0円至上主義のバカ+α   作:一汎人

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2-5 DクラスのDはドアホのD

 魅音とのデートから1週間が経過し、もうテストまで残すところ後1週間とほんの数日になった。

 この1週間は諸事情によって色々密度の高い1週間となっており、例えばデートについて色々吐かされたり、美術室にお邪魔したり、魅音と付き合っていないことを必死に弁明したり、ひなたに追いかけられたり、篝と釣りをしに行ったりと、他にもいくつかあるが割愛するが、ともかく色々な事が起こった1週間だった。

 そしてそれらの出来事をしみじみと思い返していると、朝のHRからうち

 の担任は恐ろしいことを宣った。

 

「はーい、皆注目! 今日は皆に大切なお話があるの。再来週に行われるテストの範囲が、大幅に変更されることになりました」

 

 その爆弾発言に、いくら2番目に優秀と学校から評価されているBクラスといえど、動揺が隠せないようで、少しざわつき始めた。しかし、普段から真面目な生徒が多いおかげか、すぐに静かになって先生の方を向き、変更範囲を聞き逃さまいとしていた。

 

「まず今から変更されていく範囲を一教科ずつ伝えていくね。まず現代文が──……」

 

 俺は先生の話を聞きながら、ルーズリーフにテスト範囲の変更箇所をメモしていた。周囲の面々もそんな感じだった。

 変更された範囲を見てみると、どうやら事前に告知されていた範囲を大幅に変更しているようで、特に暗記科目に関しては覚えた知識が丸々使えないなどと言ったものもある。

 こうなってくると、例えばひなたや龍園、石崎あたりなんかには由良がまた勉強を教え直すことになるだろうし、Bクラスでも何かしらの対策がとられるだろう。

 はぁ、また暗記のし直しか……

 

 ◆

 

 あれから土日を挟んで、週の初めの月曜日のことだ。いつだかの時以来に、一之瀬が声をかけてきたのだ。

 

「ソウ君って今日昼休み用事あったりするかな?」

 

 ……あれ? 何かデジャヴを感じるぞ? 

 

「今日は特に無いな。どうかしたのか?」

 

「そろそろテストも近くなってきたし、ついでに言うと今日テスト範囲も変更されちゃったから、その辺りも含めてソウ君にも来てもらったら嬉しいんだけど、良いかな?」

 

 勉強会か。確か以前俺が聞かれた時は、その時はデートがあるって言って断ったんだったな。あの時は魅音の方が先に言ってきたから魅音の方を優先したけれど、今日は図書館での集いも暴君の号令も会長の誘いも何一つとして俺の予定には入っていないので、この勉強会に参加するのはやぶさかでは無い。というか、寧ろこちらから申し出たいくらいだった。

 

「全然問題ない。というか参加させてくれ。前回の結果にならないようにってのもあるし、他のクラスに勝ちたい奴らがいるから、そいつらに勝つためにもな」

 

「ありがとう! それじゃあ、まず今日の昼休み図書館に集合ってことで!」

 

「わかった。昼休みに図書館だな」

 

 ◆

 

 それから始まった勉強会ということだが、どういうことになっているのかというと……

 

「いいか、二重根号は公式をしっかりと頭に叩き込んでおけ。特に数学が苦手な奴なら尚更な」

「水素結合は大体FとOとNくらいしか出ないから、基本的にそこだけ覚えておくといいぞ」

「第四文型と第五文型の見分け方は、後に続く名詞がイコールで繋がるかどうかで判別するとわかる。第五はイコールで結ばれるからな。いいか、ダイゴの方だぞ」

 

 まあ、特定の教科が苦手な人たちに対してアドバイスとかを行なってたりする。とはいえ殆どアドバイスになってなかったりする気もするが、まあ大体はこんな感じでアドバイスをしながら、自分も苦手科目とかをクラスメイトに教わったりもしている。

 

