孫悟飯は実力至上主義の教室へ。   作:PPキャンディ

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オッパイは見ていた?

今朝は朝早くからオレと櫛田、池、山内、須藤の5人で集まっていた。

これから各クラスを回って目撃者を探す為だ。

 

「私と池くんの2人でクラスの人達に聞いてまわるから、その間に須藤くんは目撃者と同じ匂いの人を探してね。綾小路くんと山内くんは前後の入り口にいて誰か教室から抜け出す人がいないかチェックしてて」

 

「須藤、入り口からでも匂いは分かるか」

 

「その程度なら問題ないぜ。教室ぐらいの広さなら誰がどの匂いなのかははっきり分かる」

 

その言葉に櫛田は制汗スプレーを身体に吹きかけながら須藤から距離を取る。

 

ちなみに堀北は「人数が多いと無駄に警戒されるだけよ。後で結果だけ教えて頂戴」と断ってきた。だが同じように制汗スプレーを頻繁に振りかけながら変質者でも見るような目で須藤を見ていたので、単純に須藤に近寄るのが嫌なだけかもしれない。

 

「もしみんなが構わないなら、最初にBクラスに話を聞くのはどうだ」

 

「どうしてBクラスなの?」

 

「一番目撃者がいてほしいと思うクラスだから、って理由くらいしかないけどな」

 

「ごめん、綾小路くんの言ってることがよくわかんない」

 

BクラスにとってCクラスは自分たちのすぐ下の存在。自分たちの立場を脅かす可能性が高いクラスだ。彼らからすればドン底のオレたちがCクラスの足を引っ張ってくれるなら歓迎だろう。そしてAクラスはそもそも独走しているため底辺のやり取りなど気にもとめていないだろうし、下手に巻き込まれて被害が自分たちに及ぶ危険など犯すとは思えない。

 

そのように説明すれば櫛田たちも理解してくれた。いや、須藤と山内は相変わらず頭を捻っていたな。ちょっとは地頭鍛えようぜ。

 

「まぁなんだっていいぜ。それに俺はBクラスの女子に告白されたことがあるからな。俺がいれば話はスムーズに行くってもんだぜ」

 

山内がまた何か言っているがお前は教室の外で見張りだぞ。

 

「へー、それはよかったね。じゃあいこうか」

 

櫛田は山内の発言を華麗にスルーしてBクラスに向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

結果、BクラスはもちろんAクラスも回ったが収穫はなかった。

Cクラスにいたってはそもそも教室に入ることすら拒否されてしまった。教室のドアの前に見張りの生徒が立っていて入室を断られたのだ。扉のガラスにもカーテンで目隠しをして中を見えなくしている徹底ぶりだ。

だが見張りが中の生徒(恐らくリーダー格だろう)にオレたちのことを伝えるために少しドアを開けたので、その際に中がチラリとだけ見えた。

そこでは何人もの生徒たちが目をつぶり座禅を組んでいた。

Cクラスは宗教でも始めるつもりなのだろうか。

 

「結局収穫なしかぁ。骨折り損だぜ」

 

「Bクラスの奴。俺の櫛田ちゃんに馴れ馴れしくしやがって。ぶっ飛ばしてやりたいぜ」

 

(ただ教室の外で立っていた山内は何を疲れる事があったんだ。それに池、櫛田はお前のものじゃないぞ。オレのものだ。勘違いするなよ)

 

オレは櫛田のオッパイの感触を思い出しながら心の中で池をぶん殴る。

 

「朝早かったから登校してない子もいたししょうがないよ。またお昼にでも回ってみよう」

 

1年の中に目撃者がいればいいのだが、もし居なければ2年3年と回ることになるのか。なんだか面倒な話になってきた。

 

そんなことを思いながらDクラスの教室に入る。

 

すると、須藤が訝しげな顔をして教室内を見渡した。

 

「………居た」

 

須藤はある一点を見つめ、そう呟く。

 

「えっ………本当?須藤くん」

 

櫛田が声を潜める。

 

「ああ、間違いねえ。あの眼鏡掛けた地味な女だ」

 

須藤も櫛田にならって小さい声で答えた。

 

「んー?誰だ、アイツ?」「あんなやつ居たっけ?」

 

だが馬鹿の池と山内はそんな配慮も気にせず大きな声を上げるのでオレは池と山内の襟を掴んで廊下まで引っ張り出す。

 

「佐倉さんだね」

 

同じく廊下に出てきた櫛田が彼女の名前を告げる。

 

「佐倉…ああ、小テストと中間で満点だったやつか」

 

名前だけは知っていた。そういえば自己紹介してたっけ?あの時は自分のことでいっぱいになってたから気づかなかったのかもな。

 

「あの時と同じシャンプーと石鹸の匂いだ。それにやっぱりあいつだけ体臭がしねぇ。どうなってんだ」

 

「どうやら無事見つかったようね。流石私の駒は優秀だわ。つまりそれを指揮する私も優秀ということね」

 

「出たな、妖怪ワタシノホウガユウシュウヨ」

 

ぶほっと須藤と池、山内の3人が吹き出す。櫛田は後ろを向いて肩を震わしながら耐えて…いや、結局我慢できずに笑い出した。

 

「あなた…よっぽどこの世に未練がないというのね」

 

頭に血管を浮き立たせて怒りに震える堀北。そんなに血圧上げると健康に悪いぞ。

だがここは監視カメラのすぐ前だ。オレがソレを指差してやったので堀北は手が出せずに我慢している。たまにはこういう意趣返しも気持ちがいいものだな。

 

 

 

 

 

 

放課後、櫛田はホームルームが終わると同時に席を立った。そして静かに帰る準備をしている佐倉の元へと向かう。

 

「佐倉さんっ」

 

