やっとだぜ。
今回もお楽しみください!
基地に帰ろう
操side
この間の臨海学校での銀の福音暴走事件から暫く経った。
あの事件の後は特に大きな事件も無く平和に過ごしていた。
期末テスト勉強では釣り組と一緒に勉強したのだが、のほほんさんが顔を真っ赤にして頭から煙を出し倒れた時には物凄い焦った。
まぁ、簪がアイスをチラつかせると復活したのでそこまで心配はしなかったんだけど。
そうして臨んだ期末テストはみんな赤点を取ることなく無事に終了した。
向こうの世界で高校卒業資格を持っているとはいえすっごい久しぶりに勉強したので正直不安だったから安心した。
これは静寐から聞いた話なのだが、織斑春十、篠ノ之箒、セシリア・オルコットは赤点になったらしい。
…まぁ、篠ノ之箒とセシリア・オルコットは長らく拘束されてたりしたからなんとなくそんな気がしていたが、織斑春十もだとは思わなかった。
IS学園で赤点を取るとかなりえげつない量の補修を受けなくてはいけないので、大変だと思う。
俺には関係ないからこれ以上は何とも思わないが。
そうして、IS学園は無事に夏休みに突入した。
だけど、開始して間もなく世界中にニュースが轟いた。
『デュノア社、倒産!』
こんなニュースが。
遂にこの時が来たようで、今でもニュース番組を見るたびにこの話題が上がっている。
楯無さんに聞いた話ではデュノア社の社長はもう既に裁判に掛けられているらしい。
シャルロットはまだ更識の屋敷で生活しているらしいが、もう直ぐ裁判に掛けられるため身柄が引き渡されるとの事。
最後に1回くらいあっておきたいが、どうなる事か。
そして今日。
俺が何をしているのかというと
「いやぁ、飛行機に乗るの久しぶりだなぁ」
「操は3月末以来、私は5月の始め以来だな」
ラウラと共に空港でドイツ行きの飛行機への搭乗開始を待っていた。。
そう、何を隠そう俺達はこれからドイツに…シュバルツェ・ハーゼの基地に帰るのである。
「私はただ帰るだけだが、操は果たしてどうなるかだな」
「…まぁ、確かにあの時とは俺の状況が違うからなぁ」
前に基地に寝泊まりしてた時はまだ俺の事が発表されてなかったけど、今は全世界に俺の事は知られてるからなぁ。
それも、なんか俺の所属先云々で国同士が揉めてるとか聞くし……
「もしかしたら、基地に入れないかもな」
「止めてくれ。基地に入れなかったら俺は帰国しないといけない」
俺はドイツに身寄りがある訳では無いのだ。
ホテルにずっと泊まると財布へのダメージが半端じゃないので、残された選択肢は帰国だ。
「まぁ、そんな事は無いとは思うがな」
「自分から不安にさせておいてそれはないぜ……」
俺がボソッとそう呟くとラウラはニヤリと悪そうな笑みを浮かべる。
そんなラウラの様子を見て思わず苦笑いを浮かべてしまう。
そのまま暫くの間ラウラと雑談をする。
『それでは、これより搭乗手続きを開始いたします』
「お、来た来た」
「良し、行くか」
リュックを背負い、順番が来てから席を立ちラウラと共に飛行機に乗り込む。
そして少し歩き自分たちの席に到着した。
「…此処か」
「ラウラ、鞄入れるからくれ」
「すまないな」
ラウラから鞄を受け取り、自分のリュックと共に座席上部の棚に仕舞う。
そしてラウラが窓側、俺が通路側に座る。
「う~ん…これで寝ると絶対に身体がバキバキになるな」
「仕方が無い、エコノミーなんだから」
座席を触りながらそう呟くと、ラウラがそう反応する。
そう、今回の飛行機の座席はエコノミークラスなのだ。
夏なのでただでさえ高かったのに、ビジネスクラスとかのリッチな席を取るともう財布へのダメージが半端ではない。
臨海学校で高いからといった理由で水着を諦めた程俺はカツカツなのだ。
ラウラは軍勤めで代表候補生でもあるのでそこそこ給料が入って来ているので俺と違って別にビジネスクラスをとってもそこまで財布へのダメージは無い筈だが、何故か一緒にエコノミーを取った。
まぁ、俺と一緒に取った方が楽だし、席も隣同士の方が楽だからだと思う。
