先の戦闘から帰還して2日。戦闘に参加したプルトナスたちは休暇を貰い、それぞれの休日を過ごしていた。
プルトナスと同期で軍に入ったこともあり、ニュクスはオフでも彼と共に過ごすことが多い。
「プルト、お前本当にオレンジソースのパスタ好きだよな。ここに来ると、毎回それじゃね?」
「そういうニュクスこそ、ここに来ると燻製メニューばかり頼むだろ。お互い様だ」
「まあな」
イルガルの首都、『アイオール』の街で一般的な金銭と味を誇る定食屋で、2人は丸テーブルで向き合って座る。
遠征任務から1週間は、非常事態の場合を除いて完全な休日というのが、軍の規則である。2人は同じ任務から帰った後は1日時間を開けて、2日目になってから落ち合って昼ご飯を食べる、というのが半ば習慣のような約束となっていた。
「今回の国、やたら金払いが良かったよな。いつもより、入金多かった」
ニュクスは燻製肉特有の香りと食感を楽しみながら、今回の任務についての話題を投げた。
「そう言われればそうだな。まあ、ちゃんと確認してないが」
「プルト〜、お前ほんっと金に対する頓着少ないよな。オレたち、何のために命張って他国の戦争に手ェ貸してるんだって話よ」
「生きるためだろ。生きるって目的は達成してるんだから、それ以上は別にいらないよ」
「うへぇ、マジかお前……」
プルトナスの言い分に半ば呆れつつ、ニュクスは炭酸の効いたレモンジュースをゴクゴクと飲む。
「プルトってほんとストイックと言うか、ブレないっていうか……。ま、そんなプルトだから、若手No. 1
「No. 1になったのは、ただの結果だよ。最初の希望は近接職……プセマだったんだが……」
「言ってたなぁ。でも、プセマじゃなくて正解だったと思うぞ」
言いながらニュクスはここに来る途中に購入した新聞を差し出し、一面をプルトに見せつける。そこには、2日まで隣にいて共に任務をこなしていたカロナの写真と、
『天才プセマ使いの快進撃が止まらないっ!』
という見出しの文字がデカデカと載っていた。
新聞をテーブルの上に置いたニュクスは、化粧がバッチリ施された写真のカロナに指を当てた。
「プセマ使ってたら、我らが天才お姫様と嫌でも比べられることになるんだぜ?」
「……確かに、そうだな」
普段は幼さを感じさせる顔つきと表情だが、その要素を限りなく誤魔化す化粧の技術に、プルトナスは舌を巻く。好物であるオレンジソースのパスタを食べ進めるプルトナスをよそに、ニュクスは同僚であり自分たちのチームの顔であるカロナのことを朗々と語る。
「上級貴族オラトロス家の次女にして、天才女流剣士! 実力はもちろんだけど、何より超可愛い! 貴族という国防に専念出来る地位ながら派兵組に志願! 瞬く間に若手ナンバーワンのプセマ使いになったかと思えば、この国では並ぶ者がいないプセマ使いへ! 一小隊の結成権を与えられた次の日にはチームを結成し、そのチームは結成以来半年間戦果を出し続けてる! まあ、オレたちのことだな!」
最終的に自分たちの戦果も誇る語り口となったが、真実であることに違いないため、プルトナスは「そうだな」と相槌を打った。
実際、カロナの剣術とプセマの扱いは凄まじいものがあると、プルトナスは思っている。仮に、自分がプセマを使っていたとしたら、あまりの才能と実力差に嫉妬してしまうだろうな、ということも。
そんなことを思いながらプルトナスはパスタを食べ続ける。そしてそれの完食が見えてきた、その時、
「すみません。相席、良いですか?」
ふと、鈴が鳴るような可愛らしい声で相席を求められた。
「いいですけど……。まだ他の席も空いて……」
プルトナスは言いながら、相席を求めてきた少女を見る。
眼鏡や帽子で隠されてはいるものの、彼女の顔はテーブルの上に乗っている新聞の写真と同じものだと気付き、プルトナスは思わず言葉を失った。
「カロナちゃ……」
