INFINITE・THE WORLD   作:ZZZ777

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前回の続き。
一気に話が進みます。

今回もお楽しみください!


まさかの発覚

三人称side

 

 

シュヴァルツェ・ハーゼ基地、操に貸し与えられた部屋。

そこで、操が束、ラウラ、クラリッサの3人と向き合っていた。

理由は単純、操がこの3人にジューマンワールドの事や、織斑一夏に関することを説明しようと3人を集めたからだ。

 

 

「じゃあ、先ずは...俺の事についてですね」

 

 

操がそう言うと、束、ラウラ、クラリッサは元々真面目な雰囲気を出していたが、更に真面目な表情になる。

 

 

「俺の名前は門藤操。年齢は23歳。だけど...10年前、13歳くらいまでは別の名前で呼ばれていた」

 

 

「っ!そ、それって...」

 

 

操の言葉に、束がそう返す。

操は束、ラウラ、クラリッサの順番で視線を向けると、1度息を吐く。

そして...

 

 

 

 

「その名前は、織斑一夏」

 

 

 

 

そう、言った。

その瞬間に、3人は驚きと納得が混ざったような表情を浮かべる。

操の顔は成長して大人のものになっているが、春十とそっくりだからこその、驚きと納得。

だが、暫くすると3人とも同じように表情に...疑問を感じている表情に変える。

 

 

「ま、待て。お前が織斑一夏なら、何故23なんだ?年齢は、織斑春十と同じなはずだろう」

 

 

ラウラがそう操に尋ね、束とクラリッサが同調する様に頷く。

それは当然の疑問だ。

この世界で、春十は今年に高校入学する年齢...誕生日をまだ迎えていないので、15歳。

一夏と春十は双子なので、一夏も本来だったら15歳のはず。

それなのにも関わらず、今の操は23歳。

その顔つきから年齢を偽っていない事は3人とも分かっている。

だからこそ、その矛盾点ともいえる疑問が出て来たのだ。

 

 

「...まぁ、そうなるよな...」

 

 

それを聞いた操はそのように言葉を漏らす。

こう言ったら、こんな疑問が出て来るのは操も分かっていたようだ。

操はいったん視線を3人から外す。

そこで深呼吸をするように、息を大きく吸い込んで、息を吐く。

 

 

「そこを含めて、今から説明する」

 

 

操は、視線を3人に戻しながらそう言う。

視線を向けられた3人は固唾を呑んで操のことを見る。

そこから操は話し出した。

織斑一夏としての、虐められ続けた人生。

そして、第2回モンド・グロッソの時に別次元の世界に転送された事。

そこの世界で記憶喪失となり、名前を門藤操に変えた事。

そこから、ジュウオウザワールドとして戦った事。

戦いの途中で織斑一夏としての記憶が蘇りはしたが、その上で門藤操として生きる決意をした事。

戦いが終わった後、急にこの世界に戻ってきたこと。

そうした門藤操としての今までの人生、全てを。

 

 

話が終わったとき、部屋の中は静寂に包まていた。

束もラウラも、クラリッサも何も喋らない。

その表情は、驚愕と動揺がありありと浮かんでいた。。

そんな中ラウラが

 

 

「きょ、教官が...そんな事を...?」

 

 

何とかといった感じでそう絞り出す。

 

 

「教官?織斑千冬はドイツ軍の教官してんのか」

 

 

ラウラの言葉に、操がそう反応する。

 

 

「いえ、今はもう日本に帰られてます。1年間だけ、教官をしてくださってました」

 

 

操の疑問にクラリッサがそう答える。

それを聞いた操は納得したように頷いていた。

だが、そこで会話は終わってしまう。

そこから暫く、また室内が静寂に包まれる。

 

 

(お、俺のせいで...俺に話をする資格は無いのか...)

