ここ、大事。
そして相も変わらず戦闘シーン雑過ぎる問題。
今回もお楽しみください!
三人称side
学年別トーナメント、初日。
これから1年生の第一試合が始まる第一アリーナには多くの観客が集まっていた。
そして、その観客にはこの間のクラス対抗戦同様、各国や各企業からの来賓も含まれている。
IS学園の生徒達と来賓の観客によって、第一アリーナの観客席は満席だった。
今日の午後から戦う生徒や2日目以降の生徒は勝ち上がったときに戦う相手の観察をしておきたいというのもあるだろう。
だが、ここまでこの第一試合が注目されているのはそれが理由ではない。
第一試合で戦うのが、ラウラと春十だからである。
方やドイツ軍IS部隊の隊長。
方や世界に2人しかいない男性IS操縦者で世界最強の弟。
注目されない訳がない。
そしてそれは、学園外からの観客も同様だった。
ラウラの専用機はドイツの最新式の第三世代型。
そして、春十の専用機も第三世代型である。
それに加え、クラス対抗戦の時に操が見せた圧倒的な戦闘力を考えると同じ男である春十の戦闘力に注目されるのも当然である。
まぁ、クラス代表決定戦の際に春十が操にボコボコにされるのを見たIS学園生徒達はそこまで期待はしていないのだが。
『さてさて!もう直ぐ学年別トーナメント1年生の部、第一試合が始まります!本日のアナウンスは私、新聞部副部長黛薫子がお送りします!』
会場にそのアナウンスが鳴り響いた瞬間、観客がわぁああああ!!と盛り上がる。
その瞬間、片方のピットから1機のISがアリーナに飛び出してきた。
黒い機体カラーに右肩にあるレールカノンが特徴的なIS。
『おおっと!先ず先に現れたのは、ラウラ・ボーデヴィッヒさんだ!その身に纏うは専用機シュヴァルツェア・レーゲン!どんな戦い方をするのか非常に楽しみです!』
ラウラはそのアナウンスを聞きながらいったん目を閉じる。
そして息を吸って、吐いた。
そうして眼を開いたラウラの表情は、覚悟が決まったものだった。
(私は、私の部下たちに、友人達に、操に、私自身に恥じない戦いをする。それだけだ)
ラウラはそう考えながら反対側のピットを見つめる。
するとピットから、白式に身を包んだ春十が飛び出て来た。
『そして!織斑春十君の登場です!その身に纏うは専用機白式!何でも彼の姉である織斑千冬先生の専用機、暮桜と同じ単一能力である零落白夜が使用できるとの事です!』
そのアナウンスを聞いた来賓の観客は少しざわつく。
生徒達は見たことがあるから知っているが、知らなかったら驚くのは当然だろう。
何故なら零落白夜は織斑千冬を世界最強たらしめる技なのだから。
それが使えるとなれば驚くのは当然である。
『それでは、両者構えてください!』
そのアナウンスを聞いたラウラは視線を鋭くすると、シュヴァルツェア・レーゲンの装備であるワイヤーブレードやレールカノンをすぐさま使えるようにスタンバイする。
それに少し遅れて春十は雪片弐型を展開し、構える。
だが、春十の表情はあまり良いものでは無かった。
(くそ、結局シングルのままじゃねえか!どうなってんだよ!だが、第一試合の対戦相手がラウラなのは変わりない...ここで、俺がラウラを惚れさせる!)
こんな状況になってもそんな事を考え続ける春十。
その目的に対する執着心だけは寧ろ尊敬に値するものなのかもしれないが、こんな状況でも考え続けるのは愚かとしか言えないだろう。
『学年別トーナメント、1年生の部第一試合!ラウラ・ボーデヴィッヒ対織斑春十!試合...開始!』
「うぉおおおお!!」
試合開始アナウンスと同時に、春十は声をあげながらラウラに突っ込んでいく。
白式は第三世代型のISで、全ISの中でもトップクラスのスピードを誇る機体。
最初からトップスピードは出ないものの、それでもかなりのスピードが出ていた。
だが、
「ふっ!」
突っ込むだけではただの的である。
ラウラはレールカノンを春十に向けて発射する。
ドキュウン!!