思わずカロナの名前を呼びかけたニュクスだが、カロナは彼の口に静かに、それでいてそっと人差し指を当てて、「shhhh……」と静かに、それでいて茶目っ気たっぷりに言った。
サプライズ訪問というイタズラを成功させたカロナは、ニコッと笑う。
「やっと見つけた。2人が遠征任務から帰った2日後に、行きつけのお店でご飯食べてるのは知ってたけど……ようやく、見つけた。いいお店だね」
勝手知ったる我が家のような自然な振る舞いでカロナは2人の隣に座り、メニュー表へと手を伸ばす。
「貴族様でも、こういう場所で飯を食べるのか。意外だな」
「プルトには意外に見える? 私としては、家で食べる食事は疲れますし肩がこるから……こういう場所の方が、好きなの」
言われてみればコイツ軍にいる時は率先して共同食堂の飯食ってるなと、プルトナスは思い出した。
何食べようかなー、と呟きながらメニューを選ぶカロナを、プルトナスは頬杖をつきながら見ていた。
ほんの少し青色を含んだ白い生地のワンピースに、細い足首を編み込むサンダル。身につけているものは一見質素に見えても、良く見れば所々に丁寧な意匠や質の良さが見え隠れしていて、育ちや家柄の良さが窺えた。
この国において、青と白という色の組み合わせは『戦火の無い晴れやかな空』という意味合いがある。良い色であり、祝い事の場では必ず用いられる色である。
また同時に、その色を身体に宿す者は高貴な者という認識もあるため、この国で青い瞳と白銀の髪のどちらか、又はその両方を持つ人は、一部の例外を除いてほぼ貴族である。
眼鏡と帽子に隠された彼女の空色の瞳と白銀の髪を見ながら、プルトナスは、
(貴族だってのに……、戦う義務もないのに戦場に踏み込んできて……こんな首都の下町で食べる飯が好き、か……)
彼女はつくづく貴族らしく無いなと、改めて思った。
そんなプルトナスの視線や思考に気づかないカロナはメニュー表を流し読みし続けていたが、不意に瞳をキラキラと輝かせた。
「あっ、鹿カツ! このお店、鹿カツがあるんですか!?」
鹿という好物の文字を見つけて、わかりやすく嬉しそうな反応を見せる。
子供のような無邪気さを思わせる反応を見てプルトナスは、
「あるぞ」
素直に事実だけ答えた。その一方でニュクスは、
「ありますよ〜。しかもカロナちゃん、よく見て? その下には『鹿カツカレー』の文字が見えない?」
「見え……ます! ニュクス、よく見つけましたね。ありがとうございます」
「いやいや、これくらいはなんて事ない。お礼ついでにデートしてくれたらオレはとっても嬉しいんだけど……」
「それは嫌です」
ニュクスの希望をカロナは愛剣プセマ並みの切れ味を持つ一言で切り捨てて、「すみません、注文よろしいですか?」と、近くにいる女性店員を笑顔で呼びつけた。
希望を断たれてテーブルの上に倒れるニュクスに、プルトナスは一応声をかける。
「よく懲りないな。デート断られるだけで何回目だ?」
「……デート断られるので27回。冷たい反応されるのは細かいの含めて304回だ……」
めげずに挑み続けるニュクスのメンタルは本当に素晴らしいと感嘆しつつも、全てをカウントしてるのは流石にプルトナスでも引いた。
「お待たせしました〜、ご注文を伺います〜」
やってきた店員は丁寧に結わえられた黒髪と微笑んだ時に細まる黒の瞳が可愛らしい、ここの店の看板娘だった。ここの店主の一人娘でもある彼女に向けて、カロナはにっこりと微笑みながらオーダーをする。
「この、鹿カツカレーを1つお願いします」
「はい〜、鹿カツカレーですね〜。こちら、ドリンクとサラダが付いたお得なセットもありますけど、いかがですか〜?」
「えーと……、あ、本当ですね、お値段あんまり変わらないでこれはお得ですね。それじゃ、グリーンサラダとグレープフルーツジュースをお願いできますか?」
「……、あ、はい〜、グリーンサラダと、グレープフルーツジュースですね〜。……えっと、ほかにご注文の方は、ありますか……?」
