これは、将門との戦いが終わった美鈴が周倉と戦っている時のこと。
その時には将門は森を抜け、紅魔館に向かって足を進めていた。
やがて紅魔館が見えてくると、戦況も
「ふむ……あの妖精ども、力を分散させた
あの女傑が鍛えた部隊は見事という他無い」
門まで目と鼻の先の距離まで千の怨霊兵が押し寄せており、百しかいない門番隊は普通ならば成す術なく蹂躙されているはずだが今もなお防いでいる。
地上では
空中には残った四十名が壁をよじ登って侵入を試みる怨霊兵を片っ端から落として妨害している。
そんな状態の中でも戦意が落ちている様子は無く、逆に士気は上がっている様子だった。
「隊長は必ず帰ってくる!それまでここを、紅魔館を死守せよ!我らが隊長の荷物ではないことを思い知らせてやれーーー!!」
副隊長が士気を上げるために放った言葉。それは将門の耳にも届いた。届いてしまった。
「成程、紅美鈴が希望か」
将門は先程まで戦っていた美鈴のことを思い浮かべる。
鍛え抜かれた武術、瞬時の判断力、決して慢心をしない精神。そして部下の希望になれる人徳。
そのどれもが歴戦の武将だった将門にとって素晴らしいものだった。
その彼女が仕える主もまた無類の強さを持つ怪物なのだろう。
だからこそ将門は決断をする。慢心を捨てる。
「数ではここは容易く制圧は出来ぬ。紅美鈴、それを教えたのは貴様だ。
我が怨霊どもに告げる。これからは全て我が指揮を取る。そして──補充を開始せよ」
将門のこの命令、いや方針転換によって紅魔館は劣勢に陥ることになってしまう。
しかし美鈴が紅魔館を守るために命を懸けた結果が紅魔館を苦しめるとは誰が思うのだろうか。
怨霊兵は方針に従い、与えられた意識を速やかに本体──最も力のある怨霊兵──に渡す。
そして目を開けた時に起きたのは──
~紅魔館~
内部から突如現れた怨霊兵との庭での戦いは紅魔館側が優勢だった。
最初は奇襲されて混乱に陥っていたがそれも一瞬のことでレミリアの私兵「デモン・ワラキア」を筆頭にメイド長、十六夜咲夜や妖精メイドたちの加勢によって満足に戦える怨霊兵は少なくなっていった。
「盾持ち構えろ!雑魚どもの攻撃を押し戻せ!」
隊長格のミノタウロスの号令の下、迫り来る怨霊兵を前に盾を持つ紅魔兵が前で構え、迎撃の態勢に入る。
激突するもデモン・ワラキアの兵は豪傑揃い。この程度の攻撃では一歩も動かずに抑え込んだ。
「今だ槍持ち、頭を狙え!剣持ちは手足と顎を斬ってやれ!」
動きが鈍った瞬間に同時に怨霊兵を槍が襲ってくる。
頭を貫かれた怨霊兵は反撃にを試みるが視界の大部分が槍に隠れているため距離間も位置も把握しづらく空振りに終わってしまう。
そんな状態の中で剣で次々と四肢や顎を斬っていく。
そうすることで怨霊兵は死ぬことはないが地面に這いずることしか出来ず、顎も斬られたので嚙みついての攻撃も出来なくなり戦闘不能となっていった。
「なるほど。相手が死なないなら攻撃手段を殺すってことね。でもそんな手段取れるのはあなたたちだからよ。伊達に魔の公国軍とは名乗っていないようね」
咲夜はそんな評価を出しながら迫り来る怨霊兵の両目をナイフで刺し、視界を奪う。
緊急事態になったので妖精メイド全員を集結させて援護に走らせていたがその必要は無かったようだ。
そう思うほど戦況は圧倒的という他無かったのだ。
それにしても怨霊兵はなぜクリスタルから現れたのだろう?
