最近中古おもちゃショップ巡りにハマっていますが、ライダーのおもちゃに比べ戦隊の少なさ…
なんか悲しくなります。
あと、『高価買取中!!』とかのポスターで、ルパンカイザーはよく見るのにパトカイザーは絶対に居ない。
今回もお楽しみください!
三人称side
IS学園の学園祭での襲撃事件から約2時間後。
これから、襲撃事件を受けての緊急会議が行われる。
そんな会議開始の約20十分前。
この時間タップリと休息をとった操は、肩をゴキゴキさせながら会議室に向かっていた。
「う、うぅうううん…なんか、まだ疲れが取れないなぁ…」
軽く伸びをし、ため息をついてからそう操が呟いた。
戦闘中は出まくっていたアドレナリンも鳴りを潜め、疲労を忘れるほどに集中するものも無くなった為、シンプルに身体の疲労が抜けないのだ。
「これが年か……?もうちょっと食生活見直して、トレーニング内容も見直すことにしよう……」
もう直ぐ24歳になる成人男性である操。
何年も戦ってきた歴戦の戦士ゆえ、一般的な成人男性よりも体力は多い。
だが、周りにはエネルギーが無限で永遠に活動できるとまで言われている女子高生が大量にいるIS学園という場所に居る。
それに、仲が良く、一緒に居る時間が長い生徒達は、大体専用機持ちだったり、国家代表だったり候補生だったり、そうでなくても周囲よりも更にISの訓練への意欲が高い、やる気と気力に満ち溢れているメンバーばかりなので、操が多少体力面で劣っていると思っても仕方が無い。
「まぁ、まだ大丈夫だ。揚げ物食べれるし。腹も出てないし」
そう呟いたは良いものの、こういう発言がおっさん臭いなぁ、と心の何処かで思いながら歩いていく操。
「操さん!」
「ん?」
その道中、背後から声を掛けられた。
(なんか、俺って学園にいると声掛けられることが多くねぇか?気のせい?)
ぼんやりとそう考えながら、振り返る。
そこに居たのは、簪とラウラと本音と虚の4人だった。
「簪、ラウラ、のほほんさん、虚さん」
名前を呼びながら、操は4人に駆け寄っていく。
「操、体調はどうだ?」
「ん~、疲れが完全に抜けてない気がするが、まぁ問題無い範囲だと信じたい」
ラウラに言われ、操は右肩を左手で叩きながらそう返答する。
「信じたいって……」
「いやぁ、自分の身体は自分が1番良く分かる、とは言いますが、だったら定期健診だの無症状の内に検査を受けようだのは要らないので」
虚が苦笑しながらつぶやいた言葉に、操も同じく苦笑しながらそう返答する。
((それはそうだが、何か違うような気もする))
簪とラウラは声には出していないものの、同じような事を考え、
「あはは、おじさんだぁ~~」
グサッ!!
