろ軍での仕事もお昼休みだろう。

俺はそう判断し、メッセージを打ち込み、送信する。

 

 

『連絡最近してなかったな。そっちは如何だ?』

 

 

そうして、ラウラからの返信が帰って来るまで暇だから俺は釣りの時に持っていく持ち物の確認をする。

といっても俺の私物の釣り道具はあっちの世界にあるから、道具はレンタルになる。

だから、俺が持っていくのはジャケットと交通費、後はエプロン類。

俺達が行こうとしているのはIS学園からモノレールと電車で約2時間の所にある釣り堀、『釣っちゃいますか!!』だ。

此処は釣った魚を各団体2匹までだったら無料で捌いて食べることが出来る。

ただ、調理道具は揃っているとはいえ流石にエプロンやゴム手袋は無い為自分で持っていく必要がある。

うん、しっかり揃ってるな。

楽しみだ!

 

ピロン♪

 

俺がそんな事を考えていると、スマホが着信音を発する。

お、ラウラから返信来た!

 

 

『ああ、久しぶりだ。私を含め、こっちは全員元気だぞ。そっちは如何だ?』

 

 

『こっちも元気だよ』

 

 

『そうか、それは良かった。GWにはドイツに来るのか?』

 

 

『いや、日本に残るよ。今度釣りに行く予定なんだ』

 

 

『了解した。それと、1つ伝える事がある。私はGW明けにIS学園に転入する』

 

 

『お!専用機完成したんだ!』

 

 

『ああ。操、お前と模擬戦したり、学園生活を送るのを楽しみにしている』

 

 

『俺もだ!じゃあな』

 

 

『ああ、また今度』

 

 

ここで、ラウラとのメッセージのやり取りは終了した。

ラウラIS学園に来るのか。

楽しみだな!

さてと、GWまでは後2日あるからな。

明日の授業の準備でもしよう!

 

 

 

 




操、釣りに行く気MAX!
楽しんでよ!

次回もいつになるか分かりませんが、楽しみにしていてください!

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