今回もお楽しみください!
操side
生徒会室でみんなにお弁当を食べさせて、なんとなく簪が成長し過ぎに感じた日から暫くたったある休日。
俺はIS学園に繋がるモノレール駅に程近い大型総合施設、レゾナンスに来ていた。
理由は単純明快。
もう直ぐ行われる臨海学校に必要なものを買いに来たのだ。
俺はこの世界に荷物などを殆ど持って来ていない。
その為、水着等は勿論の事着替えとかを入れる大きめのバッグなども無いのだ。
だから、今日はかなり大量に買い物をする事になる。
そして今日俺はレゾナンスに1人で来ている訳では無い。
「操さん、早く早く!」
「少し待ってくれぇ!」
今日はラウラ、簪、のほほんさん、ティナ、静寐、神楽、癒子、さゆかの8人、つまりはラウラと釣り組と共にレゾナンスに来ているのだ。
なんというか、大所帯である。
しかも女子高生8人に23歳成人男性1人とかいう良く分からない、周りから見るともはや怪しさすら感じるんじゃないかというメンツである。
大丈夫だよな?
通報されないよな?
俺だって一応高校生だし...
でもはたから見ると23歳成人男性は社会人なんだよなぁ...
まぁ良いや。
そん時はそん時だ。
取り敢えず合流して買い物をしよう!
「はぁ、はぁ...ふぅ......それで、取り敢えず何買うの?」
「そりゃあ勿論、水着ですよ!!」
全員と合流したので最初に何を買うのか尋ねると、ティナがそう返答してくれた。
「水着か...男用売ってるのかな?」
「あ、あー...」
俺の素朴な疑問に、さゆかが苦笑いを浮かべながらそう反応した。
この女尊男卑な世の中で、男性の地位が下がると同時に店頭からは男用の種類が減ったり、取り扱いをしなくなっていったりしているのだ。
そんな中で女尊男卑になる前から女性用のものが優遇されていた水着なんてもう売ってる店なんて無いんじゃないだろうか。
「取り敢えず行ってみないと分からないぞ」
「確かに。じゃあ取り敢えず店に行こうか」
ラウラの言葉に反応した俺の言葉に全員が頷いた。
そうして、全員で水着が売っている店に移動する。
その道中なにやら視線を感じたのは気のせいでは無いだろう。
すれ違う女性からも男性からも視線を向けられているような気がする。
具体的に言うと、女性からは軽蔑の、男性からは嫉妬の視線を感じる。
はぁ...なんとも面倒な世の中だ。
大和達とワイワイ過ごしてたのがもう懐かしい。
この世界に来てから1年も経ってないんだがなぁ...
そんな事を考えていると、水着のお店の前に来た。
そう、前に来たのだが...
「......男用、あるか?」
「無いかもしれないですね...」
俺の呟きに、簪がそう反応する。
そう、店の前からは如何考えても男用のものが見当たらなかった。
「もしかしたらぁ~、奥の方にあるかもですよぉ~」
「...入る勇気が出てこない」
なんだ、このデスガリアンと戦う時には感じなかった謎のプレッシャーは!?
「...確かにそうかもしれないですね」
「じゃあ私達が見てきますね」
「よろしくお願いします」
静寐と神楽がそう言ってくれたので素直にお願いする。
すると、8人はそのままお店の中に入っていった。
俺はやる事が無くなったので周囲のお店を確認する。
...なんか、やっぱり女性専用のお店が多い。
こんなんじゃあ男性は生活しにくいに決まってる。
そう考えていると、ラウラが戻って来た。
「無かったぞ」
「やっぱりか...水着持ってねぇしどうするか......」
そうしてあたりをもう1回見渡すと、スポーツ用品店が目に入った。
あそこならスポーツ用のものが置いてるかもしれない。
「ラウラ。俺はあっちのスポーツ用品店を見てくる。あそこになかったら、もう泳ぐのは諦める」
「通販は...そうか、男性用のものを通販で買おうとするとやけに高いからな」
「ああ。男性用のものは製造数が少ないからな。あらゆる人が購入できる通販だと供給より需要の方が上回り過ぎて高いから店頭で買わないと俺の財布が...」
「了解した。みんなにも伝えておく」
「ああ。よろしく頼む」
そうして、ラウラはそのままお店の中に戻っていった。
それを確認してから俺もスポーツ店に向かっていく。
頼む...!
