孫悟飯は実力至上主義の教室へ。   作:PPキャンディ

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皆さんお久しぶりです。本業が忙しくて更新が途絶えてしまって申し訳ないです。
とりあえずエタらないように頑張ります。


兄さんがみてる

わたしは・・・池くんかな。

 

それマジ?

 

えー流石に池はないわー

 

もっといい男いるでしょ、平田くんとか。幸村くんとか。

 

マジそれなー。

 

いやウケるわー!

 

「んっ…」

 

隣から響くかしましい笑い声で、意識が少しずつ覚醒してくる。

 

 

「えっと、池くんって…ちょっと雰囲気がお兄ちゃんに似てて…ひょうきんだし、スケベなところとかも、なんか男らしくて」

 

「それってどう考えても駄目なところでしょ、どんなお兄ちゃんなのよ。」

 

 

…うるさいわね。

直ぐ側で寝てる人がいるっていうのに、まったく少しは静かにできないのかしら。

 

薄目を開けて笑い声の方を見やると、直ぐ側でクラスメイトの女子たちが焚き火を囲んで盛り上がっているのが見えた。

 

あたりは暗く、空には星が瞬いている。

一体何時間寝たのだろうか。なんだか半年ぐらい寝ていたような気もするが、常識的に考えたら数時間と行ったところかしら。

 

ぼんやりとした頭で、女子たちの話をなんとなく聞けば、どうやらクラスの男子で誰が素敵なのかという話をしているらしい。気の弱そうな小柄な少女、生憎だが印象が薄すぎて彼女の名前は記憶になかった、彼女は池のことが気になっていることをからかわれて顔を林檎のように赤くしている。

 

池…ああ、あの下品な馬鹿ね。低能なクラスの女子たちと同意見なのは遺憾だけど、私も彼だけは無いと思うわよ。

 

 

「ほ、ほらっ、英雄色を好むっていうし!お兄ちゃんがお風呂を覗こうとしたのがバレて簀巻きにされたときとか、男がエロくて何がわるいんじゃーっていつも言ってたし!」

 

テンパった様子でワタワタしながら少女がフォローになってない説明をして墓穴をほっている。もはや少女のお兄ちゃんの株はストップ安だ。

 

「平田くんも良いけど、でも幸村くんも今回でずいぶん株上げたねー」

 

「うん、めっちゃテキパキと指揮してたし。サバイバルとか慣れてる感が凄いよね」

 

「それに見た?めっちゃ腹筋割れてるし。細マッチュっていうの?全然気づかなかったよ」

 

昨日の昼過ぎにこの島に到着した私達は、疲れ切った体でぐったりと座り込み、これからどうすればいいのか途方に暮れていた。だが、幸村君は疲れを微塵も見せずにいつの間にか火をおこしており、体力が残っていそうな子達に焚き火を維持するための薪を集めるように指示をしていた。

 

そういえば、薪も無いのにどうやって火をおこしたのかしら?なにかのトリックなのかしら?イリュージョン的な?

 

その後、幸村君は食料を獲ってくると上着を脱ぎ捨て、三宅君を連れて海へと潜っていった。その時見えた幸村君と三宅君の肉体は確かに無駄なく鍛え上げられた実戦向きの格闘家のそれだった。彼にとっては残念なことに、その時は私含めて女性陣はみんなぐったりと地面を抱擁していたので、黄色い悲鳴が上がることは無かったが。でもやはりそこは思春期の乙女、しっかり見るところは見ていたようだ。三宅君も少しは話題に上がっているが、やはり幸村君はギャップの差が大きかったようで、一気に注目を集めている。

 

それにしても女子達もそうだが、この島はあっちこっちで花火を上げているようで、爆発音が響いて煩いわね。他のクラスはどれだけ羽目を外しているのかしら。

 

目が覚めてきたし、他のクラスが遊んでいる今、少しでも情報を整理して優位に立つべきね。

 

私は女子たちからこっそりと離れ、この試験について思いをはせる。

 