そんな疑問を浮かべた時だった。
怨霊兵の動きが一斉に止まったのだ。
「どうした?こいつら全員動かなくなったぞ?」
「……何か嫌な予感がするな」
這いずっていた者、槍に貫かれた者、突撃していた者全てが時が止まったかのように動かなくなったのだ。
それを不気味に思う者も多く、戦況が大きく変わろうとしていた。
「何をしている!敵の動きが止まった隙に陣形を組み直す!急げ!」
隊長格のリビングアーマーの指示が響き渡ったことによって紅魔兵は陣形を整え始めた。
他の隊長格もそれに続き、咲夜も妖精メイドに距離を取るよう命令する。
その最中、怨霊兵は目を開いた。
「目を開けたぞ!何かしてくるかもしれない、気を付けろ!」
誰かが警戒を促したがそれは杞憂に終わった。
なぜなら動き出した怨霊兵たちは敵である咲夜たちではなく近くにいる味方の怨霊兵を襲ったのだから。
「は?」
攻撃手段が無い怨霊兵は残された頭を使い、頭突きで殺し合う。
そのうち意識を失ったのか動かなくなった怨霊兵は周りにいる怨霊兵によって取り込まれていく。
そんな光景があちこちで見られた。
だがそれを見て黙っている咲夜たちではない。
「頭を斬り落とすんだ!何するか分からんがこれ以上こいつらに好きにさせるな!」
ウェアウルフの指揮官がそう命令すると硬直していた紅魔兵たちは急いで近くにいる怨霊兵の頭を斬り落とした。
だが飛んだ頭と残された胴体は別の怨霊兵が喰らう。それを討伐する。また取り込みに来る。そんないたちごっこになっていた。
いたちごっこになってからしばらく時間が経つと怨霊兵は同士討ちをやめて立ち上がった。
そう、四肢を無くしたはずの怨霊兵が立ち上がったのだ。
いつの間にか手足は生えており、纏う瘴気も尋常ではなかった。
数は同士討ちの結界、大幅に減少したが油断は出来ない。
そう全員が身構えた時だった。
突如後ろから赤、青、黄など複数の色の光線が怨霊兵を襲ったのだ。
怨霊兵は爆風に飛ばされたり、上半身が無くなり倒れる者がいたりと混乱が生じた。
「……遅かったみたいね」
聞きなれた声がする後ろを向くとそこには紅魔館の誇る魔法使い、パチュリー・ノーレッジが立っていた。
「パチュリー様!?どうされたのですか!?」
パチュリーの登場は味方にとっても驚くもので紅魔兵からも困惑の声が聞こえてくる。
「おい、あれがパチュリー様、なのか?」
「隊長たちがあんなに驚いてんだ。そうに違いないだろ」
「今代のスカーレット公の朋友。原初、別名根源に最も近いと云われる賢者。賢者の石を作った偉大な魔法使い……。
初めて見たぜ……」
そんなざわめきを無視して咲夜は急いでパチュリーの下に向かう。
パチュリーの言った「遅かった」。
あれが何の意味を持つのか知りたかったから。
「パチュリー様、つかぬ事をお伺いしますが、遅かったとはどういう意味でしょうか?」
咲夜の予想は怨霊兵の同士討ちのことかと思ったがパチュリーは首を横に振って否定した。
「門を見なさい」
一言だけ告げると門の方を指さした。
釣られて門を見ると、信じられないようなことが起きていた。
「嘘……。門が──開いてる?」
正確に言うなら開き始めているのだがそんなことはどうでもよかった。
門番隊が全滅したのか?館内に撤退しているのか?まさか裏切ったのか?
そんな考えがよぎったが門の僅かな隙間からは今も戦っている門番隊の背が見えた。
なら、なぜ門が開いたのだ?