 

 

そんな微妙な空気の中、操は内心落ち込んでいた。

だが、体育座りをするまでには至っていない。

と、ここで

 

 

「うんうん、なるほどね~~」

 

 

さっきから一言も発していなかった束が急にそう声を発する。

当然ながら、束に操とラウラとクラリッサの視線が集まる。

 

 

「私は昔から織斑春十(あのバカ)の言動は知ってたけど、まさかちーちゃん...いや、織斑千冬がそんな事をしてたなんてね...」

 

 

束はそんな事を呟く。

千冬の呼び方があだ名からフルネームに変わったことで、束の中での千冬に対する見方が変わったことは操にも分かった。

 

 

「まぁ、そこは良いんだよ。それで、えっと...銀髪、名前何て言ったっけ?」

 

 

「ラ、ラウラ・ボーデヴィッヒです...」

 

 

ここで、束が唐突にラウラの名前を聞き直す。

束は単純にラウラに興味が無かったので覚えてなかったんだろう。

唐突に名前を聞かれたラウラは、動揺しながらも名前を言う。

 

 

「うん、じゃあ...ラウちゃんで良いかな?ラウちゃんは、なんでそんなにショックを受けてるんだい?織斑千冬がただ教官ってだけじゃ、そこまでショックは受けないはずだよ」

 

 

そんなラウラを見ながら、束はそう尋ねる。

それにつられて、操もラウラの事を見る。

2人に見られているラウラは、クラリッサの事を見る。

その表情は、物凄く不安そうなものだった。

 

 

「...隊長、言いましょう」

 

 

視線を向けられたクラリッサは、ラウラの事を見ながらそう言う。

そう言われたラウラは、暫くの間黙っていたがやがて覚悟を決めたように視線を束と操に向ける。

 

 

「.....分かった。そこの理由を含め、少し私の話に付き合って欲しい」

 

 

ラウラがそう言うと、操と束が頷く。

それを確認したラウラはそこから話し出した。

シュヴァルツェ・ハーゼのメンバーは全員アドヴァンスドと呼ばれている試験管ベイビーである事。

ラウラは元々優秀な個体だったが、ヴォーダン・オージェ移植手術によって出来損ないと言われるようになってしまった事。

そんな中教官としてやって来た千冬の指導によって再び部隊最強へとのし上がった事。

その、全てを。

 

 

それを聞いた操と束は納得した。

何でさっきラウラが必要以上とも思えるくらいショックを受けていたのか、その理由を。

 

 

「私にとって、教官は全てなんだ。だけれども、そんな教官が、教官が...」

 

 

ラウラは、そんな事を呟く。

クラリッサはそんなラウラの事を心配そうな表情で見つめている。

操と束は何も言わず、表情も変えずにただただラウラの事を見ている。

 

 

「お、教えてくれ!私は、私は如何したらいい!?ISを簡単に倒せるくらい強いお前だ!お、教えてくれ!」

 

 

ラウラは半分泣きながら操にそう詰め寄る。

 

 

「隊長.....」

 

 

そんなラウラを見てクラリッサはそう呟く。

そうして、ラウラに詰め寄られた操は...

 

 

「俺は弱いよ...それに、なんなら何もしなくていいんじゃない?」

 

 

そう言う。

それを言われたラウラ、それに聞いていた束とクラリッサも驚いたような表情になる。

 

 

「な、何を言って...!」

 

 

「まぁまぁ、話は最後まで聞けよ」

 

 

それを聞いたラウラは思わず反論しようとするが、操が宥めたことによって収まる。

そんな操に3人の視線が集まる中、操はパイプ椅子に座り直す。

そうして、ジュウオウザライトを取り出してから喋りだす。

 

 

「俺は弱い。特に心がな」

 

 

「心が...弱い...?」

 

 

「ああ。俺は、直ぐに落ちこむ。今はマシになったけど、前は戦闘中に体育座りしながら落ち込む時もあった」

 

 

「「「.....」」」

 

 

操の言葉に、3人は何も言わない。

それを確認しながら、操は話を続ける。

 

 

「そんな俺でも、自分は強いって思えるところがある。それは.....」

 

 

 

 

「仲間を想う事」

 

 

 

 

操のその言葉に、

 

 

「仲間を想う事...?私が訪ねているのは、そう言う強さじゃ...!! 」

 

 

「だから、最後まで聞けって」

 

 

ラウラが反応し、操がまた宥める。

 

 

「隊長...」

 

 

「.....」

 

 

クラリッサと束は、大きな反応を見せずラウラと操の事を見つめている。

 

 

「俺は大和に教えてもらった。『タイミング等がそれぞれ違うから生き物は支え合う』って。いろいろな生き物がいて、それが支え合う事の強さ。それを、俺は学んだ」

 