「はぁ、にしても範囲変更なんてついてねーよな」

 

「全くだ。いつからこの高校は椚ヶ丘になったっていうんだろうな」

 

「まあこの段階で数2数3とか出されるよりかはマシだろ」

 

 あの学校ならそれをやると付け加えながら、一息ついて雑談している2人の会話に参加する。

 今は大体一区切りついて、10分くらい休憩するかということで、各々が背筋を伸ばしていたり雑談していたり本を読んでいたりと、いずれもリラックスしている様子だ。

 

 初期段階でのクラスの配属は、入学時点での生徒の成績等を反映しているらしいが、ひなたや由良、魅音から話を聞いていると、やはり生活態度とかも重要なポイントだと思う。一つ具体例を挙げるのなら、メリハリがつけれるかどうかだろうか? 

 他のクラスの話を聞いていると、DクラスやCクラスはなんかは授業が始まってもくっちゃべっている連中が多いらしく、逆にBやAはそう言った連中が殆どいない状態だ。

 そういった、授業時間と休み時間を区別できるかどうかが一つの参考基準なんじゃないか、というのは俺の考えであり、俺ら同中組の共通認識でもある。

 

 そしてこういう関心意欲態度の分野にあたる評価に関して、どうやって反対しているかというと……やはり中学校で直接見てるんじゃなかろうか? 

 だとしたら、全国各地の中学校にこの学校の関係者が誰かは居るわけだ。成る程、これが国立だからできること、というわけか。人材パないな。

 

 そんな事を考えていたら、休憩入ってから10分が経過しようとしたので、また勉強を再開しようかと、握り慣れたペンを持って机に向かうと、普段は紙を捲る音か、あって小さい声での会話くらいしか聞こえない筈の図書館で、獣のような怒号が鳴り響いた。

 一体何事だと顔を顰めて、その爆音源に目を向けてみると、どうやら同じく図書館で勉強をしていた生徒同士で揉めているようだ。騒ぐのなら図書館ではなく屋上や校舎裏とかにして欲しいものだ。

 

「ちょっと俺止めてくるわ。みんなは適当に勉強してくれ」

 

「それだったら私も行くよ。というか、私に任せてもらってもいいかな?」

 

 この騒ぎを収めるために、俺が出向こうとしたら、どうやら圧倒的美貌を誇る我らが委員長こと一之瀬がその役目に立候補したのであった。

 確かに、彼女に任せた方が余計なトラブルも起きないだろうが、一度行くと宣言してしまったので、俺が行くのが筋だろう。

 

「いや、俺1人で大丈夫だ。一之瀬も自分の勉強に取り掛かってくれ」

 

 そう言って俺はBクラスのみんながいるテーブルから離れて、その騒音地帯へと足を動かす。そこへ向かう途中に、やれDやらやれCやら言っていたので、どうやら彼らのクラスはそういう事なのだろう。しかし、それは別にどうでもいい事だ。

 

「ちょい、そこまでにしとけ。図書館では静かにしろって教わらなかったか?」

 

「ああ? んだよテメェ」

 

「おいおい、部外者は引っ込んでな」

 

 俺が仲裁に入ると、まあ案の定柄の悪い連中から悪態が帰ってくるが、それはまあわかりきってたことだ。多分、ただちょっと注意しただけで矛を収めるような連中なら、わざわざ図書館であそこまでうるさくはならないだろう。

 

「いや、俺が部外者かどうかはこの際どうでもいいだろ。それより、もう一回聞くぞ? 図書館では、静かにしろって、教わらなかったか?」

 

 区切りながら、ゆっくり、はっきりと言うことで、どうやら相手がもわかってくれたらしく、片方は「お、おう。そうだったな、悪い」と言って下がっていった。

 もう片方はその様子を見て、何かを言おうと口を開いていたのが見えていたので、流石にややキレた俺は「何だ? 言いたいことが伝わらなかったから? 何だ? 何処のクラスかは知らないが、少なくともお前はAならアホ、Bならバカ、Cならクレイジー(気狂い)でDならドアホだな。まあともかく、これが最後だ。図書館ではお静かに」と捲し立てるように言った。

