グルメヤクザ。それは漫画作品の「トリコ」内で出て来る組織の名前だ。
複数の組があるとされているが、作品内に出て活躍をしたのはジダル王国のネルグ街を仕切る組。
組長はリュウと言う体に無数の傷がある男で、第0ビオトープの職員に昔からの知り合いだった再生屋の与作に推薦されていた。
目立った活躍も無くいつの間にか生死不明のまま、原作が終わっていたため余り印象には残っていない。
副組長はマッチという金髪の青年で20代。昔、リュウに拾われそれ以来組に尽くしている仁義の男。
体中に傷が残っており、四天王のゼブラに一撃で付けられた物とされている。レオドラゴンの牙から作られた名刀竜王を扱う居合の達人。
街の皆から慕われており、初登場時は子供にオーロラを見せたいという願いからセンチュリースープの捕獲に挑んでいた。
俺は
仁義を貫き通し、子供に優しくネルグ街の皆から慕われている好青年で、居合の達人という格好良さも兼ね揃えている。
憧れもしたし確かにこんな大人になってみてえなとは思ったが…。
(思うのと
「副組長!この書類はどちらに?」
「ん?ああ、それはそっちだ。それが終わったら組長の手伝いしてやってくれ。こっちは俺だけでも十分だ」
「分かりました。何かあれば呼んで下さいよ?」
「ははっ、頼りにしているぞ」
現代日本に生まれて過ごした俺が何故此処で生活しているかを少し思い出してみよう。
仕事が終わって就寝した翌日、住み慣れた家の天井では無く廃墟の様な場所で目が覚めた。
困惑しつつ自分の体に違和感を感じて確認すると、5歳位の子供になっていた。
情報を収集すると
マジかよと思いつつ、今日食べる飯を同じ境遇の子供と調達しながら、少しずつ体を鍛えていた。
略奪や強奪は行わず、真っ当に働き、金や物々交換で野菜の種を買って畑を作り生活していた。
だが、ここは犯罪都市。搾取されることが日常の街では子供は格好の獲物だった。
ある日食糧を買って一緒に過ごしていた家に戻ったら、地獄が広がっていた。
鉄パイプ等で武装した大人達が10人程で畑を襲撃していた。足元には血だらけでうめき声をあげている仲間達。
食糧の袋を抱えた俺に気付いた大人がこちらに近寄ってきた。
その武器で俺を仲間と同じ目に合わせる腹積りだろうが、
細胞一つ一つがフツフツと煮えたぎるマグマの様な怒りが全身を覆っている感覚。
(慈悲なんざ与えねえ。勝てねえだろうが一矢報いてやらぁ…!)
そこからは乱戦だった。小柄な体格を活かしつつ急所を中心に攻める。
金的・目潰し・弁慶の泣き所etc…。
だが、数の暴力には敵わず逆にボコボコにされた。鉄パイプで殴られ蹴られ地面に叩き付けられ…。
意識が朦朧とし、体から大切な物が抜けて行く感覚が襲いかかって来た時にその人達は現れた。
「おい、てめえら。ガキ相手に恥ずかしくねえのか!」
「大丈夫か、小僧?チッ、ひでえ事しやがる…」
1人は俺に対して振り下ろされた鉄パイプを切断し、そのまま下手人を切り伏せた。
バンダナを頭に巻き、葉巻の匂いが漂う男が体を抱きかかえた。
ほぼ見えなくなった視界と出せなくなってきた声を絞り出す。
「わりい、おっさん…おれはあとで…いい…から!あいつら…を、さきに…治してくれ!こんな俺に…ついてきて…くれたやつらなんだ…!金なら…人生賭けて払うから…!」
「…!ガキが金の事なんざ気にしてんじゃねえよ!安心しろ!絶対に全員治してやる!てめぇも死ぬかもしれねぇそのルールを打ち破りやがれ!」
その後は、ネルグ街のリュウさんの事務所で目を覚まして、幹部の人に事の顛末を聞いた。
あの後俺達を襲った大人達はリュウさんが直々にボッコボコにした後始末したそうだ。何でも目に余る行動を普段から行っており、ブラックリストに載っていたらしく遂に堪忍袋の緒が切れたという事らしい。
「あの、あいつらは大丈夫なんですか?」
「ガッハッハ!心配すんな無事だよ!」
入ってきたのは再生屋の与作。原作知識で知っているとはいえ、助けてくれたのが原作キャラで内心で驚愕する。
次に入ってきたのはリュウさん。俺が寝ているベッドの横にパイプ椅子を持ってきて座り、話しかけてきた。
「ん?起きたか小僧。自分の事なんざ気にせずに、仲間守る奴は久しぶりに見たぞ。どうだ?お前達さえ良ければウチの組に入らねえか?」
「…え?何で俺達を?」
「お前さん達の事は噂で聞いていてな。スラムの中で懸命に生きつつも、奪う事はせず逆に施している
「…願ってもねえことだ。よろしく頼む。俺はマッチだ」
「フッ、入ったからにはバリバリ働いてもらうから覚悟しとけよ?俺はリュウだ。ついでにこっちは与作だ」
「ガッハッハ!ついでかよオイ!言われちまったが、再生屋の与作だ!中々に骨があるガキだ、怪我したらウチに来い!お前さんは特別に無料で治してやるよ!」
その後、俺達はグルメヤクザに入り仕事をすることになった。多少汚い事もするようになったが、希望する奴は他の仕事を回してもらえる様になった。
戦闘技術を学んだり、仕事をする様になり23歳になった。(原作で登場時28歳なので、原作開始5年前)
名刀竜王を一足早くもらって若頭になったある日リュウさんに呼び出された。