オーダーを受ける店員の対応に違和感を覚えたプルトナスはそれとなく彼女の表情を伺った。店員はカロナの顔をじっと見ていて、時折、テーブルの上に置かれた新聞をチラ見して見比べているようだった。
カロナも看板娘の挙動の不自然さに気付いたようで、メニュー表で口元を隠し、その奥で楽しげに口元を緩めた。
「……どうか、されましたか?」
何も気づいていない風を装いながらカロナが問いかける姿を見て、プルトナスはお姫様のイタズラが始まったぞ、と内心呟く。
もはや十中八九気付いてはいるが……という様子で、看板娘はカロナに問いかける。
「あ、その……もしかして……カロナ・オラトロス様……ですか?」
「……ふふ、そう見える?」
明確には答えないものの、正解ですよと顔に書いた状態で、カロナはイタズラ気味な笑顔で答える。
看板娘はそれを肯定と捉えて、赤面しつつ1つお願い事をした。
「あの……あ、握手……してもらっても、いいですか……?」
「あはは、もちろんです」
軽い調子で答えたカロナは、これまた軽くフランクに看板娘の手を取り、柔らかく握って握手に応じた。
「──ー///!」
林檎のように顔を真っ赤に染めた看板娘は、カロナとの握手を堪能した後、パタパタと厨房へと消えていった。
ニコニコと楽しそうに顔を綻ばせるカロナに向けて、プルトナスは呆れたようにため息を吐いた。
「随分楽しそうに人をおちょくるんだな」
「ええ。……不快な気持ちにさせましたか?」
「いや……」
単に身分の差を感じただけだ、という言葉をプルトナスはパスタと共に身体の中へと押し込んだ。
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「プルトに逃げられた!」
昼食を食べ終え、感涙に浸る店の主人に個別でお会計を済ませたところで、カロナは叫んだ。カロナが支払いをしている間に、プルトナスはどこかへと姿を消してしまったのだ。
「まあまあ、カロナちゃん落ち着いて」
ニュクスが人当たりの良い笑顔でなだめにかかるが、
「落ち着いてなんていられません! せっかく堅苦しい食事会から抜け出してまでここに来たのに!」
この食堂に来るまでにご実家の方で色々苦労があったらしいカロナはプンスカと憤慨していた。
「ニュクス! プルトが行きそうな場所に心当たりは無いのですか!」
「あるにはあるけど……行かない方がいいと思うよ?」
心当たりがある、というニュアンスの言い方をしたニュクスだが、本当はプルトナスがどこにいるのかを知っていた。というより、そこ以外にないことを理解していたのだ。
「行かない方がいいって……まさか、その……男性特有の……え、えっちなお店とかですか……?」
恥ずかしげに言葉を選んだカロナを見て、ニュクスそれでおちょくるのもアリかなと思ったが、そうしたいのをグッと堪えて真実を告げた。
「あはは、そういうお店じゃなくて……多分、お墓に挨拶しに行ってる」
「あ……」
お墓、という言葉を聞いて、カロナは口を噤んだ。それだけでカロナが理解してくれたことを察したニュクスだったが、念を押すように言葉を重ねる。
「病気で亡くなった妹さんと……戦死した父親の墓参りに行ってると思うよ」
古い時代から派兵という仕事を生業にし続けたこの国にとって、身内が派兵で亡くなったという出来事は何一つ珍しくない。
親兄弟の最期を見届けることが出来たなら幸運……と言われるほどに、この国には身内との死別が当たり前のように満ちていた。
それはプルトナスもニュクスも……そしてこの場にいないもう1人の
唯一、カロナだけ……本来なら戦線と程遠い貴族であるはずのカロナだけが、戦争による身内の死を知らない。そんな彼女だからこそ……
「……そう、ですか……」
唇を噛み締めて、感情を必死に押し殺そうとするカロナを見て、ニュクスは優しげな柔らかな表情を浮かべた。
