YouTubeでトリコの紹介動画を見て、電子書籍で全巻買ってしまった。
あれから少し休み、組長室で話す事に。
「あの首輪をマンサムに映像越しで見て貰ったんじゃが、やはりワシらで使っておる制約の指輪の首輪バージョンの様な物らしいわ。無理矢理外すか装着者が逆らったりすると爆発し、更に中に微量の興奮剤が付着した針を刺す機構があった」
「興奮剤…グルメ八法で制限があるバトルフレグランスの様なものですか。こいつを作った奴はいい度胸をしている」
「…戦っている時には涙を流しながら、こちらに助けを求めている様だった。無理矢理戦わせられていたんでしょうね…」
うんうん唸っていると、癒しの国ライフからの客人が入ってきた。
「会長とついでにリュウ!久しぶりだな!」
「俺も居るんですけど、与作さん。態々来て頂いてすみませんね」
「おお、マッチ!でっかくなったな!オッサンは嬉しいぞ!」
親戚の気のいいおじさんの様な雰囲気を醸し出しながら入ってきた与作。
その後ろには丸い大きなメガネを掛けた
「紹介しよう!俺と同じくモーヤンシャイシャイ先生を師匠に持つ再生屋のプキンだ!」
「プキンです、初めましてよろしくお願いしますね」
例のゼブラに似た少女の療養には同性が良いと思い、与作に連絡を取って紹介してもらったのだ。
まさか原作キャラとは思わなかったが…。
(トリコの女性キャラは全体的に可愛いんだよなぁ。プキンとか二代目メルクとか節乃さんのスタッフの
すると、ドタバタと足音を立てて来た人物がドアを勢い良く開けた。
その前に、ドアの近くに居たプキンを抱き寄せ片手で止めた。
抱き寄せたプキンは異性に触られた経験が無いのか顔を赤くしていた。
一方逆のドアの近くに居た与作は諸にドアがぶち当たり、鼻を抑えていた。
「マッチさん!大変です…あの、なぜ迷刀
「ん?何、急な用事だとしてもせめてノックをしろと言ってんのに、何時まで経っても覚えぬバカ者を文字通り叩き直そうと思ってな」
にっこりとした笑顔で後ろにグルメ細胞の悪魔では無く、般若の様なオーラを纏ってハリセンを振りかぶるマッチ。
ちなみに、ハリセンは何気無く作っておいたのだが意外と役にたっている。
「お仕置き…突っ込み一閃!」
スパーンと良い音を奏でる頭。ぐおおと呻きながら頭を抱えるラム。
「で、何事だラム?」
「イテテ…はっ!そうだ、あの少女が目覚めました!」
「そうか、なら話でも聞いて見ますか?」
「そうじゃな、一応全員で行ってみるか」
ということで、目覚めた女が休んでいる部屋に向かう事に。
そこには天然のバンテージであるドクターアロエを巻いた少女(10代前半)がベッドの上で座っていた。
まずは同性のプキンが話しかけることに。
「えっと大丈夫?ゆっくりで良いから、あなたの事を教えて欲しいのだけど…」
優しく話しかけるが、警戒しているのかだんまりを決め込む。
シーンとした空気が流れたので、マッチがしゃがんで少女と目線を合わせながら話しかける事に。
「あー、気絶させてしまった俺が言うのも何だが大丈夫か?」
こくりと頷く少女。
「取り敢えず、君の名前を教えて欲しい」
「名前…?識別番号は
「いや、番号じゃ無い呼び名だよ」
「ありません。私達は戦闘を目的として創られたクローンです。強いて言うなら完成体です」
名前すら付けられていないと言われ、驚愕する面々。
「私
「ええ、居ました。私を含めた四天王全員のクローンの完成体と
「細胞を注入された孤児に、失敗作だと…!?」
「?何をそんなに怒っているのですか?私達はマスターの指示に従うだけです…」
次々に明かされる事実に驚愕する面々だったが、共通していた思考は怒りだった。
途中から声が震えている少女に対して、優しく声を掛ける。
「…なら君は何故泣いているんだ?」
「!?こっこれは気の所為です…」
「…我慢しなくても良い。ここには君を傷つけるような人間は居ない。溜め込んでたもんを全て吐き出してしまえ」
そう言いながら、頭を優しく撫でてやると今まで抑え込み、押し殺していた感情の濁流が彼女の心を激しく揺さぶった。
「ヒグッ…ほんどはごわかっだ!みんな…グスッきずづいて、ちゅうしゃいっぱい゛うだれていだがった!ごはんはおいじくながったじ、いぎていくのがづらかった!なんでわ゛たしたちだげこんな゛めにあわなぎゃいけながったの?!」
「ごめんな、辛かったろう、悲しかったろう。今まで溜め込んだ嫌な気持ちを全部出せ。他の皆は俺達で絶対に助けてやる」
滂沱の涙を流し顔をぐちゃぐちゃにしながら、泣きじゃくる彼女を優しく抱きしめ、背中をトントンと叩いてあやす。
スーツが涙や鼻水でグチャグチャになりながらも、溜まっていた物を吐き出させる。
少し力を加えてしまえば折れそうな小さな体でこの世の地獄とも言えるような環境で育ってきたのだ。
泣き出した少女を見て、その場に居た全員が涙を流していた。
数十分後、泣き止んだ彼女は疲労が襲ってきたのか夢の世界へと旅立って行った。
すぅすぅと可愛らしい寝息を立てて眠る少女をベッドに寝かせ、頭に手を置く。
「グルメ細胞の悪魔よ。俺に力を貸せ…!
