INFINITE・THE WORLD   作:ZZZ777

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前回の裏。
いったい何があったのか...

今回もお楽しみください!


釣りの裏で

三人称side

 

 

「クソ!私では、如何することも出来ないのか!」

 

 

GW、操たちが釣りに行っているのと同じ日。

千冬は学生寮の寮長室でそんな事を言っていた。

 

ガァン!

 

千冬はそのまま机の事を殴る。

そうして暫くそのままの格好で固まっていた。

 

 

千冬は春十と話し合ったあの日から、何とか鈴が学園に残れないかと模索してきた。

だが、如何してもそれは出来なかった。

 

 

鈴、そしてセシリアの2人はもう既に祖国に帰国している。

そもそもこの帰国、そして停学処分と退学処分は鈴とセシリア、そして箒の自業自得なのだ。

模擬戦に乱入するというかなりの重罪を犯し、鈴はその上で脅迫というそれ以上の罪を犯したのだ。

しかも、模擬戦への乱入は世界各国からの来賓に見られているので言い訳もできず、しかも鈴とセシリアの祖国が帰国を提案し、学園が了承したのだ。

ただの教師でしかない千冬にそれを止めることなど出来ない。

千冬にはブリュンヒルデという一見すると物凄く権力がありそうな肩書がある。

だが、これは所詮名誉称号でしかないのだ。

名誉称号ごときでは、如何する事も出来ない。

 

 

「クソ、クソ!」

 

 

ガァン!ガァン!

 

 

千冬は再び机を殴る。

 

 

千冬は、何とか鈴が帰国する前に鈴と会って会話をしたかった。

だが、鈴は帰国する直前まで拘束され、IS学園の拘束室に箒、セシリアと共に押し込まれていた。

そしてそんな鈴に会うのが認められていたのは学園長である十蔵とクラス担任であるクレアだけだった。

無断で侵入しようかとも千冬は考えたが、拘束室には脱走を防ぐために窓などは存在せず、それと同じ理由で常に拘束室前には交代制で監視の教員や警備員が存在するため侵入は出来なかった。

そうやってもたもたしている間にGWに入り、鈴とセシリアは帰国したのだ。

 

 

「これでは、春十の期待に応えられない...!」

 

 

千冬は拳を握りながらそう呟く。

そうして暫く千冬はそのままの体勢でいたが、やがて床に座り込んだ。

 

 

「どいつもこいつも、私と春十の邪魔をする!」

 

 

そうして、千冬はそう言葉を零す。

そもそも自分たちの行動が只の我儘であり、自己中心的なものであるのだがそれに千冬は気付かない。

 

 

「...そうだ、そろそろ春十が来る時間だな......」

 

 

千冬はそう呟くと、散らかっている空のビールの缶や日本酒の瓶を乱雑に片付け始める。

そう、千冬が呟いたように今日はこれから春十がこの寮長室にやって来るのだ。

その理由は、GWに入ったときに春十が鈴たちがどうなったのか知りたいと言ってきた為、千冬が寮長室に来るように言ったからだ。

 

 

大体10分後、お世辞にも綺麗になったとは言えないがそこそこ室内は片付いた。

そして千冬は長い事使っていなかったであろう少し埃が着いたコップを取り出し、軽く水で洗う。

そのままそのコップに水道水を入れて、飲む。

 

 

「ふぅ...」

 

 

千冬が息を吐いたとき

 

コンコンコン

 

と、部屋の扉がノックされる。

千冬はコップをシンクに置いて部屋の扉に向かう。

 

 

「千冬姉!」

 

 

「織斑先せ...いや、プライベートだから良いか」

 

 

扉の前にいたのは、当たり前だが春十だった。

千冬はそのまま春十の事を寮長室の中に入れる。

寮長室の中に入った春十は部屋が汚い事に驚いたが、自分で掃除する事は出来ないのでスルーした。

そうして、春十と千冬は机を挟む形で向かい合って床に座る。

 

 

「それで千冬姉、鈴たちってどうなった?」

 

 

「...春十、しっかり聞いて欲しい」

 

 

そこから、千冬は春十に説明をした。

鈴とセシリアはもう帰国している事。

鈴とは1度も会話出来ていない事。

そして、国と学園の決定に千冬1人では如何する事も出来ない事を。

 

 

「そ、そんな...」

 

 

その事を聞いた春十は絶望したような表情を浮かべてそう言葉を零した。

 

 

(何でだ!?何で鈴とセシリアと箒が停学で、その上鈴は退学なんだよ!?ヒロイン3人がこんな物語の序盤でそんな仕打ちを受けるんだよ!?)

 

 

そして、春十は心の中でそんな事を考えている。

何でも何も、鈴たちの処罰は鈴たちがした行動のツケなのだが、春十はそれを理解していない。

原作知識があるが故の、一種の障害ともいえるこの思考。

改善しないと痛い目を見るのは春十なのだが...