「カロナちゃんは良い子だね」
「良い子ではありません……茶化さないでください」
「はいはい」
今すぐプルトナスに会いに行きたいけど必死に我慢してます、と顔に書いていながらも毅然とした声色で話すカロナに免じて、ニュクスはこの話題を打ち切ることに決めた。
はぁ……と、心底残念そうなため息を吐いたカロナは、ニュクスの目をしっかり見てから口を開いた。
「ニュクス……プルトに会ったら、伝言をお願い出来ますか?」
なんて事のない頼みごと……とは言い難い、至極真剣な表情と雰囲気で話すカロナを前にして、ニュクスの心の中に嫌な予感が広がる。
「伝言? いいけど……内容は?」
この予感が外れてくれとニュクスは願うが、カロナは躊躇う事なく、
「すぐにみんなにも連絡が行くはずですが……次の仕事についてです」
ニュクスの予感を現実のものにした。
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向かう先の道すがらの花屋で、個人を悼む意味合いを花言葉に持つ話を買ったプルトナスは墓地を訪れていた。
何度も訪れ、勝手知ったる場所であるがために、プルトナスは迷わず墓地の奥へと向かう。
この墓地は軍の関係者を弔うための場所であり、生前の階級によって埋葬場所が決められている。基本的に……奥に行けば行くほど、高い地位の者が眠っている。
プルトナスは、おおよそ一兵卒と呼べる者たちが眠る場所のさらに奥……多くの人を率いる立場だった者や、国を救う程の武勲を立てた者たちが眠る区域に踏み入る。
そしてその中の一つの墓石の前で……自らの家の紋が刻まれた墓の前で足を止め、片膝をつき、
「……父さん、今回もちゃんと帰って来たよ」
この場所で眠り続けている父へと、帰還の報告をした。
「今回の任務は、トリオン兵生産工場への侵入でさ……」
墓石を磨き、花を差し替えながら、プルトナスは答えを返さない父へ今回の任務がどんなものだったかを伝える。
「……そう、だから……終わってみれば代わり映えしない、いつも通りの仕事だったよ」
一通り、墓石の手入れと仕事の報告を同時に終えたプルトナスは、首から下げたネックレスを握りながら祈りを捧げた。
「次もまた、ちゃんと帰ってくるから……だから、父さんは安心してここで待っててよ」
プルトナスとて、この言葉が
人は死ぬ時には死ぬし、完全に失われた命は2度と戻ることは無い。
軍に属してまだ数年のプルトナスだが、仕事で敵味方、知人他人問わず多くの死を間近で見てきた。
生者の
死者の
ゆえに、プルトナスはこの墓参りがただの自己満足だと認めている。自己満足だとしても、他人から見てそれが滑稽だとしても……それが戦場から生きて帰る理由になるなら、それは尊ばれるもので良いのではないかと、プルトナスは自身にずっと言い聞かせていた。
父親への祈りを解いたその瞬間……まるで今その場に現れたかのような気配を感じたプルトナスは、小さく笑んだ。
「相変わらず……狙いすましたようなタイミングで現れるな、ニュクス」
振り返りながら言うと、そこには案の定人当たりの良い笑顔を浮かべたニュクスがいた。
「いやいや、偶然だって」
言いながらニュクスはプルトナスの隣に並び、同じように花屋で買ってきたであろう花を墓に添えて手を合わせた。
「いつ見ても思うけど……立派な墓だな」
「そうか? ……墓石に刻まれてる通り名さえなかったら、立派な墓だって思えたかもな」
プルトナスの目線はニュクスではなく、墓石に刻まれた父親の二つ名へと向いていた。
『臆病な英雄』
視線の先に気づいたニュクスは、なんとも言い難い感情を誤魔化すような苦笑いを浮かべた。
「字面だけ見たら酷いものに見えるかもしれないけどさ……でも、お前の親父さんは凄え人だったよ。軍の中じゃ、誰もがそれを認めてる」
「臆病呼ばわりだけどな」