この試験の概要は生き残りをかけたサバイバルだわ。

いきなりジェットフライヤーから落とされた時はどうなるかと思ったけど、とっさにワイヤーを使って飛んだ綾小路君にお姫様抱っこを…いや、あれはそういうあれじゃないわ。非常時だったし。私の初お姫様抱っこはきっといつかウェディングドレスを着て、白いチャペルで兄さんにしてもらう予定だから、だから今回のはカウントされないわ。とにかく!綾小路君に助けられたお陰でなんとか無事に降りられたわ。他にも孫悟飯や数人が綾小路君曰く同じワイヤートリックを使って空を飛びながら、クラスメイトたちを助けて回ってたわね。

無事みんなが着水後、孫悟飯が口笛を吹くと、空の彼方から巨大な竜―孫悟飯はハイヤードラゴンだと言ってわね―が飛んできて、50キロ泳ぎ切れない子たちを乗せていたわ。

でも孫悟飯や綾小路君、幸村君や三宅君は乗らなかったし、女子も櫛田さんや長谷部さんは泳いでいたので、私も対抗するように乗るのを拒否してしまったのが反省すべき点ね。結局10キロぐらい泳いだところでダウンしてしまったわ。そういえば、櫛田さんも長谷部さんも50キロ泳ぎきったのに、疲れた様子も見せてなかったわね。長谷部さんなんて海岸について早々、幸村くん同様に疲れ切った私達のそばに火をおこし―だからなんで薪もないのに火をおこせたのかしら。謎だわ。―そのあと食べ物を探しに一人で森の奥へと走っていたわね。

 

そして1時間もしないうちに幸村君と三宅君は10メートルもありそうな巨大魚を1匹ずつ、長谷部さんは恐竜の尻尾肉を見つけてきてバーベキューをすることになった。どうやら学校側も私達を飢えさせる気はなく、食料は色々見つけやすい場所に用意しているみたいね。そうでなきゃ素手でアレらを狩るなんて不可能だわ。

 

その後、どうすべきかみんなで話し合っていたところに、佐倉さんが事前に茶柱先生から教えられていたと試験の内容を綾小路君経由で話してくれた。セキュリティがどうのとかハッキングしやすいシステムで良かったとかなんかボソボソと独り言言ってたけど、彼女も山内君と同じく妄想癖でもあるのかしら。ああ、確かこういうのは中二病というらしいわね。

 

そういえば、その佐倉さんも姿が見えないわね。綾小路君もいないし、どっかでいちゃついてるのかしら。なんかあの二人、最近距離が近いのよね。私には関係ないけど、綾小路君と話していると凄い目で睨んでくるし。私は兄さん以外に興味ないから完全にとばっちりだわ。彼女に刺されないように綾小路君との距離感には気をつけた方がいいわね。

 

それにしても兄さん。ああ、兄さん。この試験には兄さん成分が足りないわ。

折角同じ学校に通えて、また兄さんの側にいれると思ったのに、こんなに離されるなんて。

私が一体何をしたというの。私だってまだ学業優先の学生の身。だから毎晩兄さんの部屋に忍び込んで、ベッドの下で兄さんの寝起きを見守っているだけで我慢しているというのに。

ああ、兄さんの気配がずいぶん遠いわ。兄さんの素敵な暖かい気配はどれだけ離れていても分かるのに、会いに行けないこの身が切ないわ。…兄さんの気配から計測すると、この島は学校から南南西に437キロね。ずいぶん遠くまで来てしまったわ。ああ兄さん!どんな障害が私達を引き裂こうとも諦めないわ!私は絶対兄さんの元に帰って見せるわ。ああ兄さん!待っていてね!兄さーーーーーん!びくんびくん!

 

木によりかかりながらしばらく兄さんを想っていたが、ようやく落ち着いてきたわ。兄さんは本当に麻薬のようなイケナイ人ね。罪作りだわ。

 

私は濡れた右手を拭きながら、ふと左手に巻かれた時計を見る。この腕時計は、ジェットフライヤーに乗り込む際に全員に配られた物で、GPSが内蔵され、各人の生命力を計測していて、危険があった場合には直ぐに救助が来るので外すことは外すことは原則禁止と言われている。そして今回の試験はこの腕時計が鍵になっている。

 

