都市伝説ハンター、リーフ行きます!   作:永夜 藤月

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ついに明日、BDSPが発売されますね!

公式の動画を見る限り図鑑はプラチナ準拠っぽいので、でんきタイプ()使いのジムリーダーとかほのおタイプ()使いの四天王とかがいなさそうなことに安堵しています。


再会はいつも突然に

「着いたー!」

「ブイブイー!」

 

 あれから3日、やっとトキワシティに着いたよ。いやあ、長かった。

 それにしても、ちゃんとマサラタウンから7日で着いてよかったよ。途中で何回も不安になっちゃったし。

 

 ひとまずポケモンセンターに向かおうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待ちどおさま! あなたのポケモンは、元気になりましたよ!」

「ブイブイ♪」

「ありがとうございます!」

「いえいえ、またのご利用、お待ちしています」

 

 診察と治療を終えて元気いっぱいのイーブイを腕に抱えながら、ジョーイさんにお礼を言う。

 

 やっぱりポケセンはすごいね! キズぐすりやきのみだけでは治り切らない細かい傷から感染症まで、一つ一つしっかり診てくれるんだよ! しかもトレーナーならみんなタダで! ポケモンリーグさまさまだね。

 あと、建物の中にはお食事処や案内所、上の階には宿まである。あっ、案内所っていうのは地図やリーグ関連の雑誌の閲覧・購入ができるところです。テレビも置いてあって、ニュースでたまに他地方の話題も流れてるんだよね。

 

 そうそう! なんとなんと、建物内にはゲームでよく聴いたあのポケセンのBGMが流れてるんだよ! ゲームの曲をこの世界で聴けるとは思っていなかったから、ポケセンに入った瞬間にはものすごく感動したんだよね。ちなみに、夜は別の曲に変わるそうだから、機会があったら夜にも行ってみようかな。

 

 さて、次はフレンドリィショップだね。マサラタウンでもらったモンスターボールはなくなっちゃったし、キズぐすりも買い足しておかないと。たしか町の東の方にあったはず……うん? 

 

「ブイブイ!」

 

「フィア? どうしたの?」

 

 私を呼び止めるような声に反応して肩に乗っているフィアを見ると、前足で後ろを指差している。何があるのだろうと思って後ろに振り返ると────

 

「ピッカ!」

 

「ぐふっ!」

 

 ピカチュウがすごい勢いで突っ込んできた。突然の衝撃に耐えられず、私は乙女にあるまじきうめき声を上げて倒れてしまった。しかし、痛みはまったくない。こんな状況でも怪我をしないとは、いったいどうなってるんだこの身体。って、そうじゃない。ピカチュウがいるということは────

 

「………………」

「あっ、レッド。1週間ぶりだね。元気?」

「………………。………………?」

「こっちも元気だよ。そうそう、グリーンには会えたの?」

「………………」

「えっ、まだなの? てっきりもう会ったのかと思ってた」

「………………」

「うーん、さすがにもう先に行ったってことはないと思うけどなあ。図鑑をうめるために22番道路にいるのかもよ?」

「………………!」

「その考えはなかったって? いやいや、完璧主義のグリーンのことだから、行けるところには全部行きそうじゃん。それに……って、話の途中で行っちゃったよ。いつのまにかピカチュウもいないし。せっかち過ぎない?」

 

 なんか、嵐のように過ぎ去っていったな。ちゃんとグリーンに会えるといいけど。それにしても、あんなに必死に追いかけるなんて。

 

「あの時負けたのがよほど悔しかったのかな?」

「ブイブイ?」

 

 私の動きに合わせて首をかしげるフィア。妙に揃った動きがツボだったのか、道ですれ違った人が吹き出していた。解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少々予定外のことがあったものの、フレンドリィショップに到着。そのまま普通に買い物を済ませ、外に出てきた。

 

 いやあしかし、突然店員さんに話しかけられたときは焦ったね。オーキド博士へのお届けものイベントをすっかり忘れてたよ。また1週間かけてあの道を戻るのは勘弁してほしかったけど、博士の家の住所を聞かれただけだった。あの距離を直接届けさせるのは流石に鬼畜すぎるからね。店員さんが良識ある人でよかったよ。