その様な射撃音がアリーナに響く。
「うぉ!?危ねぇ!?」
春十はそれを避けるため大きく横に移動する。
だが、意識をレールカノンに持っていかれてしまった。
その瞬間に
「ハァ!!」
ラウラはワイヤーブレードを展開、春十に振るう。
ラウラに意識を向けていなかった春十にそれを避ける事は出来ず、そのまま攻撃を受ける。
「う、がぁ!?」
SEが減り、春十はそう声を発する。
完全に意識外からの攻撃を喰らってしまった事で、春十は動きを止めてしまう。
「ふっ!」
「あ、う、ぐぅ...?」
そうしてラウラは右手を春十に向けると、春十の動きは停止してしまう。
シュヴァルツェア・レーゲンの最大の武装。
ラウラ自身は停止結界と称するこの武装は、対象を任意に停止させることが出来るという反則級な能力を持っているのである。
ただし、使用には多大なる集中力が必要であり、多数を相手にした際や光学兵器を弱点とするが1対1では上手く使用するだけで完封できるほどである。
「ふっ!」
ドキュウン!!
「うわぁ!?」
動きが止まった春十に対してラウラはレールカノンを発砲。
当然春十に避ける事など出来ずにそのままヒットする。
それと同じタイミングでラウラはAICを解除。
春十は大きく吹き飛びアリーナの壁に激突した後地面に落ちていく。
「が、あぁ...!?」
地面に落ちた春十は身体をあげようとするも、またAICに囚われ身動きが取れなくなる。
ドキュウン!!ドキュウン!!
「ぐぅ!?がぁ!!」
ラウラはそんな春十に向かってレールカノンを連射する。
当然ながら全弾春十にヒットしドンドンとSEが無くなっていく。
春十の...白式の単一能力である零落白夜だったらこのAICの突破も出来るかもしれない。
だが、シングルマッチであるが故動きを封じられてしまったらその可能性もない。
それに加え、零落白夜は自身のSEを削り発動する技。
ここまでSEが削られるともはや発動できるのかすら怪しい。
(なんでだ!?なんでだよ!!なんでなにも出来ないんだ!!俺は主人公だろ!?なんでこんなにボコボコにされたんだよ!?)
身動きも取れない中、春十はそんな事を考える。
こうなっているのは当然なのだが、原作知識があるゆえんそんな考えに至らないらしい。
まぁ、原作でもタッグマッチだったから攻略出来たのだが、都合の悪い事は忘れているらしい。
(こんなものか...あっけないな。もう終わりにしよう)
ラウラはそう考えながらレールカノンを発射準備をする。
後1発当たれば、白式のSEは無くなるだろう。
そうして、ラウラが発射しようとした、その瞬間だった。
〈はっはっはっ......〉
そんな声が、ラウラには聞こえた。
「なに!?」
ラウラはあたりをハイパーセンサーであたりを確認するも、そんな声が発せられたと思われるものなど近くに存在しない。
〈さぁ...コンテニューの時間だ...〉
またも聞こえた声に、ラウラは今度は自分の目であたりを確認するも、当然ながら声の発生源は存在しない。
(これは...頭の中に直接...!?)
ラウラの様子がおかしい事に気が付いた観客がざわつく。
(貴様!誰だ!コンテニューとはなんだ!)
ラウラは頭の中の声に対してそう質問をする。
集中力などもうなくなり、AICの束縛も無くなっている。
だが、春十は立ち上がる事もせず、混乱したように頭を押さえるラウラを見て笑みを浮かべていた。
(良し!これはVTシステムだ!!)
春十は心の中でそんな事を考える。
だが、原作においてVTシステムが発動したのは、
こんなに圧倒的有利な状況において、
〈そのままの意味だ...今からお前はコンテニューし、新たに生まれ変わるのだ〉
(ふざけるな!私は、コンテニューする必要など...〈本当にそうか?〉何...?)
〈出来損ないと言われ、尊敬していた師の真の姿を知る...そんな人間、底辺以外の何物でもない〉
(うるさいうるさい!私には、私にはぁ...!!)
〈黙れ、身をゆだねろ〉
ラウラの頭の中の声がそう言った瞬間だった。
チャリィィィン
そんな、まるでメダルを落としたかのような音がアリーナに響き渡った。
「う、ぐぅ、がぁあああああああああああああああ!?!?!?!?」
ラウラは苦しそうに急にもがき始めた。
シュヴァルツェア・レーゲンからは、
大量のメダルはそのままシュヴァルツェア・レーゲンごとラウラを包み込むと、グニャグニャと形を変えていく。
「え、な、え!?」
春十は思っていたものとは違う変化を見せるシュヴァルツェア・レーゲンとラウラに動揺を隠せない。
そして、メダルの変化が終了すると、そこにいたのは...