門が開き始めたことに気付いた紅魔兵たちはどよめき出すと同時に冷や汗を流し出した。
ただでさえここにいる怨霊兵の対処で手一杯なのに更に増援が来たならどうなるのか。
初めて優勢だった紅魔兵から恐怖の感情が湧いてきた。
そして、混乱から立ち直った館内にいた怨霊兵たちは一斉に紅魔兵に襲い掛かる──
門が開き始めたことに気付いたのは後方で休憩していた門番隊の一人だった。
「んぇ……何の音?って、え──?」
発生している音が門の開く音だと分かると急いで死ぬ気でこの場の指揮官である副隊長に報告に向かった。
「くっ……!こいつら、強くなっている……!?」
サーベルと外からの漂流物であるハンドガンで迎え撃つ副隊長は怨霊兵の変化に気付いていた。
実は彼女たちが見えない後方で館内と同じく同士討ちが行われており、ある程度補充を完了した怨霊兵が前線に投入されていた。
善戦していた門番隊も次第に劣勢になり、戦線の維持も限界を迎えていた。
──ここで退却するか。
指揮官としての判断はそうするべきだと言っているが彼女自身は諦めたくないのだ。
しかしここで退却しても遅い。前線が崩れれば怨霊兵は彼女たちを捕まえることがすぐに出来る距離にいるのだ。無事なのは空を飛んでいる者だけで後は無惨に殺される。
だからといってここで留まってもいつか疲労によって限界が生じ、全滅するのは確定。
つまり詰みなのだ。
しかし一番最悪な方法でそれを免れることになってしまった。
「副隊長、副隊長!」
「どうした!新手が来たか!それとも隊長が──」
「ち、違います!」
この場で戦う門番隊の希望である美鈴の帰還の可能性に目を輝かせる副隊長に真実を知る彼女はその希望を壊す思いで切り捨てるように否定した。
そして大きく息を吸って、この戦場で戦っている味方に声が届くように生きてる中で一番大きな声を出して絶望を告げた。
「も、門が……門が──開いていますーーーーー!!!」
その知らせを聞いた周りの門番隊は最初、理解出来ていなかった。
当たり前だろう。
防衛する部隊から壊滅したや突破されたとの報告が無かった、つまり異常はまだ起きているはずが無かったのだ。
やがてその意味を頭が理解すると同時に副隊長は報告した妖精の胸ぐらを掴んで怒鳴り散らした。
「ふざけたことを言うな!まだ私たちは戦っている!まだ守り切れていたはずだ!それがなぜ開いた!?答えろ、答えろ!」
「分かりません!そんなの私が知りたいですよ!」
普段温厚な彼女の叫んだ悲痛な叫びは怒りに塗れていた副隊長が正気に戻っていった。
「……すまない。頭に血がのぼっていたようだ」
「いえ……怒りたい気持ちは私も、ですから……」
「──もう、最後の言葉がそれで良いのですか?」
「誰だっ!」
謝罪が終わり不和の種が取り除かれると同時に何者かの声が聞こえてきた。
副隊長は声の方へ振り向くと開かれた門に立っている悪魔がいた。
そして悪魔には見覚えがあった。
「なっ!?貴様は、牢屋番の……!」
この悪魔、レミリアが気まぐれで雇った牢屋番だった。
だが牢屋に人はいないので特に仕事は無く、その退屈を紛らわすために妖精メイドに乱暴を働いたのだ。
これが問題となり美鈴に焼きを入れられた後、牢屋にぶち込まれたのだ。
それがなぜここにいるのか。
「おや?どうして私がここにいるか不思議のようですな。いいでしょう、話して差し上げましょう!」
悪魔は聞かれていないのに勝手に話し始めた。
無駄に長かったので省くとこうだった。
悪魔はこの戦争中でも牢屋に入れられていたが簡単に抜け出せたらしい。
しかしパチュリーがそれを見越して結界を作り、脱走出来なかったこと。
だが先程その結界が消失したという。
なおその原因は防衛結界の維持によって全ての魔力をそこに集めたので魔力不足となったのだ。
そして脱走し、復讐として門を開けたという。
パチュリーが庭まで来たのはこの悪魔が何かをする前に捕縛しようとしたからである。
「つまり、我々を、お嬢様を
「YES!その通り!私はあなたたちを手土産にして連合に降らせてもらいます。それではあの魔法使いに挨拶に行くのでさらば!」
悪魔は一礼すると、紅魔兵の中に飛んで行った。
副隊長は追おうとするが突如前線にいる門番隊から悲鳴が聞こえてきた。
「副隊長!急に、こいつら、力が強く……!ダメ……突破されま、す!」
「こっち……も、限界、です……!」
その声を合図としたように怨霊兵が方陣を破り、侵入してきたのだ。
ここまで来れば全員が死ぬと直感し、凄惨に殺される姿を見たくない恐怖から目を閉じた。
(隊長……!ごめん、なさい……!守れません、でした……!)
