放課後、俺達Bクラスの生徒は一度今後の方針について話し合うために全員集合していた。今後の方針、つまりは“Aクラスに上がるためにはどうすればいいか”を話し合うわけだ。
どうやらこの学校のシステムとして、個人で配布されたポイントとは別に、クラスごとのポイントもあるらしく、そのポイントが現在のAクラスのポイントを抜かせば、俺たちはBクラスからAクラスへと昇格することができるらしい。逆もまた然りだが。
この制度はこのままだとクラス間抗争を促すよくわかんないものとしか思えないが、さすが国立というべきか、俺たちが争わざるを得ない理由を用意してきた。
この学校の最大の売りである“卒業すれば希望する進学先・就職先への進学・就職率はほぼ100%”という最大の魅力が適用されるのは、実はAクラスだけとかいう後出しの情報。これにより、その特典を狙う大多数の生徒は、必然的にAクラスの座を争うこととなるのだ。
……学力レベルが高すぎて、無事に卒業できれば大体の大学は受かりそうとか一瞬思ったけど考えないようにしよう。
ひとまずは先ほどユートから教えてもらった情報を整理し終えたタイミングで、クラスの中心人物である一之瀬が声を上げた。
「それじゃあ、今から話し合いを始めるよ。この先何かこうした方がいいんじゃないかっていう意見があったら遠慮なく言ってね」
そう言ってBクラスの生徒の皆は近くにいる中のいい生徒と話し始める。
数分の間を置いたのち、篝がそっと手を挙げた。
「何かあるのかな? 京香ちゃん」
「取り敢えず、議論を円滑に進めるために、そして何よりクラスを一つの集団とするために“リーダー”を決めない?」
「“リーダー”か、確かにいいかもね」
笑顔で頷く一之瀬は、数秒何かを考えた仕草をすると、何か思いついたのか、あっと声を上げた。
「折角だから“リーダー”だけじゃなくて、係みたいなもの、“学級委員”を決めない?」
学級委員か……小中学時代に、例年4月あたりに決められるクラスでの役割は、少しでも楽なものを選ぼうとした記憶がある。
たとえば選挙管理委員会とかは選挙がなければ仕事がないし、副委員長も大抵の仕事は委員長がやってくれるから割と楽だった記憶がある。
そんな印象のある学級委員だが、クラスの皆はその意見に賛成らしく、「いいねいいねェ! 最ッ高だねェ!」とどっかのレベル5並みに強く同意している者もいた。
「じゃあ早速決めちゃおっか」
「はいはーい! 私学級委員長は一之瀬さんがいいと思いまーす!」
「俺も一之瀬がいいと思う」「確かに一之瀬って似合ってそうだよな」「それに賛成だ!」「ワイトもそう思います」
「そうかな?」
どうやら一之瀬はクラスの皆から圧倒的に支持されているらしく、さまざまな生徒が賛同の言葉を送っていた。ちなみにワイトのやつは俺だ。
ここまで支持を受けておいて、人のいい一之瀬には断り切れるはずもなく、どこか照れくさそうな様子で「今日から私が学級委員長だっ!」と宣言していた。
「さて、委員長が私になったということは、次は副委員長だね。誰か副委員長に立候補する人はいるかな?」
すると、何人かちらほら手を上げている生徒がいる──白波とか凄い手をピンと挙げている──が、それら全てを無視したユートがある男子生徒を推薦した。
「一之瀬、いや委員長と呼んだほうがいいか? 立候補するわけじゃないが、副委員長に推薦したい奴がいる」
「それはいったい誰かな? それと、私の呼び方は今まで通りでも大丈夫だよ」
「そいつさえ良ければになるが……
ユートの声に対し、神崎という男子生徒に視線が向かう。
このBクラスの生徒の中では1人でいることが多い生徒で、たまにユートが話しかけに言っているのを休み時間の間ちょくちょく見かける。
直接の面識はないが、直感的に割と仲良くなれそうなので、いつか話してみたいとは思っていたが、なかなか機会がなくて1ヶ月経った今でも関わりがない。……席が対角線上にあるのだから仕方ないだろう。
ユートの推薦を聞いた一之瀬は神崎に対し、「神崎君に副委員長やってもらってもいいかな?」と聞いていた。
これは明るく、対外的に印象の良い一之瀬を支える役目として、冷静かつ理屈的な神崎を副委員長に置くことで、クラスを良い方向へと導いていく作戦のようだ。*1
「俺でよければ構わない」
「そっか、ならお願いしようかな? 皆もそれでいい?」
委員長に言われては引き下がるしかないのか、それともクラスの面子と打ち解けている*2ユートの推薦だからか、
その後も続々と委員が決まっていき、なんやかんやあって書記になった俺が黒板に係の名前とかをまとめて……って、おい。
「何で俺が書記になってるんだよ」
「そりゃあ、ソウの字が意外と綺麗だからじゃねぇの?」
不満を漏らすような形で、近くにいた柴田にいうと、失礼なことを言った挙句、「なあ?」と周囲の皆に同意を求めやがった。しかもこのクラスの面子は揃いも揃って頷いている。
