一龍との会食の日が3か月後に正式に決まったことで、その日に向けて準備をすることに。
マッチが目覚めて一週間ほどが経過し、いつも通りの日常に戻った。
「取り敢えず、子供達の新しい名前を決めてやらなければな。あとデロウス´も」
トリコ´の名前はリエラに。
由来はトリコ→トリコロール→フランス国旗→標語(自由・平等・友愛)をフランス語に訳したもの(リベルテ・エガリテ・フラテルニテ)から一文字ずつ取った。
ココ´の名前はウルズに。
毒に関する言葉やココの将来放つモウルドスピアなどの単語から、女子っぽい名前を選んだ。
結果、運命などを意味する女神と同じ名前になったが占いをするしいいかということに。
サニー´の名前はレイカに。
サニー→晴れ→晴天・快晴・晴れの単語から一文字ずつ取って女子っぽく。
「よし、3人はこれで良し。あとはデロウス´だな」
デロウス´の名前はサイガに。
サイは最強の最という意味や、リュウがボソッと呟いた「6つの目…賽みてえだな」ということ。
ガはデロウス´の最強の牙のことを合わせてサイガという名前になった。
「子供達の服や靴、勉強道具やなんやらかんやら…男の子の服ならまあ用意できると思うが、女の子の服は分からん。
…プキンさんにでも頼んでみるか」
男のセンスで女の服を選んでしまうと壊滅的になってしまう。
そこで同性のプキンに頼んでみることに。
『もしもし、どうしたのマッチ君?』
「プキンさん、ちょっと頼みたいことが。前に保護した子供達の服を買いたいんですよ。男の子の服なら選べるんですが、女の子の服を男が選ぶと壊滅的なセンスが発動するのでプキンさんに頼みたいんです」
『良いわよ?私もちょっと息抜きしたかったし。ふふっ、デートかしら?』
「エスコートさせていただきますよ、お姫様」
最後に気障なセリフを吐いて電話を切る。
マッチは冗談のつもりで言ったのだが、電話口の向こうでプキンは悶えていた。
「さて、服はこれでいいんだが…問題は食料だ。人数が増えたから作る手間がかかるがそこは問題じゃない…レベルアップも兼ねてまた狩りにでも行くかな」
膳は急げということで、狩りに出掛けるマッチ。
外にいるサイガに声を掛けていくことに。
「さて、何を狩るかね…そういえばスルメンマが少なかったな。何匹か捕まえるか。んで魚介類と肉類を適当に狩って持って帰ろう。サイガ、面倒くさいかもしれんがよろしく頼むな」
「グルァ!」
元気の良い返事を聞いた後、近くの海へ向かう。
スルメンマは捕獲レベル5の魚介類で、見た目はスルメイカだが食感はメンマのようにコリコリしている。
噛めば嚙むほどスルメイカのように旨味が広がり、お酒のつまみに最適な一品。
「お、いたいた。せえのっ!」
右腕を引き絞り、親指と小指を除いた三本の指を伸ばして突きを放つ。
すると、三又の槍のような物がギュンと伸びスルメンマにヒットした。
「便利だなこれ。刀の代わりにもなるし、色々な武器にも応用できる」
【食欲のエネルギーを便利と表現するのはお主だけじゃろうな。儂はかつて全宇宙の武術を修め、あらゆる武器を手足のように扱っておった。お主の戦い方に合っておるな】
(まあ、前世の格闘漫画を参考にした鍛え方してるからなぁ)
某弟子の漫画を参考に、瞬発力と持久力を兼ね揃えたピンク色の筋肉を全身に作っており細身から繰り出された一撃とは思えないほどの威力を出す。
「お、サイガ。そこの島に降りてくれるか?」
「グルゥ!」
サイガとマッチが降りたのはそこそこの大きさの孤島。
海岸でマッチは釣りを、サイガは森の奥に行って猛獣を食べつつ捕まえてくるようだ。
「よっと。たまにはこうしてのんびりするのも良いもんだなぁ」
【まあの。頑張りすぎじゃからな、お主は。たまには肩の力抜いてのほほんと過ごすのも良かろう。上に立つ者が休まなければ、下の者が休まぬ。常に見本となれるように行動することじゃ】
釣りをしながらのんびりしていると、ガサガサと茂みから音がした。
警戒しつつ何時でも戦闘になっても良いようにしていると、姿を現した。
「すまない、先客がいたか」
現れたのは美食會副料理長であり主人公トリコの兄貴でもあるスタージュンだった。
(おいおいおいおい!なんで最強の三つ目兄貴がここに居るんだよ!)