「ぐはぁっ!?」
本音は、鋭すぎる言葉のナイフで操の精神を深く刺した。
1学期からずっと気にしている事を、華の女子高生に面と向かって言われた場合のダメージは、先程の戦闘で物理的に受けたダメージを凌駕する。
右手で心臓を抑え、その場に蹲る。
「操ォ!!」
「操さぁん!!」
ラウラと簪は、慌てて操に駆け寄るというノリの良さを見せ、
「本音っ!そんな失礼な事を言ってはいけません!大体あなたは何時も何時もフラッとしていて、思った事を直ぐに口にして、書類仕事はサボって……!!!」
「ふぇぇえええ……」
虚は本音へのお説教を開始した。
途中から操が関係なくなっているが、常日頃思っていた不満や怒りが爆発したのだろう。
背後に威嚇をしているライオンが見えるのは、声がでかいレオの雄叫びを何度も見て来た自分だけだと信じたい、と操は考えた。
「虚さん、今度こそ本音のお菓子禁止を…」
「簪お嬢様…そうですね。本音、あなたは経った今からIS学園を卒業するまで、菓子類、並びにスイーツ類、フルーツ類を食すことを禁止します」
「えええええええ!?」
簪が今まで脅しとして、お菓子1年間禁止をチラつかせる事は何度もあった。
だが、今回虚が言い放った禁止は、お菓子だけでなく、スイーツにフルーツも含まれ、更に期間もIS学園卒業まで…つまり、約2年と半年もの間、自分の大好物を食べる事が出来ないのだ。
「因みに、イチゴなどの分類上は野菜に含まれるものも、私がフルーツと判断すればフルーツです」
「因みに、トマトは野菜ですが、フルーツトマトはフルーツですか?」
「……それは永遠に結論が出ない問題ではありますが、今回はフルーツと私が決めました」
「なるほど」
虚とラウラが呑気にも聞こえる会話をしている側で、ダラダラと冷や汗を流す本音。
余程嫌なのか、風邪をひいているように顔色が悪く、ガタガタと震えている(ように見えるほどのオーラが漂っている)。
「そ、それは勘弁してください~~!!」
「それは駄目。本音、私は今まで何度も言っていたけど、最後には見逃してきた。だけど、流石に今回は見逃せない」
「その通り。今日は逃がしません。反省しなさい!」
涙目になりながら泣きつく本音に、ぴしゃりと言い切る簪と虚。
この説教のきっかけになった操、そしてそこそこノリが良かったラウラの2人は苦笑をしながら本音達の事を見ていた。
「そ、そこを何とかぁ~~。で、出来る事なら何でもしますからぁ~~!」
本音は先程の有事の際と同等かそれ以上の速度で、虚の足にしがみつく。
その必死さに、思わず操は右手で視界を覆い、ラウラはスッと視線を逸らした。
『出来る事なら何でもする』
その言葉を聞いた瞬間、虚は口元をにやりと歪ませ、眼鏡がキラリと光った(気がした)。
「本音、言いましたね?」
「う?うん。い、言ったよ?」
虚の言葉に、よく分かっていないまま本音は返答する。
此処で直ぐに返答しなかった場合、どんな事になるか分かったもんじゃないからだ。
「よろしい。なら、禁止の期間を1年生が終わるまでに短縮しましょう」
「ほ、本当!?」
「ただし!生徒会役員では無くなるまで!毎日しっかりと生徒会室で仕事をすると、今ここで誓えば、の話ですが」
虚は冷酷とも感じる声色で、淡々とそう語る。
「なるほど、これが虚さんの本当の目的か…」
「ああ。菓子類を禁止して反省させるよりも、キチンと仕事をさせる方が良いと判断したんだろう」
操とラウラのその呟きは、本音には聞こえていなかった。
2年と半年という期間が、(真面目に働きさえすれば)半年にまで減るのだ。
乗らない訳が無い。
逆に、お菓子さえ我慢すれば仕事しなくてもいいという訳にならないのがミソだ。
「やる!やります!だから、だからお菓子は~~!!」
「契約成立です」
虚は、長年の願いが叶ったと言わんばかりの表情を浮かべながら宣言する。