特別試験ルール

1:各クラスそれぞれ1人のリーダーを決める。リーダーは腕時計を操作してリーダー仕様へと変更する。リーダーの証として星が入った丸い玉がディスプレイに表示される。

2:リーダーの時計だけ、この島の地図とリーダーの現在地が表示される。

3:リーダーは他のリーダーの現在地も見ることができる。

4:腕時計同士を接続して操作することでリーダーの証を奪うことができ、奪われたリーダーのクラスは100CPを失って失格になる。そして奪ったクラスは100CPを手に入れることができる。

5:7日間、もしくは最後の1クラスになるまでリーダーの証を守り切ることができれば100CPが手に入る。

 

この試験は7日間何もしないで遊び呆けていても100CPが貰えるようにみえるわ。だけど決してそうはならないわね。現にいつの間にか偵察に出た三宅君によるとAクラスは初日でCクラスに全滅させられて失格になってしまい、島を出ているわ。

偵察によるとAクラスは葛城君という方が14人ほどの自身の派閥だけを連れてこの島へとおりていたそうだわ。佐倉さんの説明によると、どうやら開始前に事前にこの試験を辞退することができたようね、糞みたいに騒いでいた馬鹿達のせいで全く説明がされなかったけど。

 

でも櫛田さんがAクラスは多林寺で師範代だった葛城君が自身の派閥に修行を付けていてずいぶんと精強な格闘家揃いだったらしいけど、Cクラスはそれをたったの5人の男子だけで倒してしまったようだわ。多林寺って私でも知ってる本格的な格闘技を教える寺だわ。そこの師範代を倒すなんてCクラスは警戒しないといけないわね。まぁ兄さんには足元にも及ばないでしょうけど。

 

そんなわけで、今回の試験はリーダー証の奪い合いの戦いになると予測しているわ。

 

それにしても…本当に煩わしいわね。ロケット花火だろうか、いくつものピンク色の光が空高く連続で打ち上がるのが木々の隙間から見えた。そして空から爆発音が鳴り響く。更に、地盤が弱いのか、頻繁に地震まで起きている。まるで私に考え事をさせないかのような騒音に、「それもこれも全部孫悟飯が悪いのよ」といつもの口癖を口走ってしまう。そういえば、あの孫悟飯を見かけないが一体何を企んでいることやら。どうせまた私達の邪魔をしようとして嘲笑っているに決まっているわ。なんて憎々しいのかしら。きっとこの花火大会も孫悟飯が裏で手を引いて他のクラスにやらせているに決まっているわ。なんて卑劣なのかしら。

 

「ねぇ、ちょっといい?」

 

孫悟飯への非難を呟きながら歩いていると、後ろから声がかけられた。聞き覚えのない声に、私は瞬時に警戒し、飛び退りながら背後へと振り返る。

 

果たしてそこに居たのは、やはり見覚えのない女子の姿。青味がかったショートカットの髪に細身の体、キツイ目つきに口元は嘲るような笑みを浮かべている。

 

「うちのリーダーによると、キャンプ地から離れているあんたがリーダーらしいんだけど、あってる?試験を辞退したビーデルが実力的に考えて孫悟飯が絶対リーダーだろうって言ってたけど、なんであんたみたいな雑魚がリーダーやってるの?うちのリーダーが珍しく困惑して何か細工があるんじゃないかって疑心暗鬼になってて笑えるんだけど」

 

孫悟飯!

 

ビーデルっていうのは確か孫悟飯が懇ろにしているCクラスの女子だったはずだわ。やっぱり孫悟飯は敵と内通していたのね!三宅君たちが孫悟飯をリーダーにしようって意見してたけど、私が孫悟飯の謀略が通る前に勝手に操作してリーダーになったかいがあったわ。もしあのままだと孫悟飯がCクラスに早々にリーダー証を渡して失格になるところだったわ。きっと孫悟飯のやつは、今頃Cクラスと合流してどうにか私を追い詰めようとしているみたいね。

 

「やっぱり孫悟飯は最低の男ね!だけどその手には乗らないわ!」

 

私の声に、眼の前の女子は呆けた顔になる。

 

「それに私をあまり見くびらないことね。こう見えても私も多林寺で昔修行をしていたのよ。天下一武道会にも出場した伝説の師範の二人から直々に稽古を受けたこともあるの。私が本気を出せば孫悟飯なんてけちょんけちょんにしてみせるわ。もちろん貴方もね!」

