孫悟飯は実力至上主義の教室へ。   作:PPキャンディ

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悟飯、入学する

エイジ774

 

「父さん、今日から僕は高校生になります。天国から見守っていてください」

 

孫悟飯は父の形見の四星球に手を合わせる。

 

「悟飯ちゃん。忘れ物はないだか?ハンカチはちゃんとあるだか。如意棒や筋斗雲もちゃんと忘れず持っていくだよ」

 

母親のチチが心配そうに右に左にオロオロと揺れ動く。

弟の悟天もそんなチチの動きに目を白黒させながら不安がる。

 

「大丈夫だよ、母さん。全部確認済みだよ。悟天、これから3年間、兄ちゃんは帰ってこれないからな。お前が母さんを守るんだ。サイヤ人の戦士として誇りを忘れんじゃないぞ」

 

別れの言葉を聞いた悟天は泣き出しそうな顔をするが、悟飯から託された使命を聞き、力強く頷き返す。

 

「うん・・・僕、頑張る。だって僕は最強のサイヤ人の悟飯兄ちゃんの弟なんだもん」

 

それを聞いた悟飯は悟天の頭を撫で、外へと踏み出した。

 

人里離れた自然豊かな故郷。

この雄大な光景も3年は見ることができないと思うと寂しく感じる。

だが、これは悟飯の夢、学者へとなるための第一歩だ。

決して躊躇うことなどできない。

 

「悟飯、行くのか」

 

不意に上から声をかけられる。

見上げると上空にある神の神殿からピッコロが見下ろして来ていた。

 

「ええ、今日が入学式です。本当ならピッコロさんにも出席してもらいたかったんですが、僕が行く高校は生徒以外は敷地に入れないんです」

 

「たしか、3年間、学校の敷地から出ることができず外部との連絡も禁止なんだったな」

 

「その代わり世界最高峰の教育を受けれて、卒業後はどんな進路でも100%叶うそうです。僕はそれで学者の夢を叶えてきます」

 

「ふん、そんなものドラゴンボールにでも願えばいいものを」

 

「それじゃ意味ないですよ。全然成長できないですから」

 

「そう、成長だ。そんな3年間も学校にいて修行が疎かになるようだと俺が許さん。お前はセルゲーム後、一時期燃え尽き症候群で修行をサボった前例があるからな。ここ数年でなんとか全盛期まで戻したがこれ以上下がることは許さん」

 

悟飯は昔、セルという人造人間が現れた際に、世界最強の超サイヤ人2になり地球の危機を救ったが、その戦いの中で己の慢心によって父親の悟空が死んでしまい、その後無気力状態になり戦闘を忌避した時期があった。

 

だがそんなとき銀河を荒らし回っているボージャックと呼ばれる悪党が現れて、地球はまた危機に陥った。

 

そしてその戦いをなんとか乗り切ったあと、悟飯は悟空が残した平和を守るために再度修行を再開したのだ。

だが、学者になるための勉強と並行して行ったため、なんとか全盛期の頃の力を取り戻すのが精一杯ではあったが。

 

「そんな悟飯に俺が課題を出す。とりあえずこの3年で戦闘力を100兆まで上げることだ」

 

「ひゃ!ひゃくちょう!そんな今だって僕の戦闘力はなんとか2000億ぐらいなんですよ」

 

倍近く力を上げろと言われ、悟飯は目を丸くする。

 

「ベジータのやつは3000億ぐらいまで上げているぞ。あと3年あれば奴はそれぐらい伸びるだろうな。それなのにお前には無理なのか?そんなことで悟空の息子だと言えるのか」

 

そうだ、僕は最強の父さんの息子。この世界を守るならそれぐらいなんとでもしなければならないんだ。

 

「それにお前の行く学校は世界中から優秀な生徒を集め最高の人材を作り出す学校だ。その中には戦闘の天才だっているはずだ。その中で切磋琢磨すれば到底不可能ではないはずだ」

 

それに、とピッコロは徐にズボンの中から袋を取り出し悟飯へと放り投げる。

慌ててそれを受け取った悟飯が中を見るとなんと仙豆がぎっしり詰まっていた。

 

「選別だ。持っていけ。もしお前が強敵と戦って死にかけても俺らは学校の敷地に入ることはできんからな。助けに行くことはできん。実際に死んだらドラゴンボールで生き返らせてはやるが、それでも念の為だ。持っていけ。最高峰の学校だ、どんな脅威が待ち構えているか分からんからな」