〈がぁあああああああああ!!」
白い、化け物だった。
『うわぁあああああ!?』
その姿を見た観客たちは悲鳴を上げ、一目散にアリーナから逃げようと席を立ち走り出す。
〈ぎゃあああああ!!」
その化け物は咆哮をあげる。
ラウラの声と、低い声が混じったような耳障りな声。
その見た目は全体的に尖っていて、禍々しい印象を覚える。
「な、な、な!?」
(なんだこれ!?VTってこんなのじゃないだろ!?なんだよこれ!?)
〈ぐるぁあああああ!!」
混乱する春十をよそに、化け物は咆哮をあげながら地面に降りる。
そしてそのまま地面を蹴り春十に接近する。
『春十!避けろ!』
「っ!あ、ああ!!」
ここで、春十に向かって千冬からのプライベートチャネルによる連絡が入る。
その指示に従い、春十は地面を這いながらその場から移動する。
その1秒後、さっきまで春十がいたところに化け物が到達した。
停まったときの勢いで地面は抉れ、アリーナの壁に罅がはしる。
『春十!逃げろ!』
『ちょっと織斑先生!早く避難誘導を...』
『黙れ!アリーナには春十がいるのだぞ!』
『それは他の先生で良いじゃないですか!有事の際の指揮権を持っているのは織斑先生なんですよ!』
〈がぁあああああ!!」
通信機の向こうでそんな会話が起こっている最中でも、化け物はお構いなしに咆哮をあげる。
『きゃああああ!?』
未だに避難しきれていない観客が悲鳴を上げる。
そうして、化け物は再び春十に向かって接近する。
「うわぁあああ!?」
『春十!!』
春十はその場から動けず、その場で目を瞑る。
千冬も絶叫を上げる。
その瞬間
シュルルルルルルルルルルルルルル!!
「えぁ!?」
グィ!
「うわぁあああああああ!?」
春十に黄色い糸が絡みつき、そのままピットに引っ張られる。
「ぐへっ!?」
ピットに着地した春十はそんな間抜けな声と同時に機体が強制解除され、絡まっていた糸も解ける。
春十が見上げると、そこには。
ジュウオウザガンロッドを手に持つ、ジュウオウザワールドがいた。
「早く逃げろ。ここは俺が引き継ぐ」
「何を言って...!」
春十の言葉を無視し、ジュウオウザワールドはジュウオウザガンロッドを肩に担ぎながらアリーナに出る。
〈ぐぁあああああ!!」
ジュウオウザワールドを見た化け物は咆哮をあげる。
『門藤!何をしている!無断行動は...』
『いいえ、彼は無断行動ではありません!』
『なっ!?』
『学園長から連絡が来ました!学園長直々にアレの対処を門藤君に任せたとの事です!』
アリーナの放送機能で千冬が何か言おうとした時に別の教員が説明をする。
それを聞いていた春十も驚愕の声を発する。
『織斑先生!早く避難誘導に行きますよ!』
『ぐっ...分かりました...』
そうして千冬は避難誘導の為に漸く動き出した。
ピットにいた春十も慌ててピットから出て行く。
そうして、アリーナにはジュウオウザワールドと、白い化け物。
「ラウラ...」
ジュウオウザワールドは化け物を見据えながらそう言うと、ジュウオウザガンロッドを構える。
「絶対に助ける!」
〈がぁあああああ!!」
化け物は咆哮をあげながらジュウオウザワールドに突っ込んでいく。
「ハァ!」
ジュウオウザワールドはジュウオウザガンロッドを振るいライノストリングを飛ばす。
ライノストリングは白い化け物に当たるも、大したダメージを与えれていないのかそのまま突っ込んで来た。
「なっ!?」
〈ぐるぁああああ!!」
「ぐっ...!?うっ...!?」
ジュウオウザワールドはそのまま突撃をくらい大きく吹き飛ぶ。
《ザワールド!》
《ウォーウォー!クロコダーイル!》
「本能覚醒!」
吹き飛ばされた先でクロコダイルフォームになったジュウオウザワールドはジュウオウザガンロッドをロッドモードに切り替え構えなおす。
〈ぎぃあああああ!!」
「うぉおおおおお!!」
白い化け物とジュウオウザワールドがぶつかり合う。
ガキィ!
ジュウオウザガンロッドと白い化け物の腕の鍔迫り合いの音があたりに響く。
(くそ!どうしたら良い!?如何したらラウラを助けられる!?)