そんな事を考えているとシートベルト着用云々だったり緊急時避難の手順だったりのアナウンスと映像が流れ始める。
これはしっかり確認しないとな。
そうして全てが終わると飛行機は動き出し、離陸する。
ラウラの向こうの窓から海が見える。
「また釣り行きたいな」
「確かにそうだな」
お、ラウラも乗り気だ。
やっぱり釣りは楽しいからな。
ハマってくれて嬉しい。
そして暫くの間ラウラと周囲の迷惑にならない程度で雑談をする。
「ふぁああああ……」
少し経った時、不意にラウラがそうあくびを漏らした。
視線を周囲にチラッと向けると、他の乗客の方達も眠そうにしていたし、なんならもうアイマスクをしてバッチリ寝ている人もいた。
「俺らも寝るか…」
「ああ、そうだな……」
そして俺とラウラは備え付けのエコノミークラス特有の薄めの毛布を膝に掛けアイマスクを掛ける。
「おやすみ」
「ああ、おやすみ」
ラウラとそう言い合ってから、眠りに付いた。
三人称side
「身体が痛い…!」
「元々分かっていたんだがな…!」
飛行機は無事に目的地に到着した。
操とラウラはバッキバキに固まった身体をほぐしながら到着ゲートから出て来た。
荷物を受け取り到着ロビーに歩いて行く。
「えっと、基地近くへの次のバスは…40分後か……」
「まぁもともとここら辺へのバスは本数が少ないからな」
「まぁ、基地周辺は一般人は行かないし、軍関係者の人は軍用車で行くからな」
「どうする?ご飯でも食べるか?」
「俺まだ換金して無いからしていい?」
「ああ、別にいいが…お前の収入源は何処だ?」
「学園と国際IS委員会。男性IS操縦者用給付って名目だから多分織斑春十にも払われてる」
「なるほどな」
「ただ、やけに値段が低い」
「どれくらいなんだ?」
「月7万円。いや、働いて無いのにそれくらい貰えるのはありがたいかもしれないし、寮暮らしでそこで使う光熱費とか水道費とかは免除されてるけど食費は自分で払わないといけないから結構カツカツだ」
成人男性の1月の平均の食費は約4万円。
操は結構節約してるので月3万円。
残った4万円も服などで消えていく。
「なるほど、つまり今日もかなりギリギリで来たんだな?」
「ああ。もう日本に帰ったら短期バイトする」
「そうしておいた方が良いだろうな…」
そんな会話をしながら操とラウラは換金所まで移動し日本円を換金する。
その後空港でご飯を食べゆったりと過ごし、バスに揺られ移動する。
そして時差ボケで眠気がピークに差し掛かって来たタイミングで基地の前に着いた。
2人はフラフラした足取りで検閲所へ向かう。
心配していた操も無事に通過した。
そのまま基地の生活舎に向かって行く。
「眠い…」
「なんで、今なんだ…」
2人は頭を揺らしながら扉を開け中に入る。
『お帰りなさい!』
その瞬間に中で待機していたシュヴァルツェ・ハーゼの隊員達が笑顔で出迎える。
流石に眠くて疲れていても流石にそれには反応しないといけない。
「ああ、ただいま」
ラウラは頭を振ってから笑顔を浮かべる。
隊員達は2人に駆け寄っていく。
「隊長!お久しぶりです!」
「ああ、久しぶりだ。私のいない間大丈夫だったか?」
「はい、それはもう!」
ラウラの事が大好きな隊員達は笑顔でラウラと話し始める。
物凄く眠いラウラだが何だかんだ嬉しいのでしっかりと応対している。
操はそんな様子を温かい目で見ていたのだが
「操も、お帰りなさい」
同じく温かい目で見ていたクラリッサにそう声を掛けられる。
急に声を掛けられたことで操は驚いたような表情を浮かべる。
その瞬間に脳裏に浮かんだのは真理夫のアトリエ。
そしてそこで迎えてくれる大和達。
「……うん、ただいま」
操も笑みを浮かべてそう返す。
「1回電話したけど、直接会うのは4ヶ月ぶりくらいか?」
「そうだな。大体それくらいだ」
「にしてもラウラとクラリッサって話し方似てるよね。見てる人ごっちゃにならないか心配だよ」
「見てる人…?なんの事だ?」
「いや、こっちの話だ」
特撮は偶に第四の壁を超えるのである。
