孫悟飯は実力至上主義の教室へ。 作:PPキャンディ
直接的や間接的に両親や友人たちを悟飯達に無惨に殺されたと主張し、如何に今の宇宙情勢が弱者を食い物にする無法地帯に成り下がっているかと悟飯たちの行いが齎した現状を批判しながら攻撃を続ける一之瀬。
悟飯にとって、それらの攻撃は大人が小さい子供に殴られる程度の痛みしか感じては居なかったが、反面、彼女から投げつけられる言葉には膨大な精神的苦痛を感じていた。
(僕は一体どうすればよかったんだ…)
このまま悟飯は精神が病んでしまう寸前、彼の父の言葉が脳裏に過った。
『昔な、天下一武道会で餃子とクリリンが戦ったときにクリリンは餃子の超能力を防ぐために計算問題を出して混乱させたんだ。意地のわりーやつはそうやってこっちを翻弄してくることもあるんだ』
それはセルゲームの前、精神と時の部屋で修行中に悟空に聞かされた話だった。
『時にはオラ達の方が悪いかのように言ってこっちが躊躇うように仕向けるやつもいるんだ。だから良いか悟飯。そういう難しい事はぶっ殺してから考えるんだ。脳みそは人を殴るためにあるんだ』
サイヤ人は良くも悪くも純朴で基本的に頭が悪い。だから罠や搦め手に弱い傾向にある。だから悟空はそういうのにあったら難しく考えずにとにかく力で突破しろ、そう教えてくれた。
「そうだった…そうだよね、父さん。何が悪いとか何が良いとか…そんなのは戦闘中に考えることじゃないよね」
悟飯はもう考えることはやめた。とにかくこの眼の前の少女を倒す。今はそれだけでいい。
「気で動きが読めなくても側にいることは確か。なら全部吹き飛ばせば問題ない!」
悟飯は腕を胸の前でクロスさせ、瞬時に体の中心に気を集中し、全方位に放出する。ピッコロがかつて天下一武道会で会場全てを吹き飛ばした必殺技だ。それによって半径数キロに渡って暴力的な爆発が広がった。
全方位に放出するため、威力はどうしても下がってしまう。だが超サイヤ人状態で、一之瀬より10倍も戦闘力に差があるため、一之瀬はとっさに防御したが、ダメージを消す事はできずに大きく後退し、棒立ちになってしまう。
そこを悟飯は一気に攻勢に出ることにした。
(狙うは彼女の足!なぜだか知らないけど、彼女の動き、足だけは動きが鈍い。攻撃も威力があるのはパンチばかり。つまり彼女の弱点は足だ!)
「足元が!お留守だ!」
悟飯は膨大な気を込めた下段回し蹴りで一之瀬の足を攻撃する。やはり悟飯のこの攻撃は大ぶりでスキが大きかった為、これが上半身を狙ったのなら、一之瀬は躱すことも出来ただろう。だが、動きの鈍い足を狙われたのでは躱すこともできずに、両足は太ももの付け根の下辺りからが無惨にも抉り取られ、吹き飛ばされてしまった。
この結果に、悟飯の方が混乱した。
悟飯は確かに強力な蹴りをだしたが、流石に足を切断までする気はなかったのだ。そのため、呆然としてしまい、一瞬纏っていた気が弱くなった。
そんな大きなスキを一之瀬帆波は見逃さない。
両足を失った一之瀬は舞空術で体勢を整えつつ右腕を高く掲げ、人差し指一本を立て、その指先に気を集中させた。
そして悟飯が立ち直るより前に、それを悟飯に向けて叫んだ。
「どどん!!!」
指先に集められた気が一気に放出され、悟飯へと直撃した。その威力は細く一点に集約されているため他の気功術とは一線を画す威力だ。
「ぐああーー、こ、この技は…」
強烈なその技をマトモに喰らってしまい、悟飯の気は大きく削がれてしまう。だがその技を悟飯はかつて見覚えがあった。
「やっぱり、一撃じゃ倒せないのね。本当にサイヤ人はタフだわ。でも、一撃で駄目なら何度でもやるだけよ、喰らいなさい!どどんっ!!!」
一之瀬は指先からまたもや先程の技を発射する。今度は悟飯も防御を固めて防ぐも、続けざまに何発も発射してくる。この技はかめはめ波と比べて速射性が高く、なおかつ飛翔速度も早いので、悟飯が守れていない部分を続けざまに狙い、どんどんと体力を削っていく。
「それは…餃子さんの…どどん波…なぜ君が!」
「そういえば言ってなかったわね。私こそ最高峰の武術、鶴仙流の後継者、一之瀬帆波よ」
両足を失い、舞空術で空に浮かびながら彼女は宣言する。
「父母の仇、フリーザ様の仇、ギニュー隊長の仇、みんな…みんなの仇…。そして!私を拾ってくれた大恩ある師父、鶴仙人様、兄弟子の桃白白様をコケにした亀仙流、孫悟空の息子である孫悟飯!貴方を私は絶対に討ち倒す!」
彼女の背中には無念に散った父母や仲間達、そして彼女の師父達の想いが乗せられているのだった。
その戦いを少し遠く離れた場所から一匹のカエルが見ていた。
(俺、まだ死んでないんだけどな、ゲロゲロ)
とりあえず切りがよく書けた分だけでも…。
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