「わ、私ですか?」
「てめぇ……いつもの嘘にしてはタチが悪いな?」
「ウソ? ウソってなに? 豚足より美味しいの?」
ピリついた空気にも関わらずいつも通りケロッとしている王馬。対峙するロン毛男の額には青筋が浮かんでいた。
「ひよりが裏切る? この女がそんな下衆なことするわけねぇだろ」
「ふふ、龍園さんは意外と私を高く評価しているのですね」
「ああ、まあな……じゃねえ。矛先向いてんだから反論の一つや二つしろ」
「まあ! そうでしたね。それは大変です!」
またしても調子を崩さない者が一人現れ、今度は溜め息を吐くシャンパンイキリ野郎。
この試験において最も最悪なのは。クラスの大多数から批判票を入れられてしまい、自分一人が退学になること。今までのクラスの貢献力そして己の存在価値をアピールしなければ批判票を集めかねない。
そんな切迫した状況の中で、マイペースでいられることはある意味の長所とも言えた。
ひとしきり和んだ後、椎名ひよりは一歩踏み出した。対面した先には口を歪ませた嘘つきピエロ、王馬小吉がいる。
「王馬くん、教えていただけないでしょうか。どうして私がいつ裏切ってもおかしくないと思うのですか?」
「随分と白々しいね、椎名ちゃんは。これだから何事にも動じない人は侮れないよね。図星だってのに、表情一つ変わらないなんてさ……」
王馬の一言に、椎名は思わず眉を顰めた。
また更に一歩踏み出して、物静かな彼女にしては珍しく強めの口調で反論に出た。
「違います。こんな時だからこそ人は冷静さを、自分を失ってはいけないのです」
「動揺を悟られないよう演技しているってこと?」
「それも違います。私はただ、真正面から話をしたいだけです」
「そうやって言葉巧みに操って、良い子を演じて無害さをアピールしたいだけじゃないの?」
普段は温厚な椎名と常に嘘ばかり吐く王馬との言い合いに気圧されて、誰も言葉を発さない。
龍園は二人の様子を教壇に座って眺めていた。
カチカチと針の音が響く。
喉を鳴らす音が自分以外からも聞こえてくる。
そんな火花を散らす二人の間を取り持つように絶好のタイミングで放課後のチャイムが鳴った。
長く感じた沈黙は、時間にしてみれば一分にも満たなかった。
「おいおい、随分と良いタイミングじゃねえか。まあそういうことだ、今日はここまでにしろ」
「ですが、私はまだ何も聞き出せては──「うるせえぞひより。俺がここまでと言ったんだ。今日はもう終わりだ」──……はい、分かりました。致し方ありませんね」
「にしし、もうちょっと楽しみたかったんだけどなー」
「というわけだ。お前ら、試験当日までまだ時間はある。そして、俺たちCクラスは試験の前日、金曜日に投票先を全て決める。今回は異例の試験だ。他クラスの奴らと戦うわけじゃねえ。だからこそ──きっちり話し合いをしようぜ、なあ?」
退学を免れるために。
一人でも多くの賞賛を得るために。
高校卒業という人生の階段を一つ積み上げるために。
自らの希望を見出すべく言葉と真実の銃弾をその身に込める。
次回:本編でいう捜査パートに突入する!!
ということで今回は短めです。というか久しぶりすぎね。
あまりに気分で書いているせいで更新が遅すぎてすいません。せめてこの試験の終わりまで書きたいとは思っていますが些か書き溜めも何もないので、時間がかかると思います。下手すりゃ数年後……にはさせません、恐らく、めいびー。
原作もうる覚えでアニメも1期しか見てないのに何故書いているのか……最近ブームきてますよね。ロンパもよう実も。もっと二次創作も流行りやがれ。
追記
捜査パートは短めで、学級裁判は少し長めになりそうです。
本家みたいにガチガチなのは無理なので、普通にギャグ裁判としてお楽しみいただければ幸いです。
更新までしばし待たれよ……お気に入り登録ありがとうございます。