操、ラウラ、簪は思わず拍手をしていた。
この契約でも半年ほどはお菓子を食べられないし、何より生徒会役員である間は放課後の殆どの時間が拘束されることが約束されたため、なんなら卒業までお菓子禁止よりもキツイ可能性が高い。
まぁ、生徒会の仕事は、本来ならばこんな契約なしに、しなければならい事だと突っ込んではいけない。
「操さん、改めてうちの愚妹がすみませんでした」
「ごめんなさ~い」
本音の頭を掴み、自分と一緒に無理矢理頭を下げさせる。
謝罪された操は頬をポリポリと掻く。
「いや、ははは…もう大丈夫なので気にしないで下さい」
操の許しを得たので、2人は顔をあげる。
「操さん、虚さん、ラウラ、本音」
「「「「ん?」」」」
此処で、簪が4人に声を掛ける。
全員の顔が簪に集まる中、簪はスマートフォンの画面を見せる。
「そろそろ時間、危なくないですか?」
そこに表示している時間が正しいのなら、簪の言う通りかなりギリギリの時間だった。
本音のまったりとしたペースに合わせていたら、5人全員が遅刻してしまうかもしれない。
「「……!!」」
操とラウラはアイコンタクト。
一瞬にして意思を確かめ合うと、すぐさま実行に移す。
「簪!のほほんさん!ごめん!」
「きゃあっ!?」
「わぁああ~~!!」
操は簪と本音の2人を。
「失礼」
「えっ!?」
ラウラは虚を抱える。
「「急げぇ!!」」
操とラウラは同時にそう声を発すると、そのまま会議室に向けて地面を蹴った。
本音はまったりし過ぎだし、簪も操やラウラに比べると瞬発力が些か不安だ。
虚に関しては、運動能力を把握している訳では無いが、どうせなら運んだ方が良いと判断した。
常人の走りと変わらないくらいの早歩きで移動する事1、2分。
そこそこ余裕がある時間に、無事会議室前に辿り着いた。
「「「……」」」
まさかの運ばれ方をした3人は、魂が抜けたような表情を浮かべながらその場にへたり込む。
「ははは、急ですみません。けど、ああしないと間に合いそうになかったので。特にのほほんさんが」
「取り敢えず呼吸を整えろ、早く入らないと無駄になるぞ」
ラウラに急かされ、3人は立ち上がると呼吸を整える。
コンコンコン
「門藤操、ラウラ・ボーデヴィッヒ、更識簪、布仏虚、布仏本音、来ました」
操が扉をノックする。
『どうぞ』
入室の許可が出たので、操が扉を開け、会議室内に入る。
「「「「「失礼します」」」」」
軽く頭を下げながらそう言い、頭をあげる。
「遅れてしまって申し訳ありません」
「いえ、門藤君達は前線で戦闘を行ったり、生徒の避難誘導をしてくださいました。まだ疲れも残っているでしょう。気にしないで下さい」
「お心遣いに感謝します」
「席はそこの5つです。座って下さい」
「はい」
操達5人は、十蔵に示された席に順番に座る。
その際、もう既に座っていた楯無が
(もう、みんな遅いわよぅ。あとでお仕置きねっ!)
という言葉が瞬時に再生されるような表情を浮かべながらウインクをする。
「「「「……」」」」
何故、こんなに楯無が言いそうにない…否、言いそうではあるが、喋らないであろう口調なのに、楯無の声で再生されたのかが分からない。
唯一分かるのは、途轍もなく悪寒が走り、イライラするという事である。
本音以外の4人は、理不尽な八つ当たりだと理解しながらも楯無の事を一睨みしてから席に座る。
「!?!?」
急に4人から睨まれた事で、心当たりが全くない楯無は柄にもなく目を白黒させる。
本音は特に何も反応せず、まったりとした動作でワンテンポどころかスリーテンポ程遅れて椅子に座る。
席に座った操は、改めて会議室内を見回す。
全力で急いできたため、到着時刻にはまだ一応余裕があった。
それを表すように、会議室内にはまだ空席が数個あった。
今此処に居ない教員は、普段からよくデータを纏める事務作業をしている人が殆だと操は気が付いた。