 

「ピッコロさん…わかりました。頂いていきます。僕は負けません。絶対生きて戻ってきます」

 

ブーブー

 

クラクションの音に気づき悟飯は見ると、家の前にバスが到着していた。

このバスは入学予定の高校が用意した送迎バスだ。

ここから高校があるニホン自治区トウキョウシティまではジェット機で4時間かかるため、悟飯は本当は舞空術で飛んでいく予定だったが、学校がわざわざバスを用意してくれたのだからありがたく使わせてもらうことにしたのだ。

 

「ではピッコロさん、行ってきます」

 

「悟飯、さらだば」

 

ピッコロはクールに指を立ててグッバイした。

 

 

 

 

悟飯がバスに乗り込むと中はだいぶ混雑していた。

座席は・・・あ、あそこ。

 

奥の席に座っていた生徒が棚の荷物を取るために立ち上がったので悟飯は高速で動きその席に座らせて貰うことにした。

これでも悟飯は戦闘力が他の地球人とは隔絶しているため、バスの中ぐらい狭ければ一瞬で端から端まで移動できるのだ。ほんの刹那の間の空席だって確保は容易だった。

実際、立ち上がって棚に手を伸ばそうとした生徒はいつの間にか自分が立ち上がったばかりの席に悟飯が座っているのを見て唖然としていた。

 

(この子の戦闘力は3ぐらいかな・・・)

 

悟飯は自分の動きに全く気づかなかった生徒の気の大きさを見て、大したことがないからもし文句を言われても対処可能だと判断し、そのままくつろぐことにした。

 

そんな間にバスは動き出す。

 

悟飯はとりあえず学校につくまでの暇つぶしにカバンから本を取り出し読み始める。

すると隣の座席に座っていた銀髪のおっとりとした女の子が悟飯の読みだした本を見て声をかけてくる。

 

「あの・・・その本ですが」

 

「うん?ああ、これ?」

 

「はい。その本、『天下一武道会殺人事件』ですよね。確か第22回天下一武道会の決勝戦直後に実際に起きた殺人事件を題材にしたミステリー。そういうの好きなんですか?」

 

「え、いや、先日知人から貰ったんで読んでみようかなって。まぁ読書自体は好きですよ」

 

この本は父親、悟空の親友であるクリリンが自身の死を題材にしたミステリーが出たからってみんなに配った本である。

 

「君はミステリーとか好きなの?」

 

悟飯が反対に問い返すと、その少女はちょっと困ったように笑う。

 

「えぇ、ミステリーは好きです。それに読書も好きなのですが、それだけじゃなくて天下一武道会が題材っていうのにも興味を惹かれてまして」

 

そしてその少女は恥ずかしそうに頬をかきながら自分の荷物から道着を取り出す。

 

「私、格闘技やってまして。これでも前回の天下一武道会のジュニアの部で優勝したんですよ」

 

その言葉に悟飯はびっくりする。

天下一武道会は過去に父が何度も出て、優勝もした事がある由緒ある大会だ。

父が優勝してからはずっと開催されていなかったが、ついこの前、再び開催されたと聞いていた。

 

そして悟飯は彼女の気を確かめる。

 

(うん、なかなかの強さだな。どうやら気の制御とかはできてないみたいだけど、現段階でもヤムチャさんよりちょっと弱いぐらいは力がある)

 

気が垂れ流しの状態なので気を使う修行とかはしていないだろうと悟飯は判断した。

 

「あ、名乗るのを忘れてました。これじゃ失礼ですよね。私、椎名=ビーデル=ひよりと言います。椎名が家名です。ビーデルでもひよりでも呼びやすい方で読んでくれていいですよ」

 

(椎名?確か聞き覚えがあるような)

 

悟飯が訝しげな顔をしたのをひよりは気づき、苦笑する。

 

「父は、椎名マークです。でも一般的にはミスターサタンというリングネームの方が有名ですね」

 

(そうだ、最強の地球人、セルとの戦いで手を貸してくれたミスターサタンの本名が椎名だった。ということは、彼女はミスターサタンの娘ということか。通りで強いわけだ)

 

「そうなんだ、君が…。でもどうして君のような子が?3年間出れないなら次の天下一武道会にも出れないんじゃ」

 

「恥ずかしながら、私、父と喧嘩をしてしまいまして。父は前回の天下一武道会に優勝してから修行もせずに遊び歩いてばかりで、私、堪忍袋の緒が切れてしまい、家を出る決意をしたんです。それでこの学校を選んだんです」

