今回もお楽しみください!
操side
ドイツから戻って来て5日が経った。
この5日間で残ってた夏休みの課題は全部終わらせた。
大和のレポートの手伝いでこういう作業に慣れておいて良かった。
結構苦も無くサクサク進められた。
まぁ、普通に量が多かったから大変ではあったけど。
そして今、俺が何をしているのかというと…
「う~ん…良い求人無いなぁ~」
朝ご飯を食べながらの求人検索だ。
この間ラウラに俺の収入源を説明した時に思ったが、やはり俺の財布はカツカツである。
その為夏休みの間短期バイトをしようと求人情報を確認しているのだが…良い求人が無い。
「夏休みだから良いのいっぱいあると思たんだけどなぁ~」
求人自体はそこそこな量がある。
しかし、その殆どが女性専用なのだ。
男用もあるっちゃあるのだが、数は少ないし時給は低いし待遇は微妙というか悪いし…碌な求人が無い。
「つくづく男が生きづらい世の中だ…」
しょうがない。
もう最悪この時給900円で用具自腹で福利厚生無しの清掃アルバイトにするかぁ?
いやぁ、あまりにも待遇が悪い。
せめて用具ぐらい支給してくれよ…
そんな事を考えながら朝食で使っていた食器をキッチンに持っていく。
ささっと洗い、水切りラックに入れる。
「どうしようかな~?」
俺がこの後の予定を考えながら部屋の中をうろうろしていると
ピーンポーン
「んぁ?」
部屋のチャイムが鳴った。
しかし俺の部屋のチャイムが鳴るだなんて珍しい。
いや、なんなら初めてか?
そんな事を考えながら玄関に向かい、扉を開ける。
そこにいたのは…
「操さん、おはようございます」
「おはよぉ~ございまぁ~す!」
「簪、のほほんさん、おはよう」
簪とのほほんさんの2人だった。
2人ともオシャレな服に身を包んでおり、どう考えてもお出かけ前である事は簡単に察せられる。
それに比べて俺は黒い半袖ポロシャツに黒いスラックスという何とも言えない地味な部屋着。
もうちょっとまともな服で出ればよかった!
だが、今更後悔しても仕方が無い。
取り敢えず此処に来た理由でも聞こう。
「それで、何か用?見たところお出かけ前っぽいけど…」
「はい、今から出掛けるところなんですけど、操さんもどうかなって」
「俺も?」
「操さん、アルバイト探してるんですよね?なら、街に一緒に行きましょうよ。店頭の張り紙を見るのも1つの手段ですよ」
確かに!
盲点だった。
「でも、良いのか。俺が同行して」
「私達から誘ってるんです。問題無いですよ」
「荷物持ちお願いしま~す!」
「ちょっと本音!?」
あまりにも潔く荷物持ちをお願いしたのほほんさんに簪が慌てた様子で注意しようとする。
「アハハ、いいよ、荷物持ちくらい。じゃあ、準備するからちょっと待ってて」
「はい、分かりました」
「待ってま~す!」
2人の返事を聞いてから扉を閉める。
さてと、ちゃっちゃと準備しちゃいますか。
歯磨きなどなどを終わらせいざ着替え。
オックスフォードシャツにサマーニット、テーパードパンツに無地ソックス。
うん、無難。
あんまりファッションに自信は無いからな、こんなもんで良いだろ。
一緒に行くあの2人に恥ずかしい思いさせる訳にもいかないし。
さて、いざ荷物持ちと求人情報収集だ!!