将軍の導きは触れている者の記憶を探る技。
心を開いている者にしか効果は無く、
対象の記憶を第三者の目線から辿る事が出来て、何処で何があったかや、施設の構造等細かい情報も得る事が出来る。
「皆さん、俺に触れて貰っても良いですか?」
「どうしたんじゃ?」
「彼女の記憶を辿って外道共の場所が分かりました。ですが記憶をそのまま再生するのでかなりショッキングな映像になるんですよ…プキンさんは大丈夫ですか?」
「ええ乗り掛かった船だもの。それにこんな子が受けた傷も知らずに
「分かりました。なら行きますよ、
意識のみが彼女の記憶に引き込まれ、第三者視点での閲覧が可能になった。
「ほお、記憶を覗き見れるのか。面白い技じゃの」
「ええ、ですが条件が色々とあるので幾らでも使える訳じゃ無いんですよね。本人が記憶している映像を第三者視点で見ることが出来て、関連する施設の全体図も見れます」
「しかし…ひでえな。血がそこら中に飛び散ってやがる」
「カプセルには胎児も居ますね…小さな子供が居た痕跡もあります」
「ん?この場所は確か…そうだネルグ街の外れの廃墟同然の建物だ!」
僅かな証拠から場所を導き出したリュウに視線が集まる。
「でかしたリュウ!後はカチコミに行くメンバーと作戦を考えなきゃならんが…」
「…事態は一刻を争います。少数精鋭で施設内に侵入し、内部の敵対勢力を無力化ないし皆殺しにして子供を救出した方がいいでしょう。子供の保護はウチで行えば良い」
「じゃな。…第0ビオトープの連中に声を掛けてみよう。おそらく、桜やメリスマンなら来てくれるとは思うがのう」
「会長!よろしいのですか?」
「構わん。子供は未来に輝く宝石の原石。大人であるワシらが出来るのはその原石を守る事。その為なら何でもするのは当たり前じゃよ」
トントン拍子で話が進み、第0ビオトープからはグルメ武術家の桜とグルメ文豪であり、美食人間国宝のメリスマンが来る事になった。
作戦決行は今日を入れて3日後の早朝。
それまでに、記憶の共有での建物内の構造を書類に書き写してそれを全員で共有。
マッチを含めた幹部クラスと与作・メリスマン・桜等の少数精鋭の面子で強襲し、内部の構成員を全員無力化する組と子供を救出する組に別れて行動開始。
子供は救出後、外に待機している救護組に任せて組にまで護送する。
構成員はその場でどうするか決める。
決戦が翌日に迫った日、マッチは
(メリスマンと桜か。原作では会議で出てきて、アカシアのフルコースドリンクのアトムの捕獲に行っていたな。実力は確かな物だろうが、如何せん活躍が少なかったんだよな。メリスマンはブルーグリルで著書が出てきたけど、桜に至っては何もねえんだよなぁ…)
そこそこ失礼な事を考えていると、後ろからこちらに近づいている気配を感じたので食禅をやめて振り向く。
すると、さっき考えていたメリスマンと桜が此方に来ていた。
「あなたがマッチかしら?私はメリスマン。一龍会長に頼まれてきたのだけど…」
「俺は桜。グルメ武術家をやらせて貰っている」
「ええ、マッチと申します。今回はご協力感謝します」
簡単な自己紹介と握手を終え、組長室に案内しようとすると…。
「マッチ〜!」
「ん?ストラか、どうした?」
元気良くマッチの名前を呼びながら駆け寄って来た赤い髪の毛の少女。
保護した少女のストラだ。名前の由来はゼブラ→シマウマ→縞模様→ストライプ→ストラという連想ゲームで。
明るく元気な性格で、組で保護している子供とすぐに打ち解けて今ではムードメーカーのような存在になっている。
ストラは施設の中でも中心的な人物で、皆から慕われていたらしく逃走した当時は皆の協力もあり命からがら逃げだしたが、首輪はどうしても取れずその効果により暴走していたらしい。
「んーん、マッチがそこにいたから!」
「俺は山じゃねえんだが…これから大事な会議があるから離れとけ。お客さんもいるしな」
「あら、この子?例の施設の…」
「ええ、ストラです。元々明るい性格だったようで、今ではすっかり皆のムードメーカーですよ」
ストラとじゃれっていたが、組長室に着いたので離れてもらって3人で入る。
中にはリュウ・与作・プキンが座ってお茶を飲んでいた。
「おう、来たか!ガッハッハ、相変わらず辛気臭い顔してやがる!」
「あんた等が与作と同じビオトープの職員か。リュウだ、よろしく頼む」