 

「そうなんですか。通りで最近のミスターサタンさんの気が前より小さくなっていたわけだ」

 

「気?」

 

聞き慣れない言葉に椎名は首をコテリと横に倒して聞き返すが、悟飯は慌てて弁明する。

 

「いやほらあれだよ、テレビで見てて、なんか弱々しくなったかなーって筋肉とかがきっと衰えててそう感じただけだよ」

 

「そうなんですね」

 

椎名は合点がいったとニッコリと微笑む。

 

「ああ、僕の方こそ名前伝えてないね、僕は孫悟飯。田舎出身で今まで通信教育しか受けてないから、まだ友達がいないんだよね。どうかな、僕と友だちになってくれないかな」

 

「まぁいいんですか?それなら是非ともお友達になってください。私も一人で飛び出してきて本当は心寂しかったんです。でも二人なら3年間乗り越えていけると思います」

 

満面の笑みを浮かべて喜ぶ椎名をみて、悟飯は顔を赤くする。

 

(椎名さん、なんて可愛いんだ。そういえば僕の周りってブルマさんや18号さんにランチさんと、ガサツだったり気の強い人ばかりで、椎名さんみたいな守ってあげたくなるような儚げで可憐な人はいなかったな。こんな出会いがあるなんて神様ありがとう)

 

悟飯は思わず神に祈りを捧げたが、その神であるデンデはその祈りを聞き「そんなこと知りませんよ」とばかりに困った顔で嘆息した。

 

そしてその後、読書談義をしているうちにバスは学校ヘと到着した。

 

バスから降りると大きな門があり、ここを潜るともう3年は外に出ることは不可能である。

悟飯はそれを改めて思い返しゴクリと息を呑む。

 

だが、そんな悟飯の手を椎名が握ると

 

「さぁ悟飯くん、行きましょうか」

 

そう言い、悟飯を引っ張りながら学校へと入る。

 

「ほらあそこ、クラス割の掲示板がありますよ。一緒のクラスだといいんですがどうでしょうね」

 

友だちになれたことが嬉しそうな椎名に手を引かれ、悟飯はえっちらおっちらと敷地を進み、掲示板の前まで連れて行かれる。

 

(椎名さん、すごくはしゃいでるけど、ずっと手を繋ぎっぱなしだから周りの人たちにすごく注目されてるよ。いや、嬉しいんだけどね、僕も。でもやっぱりちょっと恥ずかしいや)

 

「えっと…私はCクラスですね」

 

「僕は…Dか。違うクラスだね」

 

「離れちゃいましたね…」

 

その言葉に椎名は悲しそうな顔をする。

 

「でもほら、休み時間や学校が終わった後とかに一緒にいることはできるし」

 

悟飯は慌ててフォローを入れる。

 

「そうですね…お昼も一緒に食べましょう」

 

その言葉に悟飯は一も二もなく同意する。

 

「それじゃ、とりあえずは学校一日目、お互い頑張りましょう」

 

そして孫悟飯と椎名ビーデルひよりは、高度育成高等学校の校舎へと足を踏み入れるのだった。

 

 

■生徒データベース■

孫悟飯

1年D組

学籍番号:S01T004688

学力:A

知性:A

判断力:B

身体能力:A+

協調性:A

 

面接官からのコメント:

入試試験と面接ではどちらも満点と非常に優秀で人格にも問題はないので本来ならAクラス候補であったが、彼の家庭は母子家庭で、今まで学校も無い田舎育ちで通信教育しか受けていないという人間として最低レベルのため、Dクラスが妥当と判断する。そのような環境から入試の結果もカンニングの可能性が著しく高まり何度も精査されたが、証拠は見つからず、入学という決定は覆すことができなかったのが残念ではある。だが、学校の本分は人間育成であることから、彼を少しでもまともな人間として育て上げることを担任には期待したい。

 




戦闘力を修正しました。
悟飯の戦闘力ですが60兆だと思っていたのですが、知人からの指摘でそれはアルティメット悟飯の戦闘力だったそうです。
調べたところ、セルゲーム時の超サイヤ人2だと1800億ぐらいだそうですね。
なのでそれに準拠させました。
また、ベジータの戦闘力も調整。原作だとブウ編開始時には2000億ぐらいだったそうですが、この世界線だと悟飯が怠けなかったので対抗するように更に修行を激しくして強くなっています。
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