闇の力、お借り…違う違う。
会社が違うんだから危ないって。
さてさて、サブタイは誰の事かな?
今回もお楽しみください!
三人称side
操達が夏祭りに行ってから暫く経ち、8月ももう末になって来た。
もう少しで夏休みも終わりという事でラウラ達も色々と友達と連日遊びに出かけて思い出を作っているようだ。
そんな中、操はこの間束に呼び出されて研究室へと向かった。
束は理由はふわっとさせながら操の血液や唾液、毛髪と言ったサンプルを収集した。
この時束が操に普通の状態の時と、ジューマンパワーを出来るだけ活性化した状態の2種類のデータが欲しいと言われた操は若干困っていた。
変身したら血液等の採取が出来ないので生身でするしかない。
しかし、今までの10年間で極限状態でも無いのに生身で活性化させることが無かったので戸惑ったのだ。
少し時間は掛かったものの無事にデータサンプルを得た束。
作っておいた釣り竿を始めとした釣り道具を操にプレゼントした。
ちょっと触っただけで高精度なものだと分かるほどのもの。
これを貰えるとなると釣り好きの操はテンションが上がった。
そのテンションのまま操は束とクロエの為にスイーツを作った。
以前にプライドブレイクをしている為特にこれ以上ダメージを負うことなく2人はスイーツに舌鼓を打った。
操が帰った後、束は早速サンプルを使用し調べ物を開始したのだった。
そして今日。
操が何をしているのかというと…
「静かで心地よいですね…」
「はい、リラックスできます…」
「ははは、釣りは良いものですよ」
十蔵と真耶と共に海釣りに来ていた。
2人はライフジャケットをしっかりと着用し、竿を竿受けにつけて椅子に座りながらボーッと海を見つめ風の音を聞いていた。
操も同じくライフジャケットを着用しあまりにも疲れ果てている様子の2人を見て苦笑いを浮かべていた。
何故3人が一緒に釣りに来ているのかと言うと、話は3日前にまで遡る。
~3日前~
この日、操は職員室に向かっていた。
@クルーズでのアルバイト申請は夏休みの間だけだったが、2学期以降も続けるため追加申請の書類を提出する為だ。
操は夏休みが明けてから書類を提出する気だったが、よくよく考えると2学期になってからで大丈夫なのか不安になった。
電話で確認したところ、どっちでも良いが出来れば夏休み中に提出して欲しいとの事だったので提出しに来たのだ。
「う~ん、教員の人って社会人だから学生よりも夏休み短いのは当然なんだろうけど、結局その夏休みも部活の顧問とかでつぶれるだろうし大変だな…」
書類は特に問題なく提出が完了し、受理された帰り道。
操はそんな事を呟いた。
教員という職業は極端に休みが少ない。
授業の準備で家でもプリント制作等の作業をし、授業をし、提出物のチェックをし、部活の顧問をする。
それに加え生徒指導やテスト等々やる事が多すぎる。
良く虐めで生徒の訴えを聞かなかったという事が問題になるが、それはこの異常な労働量が原因の1つでもある。
だからこそ、教員の方への接し方は考えないといけないのだ。
此処IS学園では問題児は現状3人しかいない変わりに、教員の1人が他の教員に迷惑を掛けているのだが。
「兎に角、俺は教師の方達に迷惑を掛けないように心掛けよう」
操は胸に手を置きそう誓う。
実際には真耶やフランシィから良い相談相手になりそうというとても高い評価を受けている操だが、本人はその事を知らないのだ。
「今日はもう何もすること無いし、帰って晩御飯の仕込みでもしようかな…」
鶏肉使わないといけないし唐揚げにでもしようかな、とかそんな事を考えながら歩く操。
すると、ふと視界に2人の人影が入って来た。
「あれ、学園長に山田先生…」
その2人とは、十蔵と真耶だ。
なにか話し合いでもしていたのか、小会議室から2人が同時に出て来ていた。
それだけったら操は特に何も思わず、挨拶をしてそのまま帰っていただろう。
「……」
しかし、操は少し立ち止まってしまう。
それは何故か。
会議室から出て来た2人が異様に疲れたような雰囲気を醸し出しているからだ。