内心驚愕しながらも、動揺を表に出さないようにする。
「ああ、すまんな。ここはのんびりできるから丁度良いんだ。お前さんは?」
「私も同じようなものだ。仕事関係でストレスが溜まった時にはここで海を眺めることにしている。丁度私のペットも水浴びをしたかったらしいからな」
遠くからブラガドラゴンとビッグバンシャークが飛んできた。
そのままマッチ達の前に着陸し、マッチに威嚇を始めた。
「へぇ、中々に強そうな奴らだ。グルメ界でも何れ通用しそうだな」
威嚇をどこ吹く風と言わんばかりに、全く動じずにむしろ頭を撫で始めた。
マッチの器に気づいているのか、大人しく撫でられている。
「驚いたな。私以外には懐かないんだが」
「ん?ああ、俺の相棒もドラゴンだからな。もしかしたらその気配を感じ取ったのかもしれん」
後ろの茂みがガサガサと揺れ、のっそりとサイガが姿を現した。
突如現れた強者に、臨戦態勢に入るスタージュン達だったが、それを手で制した。
「おう、サイガ。腹は膨れたか?」
「グルァ♪」
美味しかった!と言わんばかりの表情で獲ってきた獲物を見せるサイガ。
「お、生姜豚にチャーシューマイマイにシューマイマイじゃねえか!良く捕まえたな!」
「グルゥ!」
よしよしと頭を撫でるマッチに、嬉しそうに頭をこすりつけるサイガ。
チャーシューマイマイは軽自動車位のカタツムリで、殻の部分が極上のチャーシューになっている。
シューマイマイはそのシューマイ版。臆病な性格で捕まえるにはコツがいるのだが、捕食者としての意地を見せている。
「おーい、大丈夫か?」
「…はっ!だ、大丈夫だ。問題ない」
「そういう奴は大抵大丈夫じゃねえんだよ」
前世のネタを無意識に放り込んできたスタージュンに突っ込みながら、会話を始める。
「へぇ、グルメヤクザなのか。しかも若頭とはな」
「そういうお前さんも美食會の副料理長とはな」
同じような役職に就いており、苦労人の素質がある二人は意気投合した。
マッチが持ってきていた酒を飲みつつ、つまみを食べつつ話していく。
サイガ達も仲良く水辺で波と戯れていた。
「忌避感を抱かないんだな。美食會と言えばグルメ時代の悪の象徴なのに…何故だ?」
「ん?所属している場所なんざ関係ねえよ。大切なのはそいつの人柄だしな」
「そうか…変わっているな。最近うちのボスの食欲が段々増えてきてな、副料理長を増やして対応しようとなったんだが…どいつもこいつも曲者揃いなんだよ」
アルコールが入ってきて饒舌になってきたスタージュンに、相槌を打つマッチ。
「うちは最近子供達が増えてな。その関係で食料品やら消耗品の消費がマッハなんだ」
「ほお、最近のグルメヤクザは子供の保護までやっているのか?」
「うちが珍しいだけなのさ。普通なら子供は搾取の対象になるんだが、子供は未来に輝く宝石の原石だからな、それをくすんだ色にするか光輝く色にするかは大人次第だからな」
マッチの考えに共感をするスタージュンだったが、表に出すことはしない。
立場上同意してはならないと分かっているからだ。
「最近は総料理長に対しての苦情が全て私に来るんだ。支部長は目玉大好きとかパンイチとか虫大好きとか反芻大好きとか宿大好きとか…奇人変人が多すぎるんだよ!全て私に振ってくるんじゃねえよ!」
「お、おう…苦労してるんだな。うちは比較的良い方なのかねぇ」
次から次へと出てくるスタージュンの愚痴に律儀に付き合うマッチ。
根が真面目なタイプはストレスを溜め込めやすいと理解しているからこそ、この場である程度出してやったほうが健康に良いと思ったが…。
(まさかここまでとはなぁ。まあ主人公陣営も曲者多かったけど、美食會はもっとだしな)
愚痴を吐き出してスッキリした表情になり、またチビチビと飲んでいるとキリキリと音が鳴る。
「ん?料理長からの呼び出しか。すまんな、行かなければならなくなった」
「構わねえよ。機会があったらまた飲もうや」
ああ、と返事をしてブラガドラゴンに乗りビッグバンシャークを引き連れて帰って行った。
「さて、俺らも帰るかな、サイガ。楽しかったか?」
「グルゥ!」
同じ強さになり得るしれない
(しかし、ここでスタージュンと出会ったのは予想外だった。作中でも非の打ち所がないくらいの完璧な超人だからなぁ。トリコの兄貴ってことはリエラの兄貴にもなるのか。ん?ってことはそれぞれのクローン娘は四天王の妹分になるのか…ストラは大丈夫か?)
様々なことを考えながら帰途に着く。
事務所前に着陸し、獲物を倉庫に運ぶ。
鍛えているので、生姜豚位(軽自動車一台分)なら普通に運べる。
運搬していると、ラム・シン・ルイの3人や子供達に会う。
「お帰りなさい、マッチさん!」「おかえり、マッチの兄ちゃん!」
「おう、ただいま」
挨拶をして、倉庫に獲物を持っていく。
これがマッチの休日だ。
次回は原作でちょくちょく出ていた場所を出そうかな?