「お姉様!操!そんなところで話してないで行きましょう!」
そんなメタな会話を繰り広げていた2人にネーナがそう声を掛ける。
「行く?何処に?」
「良いから良いから!」
首を捻った操の手を取り引きずっていく。
操がラウラに視線を向けると、ラウラも同じ様な状態だったので恐らく自分たちだけが知らない事だと察した。
そうして誘導される事数分。
「着きました!」
「此処って…」
「食堂だな」
操とラウラは食堂にまで誘導された。
隊員達はバッと扉を開ける。
「おおっ!?」
「これは…」
食堂の中を見た2人は同時にそんな声を発する。
それも仕方が無いだろう。
何故なら食堂の壁には
『隊長、操、お帰りなさい!!』
とデカデカと書かれた横断幕が壁に貼ってあり、その周囲も綺麗に飾り付けしてある。
机の上には栄養重視で味気ない軍用食事ではなく、チキン等々の豪華な料理が並んでいた。
「どうですか?頑張りました!」
「いやはや、これは凄いな」
「ああ、驚いた」
操とラウラが正直な感想を漏らすと、隊員達は嬉しそうな笑みを浮かべる。
「それじゃあ、早速お帰りなさいパーティーを…」
「その前に荷物置いてきていい?」
マルチダの言葉を遮るように発せられた操の言葉に、隊員達は同時に
『あっ』
と声を発した。
そんな隊員達の様子に操は苦笑いを浮かべラウラはため息をつく。
そうして一先ず荷物を置くため2人は移動を開始する。
「なんか、眠気のピーク過ぎたな」
「ああ、そうだな。っと、操、お前の部屋は前と一緒の所だ」
「ならこっちだな。じゃあ、また後で」
「ああ」
ラウラと別れ、操は1人歩いて行く。
その道中、ふと立ち止まってジュウオウザライトを取り出す。
「……会いたいな」
少し悲しそうな表情を浮かべながらそうボソッと呟く。
10年前、操が操になった瞬間から常に一緒に居る仲間達。
そして、こっちの世界に来てから1度も会っていない、いや、もう今後会えるかどうかも分からない仲間達。
会いたいと思うのは当然だろう。
暫くの間そのままジュウオウザライトの事を見つめていたがやがて顔を上げて再び歩き始める。
「大丈夫。こいつを持っている限り、俺は動物戦隊ジュウオウジャーだからな。さぁ!新しい友達とのパーティーを楽しもう!!」
操はそう笑顔で言うと立ち止まっていた分を取り返すように走り出す。
そうして荷物を置き食堂に戻った操とラウラは隊員達とパーティーに臨んだ。
暫くぶりに会う友人達との会話を楽しみながら料理を楽しんだ。
だが、やはり眠気は完全に無くなった訳ではないので途中で2人は船をこぎ始めた。
そこでこのパーティーは解散となり各々の部屋に戻った2人は泥のように眠るのであった。
そんなこんなで翌朝、再び食堂に集まり全員で朝食を食べていた。
「なんかやっぱり味気ない」
昨日は普通の食事を食べたからか、軍用の食事の味を後回しにしている料理に納得がいかない操。
「操、お前の料理に比べたら全ての料理が味気なくなるぞ」
「そんな訳無いじゃん」
「あるから言ってるんだ」
操とラウラのそんな会話を聞いて他の隊員達は首を傾げる。
「隊長、何の話をしているんですか?」
「ん?ああ、操の作った料理がハイレベル過ぎて食べた者のプライドをへし折るという事件があったんだ」
「ちょっとラウラ、嘘を言わないで」
「事実だろ」
ラウラに切り捨てられ何とも言えない表情を浮かべる操。
そんな一見するとコミカルなやり取りを見て隊員達は笑みを浮かべるも、ラウラにそこまで言わせる操の料理が気になったのだろう。
チラリと操に視線を向けている。
自分に視線を向けられているのだから操も当然それに気が付く。
「…今度作ろうか?」
操がそう言うと、隊員達は目を輝かせながら操を見る。
「待て!止めておけ!」
「なんでだよ」
自らの部下の女のプライドを守るために足掻いたラウラだが、結局そのまま明日の夕ご飯を操が作る事となった。
そう既にプライドをバッキバキに折られているラウラはもう気にせずただただ操の料理を楽しみにしている。