海で1人だけジャージで突っ立ってるのは嫌だ......!!
クソ、釣りが出来たらいいのになぁ!!
まぁ、遊泳可能な浜辺の近くで釣りが出来る場所が無いのは分かってるけどさ。
そんな事を考えていると、件のスポーツ用品店の前に着いた。
そうして、俺はそのまま店の中に入る。
入ってすぐに、バスケットボールのユニフォームをバスケットシューズを履き、ボールを手に持っているマネキンがあった。
おお!
これは男性用だ!
これなら男性用の水着があるかも...!!
~数十分後~
「無かった...」
あれから店内をくまなく探したのだが、男性用の水着を発見する事は出来なかった。
否、正確にいうのなら販売スペースはあったのだがそこの棚はすっからかんだった。
もう売れてしまっていたのだろう。
「これで、俺は泳げない事が確定した......」
最悪だ...
俺にこの世界の海を楽しむ資格は無い...
取り敢えずみんなの所に戻らないと。
そう判断し、さっきまでいた店の前に戻る。
すると、そのタイミングで買い物袋を手に持ったみんなが店から出て来た。
「あ、操さん!水着ありました?」
「ははははは...あったら買ってるよ...」
「「「「「「「「............」」」」」」」」
何も持っていない両手を掲げてそう言うと、みんなは若干悲しそうな表情で俺を見て来た。
止めてくれ...そっちの方が辛い...
笑ってくれた方が何倍もマシだったような気がする.....
「ま、まぁ臨海学校は泳ぐだけじゃないから!!浜辺でジャージでわちゃわちゃするとするよ!!さぁ、次の買い物に行こう!!」
このまま暗くても良い事は無い。
暗かったら何時までも暗いままだってセラとアムに教えてもらった。
だから取り敢えず切り替えて次の買い物に行く事にした。
「そ、そうですね!次に行きましょう!!」
「じゃあ、寝間着買っていいですか?結構だるだるの服しか無くて...」
「いいじゃん!買いに行こう!」
そうして、そこからは全員で様々なお店を周った。
服屋では数少ないメンズコーナーからシンプルなジャージを3着買い、化粧品店では日焼け止めとかを買っているみんなを外から眺め、バッグの店では1種類しかなかったメンズ用の大きなバッグを買い、ボードゲーム屋ではみんなでどのゲームが面白いのかを吟味し...とにかくいろいろな買い物をした。
そうして、今はみんなで昼食をどうするか話しあっている。
「どこかで食べるにしても、この人数でこの荷物は邪魔かな?」
「確かに邪魔かも。それに、そもそも今日は休日だから9人で入れるところの方が少ないんじゃないかな?」
「なんなら俺ご飯作るよ?」
俺がそう言うと、みんながガバッと俺に視線を向けて来た。
だが、ティナたちが目を輝かせているのとは対照的にラウラ、簪、のほほんさんの3人は若干引いていた。
なんで料理作るって言ったら引かれないといけないんだ。
俺には料理をする資格も無いの?
「操さん、作ってくれるんですか!?」
「ああ。って言っても今流石に9人分の材料は無いから買って帰らないといけないけどね」
「それでも良いです!是非お願いしま「「「チョッと待ったぁ!!」」」どうしたの?」
癒子の言葉を遮るようにラウラ、簪、のほほんさんの3人が声を発する。
なんだなんだ?
のほほんさんが間延びをしないだなんて、そんなに重要な事なのか?
「操の料理は危険だ!女のプライドが打ち砕かれる!!」
「うんうん!この前実際に砕かれた!」
「もう自分の料理に自身が無くなっちゃうよぉ~!!」
「......いやいや、そんな訳無いじゃん。素人だぞ?プロの料理人の方なら分かるが素人の料理でそんな事になる訳無いじゃん」
自分で食べていろいろ改良したくなるし、そんな訳が無いんだよなぁ。
事実、言われたティナたちもキョトンとしている。
「そこまで何ですか?」
「自分ではそうとは思わない。自分で食べると改良点が続々と出て来る」
「あの完成度でか!?」
「どの完成度の事を言っているのかは分からないが、俺の料理はまだ改善の余地ありだ」
何時か、大和達を満足させるために!!