〈がぁあああああ!!」
「ぐぅ!?」
化け物は腕を振るい、ジュウオウザワールド事ジュウオウザガンロッドを弾き飛ばす。
弾き飛ばされたジュウオウザワールドは転がりながら着地する。
《ザワールド!》
《ウォーウォー!ウルフ―!》
「本能覚醒!」
ウルフフォームになったジュウオウザワールドは地面を蹴り、超高速で移動する。
バァン!バァン!
ガンモードにしたジュウオウザガンロッドで化け物に射撃を行う。
〈ぐぅううううう!?」
「今!」
少し化け物がひるんだタイミングでジュウオウザワールドは接近すると、ジュウオウザガンロッドのリールを回し連射する。
ババババババババババァン!!
〈ぎゅやああああああああああああ!?!?!?!?」
流石に近距離での連射を受けた化け物はそう悲鳴を上げ、辺りに白い細胞な様なものを撒き散らしながら大きく吹き飛ぶ。
その瞬間、ジュウオウザワールドは視認した。
白い化け物の身体に出来た傷の中から、必死な表情を浮かべているラウラを。
「ラウラ!」
だが、その傷は直ぐに塞がってしまい、ラウラも中に取り残されてしまう。
(こうなったら...やるしかない!)
《ザワールド!》
《ウォーウォー!ライノース!》
「本能覚醒!」
ライノスフォームに戻ったジュウオウザワールドはジュウオウザガンロッドを仕舞う。
そして、1度大きく息を吸ってから、言葉を発する。
「野性...大解放ぉ!!」
その瞬間、ジュウオウザガンロッドの胸の犀の顔の目が光り、ジュウオウザワールドの両肩に黒い犀の角を模したような突起が出現する。
その一瞬後、狼と鰐の目も光り、ジュウオウザワールドの左腕は狼の鉤爪を模したものになり、右腕は鰐の尻尾の様なものに変わる。
「うぉおおおおお!!」
まるでキメラの様な見た目になったジュウオウザワールドは大声をあげて化け物を見る。
吹き飛ばされていた化け物はフラフラと立ち上がる。
「ハァアアア!!」
ジュウオウザワールドは狼の鉤爪にエネルギーをため込むと、そのまま振るいエネルギーの斬撃を飛ばす。
〈ぐぎゃあああああ!?!?」
「オラァ!!」
化け物が悲鳴を出すと同時にジュウオウザワールドは右腕の鰐の尻尾を振るい化け物にぶつける。
〈ああああああああ!?!?!?」
その瞬間にも化け物は悲鳴を上げる。
そうして尻尾の形に傷跡ができ中のラウラを視認できるようになる。
「はぁああああ.....」
ジュウオウザワールドは姿勢を低くして肩を前に出すと、ざっざっと2回地面を足でこすり、
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
雄叫びをあげながら黒いエネルギーを身に纏いながら化け物に突っ込んでいく。
「ワールドザクラッシュ!!」
そうして、フラフラな化け物に肩の角を激突させる!
その瞬間に右腕の尻尾をラウラに絡みつかせ左腕で抱え込むと、そのまま化け物の身体を貫通する!
〈ぐぁああああああ!?!?!?!?〉
最後に、低い声だけでそう悲鳴が上がる。
ボカァアアアアアアン!!
ジュウオウザワールドの背後で、化け物は爆発する。
そうして、その場には半壊したシュヴァルツェア・レーゲンが落ちていた。
「ラウラ!おい!しっかりしろ!ラウラァ!」
変身を解除した操はラウラの頭を自分の膝に置きながら寝かせ、そう呼びかける。
操がラウラの首に手を当てて脈を確認すると、正常に脈がある事を確認する。
今度は呼吸を確認すると、呼吸もある事を確認する。
「取り敢えず、生きてる...良かったぁ...」
操は安心したかのように息を吐いた。
そうしてラウラを医務室に連れて行こうとラウラを抱えながら立ち上がり、振り返った時だった。
シュヴァルツェア・レーゲンの残骸から、何かが這って出て来た。
顔や腕の先や足の先が白く、胸もとは黄色や赤でそれ以外は青。
額や口の近くから角の様なものが出ていて、額の中央には赤い宝石のようなものが付いていた。
それは暫く這っていたが、やがて力尽きたように動かなくなると、そのまま消滅した。
そうして、それを見ていた操は
「
驚愕の表情でそう呟く事しか出来なかった。
特に反撃のチャンスすらなくボコボコにされるだけの春十。
これくらいがお似合いか。
次回も何時になるか分かりませんが、楽しみにしていてください!
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