只の話し合いならば絶対にあそこまでは疲れないと他人が分かるほどに疲れている2人。
それを見たら流石に放っておくことなど出来ない。
操は早歩きで2人に近付く。
「学園長!山田先生!」
「おや?」
「ん?」
その言葉で、2人も操の存在に気が付いた。
視線のいる方向に向ける。
「お久しぶりです」
「はい、お久しぶりですね、門藤君」
「門藤君は、何故夏休みなのに校舎に?」
「アルバイトを2学期以降も続けることにしたので追加申請に」
「ああ、なるほど」
3人は取り敢えずそんな会話をする。
さして引っ張る意味も無いので、操は気になっている事を尋ねる。
「お2人とも、やけに疲れているようですが何かあったのですか?」
操に尋ねられた2人は視線を見合わせると、同時にため息をついてから説明を開始する。
「口外はしないでいただきたいのですが、実は織斑先生が…」
「織斑先生…ですか?」
「はい」
それから、十蔵と真耶は操に最近の千冬の勤務態度の酷さを説明していった。
途中から真耶はもうほぼ愚痴を吐いているだけだったが、操はそれでも真剣に聞いていた。
「はぁ~、そんなに…何というか、かなり傍若無人な振舞いですね…」
説明を全て聞き終わった操は思わずそんな感想を漏らした。
1学期までの自分に対する行動だったり織斑一夏の記憶だったりで、千冬がかなり自分勝手なことは理解していた。
だけれども、2人の説明では操の予想を軽く飛び越えるほどの我儘っぷりだった。
操が引くのも無理はないだろう。
「そうなんです…だから、ちょっと疲れちゃって」
「夏休みもほぼ休めなかったですし、息抜きがしたいですね…」
十蔵と真耶は再び同時にため息をつく。
それを見て操は思考を巡らせ、日付を確認する。
(…3日後なら大丈夫…だな。あとは学園長達がOKすれば…)
そうして、操は2人の事を見ながら言葉を発する。
「学園長、山田先生」
「はい、なんですか?」
「……3日後、時間ありますか?」
「「…はい?」」
~現在~
操はあの後、気分転換に釣りは如何だと提案した。
聞いた当初は微妙な反応をしていた2人だが、釣り好きの操の熱弁を聞き興味を持った。
そうして結構ノリノリでやって来たのだ。
沖向きの堤防に持ってきた簡易的な椅子を置き、魚がヒットするまでボーッと景色を眺める。
これだけで疲れた大人には心地よさを与えるのだ。
「門藤君、誘っていただきありがとうございます」
「いえいえ、私も夏休みの間に釣りには1回行っておきたかったですし」
「それでもです。落ち着きます~」
(レオと違って釣りの良さが分かる人達で良かった)
以前レオに釣りを教えた際言い合いになった事を思い出し、感慨深げな表情を浮かべる操。
「おっ!山田先生!ヒットしてます!」
「えっ、きゃっ!」
操に言われ、自分の竿に魚がヒットしている事に気が付いた真耶。
慌てて釣り竿を手に取りリールを巻き始める。
十蔵と操は手持ち網やバケツを持ち真耶に近付く。
「ゆっくり、落ち着いてリールを巻いて下さい」
「は、はいっ!」
本日初めてのヒットである為若干緊張しながらも真耶はしっかりとリールを巻いていく。
そうして魚と格闘する事20秒。
水面に魚の陰が見えた。
「あとちょっとです!」
「頑張って下さい!」
操と十蔵に応援され、真耶は改めて気合いを入れる。
2人は網を一応持っているものの、此処は堤防。
身を乗り出して網で捕まえるにはそこそこ危険な高さがある場所なので、必然的に真耶が頑張らないといけないのだ。
「はいっ!!」
「良し!」
格闘の末、真耶が魚を空中に釣りあげる事に成功した。
操がそれを網で受け取り、十蔵が持つバケツへと入れる。
置いたバケツの事を3人が同時に覗き込む。
釣った魚は元気よくバケツの中を泳いでいた。
「やったぁ!」
真耶が喜びの声を発する。
「おめでとうございます、山田先生」
「これは…キスですね。天ぷらが美味しいんですよ」
十蔵は真耶に称賛の声を掛け、操はキスの調理法を考え出す。
真耶はニッコニコの笑顔を浮かべ嬉しそうにしていた。
「っ!学園長!来てます!」
「おっと!」