三人称side
準備を終わらせた操は簪、本音と合流し外出届を速攻で提出してモノレールに乗り込みレゾナンスに到着した。
そうして店頭の求人情報を確認しながらいろいろなお店を周る。
アニメとか漫画のグッズを販売しているお店で簪が合計2万円超の買い物をしたり、本音がコスプレ衣装も取り扱っている店で着ぐるみパジャマを購入したり、まだ海を諦めきれてない操が水着を確認しあえなく撃沈したり、釣り具点で3人各々が好きに物色したり…
そうして今は12:30。
お昼時である。
3人はファミリーレストランに入り各々好きな料理を注文していた。
この時操が好きな料理ではなく腹を満たせるだけの量を確保した最安値を計算していたのでかなり切羽詰まっている事を2人は察した。
「そんなにギリギリなんですか?」
「ああ、この間ドイツ行ったときの飛行機代で持ってかれて…マジでヤバい」
「大変ですね~。かんちゃん、更識からあげられないの~~?」
「どうだろう…お姉ちゃんが許可出せば大丈夫だと思うけど…」
「待って待って、許可出ても流石に受け取れないって」
本音と簪の会話を聞いていた操が慌てて止める。
いくら生活がカツカツでも流石に友人の実家からお金を受け取るのは憚られる。
その実家が暗部で、知り合いにその長がいたとしても。
「最悪金くれなきゃ自殺するぞとか言えばなんとかなるだろうけど、流石に出来ないし」
「アルバイトの求人はそんなに良いもの無いですし…」
「八方塞がりだ~!」
「「はぁ…」」
操はバイトが出来ない現状に、簪は呑気過ぎる本音にため息が出る。
「って、まだまだ混んでるんだしそろそろ出よう。この後行くところある?」
「私は特にないですね」
「私もないで~す!」
「なら、そろそろ帰るか」
「そうですね、帰りましょう」
「帰ろ帰ろ~」
そんな会話をして、3人は席から立ち上がる。
そうしてレジに向かおうとした時
「はぁ………」
と、先程の操と簪のため息以上に音量が大きいため息が聞こえてきた。
思わず3人が同時にそっちの方向に視線を向けると、そこには1人で食事をしている女性がいた。
スーツをピッチリ着用したキャリアウーマンのような女性。
しかしどこか疲れ切ったような表情を浮かべながら椅子に座り込んでいる。
そんな女性がなんとなく気になった3人。
顔を見合わせて頷き合い、取り敢えず簪が声を掛ける。
「あのぉ…すみません、どうかしましたか?」
簪の声を聞いてゆったりとした動作で顔を上げる女性。
その活力が削がれたような表情の顔で簪、本音、操の順にその顔を見る。
「っ!」
女性は一瞬にして表情に活力を取り戻すとガバッと立ち上がり簪と操の肩を掴む。
(マズイか!?)
操が直ぐに交戦できる体勢になる。
しかし、そんな操の様子が気にならないかのように女性は鬼気迫った表情で言葉を発する。
「あなた達…バイトしない?」
「「「……へ?」」」
なんやかんやで1時間後。
レゾナンスに存在するメイド・執事喫茶『@クルーズ』。
「なんか、動きずらい…」
「は、恥ずかしい…」
「かんちゃ~ん、似合ってるよ~」
今此処には執事服を着用した操とメイド服を着用した簪、そして何故か着ぐるみパジャマに身を包んだ本音がいた。
「良い感じ良い感じ!」
そんな3人を見て、先程操達をバイトに誘った女性…この店の店長が目を輝かせながらそう声を掛ける。
店長がファミレスで活力を失っていたのは、今日はセール日であると同時に本部から視察の人が来るという超重大な日なのにも関わらず従業員が突如として大量に辞めてしまい人員不足で運営が出来なさそうだったからだ。
そんな中で見つけたイケメンと美女2人。
スカウトしない訳にはいかない。
そんな訳でスカウトされた3人だが、当初は断る気でいた。
しかし、提示された条件(時給1500円、制服支給、特別手当あり、気に入ったら時給1200円で引き続き労働可)に時給900円、用具自腹、福利厚生無しに応募する事も視野に入れていた操がぐらついた。
無許可でバイトする訳にもいかないのでいったん学園に連絡を入れた。
そうして対応した十蔵だが、今の男の生きづらさを理解しているのでそこまでの労働条件が整っている事はなかなかない事も理解している。
その為学園に戻って来てから書類を記入する事を条件に許可を出した。
許可が出たので操がバイトする事になり、操がやるならと簪と本音も参加する事になった。
そうして緊急研修も終わり実際に仕事着を着用したところである。
「いやぁ、本当にありがとうね!ほんとーに危なかった!」
「それは良いんですけど…なんでのほほんさんは着ぐるみパジャマなんですか?」
操がそう質問すると、店長は操に顔を近付けてヒソヒソ声で話す
「ほら…あの子、どちらかというとメイドよりあの服で集客してらった方が良いというか、それ以外やらせるとドジ踏みそうというか…」
「あ、あああ…ま、まぁ…」