学園祭前に手伝った書類を出す時だったり、アルバイトの申請をする時だったりなどで職員室を訪れて確認しているので間違いが無い。
だが、世の中どんな時でも例外はあるというもので。
(……やっぱり織斑先生が居ない)
そう、その例外とは千冬である。
朝から教室に姿を見せず、避難誘導の時も見かけなかった。
そして普段の様子から、データ纏めなどの作業をしているとも、残念ながら思えない。
そんな事を考えていると、慌てた様子でいなかった教員達が続々とやって来た。
操の仮説は当たっていて、資料を配ったり、ディスプレイの準備だったりをし始める。
こういう大変な事を任せてしまっているので、会議室内の誰も文句は言ず、しっかりと感謝の弁を述べる。
だが、千冬はやってこない。
教員達が席に座る事で、最後の空席が否が応でも目立つのだ。
「……」
十蔵は傍から見ても怒っているのが一瞬で分かる表情で、その空席を見ていた。
その迫力に、操は若干ビビり反射的に視線を逸らしてしまう。
すると、ここで漸く操は春十が居ないことに気が付いた。
自分がオータムと交戦を開始する前に、もうボッコボコにやられていた。
と、言う事はつまり春十ももれなく戦闘をしていたという訳で。
(だからてっきり呼ばれてると思ってたが……いや、そう言えば結構ボロボロだったな……あの後放置したから知らないけど、もしかしたら今は医務室にいる可能性が高いな。なんだろう、あんなに嫌いだったのに、忘れててすまんって思える)
操が遠い目をしながらそんな事を考えていると、会議開始の時間になった。
だが、千冬はやってこない。
自然と会議室内の全員の視線が、長である十蔵に集まる。
「……」
頭が痛いと言わんばかりに、右手で顔を覆う。
一瞬にして思考を巡らせ、2秒後。
「……全員が揃っていませんが、時間は有限です。これより、IS学園襲撃事件後緊急会議を開始します」
十蔵は会議を開始する事を選んだ。
その宣言に伴い、会議室内の空気が一気にピリッとしたものに変わる。
「では先ず、何が起こったのかの整理をしたいと思います。更識生徒会長、お願いします」
「はい」
十蔵の指示を受け、楯無が席から立つ。
「会議前にお配りした資料にも同じ内容が書かれてありますので、目を通しながら聞いて下さい」
その言葉通り、操達は自分達の前に置いてある資料に手を伸ばし、簡単にのぞき見されないように付いている表紙を捲る。
「学園祭午後の部開始直後に、事件は発生しました。突如として男子更衣室付近から爆発音が発生しました」
楯無の説明を聞きながら、資料に目を通す。
うんうんと全員が自分の記憶と資料、説明の一致を確認したのを確認し、楯無は続きを話す。
「学園には生徒、並び来賓の方がいる為、すぐさま避難誘導を開始しました。この際、布仏虚は放送室での避難誘導の呼びかけを」
その言葉と同時、全員の視線がチラッと虚に注がれる。
だが、虚の声の避難誘導の放送を思い出すと同時、視線は楯無に戻る。
「門藤操は爆発音が発生したと思われる地点へ向かい、襲撃者『オータム』との交戦を開始しました」
先程の虚の時と比べ、あからさまにしっかりと操に視線が向けられる。
自分から進んで交戦を開始したのだ。
否が応でも注目されるのは仕方が無い。
操が苦笑をしながら頬を掻いていると、
「んんっ!」
楯無が咳払いをし、場の空気をリセットする。
再び視線が楯無に戻ったのを確認し、続きを話し始める。
「襲撃者はオータム1人。門藤操が交戦をし、注意を引き付けてくれた為避難誘導はスムーズに終了しました」
「はい、ありがとうございます。では門藤君、交戦を引き受けた理由、並びに交戦をしてから起こった事の説明をお願いします」
「はい」
楯無が席へと座り、それと入れ替わる形で操が席から立つ。
その瞬間に、視線を向ける対象も当然入れ替わる。