「そりゃ上層部の一部のやっかみのせいだろ。10年以上、大小問わず部隊を率いて、隊員の生還率98%……立派とかそんなありきたりな言葉で終わらせちゃいけない、とんでもない実績だよ」
挙げる戦果こそ人並みなものだったが……損害を減らして任務を終える事に関してプルトナスの父は群を抜いた天才だった。
プルトナスとて、父親の実績の凄さは認めているが……ただ、人の前で父親の凄さを喜んでしまうのが気恥ずかしい、どこにでもいるような子供の気持ちが邪魔をして、素直になれずにいた。
偉大な父親から話題を逸らすべく、プルトナスは1つ意識して息をしてからニュクスに話しかけた。
「それで……何か用でもあったか? わざわざ人の家の墓参りに来るような奴じゃないだろ?」
「んー、まあね。用というか……次の仕事の話だ」
次の仕事という言葉を脳が認識した瞬間、プルトナスは訝しげな表情を見せた。
「早いな……他のチームは何をしてる?」
「他のチームというか……プルト、まずは表情を落ち着かせてくれ。
「ん……」
感情が表情に現れやすい癖を指摘され、プルトナスは「悪い悪い」と素直に詫びを入れた。
真面目な上に、兵として優秀な相棒の数少ない弱みを心の中に仕舞い込んでから、ニュクスは仕事の話を再開した。
「まず依頼主は……聞いて驚け、あのアフトクラトルだ」
ーアフトクラトルー
その国の名前を聞いた瞬間、プルトナスの表情が強張った。
「神の国、とまで言われる軍事国家が……近隣の小国を落として属国にするような国が、わざわざこんな小国に金を出してまで兵を借りたがるか?」
「借りる理由は……色々あるだろうけど、とりあえず兵力不足じゃないだろうな。まあ……向こうはオレたちのチームを指名してきたみたいだし、きっと、
「……その辺が理由としては無難か」
心の中の全ての疑問が晴れたわけではなかったが、ここでニュクスと議論しても仕方ない事だと思い、プルトナスは奇妙な依頼主の思惑について考えるのを一旦やめた。
墓参りを終えたのにいつまでも父親が眠る
歩きながらプルトナスは、なんの気なしに1つ質問をした。
「依頼主がアフトクラトルなのは分かったが……内容は? 防衛? 襲撃?」
「カロナちゃんが言うには、襲撃らしいよ」
「襲撃か……相手は?」
「ええと……確か……」
ニュクスは記憶を辿り、カロナから説明された国の名前をプルトナスへと告げた。
「城砦国家『カルワリア』だ」
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夥しい量のトリオン兵の残骸が散らばるカルワリアの市街地の中に、乾いた風が吹き込む。
その乾いた風は侵攻の足音を絶えず届け続けていたのだが、それがついに途絶えた。
「今ので最後か?」
砕けたトリオン兵の残骸の上に乗る1人の少年兵が、色の抜け落ちた白髪を風に揺らしながら、小さく呟いた。
『そのようだな』
答える声は、あった。
答えたのは少年の左腕……黒を基調として赤いラインが走る戦闘体の左腕が、少年の呟きに答えた。
その声に、少年は驚かない。そこにいるのが当たり前だと言わんばかりに、表情を崩す事なく感情の色が薄い声で言葉を紡ぐ。
「ひとまずここは大丈夫……だけど、向こうはまだかな」
言いながら少年は赤い視線を動かして、仲間たちが守っている別の地区を見据える。
その方向は未だ戦火や煙りが途絶えず、耳を澄ませば微かに爆音や叫び声が聴こえていた。
少年は左腕に尋ねる。
「レプリカ、あっち助けに行った方がいいか?」
少年の問いかけに、
『それを決めるのは私ではない。遊真自身だ』
「わかった。じゃあ、助けに行こう」
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城砦国家カルワリアを守る『
派兵国家イルガルが誇る『
彼らの
イルガルという国は色んな国に仕事しに行ってその国の文化を持ち帰るので、文化的にゴチャゴチャしてます。
顕著なのが食文化