「再生屋のプキンです。今回はよろしくお願いします」
顔合わせが済んだ所で作戦を詰めていく。
「なるほどね、話は聞いていたけど物語の登場人物にすらなれないような下種な奴らね」
「ああ、幼い子供を道具として使うような外道は生かしてはおけんな」
気炎を燃やすメリスマンと桜。
作戦の概要を説明したところで、最後のまとめに入る。
「作戦は明朝に決行する。内部に侵入後は与作・俺で最奥に居ると思われる奴らの頭を仕留めに行く。マッチと桜は子供達の救出に邪魔な構成員共の掃除、メリスマンとプキンは子供の保護を頼む」
「救助後はウチの組員が子供達を保護します。その後の扱いはそれぞれの意思を聞いてやろうと。もし、再生屋や小説家、武術家になりたいと言ったら皆さんの所に弟子入りさせてあげてくださいね」
明日決戦に行くとは思えないような和やかな空気でその場は解散となった。
時刻は昼前だったのでマッチはそのまま持っていたエプロンを取り出した。
エプロンを着けているマッチを見ると、驚いたようにプキンを含めた全員が凝視していた。
「…何ですか?」
「料理するのねマッチ君。そんな感じに見えなかったから」
「昔から簡単な物を作ってたりしましたからね。今では趣味のような物になってまして、すっかり嵌ってるんです」
ついでに全員で食堂に向かってマッチとは厨房で別れることになったが、リュウを除く客組が「料理しているところを見たい」というので厨房に入ることに。
「さて、今日は何を作るかねぇ。昨日は魚介系だったから今日は肉類にするかな」
「マッチさん!米は炊けてます!肉や野菜も準備完了です!」
「おう、シン・ルイありがとうな。ラムは?」
「デザートのプリンを作る為に只管卵を溶いてます!」
「了解だ。今日も今日とてバイキング形式にするぞ。明日は決戦だからな、ちょいと豪華に行こう」
包丁を手に取りスパパパパとサラダに使う野菜を切っていく。
シンとルイはおにぎりを握っていき、具材はストライプサーモンを焼いた物とコンブスネークの煮付け。
後フルーツ梅干しを入れている。
肉は
プリンは医食牛の変位種である
カラメルはグルメ砂漠の黒糖を少量使用し、甘さを引き出す苦味を備えた旨味があり高級品にも負けない美味しさを兼ね揃えている。
「へえ、凄いわね。そこらの料理人にも負けない様な包丁裁き。それに美食屋としての腕も兼ね揃えているから言うこと無しね。良い小説のネタになりそう」
「ああ、荒削りだが腕は悪くないな…3人の腕もかなりの物だし磨けばより光るだろう」
そうこう話しているうちに料理が出来上がったので食堂に並べる事に。
ずらっと出来たての料理が並び、少しすると多くの足音が聞こえてくる。
食堂前には水道の蛇口が並んでおり、そこで手洗いうがいをしてから入ることになっている。
「マッチ!今日のご飯はなあに?」
「ん?でっけえ鶏を狩ってきたから唐揚げにしてるよ。あとは適当に作ってあるから食べられる分だけ皿に取って食べな」
保護している子供の質問に答えつつ飲み物を用意する。
市場で購入するなら2リットル当たり1000円とそこそこの値段がするが、捕獲すればタダだ。
その後は怒涛の勢いでやってきた人間を捌き続け、全員が食べ終わるころには昼過ぎになっておりマッチ達キッチン組はぐったりしていた。
食堂の椅子に座って机に突っ伏しているマッチを心配するようにプキンが話しかける。
「マッチ君、大丈夫?」
「ええ、何とか。今日はキッチンに立つ子供達が休みだったんです。俺らが先生として指導することになったんで料理の腕は上がってきましたよ」
「色んな事を子供達に教えているんだね。将来の為?」
「ええ。子供の未来を守るのは大人である俺達の役目です。可能性はそれこそ無限大にあるんで今のうちに色んなことを経験をさせてやって、夢を叶えてもらいたいですからね」
そう語るマッチの目はキラキラと輝いており、思わず見てしまうプキン。
その後は桜に特訓をつけてもらい、ボコボコにされたが光るものがあると高評価だった。
ベッドに倒れこみ明日のカチコミに備えて早く眠ることに。
(やはり一龍の爺さんが直々にスカウトしたメンバーの一人。凄まじい強さだった。まだ伸びしろがあるみたいなことを言われたからなぁ、頑張らないと)
様々な事を考えていると睡魔が襲ってきたので、抗わずに眠ることに。
トリコの続編書いてくんねえかなぁ