「…なっなに…?」

 

櫛田に話しかけられただけなのに佐倉は怯えるように彼女から少し距離を離す。声を掛けられることなんて考えていなかったのか慌てた様子で櫛田と、何故か窓の外をチラチラ見る。

 

オレは不審に思って佐倉が見ている方に振り返ると、遥か先のビルの屋上がキラリと光ったような気がした。

 

「ちょっと佐倉さんに聞きたいことがあるんだけどいいかな?須藤くんの件で」

 

「ご、ごめんなさい。ワタシ……この後予定があるから……」

 

佐倉は切羽詰まったような様子で後ずさりしながら櫛田から視線を逸らした。対人恐怖症なのだろうか。

オレは佐倉のおどおどとした顔を観察する。

野暮ったいメガネを掛け、髪も後ろで無造作に縛っているだけ。確かに一見地味に感じるだろう。だがよく見れば目鼻立ちは整っている。もっと笑ってオシャレをすれば人気が出そうなのにもったいないと感じた。

あと、あの胸は良いな。櫛田よりもデカイ?つまりあの感触より凄いのか。やばい、オレ、わくわくしてきたぞ。

手をワキワキさせながらオレは二人の胸、いや会話に集中する。

隣の堀北から冷たい視線を感じるがきっと気のせいだ。

 

「そんなに時間取らせないよ?大切なことだから話をさせてほしいの。須藤くんが事件に巻き込まれた時、もしかしたら佐倉さん近くにいたんじゃないかって」

 

「し、知らないですっ」

 

弱々しい言葉であったが、佐倉はきっぱりと否定した。

その言葉に櫛田も強く出れずに困った顔をする。

 

「佐倉!お前、あの時居たんだろう!頼む!証言してくれねぇか!」

 

そこに痺れを切らした須藤が勢い込んで話しかける。

だが、須藤、それは悪手だ。

須藤は説得しようとしたのだろう。佐倉の肩を掴もうと両手を伸ばす。

 

「ひっ!もうワタシに触らないで!」

 

それを見て目を大きく見開いた佐倉は叫び声をあげ、手で胸を庇うようにしながら須藤から距離を取る。

彼女の目は恐怖に彩られていた。

 

「あ、違うの…ごめんなさい…」

 

だが、須藤が彼女に危害を加えようとしたのではないとすぐに気づいたのだろう。彼女は震えながらも須藤に謝る。

 

「でも、もうワタシに近寄らないで………さ、さよならっ」

 

だが佐倉にはこれ以上は耐えられなかったのか、彼女は荷物を掴んで吹っ飛ぶような勢いで走り出す。

だがその時、端末で友達と喋りながら前を見ず歩いていたクラスメイトの本堂が廊下に向かって猛烈な勢いで加速する佐倉の前に飛び出した。(オレは疲れているのか。なんか佐倉が飛んでいたように見えたぞ)

 

「あっ!」

 

すれ違いざまに佐倉の肩にぶつかり跳ね飛ばされた本堂が錐揉み回転しながら壁に激しく叩きつけられた。

すぐに気づいた佐倉はその光景に真っ青になり、慌てて本堂の元に駆け寄るが…。

 

「ウソ…動かない」

 

ピクリとも動かない本堂の様子に、佐倉は口元に手を当てショックを受けていた。ここからではよく見えないがどうやら衝撃で本堂が意識を失ったらしい。

 

「ワタシ…また…人間を殺し…て…い…いやぁァァァァ!」

 

佐倉は悲鳴をあげて凄まじい勢いで教室を飛び出していった。

 

後はそんな佐倉を呆然と見送るクラスメイト達。

 

そんな中で今まで傍観していた孫悟飯が倒れた本堂に慌てて駆け寄って、何かを彼の口に押し込んだ。

すると本堂が目を覚まし上半身を起こす。

 

「あれ…?なんだ?ん?みんな何かあったのか?」

 

静まり返った教室を見渡しキョトンとした顔をする本堂。

どうやら本堂は軽い脳震盪か何かだったようだ。本当に人騒がせなやつだな。

 

「ふぅ間に合ってよかった」

 

孫悟飯が彼の横で安堵しているが、きっと気付け薬でも飲ませて彼の意識を取り戻させたのだろう。

確かにずっと意識を失ったままで先生とかに見られると問題になってクラスポイントに影響があるかも知れない。ただでさえ須藤の事件でピリピリしているなかでそれは不味いからな。

 

「それより、佐倉さん大丈夫かな」

 

櫛田は佐倉が飛び出していったまま開けっ放しの扉を見ながら心配げに言う。

 

(また人を殺したとか言っていたな。あれはどういう意味だ。あの臆病でひ弱そうな佐倉が誰かを殺せるようには見えないが)

 

だが同じように今は天使のような櫛田も裏では悪魔の顔を持っている。

人間とは他人には見せない隠された二面性を持っている事が多いのかもしれない。

だがもしも佐倉が人を殺すような人間だとして、だとしたらあんなに動揺するだろうか。

 

オレは佐倉の事が不思議と気になるのだった。決して胸がデカイからでは無いぞ。本当だぞ。

 




今日も何とか間に合った?でもちょっと短いです。
結構ギリギリなのでもしかしたら次回以降毎日更新は無理かも?がんばる。
推敲が甘いので誤字脱字あるかもです。

この2巻部分では展開的に綾小路くんが主役になります。
1巻部分での影の薄さを帳消しにするぐらい活躍できることを期待していますよ。
後何故か、わたしの中で綾小路くんのイメージがおっぱい星人で固定されてます。なんでなんだろう?

感想・評価をしていただけるとモチベ維持に繋がるのでありがたいです。
疑問質問罵倒なんでもお待ちしています。
今後もよろしくおねがいします。
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