此処で、今度は十蔵の竿がヒットした。
十蔵と操は網と別のバケツを持ち竿の元に行く。
真耶も2投目をしてから側に向かう。
「おお、大きい大きい!」
「学園長、頑張って下さい!」
「はい、これは、なかなか重い…」
竿にヒットした魚はそこそこの大きさがあり、それに伴い抵抗力も重さも大きい。
十蔵は苦労しながらも確実に魚を引き寄せていく。
「よっ…!」
「はいっ!」
先程と同様に、空中に釣りあげた魚を操が網キャッチし、バケツへと入れる。
「これは…アジですね!」
「学園長、おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
中々の大物を釣った十蔵は、表情にはあまり出ていないもののとても嬉しそうだった。
そうして釣りをし続ける事約2時間。
夏で水温が高く、しかも昼間という事を考慮すればかなり大量に釣れた操達。
この堤防を管理している団体が運営している貸しキッチン施設にて昼食をとっていた。
この施設は低料金で調理器具使いたい放題であり、しっかりと食べるスペースも確保されている。
「「「いただきます」」」
3人は手を合わせ、食べ始める。
本日の調理は全て操が担当した。
十蔵と真耶も手伝おうとはしていたのだが、操の手際があまりにも良く自分達が手を出すとかえって迷惑になると察したため操に一任したのだ。
キスの天ぷらを箸でつまみ、口に運ぶ。
サクッ!
外に聞こえるほどにサックサクに仕上がっている衣。
それで尚且つ丁寧に処理されたキス。
1つ1つの完成度がかなり高く、とても美味しいのだ。
「うん、まぁまぁかな」
操本人はそこそこな完成度だと自己判断する。
が、他2人からの評価は違う。
「ほぉ、これはなかなか…料亭で出て来ても違和感はない…いや、それよりも高い完成度かもしれないですね…」
十蔵は驚きの表情を浮かべながらも、かなりの高評価をし、
「……」
真耶は無事世界の王者のプライドブレイク被害者の仲間入りを果たした。
そこから3人は軽く雑談をしながら昼食を食べ進める。
「そろそろ夏休みも終わりますね」
「そうですね。2学期にはイベントも目白押しですし、忙しくなりそうです」
操と真耶がそう会話する。
以前までだったら疲れている表情を浮かべていたであろう真耶。
だが、今回の釣りでリフレッシュできたからかその表情は晴れやかだった。
「ええ、大変だとは思います。ですが、それ以上に生徒のみなさんが充実した学園生活を送れるように、頑張っていきたいと思います」
十蔵も以前までと違い穏やかな、でもしっかりとした表情でそう呟く。
「学園長はもう十分に頑張っていらっしゃると思いますけど」
「門藤君の言う通りです。学園長は一番努力されてる方だと思います」
「そう言って貰えると嬉しいです。ですが、今まで以上に生徒全員が成長できる学園を作らないといけません」
覚悟の籠った表情を浮かべている十蔵を見て、真耶と操も同じ様な気がする。
「私も、もっと頑張らないといけないですね!」
「私もです。今以上に精進しないといけません」
真耶、操の順でそう言葉を発する。
その瞬間に、操はチラリと窓から空を見上げる。
(束さ…束に忠告もされてるからな…より一層、俺は頑張らないといけない)
そんな事を考えていると、十蔵が穏やかな表情を浮かべながら言葉を発する。
「結局、全員が前に進むという事ですね」
その言葉を聞いた真耶と操も同じ様な表情を浮かべる。
「はい」
「人間は進歩してこそ人間ですから」
操のその言葉に、3人は濃い笑みを浮かべる。
「それでは、2学期以降も頑張っていきましょう!」
「「はいっ!!」」
十蔵の言葉に、真耶と操が同時に返事をする。
全員の表情は笑顔であり、それでいて意欲にあふれているものだった。
3人は洗い物の後片付けをして、帰路につく。
操や束がなんとなく察している通り、2学期には今まで以上に様々な事が起こるだろう。
だけれども、操は、操達は戦う覚悟は出来ている。
どんな事が起こっても、きっと突破できるだろう。
こうして、夏休みは終わりを迎えたのだった。
???