 流石にここまで言われては何も言えなくなったらしく、また他の連中も止めていた甲斐もあってか、無事に事態を収めることに成功した。

 

 静かになった様子を見て、俺は自分の勉強に取り組もうと思って、Bクラスの方へと戻ろうとした矢先、背後から、とある女子生徒に声をかけられた。さっきの連中と一緒にいた奴で、所謂美少女というべき容姿を兼ね備えていた。

 

「さっきは止めてくれてありがとう! 私は櫛田桔梗って言うんだ! 良ければ名前を教えてくれないかなっ」

 

 そう言って名前を尋ねてきた美少女は、もし俺が由良やら魅音やらで、ある程度美少女系のビジュアルを持つ者に対する耐性を持っていなければ、間違いなく惚れてしまう程の可愛らしい笑顔であったが、生憎耐性持ちかつそれどころじゃない俺は、特にときめくこともなく、冷たい返事で「また縁が有ればな」と残して足早にその場を後にした。

 

 ◆

 

 時は昼休みから移り変わって、今は放課後。昼休み同様、任意参加でBクラスの勉強会を俺たちはやっていた。今度は特に揉め事などがある様子がなかったので、しっかりと勉強できた気がする。

 

「ふぅ、それじゃあ今日の所はここまでにしようか」

 

 そう一之瀬が解散の号令をかけると、数人以外は大体帰ろうとしていた。数人というのは、特に勉強が好きな奴だったり、仲のいい連中だったりした。

 俺はこの後も図書館で勉強をするつもりはないので、荷物をまとめてカバンに突っ込んで、ついでに消しカスとかもしっかりと集めてゴミ箱に捨ててから図書室を出ようとすると、篝に呼び止められてしまった。何用だろうか? 

 

「ソウってこの後はもうすぐ帰る感じ?」

 

「いや、職員室寄ってから、ついでにスーパー行って帰る」

 

「職員室?」

 

 疑問符を浮かべる篝に、ちょっと先生に用事があってなと伝えてから、挨拶してこの場をさろうとすると、篝が「面白そうだし、私もついてく」と言ってしまったので、じゃあ一緒に行こうかと返すほかなかった。

 

 廊下を歩きながら、世界平和など(中身のない話)を語り合いながら廊下を歩くこと数分。やってきたのは職員室だ。

 流石に職員室に入ると少し緊張してしまう。手のひらが少し湿ってくるのを感じながら、握り拳を作って職員室の扉をノックしようとした瞬間のことだった。

 

「あれ? 芽吹君に篝さん、職員室に何か用でもあるの」

 

「星之宮先生」

 

 ガラリと職員室の扉が開き、中から星之宮先生が出てきた。ちょうど先生に用事があったので、これ幸いと先生に「少々よろしいでしょうか?」と聞くと、「うん、大丈夫だよ!」と快い返事を頂いたので、遠慮なく本題を切り出すことにした。

 

 

 

 

 

「──過去3年間くらいの、中間テストの過去問って貰えたりしますかか?」




因みに今回芽吹君の当たりが強いのは、単純にそれだけ連中が騒がしかったというのと、勉強しようとした矢先に聞こえてきたので不機嫌になったというだけです。

久々にアンケートみたら未読の読者ニキが多くて草生えそう(KONAMI感)
原作の方がどう考えても拙作なこの作品より面白いので、まだ読んでないニキ達は買って見て♡
*ただし筆者は8巻までしか手元にない模様。

この作品で現状1番好きなオリキャラ

  • 芽吹創
  • 篝京香
  • 浅乃悠人
  • 椎名ひなた
  • 世蔵魅音
  • 赫鐘由良
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