悪の総統は楽しそうです   作:希望の踏み台

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おめえの賞賛、ねえから!

「で、誰に批判票を集めるかって話だけど……とりあえず王馬は確定ってことでいい?」

 

「ちょっとまってよ!」

 

「他はどうするか個人の自由ってとこでもういいんじゃない?」

 

「え、オレこんなので退学になるの? 酷いよ伊吹ちゃん! それにみんなも! オレがこのまま退学していいわけないよねっ?!」

 

Cクラスだけで話し合いをする時間が与えられ、教壇にはいつものように龍園の姿はなく代わりにステゴロ女こと伊吹澪が仕切っていた。

龍園政権に反抗心を露わにし感情に流されやすいところがやや欠点ではあるが、これまでCクラスのために口ではツンツン言いつつも力を尽くしてくれた彼女のことを、一部を除いてこのクラスには必要な存在であることを認めていた。

 

そんな伊吹がどう議論を進めるのかと思えば、批判票を全員王馬に入れるという議論もクソもない提案であった。

 

当然待ったをかける王馬。それを無視する伊吹。

いつものように嘘泣きをする王馬をクラスのみんなは素知らぬ振りで受け流しボク、ワタシは虐めに関与してせんよという雰囲気がクラス中に漂う。

 

「なんでみんなそんな反応するんだよ?! オレ泣いちゃうよ?!」

 

「いやもう泣いてんじゃん」

「そりゃあ、ね?」

「今まで好き勝手やられてクラスポイント減らされてるし」

「危うく前の試験でDクラスに落ちるとこだったんだぞ!」

「コイツがいる間は多分上のクラスいけないっしょ」

「同感。問題児は龍園だけで充分だし」

 

「おい、最後に発言したやつは痛い目に遭いたいようだな?」

 

ボロカスに言われる王馬に加えてちゃっかり小言を言われる龍園。

きっと王馬が居なければ到底許されない発言も、軽く言う分には冗談で流されるほど良好な関係をドラゴンボーイは築けていた。共通の敵が居ると結束も固まる、そう言った意味では王馬はCクラスに貢献している。

 

「で、賞賛票は誰にする?」

 

「もう決定事項ってこと? オレ、ゲームオーバー?」

 

「まあ待てよ伊吹。俺もコイツを退学にしたい気持ちはあるが、早とちりが過ぎるな」

 

批判票の行き先が決定した……と思った瞬間、救世主が立ち上がった。

それはかつて、ではなく現在進行形でロン毛暴君として君臨するCクラスの王こと龍園翔であった。

教壇に行く姿は王の帰還を彷彿とさせ、その後ろを歩く従者山田アルベルトは死線を共にする漆黒の巨漢馬のよう。まさに王と馬、王馬が来た。そしてその様を性として一人で背負う小吉は二人と並ぶと小学生に見間違えるほど小さく見えた。二人のオーラは高校生が放っていいものではない。

 

従うのも納得の威圧感で、弛緩した空気を一気に変えてみせた。

先程の茶々を言える人は誰も居ない。

 

「この特別試験の内容とそのルールについて大事な部分をもう一度確認するぞ」

 

①自分を除くクラスメイト3名に賞賛票、自分を除くクラスメイト3名に批判票、クラス外の生徒1名に賞賛票を必ず入れなければならない。

②賞賛票と批判票は干渉し、各クラスで賞賛票が最も多かった首位生徒にプロテクトポイント(退学を一度だけ回避する権利)が与えられ、批判票が最も多かった最下位生徒は退学処分となる。

 

「確認するべきはこの部分だな。賞賛票と批判票、それぞれ好きなを相手3人選んで投票しろってとこだ。一番賞賛を得たやつには退学を回避できるプロテクトポイントを。反対に一番批判が多かったやつは問答無用で退学と……けっ、タチの悪い試験だぜ」

 

「考えたやつぜったい頭悪いよね」

 

「それはお前が退学の危機に晒されてるからだろ? 今回のはむしろお前好みの試験じゃねえか」

 

「にしし、どうだろうねー」

 