(うっ…この視線の重圧…あんな冷静に喋れる楯無さんってスゲェ…流石生徒会長兼暗部の長…いや、あの時の講演会を思い出せ、大丈夫、俺なら喋れる)
4月や学園祭の午前とはまた違った視線の重圧。
それを全身で受け、操の中でここ最近下がり気味だった楯無の評価が一転向上した。
同時に脳裏にて思い出すのは、向こうの世界での一幕。
デスガリアンとの戦いが終わった後、ジューマン世界と人間世界が融合してしまい、ジューマンと人間の共存が余儀なくされた時の事だ。
未知の種族との共存。
誰だって怖い。
だからこそ、今までセラたちと、ジューマン達と関わって来た人間である操がジューマンと人間の懸け橋になる為に、講演会にて演説を行った。
その時の事を思い出し、別に会議内で説明するなんて大したことないと思うと、特段重圧を感じなくなった。
「先ず、交戦を引き受けた理由ですが、襲撃者オータムは事前に偽名を使い接触してきました」
「その際に操さんが受け取った名刺が、資料に添付してあります。確認してください」
操の言葉を捕捉する形で発した楯無の言葉に、全員が改めて資料に目を通す。
白黒コピーではあるが、オータムの巻紙礼子としての名刺を確認する。
その『みつるぎ』という名称を見た瞬間に、察しのいい教員達は大体察した。
「その時、応対した際に違和感を感じ、更識生徒会長、並びに学園長に相談をしました。その結果、このみつるぎという企業がペーパー企業である可能性が高いという事が分かり、その名前を使ってきたオータムも怪しいという考えが纏まりました」
ここまで言って、みつるぎの事を知らなかった教員でも、殆ど察することが出来た。
「ここまで怪しい人間が、わざわざ男性IS操縦者の俺が、トイレに行ったタイミングで1人で接触してきた。警戒しよう、となった矢先に爆撃音が学園に響き渡りました。この際、同じ男性IS操縦者である、織斑春十君が襲撃されたのでは?と考えました。生徒のみんなや来賓の方の安全確保を最優先するならば、同じ男性IS操縦者である俺が応対した方が良いと判断し、交戦を引き受けました」
教員達は、全員納得した用に頷く。
それを確認し、操は続きを話し始める。
「戦闘開始地点は、男子更衣室前でした。そこに着いた時には、もう既に織斑春十君が交戦しており、装甲が破損した状態の白式を展開し、気絶していました。その場で戦闘を続行すると危険になると判断したので、壁を破壊し外に出ました」
サラッとした壁の破壊報告に、そういう場合じゃないと分かっていても教員達はついつい苦笑をしてしまう。
だが、そこは流石のIS学園の教員。
すぐさま表情を真面目なものに戻す。
「外での戦闘中、ラウラ・ボーデヴィッヒと更識簪が加勢に加わった事で、事態は有利に運びました。ですが、オータムを捕えようとしたその直前、オータムは『アリーナに爆弾を仕掛けている。スイッチを押せば爆発させる』という旨の言葉を発しました。ISのハイパーセンサーで確認したところ、確かに第一アリーナに爆発物が設置されている事を確認。その瞬間にオータムが起爆スイッチを押し、爆発物が起動してしまいました」
操の表情が、
(ここで押すのを防げてたらあんな大変な事しなくて良かったんだけどなぁ……)
といった表情になる。
その表情から、さっき操と共に戦ったメンバーは大体考えている事を察し、苦笑を浮かべる。
「その地点から第一アリーナに向かい、爆発物を対処するのは不可能だと判断しました。ですが、爆発の規模が分からない為、放っておく訳にもいきませんでした。オータムから奪い取った起動スイッチには、起爆までの残り時間が表示されていました。その為、ジュウオウザワールドの武装であるジュウオウザガンロッドを使用し、アリーナを一本背負いの要領で釣り上げ、空中で爆発させる事にしました」
『うぇっ!?』