 

 ひとまずこれで、この町での最低限の用事は終わったね。本当はジムに挑戦したいけど、当然のごとく閉まってるから。ロケット団のボスがジムリーダーだなんて、普通に考えたら大スキャンダルだよね。私が誰かに言ったところで根拠も何もないから、誰にも言わないけど。

 

 もう午後だし、とりあえず22番道路に行って図鑑をうめようかな。レッドとグリーンのバトルも見られるかもしれないし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ピカ、でんきショック!」

 

「ピッカァ!」

 

「ポォ……」

 

「ちっ……戻れポッポ!」

 

 22番道路をしばらく歩いていると、道から少し外れたところでちょうどレッドとグリーンがバトルをしていた。

 

 見たところ、レッドの手持ちはピカチュウのみ。グリーンはボールを3つ持ってるから、たぶん手持ちはコラッタ・ポッポ・ガーディの3体だね。状況は、ピカチュウがポッポを倒したところか。次はコラッタかな? 

 

「ふん、1体だけでよくやるな。でもここまでだ! いけっ、ガーディ!」

 

「ガゥ!」

 

 おっと、もう2体突破してたのか。さすがレッドのピカチュウだけど、疲れが溜まってきてるね。やっぱり1体だけじゃあ厳しいか。

 

「一気に畳みかけるぞ! 近づいてかみつけ!」

 

「ピカ、でんこうせっかでかわせ!」

 

 おお、うまくかわした! でも、わざを使わなきゃ満足に動けないくらいには、動きが鈍くなってる。ここから逆転するには、何かきっかけが必要だね。

 

「逃がすか! ガーディ、ひのこだ!」

 

「ピカ、でんきショック!」

 

 2つのわざが衝突し、爆発して煙が上がる。ここまでは、前回のバトルと同じ流れだね。だけど、ピカチュウのわざの威力が前より上がってる。それに、レッドには何か秘策があるっぽいな。さて、ガーディは突っ込んでくるかな? 

 

「ガーディ、とおぼえ!」

 

グゥ……ガウウウウ! 

 

 あれ、突っ込まないのか。というか、“とおぼえ”って積み技だよね? ゲームじゃあよく使われるけど、この世界じゃあ使う余裕がないことが多いから、あまり使われないはず……まさか、ガーディが突っ込んできたときの対策で、ピカチュウが動けないことを予想して? うわあ、グリーン頭いいなあ。

 

 レッドもそれに気付いたのか、少し焦ってる。“とおぼえ”はこうげきを上げるわざだ。残り体力が少ないピカチュウにとっては相手の一撃一撃が重くなるから、かなりの痛手だね。

 

「ガーディ、もう一度だ!」

 

「グルゥ!」

 

 煙が晴れた途端、ガーディがピカチュウに再接近する。でも、今度はレッドも慌てていない。

 

「ピカ、かげぶんしん!」

 

「ピッカ!」

 

「ガゥ⁉︎」

 

 なるほど、“かげぶんしん”か。ゲームでは回避率が上がるだけだけど、この世界では本当に分身が現れる。攻撃は当たりにくくなるし、防御するときもどれが本物の攻撃なのかわかりづらい。へんかわざの中でもよく使われるわざだね。ただ、ガーディに比べてグリーンの動揺が少ないのが気になるな。

 

「ピカ、でんこうせっか!」

 

「「「「「ピッカァ!」」」」」

 

 たくさんの分身が一斉にガーディに向かっていく。さすがにこれは、ガーディも詰んで────

 

「今だガーディ、ほえろ!」

 

「ガアアアアアアア!」

 

 ────空気が、震えた。先程の自らを奮い立たせるための“とおぼえ”とは比べ物にならないほど大きな、相手を威嚇するための声。突然の大声に動揺したのか、ピカチュウの分身がどんどん消えていく。

 