今も戦っているであろう隊長の美鈴に涙を出しながら謝罪して、最後の時を待った。
(…………?)
しかし来るはずの痛みも無く、悲鳴も聞こえず不審に思った副隊長は目を開けた。
「どうした?早く殺せ……って、は?」
目を開くと怨霊兵の姿が一人もいなかったのだ。
しかも怨霊兵の波に呑まれた者も無事で全員が困惑しているのだった。
「……どうなっているんだ?」
副隊長の呟きに誰も答えることは無かった。
分かったことは彼女たちは生き残ったのだ。
しかしそれに喜ぶ者はやはりいなかったのだった。
時を同じくして紅魔館の庭では。
門を開けた悪魔がパチュリーたちの前に現れていた。
「……あなたを生かすという判断が間違っていたわね。こうなるんだったらレミィに黙って処刑しておけばよかったわ」
「そう、あのチビは間違えた。私を殺しておけば必死で開く門を守っていた健気な彼女たちは死ぬことは無かったのだから」
パチュリーは何も答えずに手から火球を生み出すと悪魔に照準を合わせた。
「おぉ怖い怖い。かの賢者様にしては愚鈍な行動ですね。私の後ろが見えないわけではないでしょう?」
悪魔が後ろを指差すと外にいた怨霊兵がこっちに向かっていた。
これを撃っても悪魔は倒せるがその分怨霊兵からの被害が増えるだろう。
個人を選ぶか全体を選ぶか。
その答えは、悪魔に合わせる火球が答えだった。
「クハハハハッ!賢者も地に落ちたものだな!それほどまでに私を殺したいのか!」
「当たり前よ。いくら気まぐれで雇ったからってレミィはあなたをこの館の住人として歓迎した。それを
覚悟しなさい」
「それは恐ろしい。では私はここでお別れです。後は下の皆様にお任せしましょう」
「──弓兵、構え」
怨霊兵が言葉を喋った。
それに周りは驚くがパチュリーは気にも留めずに撃とうとする。
悪魔は余裕な笑みをしたまま空を飛んで逃げる。
だがあの距離では当たると確信しているパチュリーは躊躇も無くそれを放った。
それと同時に怨霊兵が矢を一斉に放つ。
火球のスピードは悪魔の飛ぶ速度より速く、あと少しで当たる。
しかし、賢者の計算で当たるはずだった火球が当たることは無かった。
何故なら怨霊兵が放った矢は全てその悪魔に命中したからだ。
「──え?」
翼が貫かれ、コントロールを失った悪魔はそのまま地面に叩きつけられる。
先程まで浮かべていた笑みは無くなりあるのは困惑している表情だった。
これにはパチュリーたちも驚くしかなかった。
悪魔が落ちた瞬間、前線で戦っていた怨霊兵が突如交戦をやめて悪魔の方に向かった。
戦場が困惑に満ちる中、その空気を引き裂いたのは悲鳴を上げる悪魔の声だった。
そちらを向くと悪魔は何と味方だった怨霊兵に襲われていたのだ。
「ま、待て!私はあなたたちの味方ですぞ!?私が門を開けなかったら苦戦は必須!それを理解していないのか!?