 

 

(そ、そうだ!鈴が退学なのは脅迫があるから!その事実さえ如何にかなれば...!)

 

 

春十はそう考えた後、ガバッと

 

 

「千冬姉!その、鈴の脅迫は本当なのかよ!確認はしたのかよ!?」

 

 

「春十、さっきも言った通り、鈴音とは会話出来ないし、そもそももう帰国しているから確認は不可...」

 

 

「そっちじゃなくて!脅迫された方だよ!まだ学園にいるんだろ!」

 

 

春十のその言葉を聞いて、千冬は考えるように顎に手を置く。

暫くして、千冬は息を吐きながら首を横に振った。

 

 

「無理だ。もう既に山田先生が確認をしているから、教員である私が終わった問題について改めて聞くと問題になる」

 

 

「そ、そんな...っ!な、なら生徒である俺が聞けば!」

 

 

「それも無理だ。そもそも生徒であるお前がこの情報を知っている時点で問題があるし、私がその生徒の名前をお前に伝えたら更なる問題に発展する」

 

 

千冬がそう言うと、春十は力が抜けたように肩を落とし、俯く。

 

 

(何で、何で...如何考えてもおかしいだろ!何でなんだよ!俺の、主人公のハーレムはどうなるんだよ!)

 

 

そんな春十の事を見て、千冬はその表情を悔しそうなものに変える。

 

 

(春十...!そうだよな、悲しいよな...クソ!私は一夏に続いて、春十の事も守れないのか!)

 

 

そして、千冬はそんな事を考える。

何処までいっても、春十がハーレムというどうしようもない事を考えている事に気が付かない。

 

 

「春十、今日の所はこれで終わりだ。今日は帰れ」

 

 

「あ、ああ。分かった...」

 

 

そうして、春十はゆっくりと立ち上がるとフラフラとした足取りで寮の自室に戻っていく。

 

 

(何でだよ...何でだよ...俺は主人公...ハーレムを、築くはずだったのに...)

 

 

その道中で、そんな事を考えながら。

 

 

「春十...」

 

 

1人になった千冬は、扉を見つめながらそう言葉を零す。

そうして、千冬は右手を握りしめる。

 

 

「これ以上、お前に悲しい思いはさせないからな...!」

 

 

そう覚悟を決めるように呟く千冬の表情は、とても必死なものだった。

 

 

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「ふぅ、GWでも私は休めないですね」

 

 

場所は変わって学園長室。

休憩用のお茶を飲みながら十蔵はそう言葉を零していた。

そんな十蔵の目の前には、机の上に山のように積まれた書類。

世界で唯一のISを学ぶためである学校であるIS学園。

そんなIS学園の学園長である十蔵は、たとえGWでも休む事など出来ない。

特に、今年は操と春十というイレギュラーが在籍中なのだ。

例年よりも更に忙しいものになっている。

 

 

「さて、そろそろ再開しますか...」

 

 

十蔵はそう呟くと、書類の処理を再開した。

 

 

「......門藤君関係の書類が多いですね」

 

 

十蔵が思わずそう呟いてしまう程、操に関する書類が多かった。

それもこれも、ジュウオウザワールドが束特性のISという扱いになっている事と、クラス対抗戦での圧倒的な戦闘力が原因だろう。

その書類の内容は殆どが操を自国の代表候補生に、又は企業に所属させたいというものだった。

そして、その書類はドイツ以外の先進国殆どから送られてきていた。

その事に十蔵はため息をつく。

 

 

「はぁ...如何しようも無いですね...」

 

 

十蔵はそう呟くと、操関係の書類殆どを処理していく。

まぁ、殆どが不可で処理をしているのだが。

 

 

「ん?これは仕事では無く報告書ですね...」

 

 

十蔵はそう呟くと、1枚の書類を手に取る。

仕事の書類に混じっていたが、それは仕事関係の書類では無く報告書だった。

十蔵は混じっていたことに少し驚いていたが、じっくりとその報告書を読んでいく。

その報告書は、鈴とセシリアが帰国する前に拘束室の警備を担当していた責任者からのものだった。

 

 

「...織斑先生が、何度も拘束室前に来ていた?」

 

 

報告書を読み終わった十蔵はそう言葉を零す。

そうして、十蔵は思いっ切りため息をついた。

 

 

「織斑先生、1年前までは頼りがいのある先生でしたが...今年になってから如何もおかしいですね」

 

 

そうして、その報告書を机の上に置きながらそう呟き、頭を押さえる。

 

 

「これは、警備責任者を変えないといけないですかね...」

 

 

まるで頭痛がすると言わんばかりの表情で十蔵はそう言う。

十蔵は取り敢えず心を落ち着かせる為に再び湯呑を手に持ちお茶を飲む。

そうして、暫くそのまま休憩していたが、操関係以外にも仕事はあるので空になった湯呑を机の上に置き、仕事を再開する。

予算、教育方針、世界各国や各企業からの視察や、中学校からの見学依頼など。

様々な仕事をしていく。

そんな中、十蔵は2枚の書類を見て手を止める。

 