操がいる世界には存在しない駄菓子屋カフェ。
今現在店内には店主の女性を除き、15人の人影と1匹の鳥型ロボットと2人の小人が居た。
もっと正確に言うのならば、14人の人影の内人間は4人。
残りの11人の内6人は人間に擬態している別の生物で、4人はそれぞれ赤、黄色、ピンク、青がメインカラーの機械生命体。最後の1人はぱっと見人間と機械生命体のハーフの青年である。
人間1人と擬態している6人の計7人と、残りの8人と鳥と小人2人が中央の鉄板焼き用の机があるお座敷を挟み向かい合っている。
「…それで」
7人側の人間の青年が話題を切り出す。
「本当にみっちゃんを見つけられるんですか?」
青年のその言葉を聞き、向かいにいる人達が反応する。
「とーぜんっすよ!大丈夫だって、パイセン方」
「そうであります!私達ならば絶対に見つけられます!」
何故だろうか。
元気よく肯定されているだけなのにも関わらず、それ以上の何かを感じる。
7人側は全員そんな感じの表情を浮かべている。
「ノリについてけねー」
「確かに確かに」
訂正、声にも出ている。
「…正直それは分からなくもない」
「なんだよぉ、こっち側なのにノリ悪いぞ!」
「君たちがこんな時でも能天気なんだ!」
言い合いを始めた2人をよそに、8人側の内金髪の青年とポニーテールの少女が好奇心が溢れている表情で声を発する。
「いいお宝が見つかりそうだな…」
「うんうん!あー、良いのパクれたらいいなぁ」
この2人は、話し合っている内容よりも向かう先で発見できる可能性があるお宝に興味があるようだ。
「そうだぜそうだぜ!」
「お宝!お宝!」
同調する様に、小人2人が元気よく声を発する。
そんな自由奔放な彼らを見て7人は何とも言えない表情を浮かべる。
「なんか、個性的だね…」
「う、うん…」
「ああ…なんか、前に同じ様な事を思ったような覚えが…」
話しを切り出した青年が胃のあたりを押さえながら呆然とそう呟く。
そんな様子を見て鳥が飛び回り始める。
「レジェンドの方達を困らせどーするッチュン!?さっさと真面目に話し合えチュン!!」
「セっちゃん!落ち着いて!」
「そーもそもこの場所にこの方達がいる事自体が凄い事なのを分かってるチュン!?」
「分かってる分かってる!」
8人側の1人の青年と会話している鳥は興奮が収まらないかのように元気よくバタついている。
その青年は落ち着かせながら、確認をするかのように言葉を発する。
「それでさセっちゃん、どの世界にいるか探せないの?」
「う~ん…なにせ、世界は多いッチュン。なんの手がかりも無いのに何処の世界に行ったかをしらみつぶし探すのは骨が折れるチュン」
「ゾックスたちは?」
「こっちも無理だ。お宝ならまだしも、1人の人間の情報なんて手に入る訳がないだろ」
金髪の青年が首を振りながらそう言う。
「…そうだ、操のジューマンパワーは3人分。それだけ大きければ世界の壁があっても感知できる可能性があるのではないか?」
ずっと会話を聞いていたお腹を押さえている青年の横に立つゴーグルを頭に付けている白髪の男性がそう呟いた。
その発言を聞き、周囲の人達は確かにと納得する。
これならばしらみつぶしではなく、確かな指標で判断が出来る。
「確かに!それならなんとか!」
「だが、それでも難しいんじゃないか?ジューマンパワーの反応を色んな世界から探すだなんて…それに、全部の世界を把握している訳でも無いんだろう?それこそスーパー戦隊がいない世界は山のように…」
1人が不安そうにそう呟く。
それを聞いた鳥を落ち着かせている青年がニッと笑顔を浮かべる。
「だいじょーぶ!此処にいるみんなの力を合わせれば、絶対に出来る!」
根拠も何も無い。
でも、その言葉には不思議と説得力があった。
「ああ、そうだな。動物は、支え合う事で初めて強くなれるんだから」
お腹を押さえていた青年も、穏やかな笑顔を、でも確かな覚悟を感じる表情を浮かべる。
それを見た青年はバッと右手を前に突き出す。
「みんな、全力全開でいこう!!」
『おおお!!』
その言葉を合図に、全員が行動を開始した。
彼らが目的を達成した時、世界の王者の元への道が、開かれる…
全力全開…?なんだ、それ。
今回で夏休みは終了!
次回から2学期です!
次回も何時になるか分かりませんが、楽しみにしていて下さい!
評価や感想もよろしくお願いします!