主人「やりやがったな、煉!!」
「……なぁ、おまえら」
「「どうかしたかね?」」
数時間前。
第零神座、ナラカへ挑むがために編成されたパンテオン──。だが、現在第一から第六までの神座は、退屈を持て余していた。
そう、暇なのだ。そう、計画が頓挫したゆえに。
「これは流石に想定外だったよ。とはいえ、覆しようのないことは覆しようのないことだろう。
ゆえに、折角だから此処にいる神格などでワチャワチャ過ごすことにしよう」
至極大雑把な、第一天──真我ことミトラの発言に、若干皆イライラしながら、反対意見を出すことも出来ずに、結局彼女のいうとおりにお祭り状態が始まったわけだが。
すごく、すごーく変なモノがそこにいた。
金色の体毛の獅子───の着ぐるみを着た美男、黄金ことラインハルト・ハイドリヒと、ミニスカサンタ姿の長身の男、カール・クラフトことメルクリウス…もとい、第四天、水銀である。
「…………はぁ」
いい大人二人のこの惨状を見ては、第五天の恋人にして、水銀に生み出された神格───藤井蓮こと、刹那、つまり俺は溜息をつかざるを得ない。いやホント、こいつらはシリアスなときと遊ぶときの差が開きすぎている。
「おや、獣殿。おまえの姿を見て我が愚息が笑っておるよ」
「いや、これは卿のミニスカサンタに呆れておるのだろう、カールよ」
いや、もう、この際ツッコむの嫌になってきてるんだが。
「………二人共に、だ。ハメ外しすぎだろ」
まあ、これはいいとして。
「蓮、れーん、聞こえてるー? ねえ、蓮。寒くないの? あたしが暖めてあげようか? おいこらー。無視するなー!」
………なんでコイツまでいるんだよ。
「蓮、無視しちゃ駄目だよ? カスミが可哀想」
香澄の背中からひょっこり第五天、黄昏ことマリィも出てきやがった。もはや俺に、逃げ場は残されていないらしい。
「ふふふふ、愚息と女神が仲睦まじく。ふふふふ……」
「カールよ、今、最高に気持ち悪いぞ、卿」
「あんたらは、さっさとどっか行けェ!!」
「むぅ………」
「むむむ……」
「……悪かった。悪かったからそろそろ機嫌直してくれよ。唸りながらじっと睨み付けられてると落ち着かないんだが」
メルクリウスとラインハルトが離れたあとも、およそ五分間、香澄を無視し続けた結果、香澄からもマリィからも睨み付けられてしまっている。
拮抗は三分。そろそろ視線が痛い。
「むぅ………」
「むぅ………」
どうやら、限界のようだ。
「だー! 悪かった、悪かったよ。俺が悪かった。だから機嫌を直してくれよ」
そこで、ようやく二人の視線が和らいだ。
「それじゃ、蓮、マリィちゃん。始めよっか」
「うん。もうそろそろだね」
「…………は?」
いやいやいや、待ってくれ。なんだかこう、嫌な予感しかしない。
だが、悲しいかな。二人は堂々と、よく分からない宣言をした。
「それじゃあ、正田エース」
「始まるよッ!!」
うぉうお、うぉうお、うぉうお、いぇいいぇい