 

「転入書類...そう言えばそうでしたね」

 

 

十蔵はそう言うと、その書類を確認する。

そう、その書類はGW明けにやって来る転入生2人の書類だった。

 

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒさん。ドイツ代表候補生で、ドイツ軍IS部隊シュヴァルツェ・ハーゼの隊長...まさか、軍人を転入させてくるとは」

 

 

十蔵は苦笑いを浮かべながらそう言葉を零す。

 

 

「なるほど、専用機持ちなのですか。それに、ドイツという事なら門藤君とも関わりがあるかもしれないですね。まぁ、これなら門藤君の負担にはならないでしょう」

 

 

十蔵は視線を上げながらそう少し安心したように言葉を零す。

操は入学してから千冬関係だったり、盗聴器だったり、試合へ乱入されたりなど様々なトラブルに巻き込まれている。

その事をたびたび相談されている十蔵にとっては、操の事が心配だったのだ。

だからこそ、新たなトラブルにはならなさそうで十蔵は安心したのだ。

 

 

「さて、もう1人は......何ですと!?」

 

 

そうして、ラウラの書類を置いた十蔵はもう1枚の書類を確認し、珍しく大きな声を発する。

だが、それも仕方が無いだろう。

何故ならば...

 

 

「シャルル・デュノア。フランスの代表候補生で、3人目の男性IS操縦者...」

 

 

十蔵は自分の目が、自分の認識が正しいものであることを確認するかのようにそう呟く。

そう、もう1人の転校生はまさかの3人目だったのだ。

 

 

「いろいろと怪しいですね.....」

 

 

何で今になって発見されたのか。

何故もう既に代表候補生になっているのか。

そして、デュノアというファミリーネーム。

 

 

「...デュノア社のスパイという可能性がありそうです」

 

 

十蔵は眉間を押さえながらそう呟く。

そう、デュノア。

訓練機であるラファール・リヴァイヴの開発元であり、IS世界シェア3位の大企業である。

しかし、最近は技術の遅れでドンドン経営難に陥っているという噂もある企業。

そんな企業と同じ名前を持つ、異様な時期に発見された男性IS操縦者。

怪しくない訳がない。

 

 

「これは、やはりトラブルに発展するという事ですか.....」

 

 

そうして、十蔵は今までの人生で1番大きいんじゃないかという程のため息をつくのであった...

 

 

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「隊長、そろそろお時間です」

 

 

「ああ、分かっている」

 

 

ドイツ、シュヴァルツェ・ハーゼの基地で。

大きな鞄に荷物を入れたラウラは、クラリッサにそう返事をする。

GW明けにIS学園に転校するラウラは今から日本に向かうのである。

 

 

「隊長、()()は本当に持っていくんですか?」

 

 

クラリッサは、ラウラの目の前の机の上にある2()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を見ながらそう言葉を零す。

ラウラは頷いてから言葉を発する。

 

 

「ああ。操の話を聞く限り、()()は操のものだろう。外見的にもな」

 

 

「確かにそうですね」

 

 

クラリッサが頷いた事を確認したラウラはそのまま()()も鞄に詰める。

その際に、()()が暴れたため、クラリッサと協力して約15分を費やして鞄に詰め込んだ。

 

 

「ふぅ、ふぅ、かなり大変だったぞ」

 

 

「はい、そうですね...検疫で引っ掛からないですかね?」

 

 

「ああ、大丈夫だろう...第一、()()をおもちゃ以外にどうやって申請しろと?」

 

 

「...なるほど」

 

 

少し疲れた雰囲気を醸し出しながらラウラとクラリッサはそう会話する。

 

 

「さて、そろそろ空港に向かう事にしよう」

 

 

ラウラはそう呟くと、その荷物を全て手に持ち、移動を開始する。

そんなラウラの後に続いてクラリッサが付いて行く。

そうして、2人が基地の外に出ると

 

 

『隊長!』

 

 

と、シュヴァルツェ・ハーゼの隊員全員が揃っていた。

 

 

「それでは隊長、頑張って下さい!」

 

 

『頑張って下さい!』

 

 

そして、隊員たちはラウラに向かって笑顔でそう言う。

操が来る前はあまりラウラと隊員たちの仲は良くなかった。

だが、操のお陰で今はこうして全員に笑顔で送り出してもらえる。

その事に、ラウラも口元に笑みを浮かべる。

 

 

「ああ、行ってくる!」

 

 

そうしてラウラはそう返事をすると、4月の操と同じように、空港に向かうためにバス停に歩き出したのだった...

 

 

 

 




もしや、もしや...
アイツ等なのか!?

次回も何時になるか分かりませんが、楽しみにしていてください!

評価や感想、誤字報告何時もありがとうございます!
今回も是非よろしくお願いします!
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