「あれが本物だ! ガーディ、かみつけ!」

 

「グワゥ!」

 

「……! ピカ、避け────」

 

 慌ててレッドがピカチュウに指示を出すが、間に合わない。そのままガーディの一撃を食らい、ピカチュウは目を回して倒れた。

 

 ……すごいな。“ほえる”に、あんな使い方があるのか。本来なら相手を怯ませて交代を促すわざだけど、相手の控えのポケモンがいないとこうなるんだ。たぶん、わざを覚えたときに検証したんだろう。

 

「へへん、今回も俺様の勝ちだな!」

 

「………………」

 

「ふん、俺が強いのは当たり前だろ。俺様に勝ちたいのなら、もっとポケモンを鍛えるんだな!」

 

 

 

 

 

 グリーンはしばらくレッドと話したあと、私に気付かずにトキワシティの方へ戻っていった。残ったレッドの方に視線を向けると、レッドと目が合う。

 

「………………!」

 

「ごめん、勝手に見てたよ。グリーン、強かったね」

 

「………………。………………」

 

「情けないことなんてないよ、ピカチュウ1体であれだけ戦えたんだし。ただ今回は、グリーンが一枚上手だっただけで」

 

「………………」

 

「別に、今の勝ち負けにこだわる必要はないんじゃない?」

 

「………………?」

 

「今は負けたとしても、この先、最後の大事なところで勝てばいいんだよ。悔しいって気持ちは大切だけど、負けを引きずって落ち込んでたらもったいないから。次勝てるように考えようよ」

 

「………………、………………」

 

「リーフなのに、は余計だよ! 私、いつもいいこと言ってるよ!」

 

 まったく、いったいレッドは私のことをなんだと思ってるんだ。自分でも柄でもないことをした自覚はあるけどさ。レッドのことだから一人でもすぐに立ち直ったと思うけど、落ち込んでる時間は少ない方がいいからね。

 

「…………とう」

 

「うん? 何か言った?」

 

「………………」

 

「なんでもない? ならいいけど。私たちもトキワシティに戻ろ。ピカチュウを回復させてあげないといけないでしょ?」

 

「………………(コクリ)」

 

 バトルに見入ってたらいつのまにか時間が過ぎてたよ。今日は一旦町に戻って、明日、図鑑をうめにまたここに来よっか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし、今日こそ図鑑をうめるぞ!」

「ブイブイ!」

 

 あれから1日。ポケセンでピカチュウを回復させたあとは、そのまま泊まってゆっくり休んだ。グリーンはすでに2番道路の方に向かっていたため、レッドは朝ごはんを食べ終えるとすぐに出発したようだ。そして私は、22番道路に戻ってきた。

 

 さてさて、確かここにはニドラン♂とニドラン♀、それにオニスズメがいたはず。でもまあ、やることは1番道路のときと同じかな。どのポケモンもそれほど珍しい種類でもないし。

 

 

 

 

 

 そう思ったのがいけなかったのだろうか。ニドラン♂とオニスズメは割とすぐに見つかったのに、ニドラン♀が一向に見つからない。♂♀の割合どうなってんの? あまりにも見つからないので、フィアと手分けして探すことにした。

 もう少し奥に行けば見つかるかな? でも、奥の方に住んでるポケモンって結構レベルが高いんだよね。自分のナワバリを持ってたりすることもあるし、そういうポケモンに遭遇することを考えたらやめた方がいいかな。

 近くの草むらでしばらく探していると、フィアが走って戻ってきた。

 

「ブイ!」

「えっ、いた? どこどこ?」

「ブイブイ!」

「えーと、こっち? どれどれ……ホントだ!」

 

 やっと見つけたよ、ニドラン♀! しかも、フィアがいい具合に体力を削ってくれてる。すぐさまモンスターボールを取り出して、ニドラン♀を中に入れる。

 

「よし、登録完了! ありがとう、フィア!」

「ブイブイ♪」

 

 えっへん、と胸を張るフィアの頭をわしゃわしゃとなでる。ふさふさもふもふな毛が気持ちいい。そしてかわいい。

 