初対面の店長に見抜かれてしまう本音の本質。
操は苦笑いを浮かべながらそんな微妙な反応をする。
そんな2人のやり取りの側では、簪と本音が会話をしていた。
「かんちゃ~ん、かわいい~」
「ほ、本音、大丈夫かな?違和感ないかな?」
「だいじょ~ぶ!それにしても意外だったな~」
「なにが?」
「かんちゃんがこーゆーとこで働くなんて」
本音の言葉を聞いた簪は目を伏せながら息を吐く。
その脳裏に浮かんでいるのは、今までの引っ込み思案だった頃の、操と出会い、姉妹の仲が悪かった頃の自分。
今思い返してみると、あの頃の自分が小さく感じる。
柄でもない事を思っているな、という感情とまるでヒーローの回想シーンみたいだ、という感情を同時に抱き思わず簪は笑みを浮かべる。
「私も、成長してるの。あの時とは、違うから」
「そっかー。じゃあ私も成長しないと!」
「……お菓子禁止」
「駄目!それは駄目!」
ボソッと呟いた事を聞き逃さず物凄い勢いで拒否をする本音に、簪は思わず苦笑いを浮かべる。
「さ、3人とも、今日はお願いね!全力でね!」
「「「はい!」」」
店長が両手をパンパンと叩きながらそう言い、3人が元気よく返事をする。
そうして、操、簪、本音のアルバイトが開始した。
「門藤君!これ3番テーブル!」
「はい、分かりました」
3人が働き始めて約1時間。
指示を受けた操がコーヒーと紅茶が入ったカップとソーサー、おしぼりと砂糖とミルクが入った容器が乗ったお盆を受け取り3番テーブルに向かって堂々とした足取りで歩いて行く。
3番テーブルに座りスマホをいじっていた2人組の女性客は、自分達の席に向かってくる黒髪イケメン執事の事を視認する。
2人は思わず操に見入ってしまう。
「お嬢様方、お待たせしました。紅茶とコーヒーになります」
「あ、ありがとうございます…」
「よろしければこちらで砂糖とミルクをお入れしますが、いかがなさいますか?」
「こ、コーヒーにはお願いします!」
「紅茶もお願いします!砂糖とミルク、タップリで!」
「畏まりました」
実は普段あまり砂糖とミルクを入れない2人。
しかし、今日だけはこのイケメン執事を少しでも長く近くで見ていたいという一心で半場無意識にそうお願いしていた。
そんな内心気にもせず微笑んだ操はいったんお盆を机の上においてからコーヒーのカップを手に取ると砂糖とミルクをコーヒーに入れマドラーでしっかりと混ぜる。
人間の味覚は均一に混ざったものよりも不均一なものの方が美味しく感じるという一説があるが、流石に客に出すコーヒーでやる訳にはいかないので均一になるように混ぜる。
「こちらコーヒーでございます」
「ありがとうございます///」
先程コーヒーについて口にした女性の前にソーサーを置き、その上にカップを置く。
カチャ
と、ソーサーとカップがぶつかる音が小さく鳴る。
物凄く様になっている一連の流れを見てその女性は顔を赤くする。
操はそれを見て再び笑みを浮かべると紅茶も手に取り同じように砂糖とミルクを入れる。
しかし、コーヒーと異なりミルクティーにならないように量を調整する。
「こちらアッサムティーでございます」
「あ、ありがとうございますぅ///」
「何かありましたら、遠慮なくお申し付けくださいませ。では、ごゆっくり」
操は恭しく頭を下げ、奥に戻っていく。
その動きに見惚れていた女性2人がそれぞれのコーヒーと紅茶に口を付けたのはそれから3分後だったとか。
「ふぅ……疲れるな」
「門藤君、もうバッチリ!」
「あ、店長…」
客に見られない場所で椅子に座りそう呟いた操に、店長が声を掛ける。
操が顔を上げて反応すると、店長が興奮したような様子で話し始める。
「いやぁ、研修はしたけどまさかここまでとは!もしかして前にやってた?」
「いえ、執事になるのも、飲食店でバイトするのも初めてです…」
「それでこの腕前…執事の才能あるよ!」
「あ、あはは…そうですかね?」
店長がバシバシ操の背中を叩きながらそう言い、操が苦笑いを浮かべながら返す。
「いやぁ、本当にありがとうね!君たちのお陰でなんとかなりそうだよ!」
「それは良かったです…そう言えば、簪達は……」
操はそう言うと、店内をぐるりと見回す。
「お待たせいたしました。こちらメロンクリームソーダとグラタンでございます」
「あ、ありがとうございます!」
お盆からコースターを机の上に置きその上にグラスに入ったメロンクリームソーダを、その隣にグラタンを置く青髪メイド…そう、簪である。
簪に接客してもらっているのは恐らく20台前半あたりだと思われる男性。
その男性は、簪の動作に見入っていた。
「では、ごゆっくり」
「え、あ、あう、あ…」
簪が頭を下げてから席から離れる。
男性はまだ簪と会話をしたかったようだが、止めることも出来ず何とも言えない表情を浮かべていた。
(や、やっぱり緊張するよぉ~~!!)