何事かと思ったが、組長室に行ってみる事に。
「失礼します。リュウさん何か御用です…か?」
「おお、こいつか?リュウちゃんよ。悪魔を持っておるかもしれん子供は」
「ええ、
そこに居たのは金髪でサングラスを掛け、アロハシャツに身を包んだ小麦色の肌をした老人…一龍だった。
(おいおい、世界最強クラスで作中屈指の聖人の爺さんじゃねえかよ!…三虎との戦いで死ぬ事はなるべく避けて欲しいが…そうなったらアカシアの三弟子vsアカシアwithネオとか言う地球崩壊待った無しルートになっちまうんだよなぁ…)
「ふむ、確かにおるのう悪魔が。しかも複数。小僧、その傷は何時からあるんじゃ?」
「え?えーと、いつの間にか出来てましたけど…そういえば髪の毛も何時からか金髪ですね。染めた覚えは無いんですけど」
「…そうか。お主さえ良ければなんじゃが、とある奴と戦ってみんか?」
「誰とですか?」
「それは「組長!大変です!」…ぬ?」
「騒がしいぞ、客の前だ静かにしろ」
慌てて飛び込んできた幹部に驚いたが、次に発せられた言葉に度肝を抜かれた。
「傷だらけの
「は?どういう意味だ?」
「今から向かう!すみません、会長。話は後で…」
「いや、ワシも向かう。子供達の事は気になるしのう。のう、マッチや…ん?」
隣に目を向けるとそこには誰もいなかった。
「マッチなら俺がきた瞬間に出て行きましたよ」
「早いな!」
「はっはっは、将来有望な子じゃ!ワシらも行くぞ」
ドアを飛び出す2人の龍。現場に着くと、激しい戦いが繰り広げられていた。
「マッチ!大丈夫か!」
「ぬぅんりゃぁあああああ!」
「キャァアアアア!」
そこには、子供達を庇いつつ謎の女と闘っているマッチが。既に本人は傷だらけだが子供達には傷ひとつ無い。
その女の首には機械じみた首輪が付けられていた。
「ぬ?あの者何か着けられておるのう…
「でしょうな…ていうよりあの女…ゼブラに似てませんか?」
音による音波での攻撃や女の細腕とは思えぬ大地を割るような一撃。
四天王のゼブラの攻撃と同じような方法で、女版ゼブラとも言われても差し支えないような人物だ。
(チッ、攻撃が苛烈どころの騒ぎじゃねえな。さっきのリュウさん達の話の通りだと、下手こいたらドカンか。電気信号によってドカンなら
名刀竜王を撫でつつ、脱力を行おうとするが…ドンドンと過激になっていく攻撃。
違和感を感じ、首輪を注視すると針の様な物が注入されている。
(興奮剤…胸糞悪い事しやがるな…こんな煮えたぎるマグマの様な怒りは久しぶりだ…
ふぅーと息を吐きつつ目の前の女に集中する。よく見ると涙を流して苦痛を訴えるような目をこちらに向けている。
いなしつつ、脱力を完遂させて柄に手を掛ける。
すると、マッチ自身は気付いてないが後ろに鎧兜を纏った鬼武者が出現した。
雰囲気が変わった事に気付いた女は息を吸い最大の攻撃をしてくるようだ。
「ガァアアアアア!」
原作のボイスミサイルと相違無い威力が飛んできた。
だが、目の前に迫る攻撃に対し、マッチは冷静だった。
「居合…竜王
前傾姿勢になって鯉口を切り、まず目の前のボイスミサイル擬きを切り裂く。
次に刀の柄で女の鳩尾を突いて気を失わせる。
そして、地面に軽いクレーターが出来る程の踏み込みを行って、すれ違い様に首輪のみを正面と後ろをほぼ同時に叩き切った。
落下した首輪が落ちた瞬間爆発が起きた。
「ぐっ…クソ、キッツイな…何か分からねえがエネルギーが抜けた様な感じだ…」
(しかもあの早技は今の俺では絶対に出来ねえ事だ。
刀を支えにして膝立ちになり息を整え、倒れている女に向かう。
良く見るとゼブラの様な傷は無く寧ろ綺麗な顔立ち。カッコいい系の美人というカテゴリが当て嵌まる。
原作キャラで言えば二代目メルクの様だ。
「ん?首輪に番号がある…ZC‐01P…考えたくはねえが…」
「マッチ!大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ。リュウさん、こいつの手当てしてくれませんか?」
「この
「多分、四天王のクローンじゃ無いですかね」
マッチが漏らした一言に驚愕の表情を向ける2人。
「この番号…多分ですがZはゼブラ、Cはクローン、01は産まれた順番、Pはプロトタイプかパーフェクトなのか分かりませんが何れにせよ他の四天王のクローンや、言い方は悪いですが試作品がまだ居るんでしょうね…詳しい事は本人から聞いてみねえと分からないですが」
「…ワシらもクローン技術は使っておるしとやかく言えんが…ガキを利用してガキを不幸にするのは大人のすることじゃあねえのう」
「…マッチ、今は休んでカチコミに行く時に備えろ。お前さんにも手伝って貰わなきゃあならん」
「了解です…ちょっと疲れたんで寝ますわ」
フラフラとしながら、自室に戻りベッドに倒れ込む。
(しかし、人生ってのはどうなるか分からねえもんだ…。これが小説のタイトルになるんなら何だろうな)
夢現の状態で考えるが、次第に眠気に襲われる。
(そうだ。マッチ一本家事の元って感じかねぇ…)
そこまで考えて、眠りの世界へと旅立った。