孫悟飯は実力至上主義の教室へ。 作:PPキャンディ
エイジ774
「父さん、今日から僕は高校生になります。天国から見守って下さい」
孫悟飯は父の形見の四星球に手を合わせる。
「悟飯ちゃん。忘れ物はないだか?ハンカチはちゃんとあるだか。如意棒や筋斗雲もちゃんと忘れずに持っていくだよ」
母親のチチが心配そうに右に左にオロオロと揺れ動く。
弟の悟天もそんなチチの動きに目を白黒させながら不安がる。
「大丈夫だよ、母さん。全部確認済みだよ。悟天、これから兄ちゃんはサタンシティの学校に行ってくるからな。夕方には帰ってくるから大人しく待ってるんだぞ」
それを聞いた悟天は寂しそうな顔をするが、夜はその分遊んであげるという悟飯の言葉に涙を堪えながらも頷く。
「うん…兄ちゃん、早く帰ってきてね」
それを聞いた悟飯は悟天の頭を撫で、外へを踏み出した。
人里離れた自然豊かな故郷。
この雄大な光景は悟飯も気に入っているが、学者になるための高等教育を受けられる学校が無いのが残念な所。悟飯は夢である学者になるために、これからジェットフライヤーで4時間かかる距離にあるサタンシティの学校に通うことになるのだ。といっても超サイヤ人にもなれる悟飯にとってはそんなに大した距離ではない。消耗しない速度で飛んでも1時間ぐらいで着くだろう。
「悟飯、行くのか」
不意に上から声をかけられる。
見上げると上空にある神の神殿からピッコロが見下ろしてきていた。
「ええ、今日が入学日です。本当ならピッコロさんにも出席してもらいたかっったんですが、僕が行く高校は生徒のみの入学式しかやっていないので」
「たしか、3年間、毎日学校に通い続けるのだったか?」
「はい、その後は更に大学に入ってからどこかの研究所に就職して学者になるんです!今日は学者になる夢を叶える第一歩ですよ」
「ふん、そんなものドラゴンボールにでも願えばいいものを」
「それじゃ意味ないですよ。全然成長できないですから」
「そう、成長だ。おまえ、セルゲームが終わってからずっと勉強勉強とまともに修行していないじゃないか。あの頃のおまえに比べて今のお前ときたら、そんなに戦闘力を落としてしまって。悟空が見たら何ていうか…」
学者になることを叶えるという希望に満ちた顔の悟飯を見て、ピッコロは頭を押さえながら苦言を呈する。
「ピッコロさんったら、またその話ですか…。もうセルは居ないし、あんなに強いやつなんてもういませんよ。平和になったら超サイヤ人の力なんて必要ないですよ。それより学者になってみんなに役に立つ研究をするほうが大事です」
セルゲーム終了してから7年、まったく修行をしていない悟飯の戦闘力は全盛期の6割ぐらいまで落ちてしまっていた。だが、それでも超サイヤ人2にはなれるので、もしフリーザが復活しても瞬殺できるし、仮にどこかで生きているであろう人造人間17号が暴れだしても全く脅威ではなかった。
そのため、悟飯はセルゲームまでの遅れを取り戻すかのように勉強に明け暮れていたわけである。
もしセルゲームが終わってから、地球にセル並の脅威が地球に来たとしていたら悟飯の考えも少しは変わっていたのかもしれない。だが、地球は今まで全くの平和だったのだ。ちなみに銀河の主要部ではターレス率いるクラッシャー軍団、スラッグ率いる惑星クルーザーにのった一味、フリーザとコルド大王が死んだ後に軍勢をまとめ上げたクウラ、何故か地球ではない場所に現れた人造人間13号、14号、15号の3体、ボージャック一味、これまた何故か地球ではない星に現れたヒルデガーン、そして制御不能の伝説の超サイヤ人と化したブロリー、そんな凶悪な連中が暴れまわり、銀河パトロール隊は既に全滅し、阿鼻叫喚の地獄絵図になっている。7年前から比べると銀河の人口は99%が死滅する結果になり、居住可能な惑星はもはや数十しか残っていない。