簪はやはりまだ緊張しているようだった。
操は店の出入り口の方に視線を向ける。
すると、店の入り口近くで着ぐるみパジャマ本音がメイドと共に店の看板を持っていた。
普通だったらメイド・執事喫茶の呼び込みに着ぐるみパジャマ姿の人だなんて使わないのだが、本音はやけに似合っている為特に違和感を持たれていなかった。
寧ろ、珍しいと人目を惹き結果売上アップに貢献していた。
「特に問題無さそうだな」
2人の現状を確認した操はそう安心したような声を漏らす。
「ほらほら門藤君!次は5番にこれだよ!」
「はい!分かりました!」
そんな操に店長が物凄い大きくてフルーツマシマシのパフェが乗ったお盆を手渡す。
それを受け取った操はそのまま5番テーブルに向かって行く。
そうして暫くの間平和な時間が過ぎる。
トラブルが起こったのは約2時間後。
店に入って来た男3人組が
「全員頭に手を当ててその場に蹲れ!!」
と、拳銃を突き付けながら叫ぶというある意味ベッタベタな言動をしたのだ。
急な事に店にいた操と簪を除く店員と客が呆気に取られたような表情を浮かべてる。
「あ、あのご主人様?いったい何を…」
「うるせぇ!とっととしろ!!」
パァン!!
店員の1人が声を困惑したように声を掛けると男の1人が手に持っている拳銃を天井に向かって発砲する。
『キャアアアアアア!?!?』
発砲音を聞き、悲鳴を上げる店員と客。
パァン!!パァン!!
「とっととしろって言ってるだろうが!」
兎に角、この強盗犯を刺激してはいけない。
そう考えた全員が大人しく指示に従う。
それは操と簪も同様だった。
離れた位置にいた2人は自然な動作で合流するとその場で蹲る。
「操さん、どうするんですか?」
「現状は待機だ。下手に刺激すると怪我人が出る」
そんな会話をした2人は頷き合うと注意深く強盗犯に視線を向ける。
ザワザワと店の外からの野次馬の声がだんだん大きくなっていく。
「ちっ!うるせぇ奴らだ!」
「まぁまぁアニキ、良いじゃないっすか。そんだけ俺らが注目されてるって事ですよ」
「そうですよそうですよ」
リーダー格であろう男がイラついた声を発するも残りの2人が宥めるように声を発する。
それを聞いたリーダー格の男は納得したように頷いた。
「おい!そこの女!」
「は、はいぃ!?」
手下の1人が店長に向かって拳銃を向ける。
店長は
(強盗?え、ヤバ、本部にどうやって説明しよう?)
とか的外れた事を考えていたのに急に拳銃を突き付けられ思いっ切りビビってる表情を浮かべる。
「これに店の売上金を全額詰めて、俺らにコーヒー淹れろ!」
「は、ははははい!」
(店長…)
男に指示された店長は泣きながら袋を受け取り店の奥の方に向かい売上金を詰める。
そうして震える手でコーヒーを3杯淹れ、袋と共に強盗犯達に手渡す。
店長から袋とコーヒーをひったくるかのように受け取った強盗犯達は席に座るとそのままコーヒーを飲み始める。
操と簪は視線を鋭くさせ注意深く3人の言動の事を見ている。
「簪、タイミングが来たら俺が行く。拘束に使えるものを探してくれ」
「分かりました」
操がそう言うと、簪は強盗犯にバレない範囲で店内を見回し拘束に使えるものを探す。
操は何時でも強盗犯達に飛び掛かれる体制になり、なにか武器になりそうなものを探す。
最悪ジュウオウザガンロッドをロッドモードで振るえばどうにでもなる…というよりそっちの方が操も取り回しやすいのだが、束特別製IS扱いであるジュウオウザワールドの武装なので下手に取りまわすと後々面倒になる可能性があるのだ。
いくら緊急時だとしても、相手が生身の人間だからだ。
『えー、犯人達に告ぐ!君達は完全に包囲されている!大人しく銃を捨て、投降しろ!』
「チッ!?もうサツが来たのか!?」
ここで、外から拡声器越しのそんな声が聞こえてくる。
犯人達が外に視線を向ける。
「あ、アニキ!ど、如何しましょう!?」