先程の壁破壊とはくらべものにならない程の行動を、同じくらいのテンションでサラッという操。
流石の教員達も、これには思わず大きなリアクションを取ってしまう。
それが確かである事を何度も何度も資料と操の事を交互に見る。
「本来こういう質問は、話しをし終えた後にするものですが、気になる人も多いと思うので今質問します。門藤君、何故そういった発想に至りましたか?」
その気持ちは重々承知だと言わんばかりに、頭の中で整理する時間を確保する意図も含めて十蔵がそう質問する。
「今から大体…10年くらい前に、ビルを1本背負いした経験があったので。ビルで出来るならISアリーナでも出来るだろうと」
『……』
だが、その意図とは裏腹に操は更にぶっ飛んだ事を言った。
さっきまで普通に話を聞いていた十蔵や楯無でさえも、思わず呆気に取られたかのような表情を浮かべている。
こんなにぶっ飛んだ内容なのに、嘘でも冗談でも無いのがたちが悪い。
この場に、操の向こうの世界での活動を知ってるのは、本人を除くとラウラのみ。
そう簡単に信じる事は出来ないが、操がこういう場面で嘘を言う人間じゃないと全員知ってるし、その表情が何処までも真面目なものだと一瞬で理解できるものだったので、次第に全員が落ち着いていった(納得したとは言ってない)。
「釣り上げの途中で、楯無さん、山田先生、ファイルス先生の3人が手を貸してくれて…というよりも身体を引っ張ってくれて、無事に爆発のタイミングで釣り上げる事に成功しました。その結果として、アリーナは空中で爆発。IS学園の敷地内に残骸が降り注ぐ事になりました。周辺の海などにも散っている可能性はありますが、大まかには全て敷地内に残骸が残っているかと」
操のその言葉を受け、楯無達はさっきまでの光景を思い出す。
確かに、そこそこな量の残骸がそのまま落ちて来ていた。
時間が無かったので詳しく確認していないし、後片付けもしていないが、あの量なら第一アリーナのほぼ全てだろう。
「以上です」
「はい、ありがとうございました」
十蔵に言われ、操は席に着く。
それと同時、深く息を吐いてから十蔵に視線を向ける。
「さて、此処からは今後の対応を協議したいと思います。先ず、今後の授業に関してです」
「やはり、アリーナの残骸除去に時間を割かないといけない事に加え、アリーナが1つ使えなくなってしまったので実技授業の進行具合への影響も考えなくてはいけないですね」
「うっ…」
十蔵と真耶の言葉に、操は思わずそんな反応をしてしまう。
あの時は切羽詰まっていたので、あの行動をせざるを得なかったが、普通に爆弾を解除出来ていればこんな事を考える必要すらなかったのだ。
普段から忙しく仕事をしている2人に余計な手間を掛けさせる事になったとなると、途轍もなく申し訳なさが出て来る。
苦労組の絆は、生徒と教師の垣根を超えるのだ。
「振替休日もあるので、残骸の撤去はそこまで問題無いのでは?」
「しかし、今回の襲撃を受け、IS学園からも声明を出さないといけません。他にも事務作業を我々はしなければなりませんので、除去は外部業者に頼らざるを得なく、そうなった場合振替休日中で作業を完了する事は難しいのでは?」
「簡単に外部業者に頼っていいのでしょうか?」
前代未聞の事だ。
授業をするための残骸撤去1つとっても、考えないといけない事が多量にある。
「フム…更識生徒会長、どう考えますかな?」
「そうですね……」
十蔵に話を振られた楯無は、顎に手を置き思案するような表情を浮かべる。
その瞬間に会議室内の視線が一斉に楯無に向けられる。
一瞬後、楯無は手を離し、ゆっくりと話し始める。
「瓦礫の撤去ですが、これにはISを使用するのが1番効率的です。幸い、私を含めこの場だけでも4人の専用機持ちが居ます。それに加え、今日襲撃事件が起こったばかりですので、安全を確保する為と言えば、訓練機の貸し出し、そしてアリーナでの自主訓練は中止出来るので、訓練機も作業に使用できます。その為、撤去作業は我々だけで問題無いと考えます」