そして、本来はこのような自体になった場合に対する安全装置であるはずの破壊神ビルスは、若く幼い正義感を発揮した界王神が周囲の反対を押し切って出撃して、ブロリーにワンパンで殺された為に、事態を察知したウイスが起こす間もなく眠りについたまま永眠することになった。
だが、地球の周り、具体的には地球の悟飯やベジータ達が気を感知できる範囲には何故か彼らが近寄らなかったため、悟飯たちは今日も銀河は平和だなとのほほんとしているのだった。ちなみに閻魔大王は過労で倒れた。
「全く、ベジータのやつもライバルの悟空が死んでからというものの、燃え尽きたようになってしまったしな。この前、ゲートボール大会に一緒に出場しようと誘われたときは耳を疑ったぞ。見た目は若いのにすっかり老け込んで…日がな一日、盆栽をイジってたり縁側でぼーっとしている時もあるとブルマにも相談されたしな」
ベジータもライバル無きあと、強くなる意義を見失ったようで、修業をすることをやめてしまっていた。今の彼の趣味はゲートボールと盆栽だ。それで近所のおじいちゃん達と混じって日がな一日茶を飲んで隠居生活を送っている。粗野だった態度も今では見られず、話し言葉もおじいちゃんたちに影響されて老人言葉になっている。今の彼なら死んでも天国に行けるかもしれない。
本当に今日も地球“は”平和である。
「遅刻しちゃうので話は帰ったらで、いいですか。では行ってきますね」
おいまて、実はお前に伝えなければ!という焦った声を上げるピッコロを無視して悟飯は空の彼方に飛び立った。
『ざーんねん。それじゃつまらないのー。もっとたのしくな―れ』
その時、空が割れ、悟飯へと強大な力が襲いかかる。悟飯はそれに全く反応することも出来ず、吸い上げられるように空の割れ目に吸い込まれていった。
この事態を界王様から警告されていたピッコロが悟飯を諭して回避する前に、悟飯は連れ去られてしまった。これを神殿から見ていたピッコロは、チチにどう説明するかと頭を抱えて悩むのだった。
▽
時空間のはざまに閉じ込められた悟飯は、一体何が起きたのか理解できずに混乱の極みにいた。そんな悟飯に強烈な意思が流れ込んできた。
『つまらないのー。ぜんぜんつまらないの。もっと戦ってほしいの。とうそーしん?ってやつをおもいだしてほしいの。だから違う世界に行ってもらうの。それでとうそーしんをだしたら元の世界に帰してあげるの。それまでは何度でも違う世界に送っちゃうの。その世界は漫画や小説の世界だから、どれだけ暴れまわっても大丈夫だから安心してとうそーしんを発揮してね』
悟飯はその言葉を理解する間もなく、別世界へと放り込まれたのだった。
それから悟飯は様々な異世界を旅することになった。
最初に出現した世界はとある貧乏な優等生男子が五つ子の少女達と恋をする物語だった。悟飯は優等生男子の家に居候して、彼の恋を応援し、数年後、無事に結婚式を迎えた後にその世界を終了することが出来た。だが、悟飯を呼び出した何者かを満足させる闘争心を発揮させることができず、またもや次の世界へと送り込まれることになった。その際、悟飯の年齢や精神性は転移前の状態に戻されることになった。異世界で過ごした記憶だけは残されて。
その後も、レンタル彼女に恋をした大学生の物語、自由奔放な天才ピアニストな女子大生と神経質な天才指揮者の男子大学生の物語、捻くれた男子高校生とツンデレ貧乳美少女と天然巨乳美少女の三角関係な物語、レトロなアパートに住む青年と管理人の未亡人の物語など、様々な世界で悟飯は活躍していった。
だが、悟飯は自分から恋を奪おうとせず、どの世界でも恋に悩む人たちへのサポートに徹していたため、闘争心などは欠片も発揮されなかった。
