孫悟飯は実力至上主義の教室へ。   作:PPキャンディ

29 / 30
とうとう綾小路くんの戦いが始まります。


綾小路清隆 VS 人造人間11号

Dクラスキャンプ地を見渡せる一際高い崖の上。

そこに登るには逆側から大きく回り込む必要がある。

なるほど、確かに其処からなら一方的に攻撃ができるだろう。

Cクラスの襲撃で追い立てられ、こちらに逃げてきた所を上から弓で射掛けるなり、岩を落とすなりやり放題だ。

頭の悪そうなのばかりいるCクラスにしてはなかなかの考えだろう。だが残念だったな。こちらには世紀末級陰の実力者こと綾小路清隆様がいるのだ。

こんな崖程度、オレにかかれば平地も同然。僅かにある突起を足場にスイスイと飛び越える。

 

 

そして崖の上には、ハカセの言った通り、巨体の黒人、山田某が立っていた。

山田某は右腕を半ばから外し、その下から現れた砲塔のようなものをキャンプ地に向けていた。

流石にそれについてはオレも少し驚いたが、オレはホワイトルームで同じ物を見ていたので、彼が何者かについてはすぐ理解できた。

山田某はロボット兵士だったのだ。ならばその巨体にも納得がいく。

オレの教官の一人にロボット兵士が居たのだ。

 

その名は『メタリック軍曹マーク69』

 

身の丈3メートルを超えるナイスガイだ。過去に孫悟空と戦い、あと一歩まで追い詰めたことのある猛者である。

なるほどなるほど、あれ程の巨体に腕についたメカメカしい砲塔、しかもメカニック軍曹と同じく夜だというのにサングラスを着けていることから、彼がロボット兵士なのは否定のしようがない。

きっとあの腕からミサイルを飛ばしてDクラスを混乱の渦に叩き込もうという計画なのだろう。なんと恐ろしい。だが灰色の脳細胞を持つ天才にして世界最強の戦略家であるこのオレにかかればそんな企みはマルっとお見通しだ!

きっと彼はメタリック軍曹の姉妹機、いや男だから兄弟機だな。だが、彼より強いということはないだろう。

なぜならメタリック軍曹は製造されてから度重なる改造で最高峰の性能を獲得しているのだ。ろくに改造されていないロボット兵士とは天と地ほどの差があるだろう。

彼は孫悟空と戦ってから、己の力の不足に気づき、日夜様々な改良を施すようになった。カプセルコーポレーション製の超軽量超柔軟超耐性の特殊装甲を採用してからは、鈍重という唯一の欠点も解消している。だがこいつはどうだ。見た目からして、大きさ以外は普通の人間と見分けがつかないほどの無改造ぶり。皮膚も人間同様柔らかそうではないか。

きっとノーマルのシリコン樹脂であろう。メタリック軍曹も昔はそうだったが、今では名は体を表すとばかりに全身テカテカのメタリック加工だ。

そのメタリック軍曹でもオレには勝てなかった。なぜならオレが最強だからだ。

 

 

「どうした、ビビっているのか?」

 

 

オレが来たことに驚き、固まっている山田某。

 

それにもし万が一メタリック軍曹より強かったとしても、ロボット兵士なら背中にエネルギー源の乾電池がある。それを取ってしまえば奴はシステムダウンして動かなくなる。

奴はオレがロボット兵士の弱点を知らないと思っているだろうが、残念だったな。

だが、メタリック軍曹より山田某の方が強い?ないね、ないない。なぜなら敵が目の前にいるっていうのに未だに奴は無防備に棒立ちしているのだぞ。その佇まい、どこから見ても隙だらけだ。戦闘データが明らかに不足している証拠だ。いくらロボット兵士のパワーがあっても、そこに戦闘技術が無いと全く意味はない。素人相手なら兎も角、大ぶりの攻撃など天才のオレには当たらないからな。

もはや万が一、億が一も負けはない。全力を出す必要すらないのだ。

 

 

「データ…ヒット…綾小路清隆…リスク…A+……」

 

 

山田某はブツブツと何やら言いながら、右腕の砲塔をこちらへ向けてくる。

 

 

「ほう、ミサイルか?だが甘いな。甘々だ。練乳をかけたハーシー並みに甘ったるい。そんなものがオレに効くと思っているのか?オレは綾小路清隆だぞ」

 

 

こんな事もあろうかと密かに考えていたオレ的イケてるポーズ、左手で自身の体を抱くように右腰を抱え、右手で前髪を掻き上げる。そして顔を上げ、山田某を見下すのだ。ヤバい、カッコ良すぎだろうオレ。誰かに撮影を頼むべきだったか。

オレの姿が素晴らしすぎるためか神々しい後光が差し、その光に照らされ山田某の愕然とした顔が浮かび上がる。

 

 

「どうした?そんなにオレが恐ろしいか?だが安心しろ。お前ごときに本気など出さん。なぜならオレこそが最強だからな。慢心せずに何が最強か。お前など小指一本で十分だ」

 

「If you fight here, the damage will be great」

 

 

山田某は悔しげに顔を歪め、飛び退り、森の中へと逃げていった。

追っても良かったが、Dクラスが心配だ。あの程度のやつはいつでもやれる。今は捨て置こう。

ところで、まだ後ろが明るいな。もう夜明けか?