やめろ、やめろ!やめてくれえーーー!!!」
触れるだけで呪いは浸食されるのだ。
それが千を超える数だとどうなるのか、最早言うまでもないだろう。
手足が噛み千切られ、目や耳は引き裂かれ、内蔵を貪られるのは悲惨の一言しか無かった。
紅魔館の全員が呆然とその光景を見ていた時だった。
──パリン
ガラスが割れたような音が紅魔館を包んだ。
その音が何なのかを知るパチュリーは顔を蒼褪めて空を見上げた。
それに釣られて咲夜も空を見ると──
「結界が、割れている……?」
防衛結界が消えていたのだ。
驚きの連続で硬直していた咲夜だったが何かが頭を小突いたことで我を取り戻すことが出来た。
「痛っ。ってあなたはお嬢様の……」
ちょうどその時。
「門が開いていたのはそういうことか」
──平将門が紅魔館に侵入した。
将門が紅魔館に侵入した瞬間、全員を襲ったのは圧倒的な恐怖だった。
意思の弱い者は失神し、ある程度強い者は発狂して、周りから無理やり気絶させられた。強い者は身体全体が震え、息を大きく荒げていた。
パチュリーは本能と理性からの警鐘が鳴り響き、勝てないことを悟る。
咲夜はこの者こそ将門だと直感で感じ、先程レミリアから下された命令を執行しようとする。
だがそれを止めたのは今もなお襲われていた悪魔だった。
「貴方がリーダーですか!?助けてくれ!貴方の兵が私を殺そうとするんだ!頼む!私はまだ死にたくないんだ!」
「そうか、だが残念だな。貴様を殺すのは決定事項だ。諦めろ」
「────は?」
その顔は絶望に染まっていた。
「貴様、我ら反八雲連合の絶対の一つの掟を知っておるか?と言ってもその様子では知らぬよう故、我が直々に教えてやる。
──我ら連合は裏切り、寝返り、降伏、内通、反逆、逆心、謀反等全ての背信行為は死刑に値する。
貴様はそれを破った。故に死ぬ」
「ま、待ってくれ!私は味方になった!敵じゃない!これから連合のために全てを捧げる!だから助けて、助けてくれーーー!!」
「では命を捧げよ」
泣き叫ぶ悪魔の悲鳴が響くがその声を段々弱まっていき、一分も経たないうちに怨霊兵の群れに飲み込まれてそのまま消えていき残ったものは何も無かった。
味方になったはずの悪魔を残酷な方法で殺した将門の冷酷さを目の当たりにした紅魔兵たちにはもはや最初にあった歴戦の強者の気配は感じられず初めて人を殺した新兵のように怯えていた。
こうなってはもう戦闘は継続不可能で仮に戦ったとしても将門が相手では傷どころかその身に当てることさえ出来ないだろう。
だからこそ──
「パチュリー様!」
「分かってるわよ」
将門の相手は自分たちではない。
将門の真下から魔法陣が出現すると将門を包むように輝き始めた。
「これは……!」
「今から送る場所は貴方にとっての墓場。そこに貴方の対戦相手がいるから精々逃げることね。だって相手は──」
──傲岸不遜をその身で駆ける
~???~
魔法陣から溢れる光が消え、目を開けるとそこは大きな空間があった。
(ここはあの庭ではない、ということはあの魔法陣は転移のものか。だがここは一体何処だ?)
将門は見慣れない空間を見渡す。
その目的は単なる好奇心ではなくここで戦闘が起きてもどこで戦えばいいのかを調べているのだ。
「──ようこそ、我が館に攻めて来た愚かで勇敢な侵入者よ」
「……何奴か」
声のする正面の方に注目すると、先程までは無かった玉座があり、そこに吸血鬼の少女が座っていた。
~玉座の間~
「フフッ、そうね、自己紹介がまだだったわね。
紅魔館の主にして、幻想郷最強の吸血鬼。名をレミリア・スカーレット。そちらは?」
「先に名乗られたなら名乗るしかあるまい。
我は反八雲連合最高幹部、”巫女殺し”が一人。そしてこの紅魔館制圧作戦総大将。名を平将門。貴様に引導を渡す名だ」
名乗りを終えると将門は己の持つ瘴気を放出し、威圧する。
対してレミリアも己の所有する魔力を一気に放ち、同じく威圧をかける。
両雄の覇気は互いに激しく激突し、その境界が見えるほどに強力で間に挟まれている空間は悲鳴を上げておりそこの床はボロボロにひび割れていた。
「レミリア・スカーレット。噂に違わぬ力と傲慢さだな。だが、ここからは言葉など要らぬ」
「ええそうね、私もそう思っていたところよ。案外私たち仲良くできそうね」
将門はレミリアの言葉を返すことなく腰に差してる刀を手に取り鞘を抜いた。
レミリアも玉座から立ち上がると彼女の愛槍「スピア・ザ・グングニル」を構え、穂先を将門に向ける。
それと共に覇気も強く流れており、この空間が崩壊する危険性もあった。
だが両雄はそんな匙など気にも留めない。留めるわけが無い。
余計なことを考えたら死、あるのみ。
そして──
「将門参る!」
「死の運命から抜け出して見なさい!怨霊!」
怪物たちが激突する──