 

「支え合う事の、強さ...」

 

 

操の言葉を自らに落とし込むようにラウラがそう呟く。

 

 

「そして、生き物がバラバラであるように、人間もバラバラだ。考え方も、自らの長所も。だから、ただ力でねじ伏せる強さをラウラは持って無くても、別の強さがある」

 

 

操はそう言いながら、視線をラウラの後ろに向ける。

ラウラもそれにつられて振り返る。

その視線の先にいたのは、クラリッサだ。

 

 

「仲間がいるっていう、強さがさ」

 

 

「仲間がいる、強さ...」

 

 

ラウラは、再び操の言葉を繰り返す。

そうして、ラウラの右目から涙が一筋零れる。

 

 

「隊長.....」

 

 

それを見たクラリッサからも、涙が一筋零れてくる。

ラウラはそのまま視線を操に向ける。

 

 

「やっぱり、強いな...」

 

 

そうして、そう言葉を漏らす。

 

 

「そろそろ名前でもう1回呼んで欲しいなぁ」

 

 

それに対して、操はそう呟く。

その瞬間に、ラウラ、クラリッサ、束はアッ...という表情になる。

3人の反応を見た操は、苦笑いをしながら席から立ち上がる。

そうして、言葉を発する。

 

 

「俺は織斑一夏じゃない。俺の名前は門藤操。そして...」

 

 

そこまで言ったところで、ジュウオウザライトを仕舞う。

 

 

「世界の王者!ジュウオウザワールド!」

 

 

そうして名乗りポーズをしながらそう宣言した後、ニコッと笑う。

その笑顔を見た3人は、同時に顔を赤くする。

 

 

(何で顔赤くなってんだ?)

 

 

操はそう考えながらも、ラウラに近付く。

 

 

「だから、ラウラは自分の強さを信じろ」

 

 

そして、ラウラの頭を撫でる。

頭を撫でられたラウラは、一瞬身体をビクっとさせたが、やがて気持ちよさそうに目を細めた。

 

 

(小動物みたいだな...)

 

 

操はそんな事を考えながらラウラの頭を撫で続ける。

そんな2人を、束とクラリッサは暖かく見守る。

 

 

((...いいなぁ.....))

 

 

その視線に、羨ましさを混ぜながら。

 

 

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操はその後、3人に他言無用だという事を伝えて、その場は解散になった。

ラウラとクラリッサはそれぞれの部屋に戻り、束は気が付いたら何処かに消えていた。

 

 

その日から大体1ヶ月程が過ぎ、3月。

結局、操の事はシュヴァルツェ・ハーゼの隊員たち以外には知らされていない。

操はシュヴァルツェ・ハーゼの隊員たちとかなり打ち解けていた。

操からの提案もあり、操には敬語を使わなくなり、かなりフレンドリーに会話するようにもなった。

そんな生活を操がしていると、唐突に事件が起こる。

 

 

とある日本の受験生が、ISを起動したのだ。

その名前は、織斑春十。

織斑千冬の弟である。

そのニュースが飛び込んだとたん、世界中は大混乱。

そうして、世界中で男性に対するIS適正の調査が行われた。

それの結果、操もISを起動してしまったのだ。

 

それだけだったらまだいい。

だが、この世界には門藤操という人間はおらず、操には今現在国籍が無いのである。

操の事を如何しようかと隊員全員で話し合っていると、再び束が乱入してきた。

そんな束の助力で、操はドイツ国籍を取得することにした。

 

 

「門藤操という名前は絶対に変えない!」

 

 

という操の強い意志によって、操は『門藤操』のままドイツ国籍の取得に成功した。

そうして、ドイツで第2の男性IS操縦者が見つかった事を束が公表した。

世界各国は、春十が見つかったとき以上に混乱に陥った。

そして、千冬の弟という後ろ盾がない操を研究室送りになどの意見も出て来たが、束とドイツ政府がそれを一蹴。

こうして紆余曲折の末、春十と操はIS学園に入学することになった。

 

23歳ではある操だが、13歳の頃にジュウオウザワールドとなり、そこから戦い続けた操は碌な高校生活を送っていなかった。

その為、操は内心ウキウキである。

 