そう思い、振り返ると…其処には両手を上に向け広げる、俗に言う支配者のポーズを取り、その両手の上にそれぞれ、デカく、やたら眩しい光球を出し、髪の毛を逆立たせ、顔は逆光になっててよく見えないが、悪鬼羅刹のような表情で目がギラギラと輝いている鬼が居た。

 

…うん、とりあえず、回れ右だ。

 

「オーケー、オーケー、ビークール。落ち着けオレ。ここは現実だ。鬼なんているわけないさ。そんなのが現実にいるわけないじゃないか。こういうときは、掌に人と書いて飲み込むといい。…うむ…落ち着いた。よし、もう一度確認するぞ。いいか、確認するぞ」

 

オレは恐る恐る後ろを見る。うん、何もいない。

 

辺りは先程までの明るさが嘘だったかのように夜の暗さと静けさを取り戻している。

どうやらオレはこの試験でだいぶ疲れているようだな。

 

そんな時、背後からちょんちょんと背中を突かれてビクッとしてしまう。

 

 

「あの…綾小路くん。大丈夫ですか?」

 

 

だが其処に居たのはオレのハーレム要員三号である、おっぱい担当の佐倉愛理だ。ちなみにハーレム要員初号がへっぽこ残念系担当鈴音で、二号は小悪魔系美少女の桔梗だ。まだ入学して4ヶ月だというのに3人も愛人を囲っているなんて、オレぐらいだろう。最近池達と一緒に遊んでいるとじっと物陰からオレに熱い視線を送ってくる守ってやりたくなる小動物系の王もそろそろ落ちる頃合いなので実質4人かな。相変わらず罪づくりな男だな、オレは。全世界の非モテDT諸君。すまんな!そろそろお先に失礼するぜ。

 

 

「どうした佐倉。こんなところまで」

 

「あ、綾小路くんがこっちに向かうのが見えて。えっと、頑張って走ってきたんだけど、ちょうど今、そう、ちょうど今!ここに着いたの!ところで変なものとか見てないよね?」

 

「オレに見えるのは可愛い佐倉の顔だけだ」

 

「も、もう!そんなこと言って…またワタシをからかうんですか」

 

「すまん。そんなつもりはないんだがな。それより佐倉、星が綺麗だな。どうだ、一緒に横になってゆっくりしないか?大丈夫だ、お前は星の数を数えていてくれればいい。それだけですぐ終わるからな」

 

 

オレはポケットの中に隠し持ったホイポイカプセル(薄いゴム製品『極薄近藤くん』1カートン108ダース収納)を強く握りしめながら、佐倉の肩を抱こうとする。だが佐倉はスルリと抜け出す。

 

 

「えっと、ごめんね、綾小路くん。ちょっとワタシ、今から行かなきゃいけなくて。先にキャンプに戻っててもらっていいかな?」

 

「行く?こんな夜にどこに行くんだ?」

 

「………ごめんなさい。正直に言うのは恥ずかしくて…すぐに始末して帰ってくるから、待っててほしいな」

 

 

それでオレはピーンと来たね。彼女は女の子の日なのだ。オレぐらいに女心に詳しいと分かるんだ。確かにそれは恥かしいだろう。

 

 

「分かった。行って来い、佐倉。キッチリすませてくるといい。大丈夫、お前がどんなに血に塗れようともオレが全て拭ってやる。忘れるなよ。オレはいつだってお前の味方だ」

 

「綾小路くん…うん、ゴミ虫はちゃんと潰してくるよ!待ってて!」

 

 

そう言って佐倉は森の中へと駆けていった。その顔は晴れやかな笑顔だった。

 

最後の言葉の意味は良く分からんが、隠語か何かだろうか?だが、これでバッチリ決まったな。佐倉の女の子の日が終わったら、オレもDT卒業確定だ。近藤くん、足りるか?やっぱりまだ買い足しておくか。

 

 

オレはスキップしながらいつの間にか爆音が鳴り響き、あちこちに火の手が上がり阿鼻叫喚の叫びが上がるDクラスキャンプへと戻るのだった。

 

 

「また勝ってしまった。やはり、オレこそが最強。そろそろ敗北が知りたいぜ」

 

 

 




綾小路くん、またしても勝ってしまう。まさにこれこそが主人公。


感想・評価をしていただけるとモチベ維持に繋がるのでありがたいです。
疑問質問罵倒なんでもお待ちしています。
今後もよろしくおねがいします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。