「なんか、話を聞いてると凄い気になってくる」
「うん。これはぜひとも1回食べたい!」
「よし、じゃあ決定!!」
「「「決定してしまった...」」」
俺の言った事に、何故かラウラと簪とのほほんさんがそう言葉を零した。
俺の普通な料理の何処にそんなショックを受ける要素があるというのだ。
「じゃあ、取り敢えずスーパーに行こう!」
「そうですね、行きましょう!」
そうして、俺の言葉にティナが頷き全員でスーパーに移動しようとした、その時だった。
「っ!殺気!!」
殺気を感じた俺は近くにいたみんなを突き飛ばし周りから離させる。
「きゃあ!」
ごめん!
後で土下座する!
「死ねぇ!門藤操!!」
それと同タイミングで、ナイフを手に持った女が俺に向かって突っ込んで来た。
「危ね!?」
ナイフを避け、その足を払おうとする。
しかし、
「大人しく死ね!!」
「そう簡単には死なない!」
もう1人ナイフを持った女が現れて斬りかかって来た。
その攻撃を避けるために身体を反らすと、さっき突っ込んで来た方がまた斬りかかって来た。
「ちっ!」
「操さん!!」
「警備員の人を呼んで来て!俺は殴れない!」
「分かりました!」
全く、正当防衛でも男が女を殴れないだなんて、何て不便なんだ!
「何が目的だ!」
「男のくせして神聖なるISにのるお前は女の敵!ここで排除する!」
「そんなんで排除されてたまるか!」
過激派の女尊男卑主義者か!
面倒だ!
右、左、右、右、左、上、下。
斬りかかって来る2本のナイフを避けながら俺は後退する。
今この場に他の買い物客の方がいないのが幸いだった。
巻き込まずに済んだからな!
「死ね!!」
「とっととくたばれ!」
「......はぁ......」
〈操!簡単な事だ!相手を傷つけずに、避ける!それだけだ!いけるか!?〉
犀男が俺に語り掛けて来るような気がした。
「当然だ!」
そうして、ナイフを避ける事数分。
「こっちです!」
「お前たち!何をしている!」
簪の声が聞こえてきた方に視線を向けるとそこには何人かの警備員を連れたみんながいた。
「ただこの女の敵を殺そうとしてるだけよ!」
「そんな事が許されてたまるか!確保だ!!」
『はい!』
警備員の隊長の様な女性がそう言うと同時に、控えていた他の警備員の方々が女たちを確保する。
「離しなさいよ!」
「私達は女の権利を守ろうとしただけよ!」
暴れていた女2人はそうもがきながらも拘束され警備員室に連れていかれた。
「操!大丈夫か!?」
「ああ、一応な。それよりも、さっきは突き飛ばしてごめんね」
「そんなの気にしないで下さい!操さんが無事で良かったです!」
簪の言葉に他のみんなもうんうんと頷いてくれる。
...良い友人達だよ、本当に。
そう考えていると、警備員の隊長であろう女性が話し掛けて来た。
「お怪我は無いですか?」
「ああ、はい。大丈夫です」
「それは良かったです。それで、申し訳ありませんが少しお話を聞いても?」
あ、これ事情聴取ってやつだ。
お昼ご飯、抜きか...
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「あ、あ~...疲れた...」
あれから。
事情聴取は数時間に及び時刻はすっかり16時30分。
俺は買ったものを持ち1人でIS学園に向かっていた。
もう他のみんなはとっくの等にIS学園に帰ってる。
なんか、俺のせいで折角の休日が駄目になってしまって申し訳ない。
後でもう1回謝罪しておこう。
「...お腹減った」
警備員の人が一応おにぎりくれたけど1個じゃ足りない。
23歳成人男性は流石におにぎり3つは欲しいぞ。
でももう16時過ぎてるから今更ご飯食べようとも思わない。
どうするかな...