図星であったことをはぐらかす。龍園にはバレバレだった。

恐らくクラス中のみんなもそう思っただろう。嘘で人心掌握を得意とする王馬には打ってつけの試験であった。疑心暗鬼の状況にさえ持ち込めることができれば、王馬の独壇場と成り得るのだから。

 

「龍園氏は今のところどうお考えなのでしょうか?」

 

金田の問いかけに間髪入れず答える。

 

「どうもなにも、細工なんざする必要はねえ。少なくとも批判票に関してはな。このクラスで一番の役立たず、もしくは邪魔者に票を集めれば良いだけだ」

 

「それは、一体?」

 

「決まってるだろ、王馬しかいない……と言いたいところだがな。今回は違う。

 

 

 

 

 

 

お前だ、真鍋」

 

 

王馬の代わりにターゲットにされ、驚愕の表情をする真鍋志保。

龍園にとっては王馬より真鍋の方が今のCクラスにとって不要な存在だった。

 

「ちょ、ちょっと待って!! なんで、私が……?!」

 

「Dクラスといざこざを起こして、スパイとしていいように扱われて、そんなお前に今更何を期待しろって言うんだ?」

 

「それは、違うの! 私はそう仕向けられただけで……」

 

「その時点でアウトだ。これから先、お前は必ずこのクラスの致命的な欠陥となる。そこを今まで散々つけ込まれたんだ。切り捨てるなら今しかないよなぁ?」

 

何も言い返せず、涙目になる真鍋。

自分より立場が上の人間には弱腰になってしまう彼女はこれ以上龍園に楯突くことはできなかった。事実、今までの行いがCクラスを降格の危機へと晒してきたからだ。

 

普段は厄ネタしか持ち込まない王馬がいるお陰で持ち堪えているものの、居なければ今頃みんな仲良く不良品へと成り下がっていたところだろう。そう、本当の意味で要らないのは真鍋志保ただ一人。悲しい真実だけがそこにはあった。

 

「お前らも分かったな? 真鍋に批判票を集めろ。あとは適当に散らせ。そして真鍋、お前は大人しく退学しろ」

 

「……わかり……ました」

 

話し合いはこれで終わり。

他のどのクラスよりも迅速に終わらせた。そのはずだった。

 

「んー、ホントにそれでいいのかなー?」

 

「……ああ?」

 

本日二度目の待ったをかけたのはついさっきまで退学にされそうだったウソツキ、王馬小吉だった。

 

「他にいいヤツが居るっていうなら話だけは聞くぜ。内容次第では変えてもいい。退学になりたいっていうならお望み通り叶えてやる」

 

「龍園ちゃんってば優しいねー。でも、退学にはなりたくないかなー。だって……」

 

「御託はいい。とっとと言え」

 

「もう、せっかちなんだからー」

 

龍園と面と向かって話をする。両者の視線の間には火花が走っているように見えた。そしてそれは王馬の発言によって更に燃え上がることになる。龍園にとってあり得ないものだったからだ。

 

「確かに真鍋ちゃんは裏切ってたけど、これ以上は何もできないでしょ。実際、龍園ちゃんには逆らっていないし」

 

「裏切りは重罪、これ以上このクラスに居ても邪魔なだけだ。悩みの種は早々に処分するべきだと思うが?」

 

「だったら、もう一人悩みの種があるんじゃない?」

 

「もう一人、だと?」

 

「龍園ちゃんは信頼してるらしいけどさ。オレからしたらいつ寝返ってもおかしくないと思うんだよね。人は口先一つで容易にウソを吐けるんだから。口ではイエスと言いつつも、心ではノー言っていたり……裏切らないと言っていたのに、キッカケ一つで寝返ってしまったり……」

 

「……つまり、何が言いたい?」

 

「裏切りの機会はいつどこに誰にでもあるってことだよ。もしそうなった場合一番裏切ってほしくなくて、そしていつ裏切りってもおかしくない立場にある人が一人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言ったらキミだよね、椎名ちゃん?」

 

 

 




今日も思いついたのでちゃちゃっと書きました。
続編を書く確率は2%です。一発ネタですし。

原作読んだのも大分前なので間違いがあればすいません。かなりご都合主義でやらせてもらってます。

ダンガンロンパのキャラとよう実って相性言いと思うんですよね。もっと増えてほしいです。
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