そんなこんなで賑やかな朝食の時間も終わる。
全員で後片付けをしてミーティング室に移動する。
席に座り、操が言葉を発する。
「それで、今日の予定は?」
「今日は特に決まってないぞ」
「え、軍で予定ない日とかあるの?」
今日の予定を聞いた操はラウラから帰って来た答えに素っ頓狂な声を発する。
「ああ、あるんだ。何しろお前がいるからな」
「…なんとなく察したような違うような……」
操はギリギリ納得したようなして無いような良く分からない感情を抱いたが、いくら自分がそんな感情を抱いても何も変わらないと理解しているので頭を振って切り替える。
「それじゃあ今日何するの?」
「全員で今から考える」
「本当に軍か…?」
疑問を感じている操を放っておいて、隊員達は話し合いを始める。
そんな話し合いを聞きながら操も考える。
(あ、そうだ)
そして1つの案を思い付いた。
「なぁ、1つ良いか?」
「ん?どうした操」
手を上げながら言葉を発した操に視線が集まる。
全身で感じる視線に謎の緊張感を感じながら操は言葉を発する。
「ラウラ、俺と訓練機で戦ってくれ」
操のその言葉を聞いた全員が驚きの表情を浮かべる。
急にそんな事を言われたら誰だってそんな反応をする。
「…私としては別に構わないが…理由を聞いても?」
ラウラの言葉を聞いた操は懐からジュウオウザライトを取り出す。
「いや、ほら、ジュウオウザワールドは普通のISと違い過ぎるからさ。普通のISを1回使っておきたい」
操の言葉を聞いた隊員たちは納得したような表情を浮かべた。
ジュウオウザワールドはISではない。
飛行能力が無い為スラスターも無く、そもそも身体を覆うスーツ(装甲)が全然違う。
ラウラとクラリッサ以外にはISではない事の説明はしていないものの、通常のISと同じとは思わないだろう。
「それに…」
「それに?」
操はラウラに視線を向けると、ニヤリと笑みを浮かべる。
「1回ラウラと同じ条件で戦いたい」
それを聞いたラウラは驚きの表情を浮かべるも、直ぐに操と同じような笑みを浮かべる。
「私も操と全力で戦ってみたかったんだ」
ラウラがそう返答したことで、操VSラウラの模擬戦が決定した。
「訓練機はラファール・リヴァイヴで問題無いな?」
「あ、リヴァイブあるんだ」
「元々レーゲンの前代機の第二世代型機があったのだが、私とクラリッサの専用機の開発で解体されてしまってな。訓練が出来なくなったのでリヴァイヴを2機支給されたんだ」
「なんか計画性が…」
シュヴァルツェ・ハーゼにラファール・リヴァイヴ支給された経緯を聞いた操は正直な感想を漏らす。
「良し、善は急げだ。早速」
「ああ、移動しよう」
「私達見学して良いですか?」
「ああ、問題ない」
そうして全員はミーティングルームから出て移動を開始する。
「そう言えば操、ISスーツは?」
「3月に貰った奴がある」
「捨ててなかったんだな」
「流石にねぇ」
操のその言葉を聞いたラウラは苦笑いを浮かべる。
「それじゃあ、ISスーツ取って来る」
「ああ。では」
ここで操は別れ自分の部屋に向かって行く。
ラウラ達は訓練所に移動し、ISの準備や武装のしていく。
「あったあった。持って来ておいて良かった」
自分の部屋でISスーツを取り出した操は着替えていく。
「やっぱ恥ずかしいんだよなぁ…」
ISスーツ特有のピッチリ感がそうさせるのか、操は気恥ずかしそうに頬を掻いた。
ジュウオウザワールドと何が違うのと言ってはいけない。
「スゥー、ハァー」
1度大きく息を吸って吐いた。
そして、操は笑みを浮かべる。
「さぁ、行こうか!」
今日はシュヴァルツェ・ハーゼのみんなも踊ってくれるよ!
クラリッサ「ふぅ…なかなか大変ですね」
ラウラ「毎回踊ってたら慣れるけどな。しかし操、兎が無いのはどうしてだ?」
操「俺に言われても」
次回も何時になるか分かりませんが、楽しみにしていてください!
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