(((サラッと休みなく働いてもらうって言われた)))
楯無の言葉に、その専用機持ち3人(1人は専用機じゃない)は同時に楯無に半眼を向ける。
それに気が付いていないのか、気が付いて無視しているのか定かではないが(恐らく後者)、楯無は続きを話し始める。
「それに、確かに第一アリーナは無くなってしまいましたが、まだ他のアリーナはありますし、授業にもそこまで問題は無いのでは?どちらかというと、放課後の生徒自主訓練の方が影響は大きいかと」
「なるほど…」
楯無の意見を聞き入れ、十蔵はしばしば考える仕草をした後、言葉を発する。
「更識生徒会長の意見を基にします。先ず、第一アリーナの残骸撤去は外部業者に頼らず、我々で撤去します。門藤君、ボーデヴィッヒさん、更識簪さんには作業を手伝ってもらいます。大丈夫ですか?」
「「「はい」」」
この場での返答は、果たして「はい」以外に存在するのか如何か怪しいが、操達はしっかりと返事をする。
「そして、今後の授業内容の変更は行いません。反対意見等ありますか?」
十蔵はそう言いながら会議室内を見回す。
誰からも反対意見は出ず、この意見が採用された。
その後、第一アリーナの再建はどうするかなどなどの議論しなければならない事を議論し続ける事5時間。
流石にそろそろ疲労が限界になって来た。
「フム、そろそろ時間ですね……では、区切りも良いので本日は解散とします。残りの議題や、本日で決定しきれなかった議題は後日再び会議して決定します」
5時間も会議をしてまだ決めないといけない事があるというのが、日本の会議の長さというかテンポの悪さを表している。
おかしいね、日本にあるとはいえ世界唯一のIS専門学校だから世界各国から人間が集まっているのに。
なにはともあれ、今日は解散だ。
操達も早く帰りたいので、そそくさと会議室を出る。
「疲れたぁ~~!」
「ただ座ってるだけなのに、やっぱり会議ってだけで疲れちゃいますね……」
操が軽く体を伸ばしながらそう呟き、簪もそれに同調する様に肩を摩る。
「ふぁぁあああ…眠~い……」
「本音、こんなところで寝てはいけません。早く寮に帰りますよ」
「は~い……」
「ちょっとちょっと!」
「本音っ!しっかりして!」
本音がフラフラとした足取りで歩くものだから、虚と簪はアワアワと本音の事を支える。
「これは…もう2人で担いでいった方が早いですね?」
「……手伝えないのがな。ごめん」
「いえいえ、操さんは男性ですから。気にしないで下さい」
「お嬢様、申し訳ありませんがそういう訳なので。お先に失礼します」
「はいは~い」
簪と虚は、そのまま2人して本音を担ぎながら移動を開始する。
そうしてここに残ったのは、操と楯無とラウラ。
「楯無さんも早く休んだ方が良いのでは?生徒会も声明用の資料作らないといけないんですよね?」
「操さぁん!手伝って下さい!」
「あくまでも『生徒会』として出さないといけないなら、役員ではない操が手伝っては駄目なのでは?」
「うっ!?」
ラウラからの正論に、楯無は胸を抑えダメージを受けたかのようなリアクションをする。
数瞬後、はぁ、と思いっ切り肩を落としながらため息をつく。
「そうですね…取り敢えず今日は帰ります……」
そうしてトボトボと歩いていく。
「……なぁ、ラウラ」
「ん?どうした、操?」
そんな背中を見送りながら、唐突に操がラウラに声を掛けた。
ラウラが見上げるように操の事を見る。
窓からもう暗くなりかけている空の、更に遠くの方からポツリと言葉を零す。
「オータム、絶対バックに組織あるよな?」
「そうだな…会議の段階ではまだ何も情報を吐いていないようだが、ISを使用している時点で何かしらの組織の一員である事に間違いは無い。何故単騎で突っ込んで来たのかという疑問はあるが……」