「こうなったらぁ……!おいお前!来い!!」
「わにゃあ!?」
リーダー格の男が近くにいた店員を掴み、そのこめかみに拳銃を押し付けて店の外にいる警察に向かって大声を発する。
「お前らぁ!逃走用の車を準備しろ!さもねぇと、コイツの頭が吹き飛ぶぞ!」
その瞬間に簪が小さく息を詰まらせる。
何故なら、男が掴んだ店員が
「本音……!!」
本音だからだ。
友人があんなことになって衝撃を受けない人なんていない。
「オラァ!とっととしやがれ!」
警察や野次馬は、突然の事にザワザワと動揺の声が大きくなっている。
それを見ながら強盗犯達はほくそ笑む。
このままいけば、逃げ切れる。
そう考えているからだ。
「ん?おいお前!」
そんな中、部下の1人が本音に詰め寄る。
それは何故か。
「お前、何笑ってやがる!」
本音が、こんな状況なのにも関わらず笑みを浮かべているからだ。
「え~?だって~、今このお店には世界の王者がいるから~」
「はぁ?てめぇ何言っ」
その言葉は、そこで途切れた。
いや、途切れざるを得なかった。
「オラァ!」
「グヘェ!?」
執事服に身を包んだ世界の王者が、その男の事を掃除用モップで思いっ切り殴ったからだ。
「なっ!?てめぇ!?」
「ハァア!」
慌てて男の1人が操に銃口を向けるも、操はそのまま大きく踏み込んで銃口の死角に入るとそのままモップで男の金的を叩く。
「あがぁ!?」
「寝てろ!」
操はその男のことを蹴り飛ばす。
そうしてそのままの勢いでリーダー格の男に視線を向ける。
「て、てめぇ!動くんじゃねぇ!この女がどうなっても……」
「ハァッ!」
「いてぇ!?」
リーダー格の男が何か言おうとする前に操は男の眉間に向かってモップを投擲する。
綺麗に回転しながら放たれたモップは眉間にクリーンヒットする。
その時の衝撃で手から拳銃を落とし、本音の事を解放する。
「お前らの世界は、これで終わりだ!」
その言葉と同時に操は男に向かって思いっ切り拳を振るう。
「ぐふっ!?」
綺麗なフォームで放たれたそのパンチは男の腹にクリーンヒットし吹き飛ぶ。
「簪!確保!」
「はい!」
操の言葉と同時に店の奥で梱包用の紐を発見していた簪がやって来て、素早い動きで拘束を開始する。
「ぐ、がぁ…!こう、なったっ!?」
「コイツは回収だな」
リーダー格の男が最後の抵抗をしようとした時、操が男の腕を掴んで拘束するとその着ている服を開き身体に巻き付いていた自爆用だと思われるダイナマイトを回収する。
「なん、で、それが…!」
「悪いな。爆発物を見つけるのには慣れてるんだよ」
犀男のジューマンパワーを得ている操は手の感覚が犀の皮膚のようにとても敏感なのである。
嘗ての世界でこの感覚を生かし町から爆発物を探していたように、男を殴った際に服の下に爆発物があるというのを察したのである。
リーダー格の男はそのまま気絶し、簪によって拘束される。
「のほほんさん!大丈夫!?」
「だいじょ~ぶです!操さん、ありがと~ございましたぁ!」
元気な様子を見た操と簪は安心したようなため息をつく。
『……おおおおお!!』
パチパチパチパチ!!
呆気に取られていた野次馬は大きな歓声と拍手を操と簪に送る。
そうして、それから男3人は無事逮捕され操達3人も事情聴取を受けたが目撃者が何人もいた為特に御咎め無しで解放された。
この時に操が男性IS操縦者だとバレはしたものの特に大きなトラブルはなく、また@クルーズの店長や本部の人に感謝された。
帰ったらもう1回事情聴取があるんだろうなぁ、とか考えながら3人はIS学園に帰って行くのであった。
因みに、操はここでのバイトをまだ続ける事にしたそうである。
@クルーズの店員さんのプライドブレイクが無かった理由は操の仕事が調理ではなく配膳と接客だったからです。
次回も何時になるか分かりませんが、楽しみにしていてください!
評価や感想、誤字報告もよろしくお願いします!