「...あんまりしたくないけど、クレープでも食べるか」
駅に行くまでの道のりでレゾナンス総合出入口近くのクレープ屋が目に入った。
甘いものでお腹を満たしたくは無いのだが...今の時間と空腹具合から考えると、クレープくらいがちょうど良いだろう。
そう判断したので俺は早速注文する事にした。
「えっと...あ、照り焼きチキンで」
おかず系あるじゃん。
「照り焼きチキンですね、450円です。......丁度お預かりしました今から作りますので。少々お待ちください」
注文を聞き、料金を受け取った定員さんはそのままクレープを作り始める。
良かった、おかず系あって。
無かったら少ししんどかったかも。
そうして大体数分後。
「お待たせしました」
「ありがとうございます」
出来た照り焼きチキンクレープを受け取り、近くのベンチに座って食べ始める。
「...美味しい」
そのままガツガツと食べ、3分くらいで食べ終わった。
これで夕ご飯までは持つし、夕ご飯も食べられるだろう。
出たごみを適当にポケットに入れてそのまま荷物を持ち直し、モノレール駅に向かう。
そうしてモノレールに乗り、IS学園に戻っていく。
「...やっぱりこの世界は生きにくいなぁ」
織斑一夏にとっては、織斑春十に虐められた世界。
門藤操にとっては、いろいろなトラブルに巻き込まれる世界。
なんとも大変なんだろうか。
まぁ、あっちの世界でもデスガリアンと戦ったがあったが、それが終わったら平和だった。
でも、今が大変だったとしても。
「俺は戦う。この世界の友人達と」
そう改めて覚悟を決めた時、IS学園に着いた。
モノレールから降り、IS学園の敷地に入る。
そうしてそのまま教員寮に向かっていく。
その道中、
「あ、山田先生」
「あ、門藤君」
山田先生と出会った。
山田先生はその手に何やら書類を持っており仕事終わりである事がうかがえる。
休日なのに...流石教師。
休みが無いのは本当なのか。
「門藤君、帰って来たんですね。大丈夫でしたか?」
「ああ、まぁ、はい。一応は」
そうか、学園側にも連絡は入っているのか。
「すみません、学園外でトラブルを起こして」
「いえいえ!気にしないで下さい!門藤君が無事ならそれで良かったです!!」
山田先生はブンブンと首を振りながらそう言ってくれる。
そう言ってくれると俺としても気が楽だ。
そうして、俺と山田先生は並んで教員寮に向かう。
「それで門藤君は買い物に行ったんですよね?目的の物は買えましたか?」
「...水着以外は」
「あっ......」
止めてください。
そんな哀れな小動物を見る目で俺を見ないで下さい。
ただでさえ悲しいのに更に悲しくなります。
「通販で買うと高いですし、もう泳ぐのは諦めます」
「そうですか.......あ、そうだ!なら、これのお手伝いをしてくれませんか?」
そう言って山田先生は手に持っている書類を俺に見せてくれる。
え~と、なになに?
『臨海学校の教員出店について』
「え~っと...これ、なんですか?」
「これはですね、臨海学校の初日の自由時間で教員たちによる出店をするんですよ」
「へぇ、ただでさえ教員の方々は忙しいのにそんな事をするんですか」
「はい、そうなんですよ。それで、門藤君には出店のお手伝いをして欲しいんです!」
「え、俺がして良いんですか!?」
それなら、浜辺で突っ立ってるだけのジャージ姿の悲しい23歳成人男性にならない!
「はい!引き受けてくれるのなら、門藤君には焼きそば等を料理して欲しいんです!」
なに!?
しかも料理出来るだと!?
「やります!!」
「ありがとうございます!では、後日教員たちに連絡しておきますね!」
「はい!」
そうして、教員寮に着いたので山田先生と別れ自分の部屋に入る。
購入したモノたちを取り敢えず床に置きそのまま手洗いとうがいをする。
「これで臨海学校も楽しめるな!」
楽しみだけが目的じゃないけど、取り敢えず楽しめないと始まらないからな!!
悲報 操、泳げない。
朗報 操、手料理を振舞えることになる。
今回から楯無と虚もEDで踊ってくれるよ!
楯無「簪ちゃんを見ながら一緒に踊れるって最高!!」
虚「お嬢様、落ち着いて下さい」
楯無「それで操さん。この歌詞のイーグルとかの要素ってなんですか?」
操「あ、あー、まぁ、気にしないで下さい!」←楯無達には元の世界の話してない人。
次回も何時になるか分かりませんが、楽しみにしていてください!
誤字報告や感想、何時も本当にありがとうございます!!
今回もよろしくお願いします!!