ラウラはポリポリと頬を掻きながらそう返答する。
「これから、戦いが激しくなりそうだな……」
そう語る操の脳裏に浮かんでいるのは、デスガリアンとの戦闘。
地球の命を文字通り遊びで奪っていくブラッドゲーム。
そして、それを嬉々として行う外道との戦い。
もしかしたら、それ以上に激しい戦闘が、今後IS学園を舞台に巻き起こるかもしれない。
「そうだな……だが、もし。もしそうなったとしても、私達のやる事は1つだろう?」
ラウラは操を挑発でもするかのような、でも普通に可愛らしい笑みを浮かべながらそう言う。
それを見て、操もフッと笑みを浮かべる。
「そうだな。俺達で、みんなを守る。俺達は、その為に戦う」
「ああ。お前が教えてくれたからな。『支え合う事の強さ』を」
「ははは!覚えてたか」
「当然だろう?」
2人して暫くの間笑い合い、歩き出す。
生徒寮と教員寮で暮らしている建物は違うが、途中までは一緒だ。
「ラウラ」
「どうした?」
「……頑張るぞ」
「勿論」
2人はもう1度笑い合うと、各々自分の部屋へと戻っていくのであった。
「エム!あなた、いったい何を考えているの!?」
「……何の事だ?」
世界の何処かの建物の一室。
部屋の奥を隠すようにカーテンが掛かっており、その前にコの字型に机と椅子が並んでいる、如何にも怪しい部屋。
そこで、金髪美人の女性が、黒髪で小柄な少女に詰め寄っていた。
「なんでオータムを見捨てたの!?あなたのミッションはオータムのサポートだったはずよ!?」
「確かにそうだな。だが、危険だと判断すれば帰還する許可をボス直々に貰ったからな」
「なっ…ボスが!?」
「ああ。そして、危険だと判断したから帰って来た。まぁ、交戦しても私なら負けないだろうが、確実に勝てる、という状況でも無かったのでな」
エムと呼ばれた少女は、特に悪びれる素振りも見せずに淡々とそう述べる。
金髪の女性が再び声を発しようとした時、
〈見苦しいぞ、スコール……〉
「「っ!」」
カーテンの奥から、そのような声が聞こえてきた。
〈一端のプレイヤーに過ぎないオータムなどよりも、エムの方が希少価値が高いと何度も説明した筈だ……私の意思に逆らうのなら、貴様を切っても良いんだぞ…?〉
「…も、申し訳ありません……」
溢れ出る圧に、スコールと呼ばれた金髪女性は頭を下げる。
そんな光景を見て、エムは口元をにやりと歪める。
スコールはエムの直属の上司のような存在だ。
以前だったら、こんなに反抗的な態度は取れなかった。
もし取ろうものなら、その瞬間にエムの頭は胴体から独り立ちしていただろう。
だが、組織のボスがこのカーテンの向こうにいる存在に変わり、状況は一変した。
ボスがエムを優遇視し始めたのだ。
無論、立場上はスコールの方が上なのだが、今回のような状況になった場合はエムの方が優遇されるのだ。
何故自分の事をそこまで優遇させるのか、エムにも分からない。
そもそも姿を直接見た事もないし、どうやってトップになったのかも分からない。
だが、エムにとってそんな事どうでもよかった。
自分の暴れたいように暴れられるなら。
そして、自分を優遇してくれる今のボスはエムにとって都合が良いのだ。
〈座れ、スコール〉
「はい」
スコールは悔しそうな表情を浮かべながら席に座り、その隣にエムが座る。
暫くすると、部屋の中に続々と人が入って来て、席へと座っていく。
だが、その際スコールに向かってほぼ全員が馬鹿にするかのような笑みを浮かべており、その度にスコールは悔しそうに拳を握りしめる。
そうして全ての席が埋まった時、カーテンの奥から声が発せられる。
〈揃ったな……では、始めようか……〉
いろいろ大変。
特に駄目教師関係。
次回も何時になるか分かりませんが、楽しみにしていてください!
評価や感想もよろしくお願いします!