 

もはや戦いは避けられない。武力に訴えるのは野蛮だが、ここで私が打ち勝てば、それすなわち孫悟飯に打ち勝つことも同義。ひいてはそれこそがクラスを躍進させ兄さんに褒められる近道と見た。義を見てせざるは勇無きなり。まさに今私は岐路に立っているのね。でも大丈夫ね。瞬時に構えを取った私と違い、目の前の女子は未だに突っ立ったまま。明らかに格闘経験などないわ。どうやら喧嘩と格闘技を勘違いしている愚か者のようね。孫悟飯に騙されるぐらいなのだからやはり程度が知れるわ。ふふ、兄さん、私は勝つわ。お星さまになってお空から私の華麗な戦いを見ていぐほおおおあああおおあおあ!!!

 

 

 

 

 

瞬きの間に目の前に接近されて鳩尾を殴られた私は、地面へと倒れこみ、悶絶しながら再開した夕食の酸っぱい匂いを嗅ぎながら混乱の極みにあった。

 

「はぁぁ…本当になんでこんな雑魚からリーダーの反応が出てるんだ?まぁこいつの腕時計を見てみれば分かるか」

 

そういって手を伸ばしてくる彼女から、私は這いずりながら距離を取ろうとする。

 

「あー、まだそんな元気あるんだ。ちょっと手加減しすぎた?でもやりすぎて殺しちゃうとまずいしなぁ。石崎がAクラスのバカを一人ぶっ殺しちゃって警告食らってるし。本当に面倒だわ。でもとりあえずもう一発いっとこうか」

 

彼女はそう言いながら拳を上げるのを私は青い顔をして見ていることしかできない。

 

そんなときだ。

 

 

「ちょーーっとまったーーーー!」

 

私の前に人影が走り込んできた。

そして、私を庇うように彼女の前に立ち塞がる。

 

 

「いやー、なんか深刻そうな顔で森の中入っているから、もしかしたら慰めてワンチャンあるかなって思ってついてきたけど、マジで思わぬ自体ってやつ?」

 

 

一瞬綾小路君が来たのかと思ったけど、全然違ったわ。

綾小路君とは全く正反対の不真面目の極みのような彼。

 

 

「でもでもあれだよ、俺さ、可愛いキャットファイトは好きだけどさ。そんなガチな殴り合いなんて女の子がやるべきじゃないって思うわけよ。どうよ、ここは一つ、俺のカッチョいいイケメンフェイスに免じて3人で仲良くキャッキャウフフしようぜ」

 

 

それは下品な馬鹿。池だった。

 

 

そんな彼の馬鹿な発言に、彼女は、やはり呆れたような顔で…「もう警告とかどうでもいいや。とりあえず不愉快だから死ね」そう言って、右手を発光させて振りかざした。

目も眩むような光と、耳をつんざくような爆発音、ものすごい熱風に吹き飛ばされながら、意識が薄れていく中、私は見た。

 

 

腰を抜かして座り込んで気絶した池と、そしてその前に立ち、怒りを湛えた顔をした、池のことが気になると言っていた少女。

いつも何かに怯えるようなオドオドとした姿しか記憶にない少女。

 

 

 

「殺そうとしたな…池くんを殺そうとしたな…」

 

 

 

なんだ、そんな顔もできるんじゃない。

 

 

そうだ、思い出した、彼女の名前。

 

 

たしか…

 

 

「王…美雨…」

 

 

「あなたは絶対に許さない!」

 

 

そして彼女の体から白い炎が吹き上がり、私の意識はそこで途絶えた。

 




仕事の合間とかに展開とかは色々考えて、考えて、その都度色々修正など変更して、そしてまた更新が遅れるという悪循環。
もうこれ以上は待たせられないのでとりあえず書いてから頭抱えようと決意しました。
今日のやらかしは明日の私が解決してくれるさ。


ちなみに「マリみて」は瞳子ちゃんが好きです。ドリルはロマンですよね。彼女のためにBlu-ray BOXも買いましたよ。


感想・評価をしていただけるとモチベ維持に繋がるのでありがたいです。
疑問質問罵倒なんでもお待ちしています。
今後もよろしくおねがいします。
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