 

だが、この紆余曲折によってマイナスな出来事も起こってしまった。

ドイツは操を守るために力を注いでしまった結果、専用機の開発スケジュールに遅れが出て来てしまった。

ドイツが新しく開発していたISは、第三世代型が2種類...ラウラとクラリッサの専用機である。

2機ともGW明けまでには完成する予定だったが、このままだと7月までは掛かってしまう。

その為、クラリッサの機体の開発を一旦ストップしてラウラの機体を全力で造る事になった。

その結果、何とかラウラの機体はGW明けまでには完成する予定になった。

 

だが、自分のせいでクラリッサの機体開発がストップしたと知った操は

 

 

「俺のせいで...俺に学園生活を楽しむ資格は無い...」

 

 

とかなり落ち込んでいた。

立ち直るのには、隊員全協力のもと30分掛かった。

 

 

IS学園への入学が決まってから、操は様々な準備をした。

IS知識の予習だったり、軍で使える訓練機を使ったIS訓練などだ。

操はISスーツを着るのに羞恥心からかなりの時間が掛かっていたものの、ISの操縦自体は直ぐに出来るようになっていた。

これも、10年前からジュウオウザワールドとして戦ってきた操だからだ。

 

そんな中、1つの議題が出て来た。

ジュウオウザワールドを如何するかである。

ISのコアには絶対数があり、そう簡単に専用機を持つことは出来ない。

それに、飛行能力などのIS基本機能すらない。

訓練機を使用するという手があるが、そうした場合他国や企業が専用機を与えると言われて、操争奪戦が起こってしまう。

そうした中、束が三度目の乱入。

ジュウオウザワールドを、束が男性用に新しく作った特別製のISという扱いにして全世界に発信したため、その問題は片付いた。

 

 

そうして、4月。

後1週間でIS学園の入学式という日。

操は大きなバッグを背中に背負い、シュヴァルツェ・ハーゼの基地の正門前に立っていた。

操の前には隊員全員と、4度目の乱入となる束が並んでいた。

この短期間で4回も束が乱入してきたことにより、隊員たちは完全に慣れてしまったようだ。

 

 

「みっちゃん、頑張ってきてね!」

 

 

束が操にそう言う。

それを言われた操は

 

 

「...その呼び方は、大和だけにしてほしかった」

 

 

そう呟く。

 

 

「なんだよう!良いじゃんかぁ!!」

 

 

束はプンプンという感じで操に詰め寄るが、操はそれを軽く流す。

そうして、隊員たちに視線を向けて、

 

 

「実は、みんなに渡したいものがあるんだ」

 

 

そう言う。

言われた隊員たちは、首を同時に傾げる。

それを見た操は1回基地の中に戻ると、両手に段ボール箱を抱えながら戻って来た。

そうして、それを地面に置いて、箱を開ける。

 

 

「じゃーん!特性ぬいぐるみ!!」

 

 

操は、笑顔でそう言いながら中身を取り出す。

その中身とは、可愛らしくデフォルメされた、ラウラとクラリッサのぬいぐるみだった。

操はそのまま2人にそれぞれのぬいぐるみを渡す。

受け取った2人は、一気に顔を赤くする。

それに首を捻りながらも、操は段ボールから他の隊員のデフォルメぬいぐるみを渡していく。

そうして、全員に配り終わった後、操は束にもデフォルメぬいぐるみを渡す。

 

 

「えっと...これは?」

 

 

クラリッサが操にそう尋ねる。

 

 

「仲良くなった証!」

 

 

操がそう言うと、束を含め全員が一気に顔を赤くする。

操はそれに首を傾げながら、

 

 

「じゃあ、頑張ってくる!」

 

 

そう言うと、

 

 

『頑張って!!』

 

 

と声を掛けられる。

そのまま操は、空港に向かうためにバス停に歩き出す。

 

 

こうして、ジューマン世界の世界の王者は、IS世界へと1歩踏み出した...

 




操が渡してる人形は、本編で出てたジューマンぬいぐるみの束バージョンやラウラバージョン、クラリッサバージョンなどです。
私に画力があればイメージ図を出せたんだ...

次回もいつになるか分かりませんが、楽しみにしていてください!

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