そして悟飯を送り出した謎の力は、悟飯を新たなジャンルの世界へと旅立たせた。そこはムーミン谷と呼ばれる世界や、おかっぱ髪の頭のあまり良くない少女の世界など、とりとめのない日常が延々と繰り返される世界だった。特にお魚を咥えた野良猫を裸足で追いかける主婦の世界は、人々の成長が停滞し何年も季節が繰り返すという異常な世界で、抜け出すまでに悟飯の主観で1500年ほどかかり、抜け出す直前には悟飯は発狂寸前になっていた。これらはひとえに悟飯に退屈さ、空虚感を覚えさせて、自分から世界を変えるように促していたのだ。だが、それでも悟飯はあと一歩のところでなんとか踏みとどまったため、今度は直接的に闘争の世界へと送り出されることになる。
「悟飯。つまらないの。こんな事が続くなら、悟飯の世界をまるごと消しちゃうよ。だから今度の世界はお題を出すの。お題をクリアできないと悟飯の世界を消しちゃうからがんばってね」
発狂寸前だった悟飯の精神は世界がリセットされることにより回復したが、今までの膨大な記憶が悟飯の精神を今もゴリゴリと削っていく。
「では楽しんでね」
悟飯は新しい世界へ送り出されるたびに聞かされるその声にイライラしながらも、聞かされたお題について何をさせられるのかと戦々恐々としていた。もし失敗して母や弟、ピッコロさんたちが死ぬことになったら、そう考えると絶対にクリアしなければいけない重圧に既に摩耗しきった心が泡立っていくのを感じた。
▽
気づいたら、悟飯はゲートのような門の前に立っていた。悟飯の右手にはカバンが。背にはリュックを背負い、左手には何やら書類サイズの封筒を持っていた。服装は見たこともない赤いブレザー。周りを見ると同じような格好をした同年代と思しき男女達の姿があり、ゲートの中へと入っていっている。悟飯は、どうやら自分の格好は制服で、ゲートの中には学校か何かがあるのだろうと推測した。
「それでこの封筒は…中に色々書類が入ってるな。えっと、高度育成高等学校入学案内?やっぱりここは学校なのか?あとなんだ、コレ?全王様からの楽しいお題?この学校をAクラスで卒業すること?どういう意味だ?Aクラスでって指定されてるってことは成績順でクラスが決まるのかな?まさか、ランダムでクラスが決まるならそんな無茶なお題なんてないだろうし…」
ここで考えても仕方ないかと、悟飯はひとまずゲートの中に入ることにした。
ゲートの中はとても広く、どうやら学校以外にも色々と施設があるようだった。悟飯は入学案内を読みながら、その中に記載された地図を頼りに校舎へと向かっていく。まずは最初に行くように書かれている場所に向かうと、そこにはクラス割当の紙が張り出されている掲示板があった。
「僕のクラスはっと・・・Dクラスか。他にはC、B、Aクラスがある。それにこのパンフレットにかかれている内容。国直営の最高の教育機関。卒業後には一流の人間になれる。生徒の実力を最重視した教育。やっぱり、クラス分けは実力順と考えたほうがいいのかな。Dクラス割当は試験なんて受けてないから当然だろうしな」
そう考えながらDクラスの教室へと入る。そこはまるで動物園のように雑然とした様子だった。来る途中に覗いてきた、AクラスからCクラスまで、後ろに行くほど生徒の態度が悪くなっていったので、先程の考えは概ね正しいだろうと納得した。そしてこの状況も想定内だった。いや、態度の悪い赤毛の不良生徒や、下品なセクハラ発言を繰り返す男子生徒の姿を見て、想像以下だなっとこれからの生活を思うと頭が痛くなる悟飯だった。
世界観がクロスオーバーしすぎてつまらないと言われたので、悟飯だけがよう実世界に転移して、指先一つで全員問答無用でぶっ殺していく爽快無双ストーリーをはじめました。
どうぞお楽しみ下さい。
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