 これで22番道路もコンプリートしたかな。じゃあトキワシティに戻ろっと。と、その前に。モンスターボールからニドラン♀を出し、キズぐすりで体力を回復させてから野生に返す。

 

「ニドォ……?」

「協力してくれてありがとね、ニドラン」

 

 ニドラン♀にお礼を言って別れようとしたが、ニドラン♀は困惑した顔であたりを見回していて、その場から動き出す気配がない。そういえば、このニドラン♀って1体だけでここにいたんだよね。もしかして……

 

「君、迷子なの?」

「ニドォ!」

 

 そのとおり、と言うように声をあげるニドラン♀。うーん、このまま別れるのは寝覚めが悪いしなあ。幸い今は昼過ぎで、日が暮れるまで時間もまだまだある。少し奥の方に行くことになるけど、ニドラン♀を仲間のところまで連れて行ってあげよっかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ニドラン♀の群れを探すこと、数時間。まずい、日がそこそこ傾いてきた。迷子にならないよう目印をつけてるから同じところをぐるぐる回ってる、ってことはないし、ニドラン♀も群れとはぐれてからそれほど時間は経ってないはずなんだけど。

 

「うーん、どこにいるんだろう?」

「ニドォ……」

 

 探すのを半ば諦めかけた、その時。

 

「ドオオオオオォ!」

 

「‼︎」

 

 後ろの方から、大声が聞こえた。慌てて振り向くと、そこには1体のポケモンがいた。体色はニドラン♀と同じ水色だが、それでいてニドラン♀より数倍大きな体躯を持つ。体の表面のいたるところに毒の棘があり、二つの足で大地を踏み締めている。

 

「ニド……クイン……!」

 

「ドアアアアアァ!」

 

 22番道路にはいるはずのない種族の女王が、そこにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冷静に考えてみれば、そこにポケモンが生息しているということは、そこでそのポケモンが繁殖しているということである。それだけ数がいるのならば、中には進化────ニドラン♀ならニドリーナになる者が出てくるのも、ある意味当然と言えるだろう。

 だが、今、私の目の前にいるのは、ニドリーナではない。ニドリーナが月の力を浴びて進化する姿。「つきのいし」が採れないこの近辺にはいないはずの、ニドクインである。

 

 あれには、今の私たちでは絶対に勝てない。相手が襲って来ることを考えて身構えるが、その心配は杞憂だったようだ。

 

「ニドォ!」

「ドオォ!」

 

 私の足元にいたニドラン♀が、いつのまにかニドクインの方へ駆け出していた。ニドクインの後ろをよく見ると、たくさんのニドラン♀やニドリーナがいる。おそらく、あのニドクインはニドラン♀の群れの長なのだろう。ニドラン♀が群れに合流すると、ニドクインは群れを連れてさらに奥へと去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああびっくりした! 心臓止まるかと思ったよ」

「ブイブイ!」

 

 あの後、ニドクインが戻ってくるんじゃないかと戦々恐々しながらも、何事もなくトキワシティに戻ってこれた。精神的にものすごく疲れたので、すぐに宿をとって部屋でくつろぐ。今回の件で、改めてこの世界はゲームとは違うんだと感じたよ。一般ポケモンであれだけ迫力があるんだったら、伝説のポケモンとかは……考えたくもないな、うん。

 

 さて、明日はいよいよニビシティに向けて出発しようかな。もちろんジムに挑戦しに行くんだけど、その前に()()()の調査だね。ようやく旅の目的を一つ達成できそう。今から楽しみだな。

 




次回でようやく一つ目の都市伝説が出せそうです。みなさま、大変長らくお待たせいたしました。

この小説はもちろん都市伝説がテーマなのですが、「リーフには等身大の目線で現実となったポケモン世界を巡ってほしい」という筆者の想いを反映した結果、このような構成となっています。

私はまだまだ未熟ですが、リーフとともに成長していければなと思います。

感想等ありましたら、ご自由にお書きください。
筆者が非常に喜びます。
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