……腹立たしいので失礼なことを言った柴田と、真っ先に頷いていたメンバー──先日トランプで遊んだ面子の名前は筆記体で書いてやることにした。
──係を決めたことでクラスの団結力が上がった気がする。
◆
無事に委員が決まったようで、俺は今黒板に書いた係と名前を写真に撮ってから、一度黒板を綺麗に消しておく。
黒板を消していると粉とかが指についたりするから、極力黒板消しなどはしたくないが、書記になってしまったからには仕方ない。
「委員も決まったことだし、私から一つ皆に提案したいことがあるんだ」
委員長こと一之瀬が言うには、何かあった時用のため、また無駄遣いを抑制するために全員分のポイントを誰か1人──今回は委員長である“一之瀬”が預かると言ったものだ。
この意見に真っ先に賛成したのは篝で、余計にポイントを持っていたらすぐ釣具に使ってなくなりそうだと苦笑しながらその理由を話していた。
1人が賛同すると、やはり皆次々に賛成していき、皆次々とポイントを振り込んだらしく、気がついたら黒板を綺麗にすることに専念していた俺だけが取り残されていた。
「えっと、それでソウ君はどうかな?」
協力してくれるとありがたいんだけどなと漏らす彼女を見て、俺は協力せざるを得ないな、と思った。
もしここで俺が断れば、同調圧力という名の負の現象によって俺は暫くは嫌な奴として扱われるだろうし、何よりも白波からしばき倒されてしまう。そう、白波からしばき倒されてしまいそうだ。
加えて、ここで断った場合、一之瀬やユート、篝あまりが俺に抱くイメージはよくできた頭の良い友人*3から守銭奴という印象になってしまうだろう。
そんなのは嫌だし、そもそも拒否する必要もないので、俺はその要求を受け入れた。
「因みに、ポイントの振り込み方ってどうやるのか教えてもらって良いか?」
「わかったよ。やり方は──」
その後俺は一之瀬と副委員長の神崎からやり方を教えてもらい、俺の全財産である
◆
『1年Dクラスの
なんか不穏な放送を聴きながら、俺はクラスの皆と別れて1人でショッピングモールへと向かう。あの後は互いに情報交換をした後、解散という形になったからだ。
俺はその時にポイントの消費を最低限にする為の方法を幾つか教えたので、これが役に立てば良いなと思っていたりする。
それで、なぜ一人でこんなところに来ているのかというと、1ヶ月に1回と限定されていたりする無料の商品を買い漁りに来たのだ。
これもまたポイント消費を抑えるため、ひいてはアドを稼ぐためには必要なことであり、同様のことをする生徒が視界の先でチラホラ見受けられる。
多少ここに来る時間は遅くなってしまったが、まだ商品はある程度置いてあるだろうと思い、俺は商品を探しに向かった。
「おや、また会いましたね。と言ってもあなたはまた無視するのでしょうけど」
とはいえ意外と生徒の数が多く、目的の場所へ行こうにもなかなか進める気配がない。こうも人の数が多いと煩わしささえ感じてくるが、仕方のないことだと割り切るほかないだろう。
何とか歩くこと数分、ようやく目当ての店に着いた俺は目的の品である
この学校は娯楽物さえ我慢すれば衣食住に関しては保証してくれるらしく、衣服はこうして月1くらいに古着屋だったりリサイクルショップとかで古着や粗悪品を0ポイントで入手できる。
今の所私服を着る機会は殆どないが、集めておいて損はないだろうと思い、ひとまずは古着類は集めるようにしているのだ。まあ、俺がオシャレに気を使って外出する日なんて当分来ないとは思うがな。
どんどん設定が生えていく芽吹君。本来なら字が綺麗という予定はなかった。気がついたら字が綺麗ということになっていた。反省や後悔はしていない。
古着に関しては実際本編中でどうなのかは自分は知りませんがらまあ最低限必要な衣食住のうち、食と住だけがあんなにしっかりと保障されているのも変だよなと思ったのでそういう設定にしました。なので、もし原作にそれらしい記述があれば指摘してくださると幸いです。
この作品で現状1番好きなオリキャラ
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芽吹創
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篝京香
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浅乃悠人
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椎名ひなた
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世蔵魅音
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赫鐘由良