もはや、自分が何のために歩いているかすら覚えていない。そんなものはなかったのかもしれない。そんな事を考えながら、少女…………ヴェローチカ・グリムは大木の根に腰掛ける。ふ、と辺りを見渡すと、草木や大樹とは別に、異質な輝きを持つ物が目に入る。
少なくとも、狼やその他の動物達とは違う、所々に苔の生えた骨だ。大きな頭部には角であろう骨が、長い背骨に途中から左右に別れた太い骨。
「
強靭な肉体と高い凶暴性を兼ね備えた、最強最悪の陸の覇者だ。ヴェローチカは過去に何度か交戦した
が、殺しきる事は出来ず、逃げられることが当たり前だった。
街を、まるで紙切れのごとく燃やし尽くし、国に多大な損害を与える災い、それが今、こんな哀れな姿になって転がっている。
「ま、今
ぶらぶらと足を遊ばせ、唇を吊り上げる。
弱っちい人間だから仕方ない、
「そういう私も前は人間だった。この世の……世界の《真実》を知ってしまったはるか昔のあの日……」そこまで思いだし、ふ、と違和感に気づく。しゃりしゃりと砂利を踏む足音と共に、何か……重い物でも引きずっているかのような音まで聞こえる。そして、不気味な笑い声、それらが一斉に自分が背を預けている大樹に向かって、背後から聞こえてくる。
生唾を飲み込み、お馴染みの剣精霊を呼び出す。足音がすぐそこまで迫り、大樹から顔を出す、その時に大樹から背を離し、来るであろう敵に刃を向ける、が。
「なっ……いない?」
刃は虚空に止まっただけ、足元にはつい先程まで何かを引きずっていた後がくっきりと残っている。ならば、どこへ消えた。
「ハアーイ、英雄さん、ご機嫌いかが?」
背筋をぞわぞわとさせる猫なで声が背後から掛かる。ヒュン!と刀を振り抜くも、それは声の主に届かずに、光の粒子に還元された。
驚愕に目を見開くヴェローチカが見たのは、違和感の固まりだった。
腰辺りまで伸ばした髪は青く、瞳も同じように青だ。ニタニタと笑う顔に光の失せた瞳、一目見れば美しいとさえ思うが……言葉に言い表せない違和感が確かに存在する。本来、海で暮らす生物が陸で活動しているような、矛盾と違和感を兼ね備えた女は、ゆっくりと口を開く。
「感傷してたとこ悪いんだけど、ちょ~っと死んでくれないかな?死ねないなら記憶をちょうだーい。あーでも、アイツが煩いからなぁ……殺すのだけは勘弁してあ・げ・る」
ちろりと頬を撫でる、まるで蛇のように長い舌に怯みつつも、一方的に捲し立てる女を睨み付ける。
「あ、ごっめーん、私って脅しとか効かないタイプでさぁ、ゴミみたいに弱い英雄なんてちょちょいのちょいでご飯にできちゃうんだぁ!」
長い爪が眼球の表面をえぐり、頭蓋の奥まで侵入する。腕を押さえて止めようとするも、その細い腕からは考えられない程の力がある。
ヴェローチカの声にならない悲鳴を聞きながら、女は朗らかに笑う。何かを掴み、引きずり出される感覚に背筋を凍えさせながらも、ふらふらとした足取りで間合いをとった。
「ふぅん、これが英雄さんの記憶……なぁに、これ?弱っちくて軟弱で、それでいて威勢だけはいい……英雄じゃなくてわんちゃんじゃない」
ずきずきと痛む目を押さえ、震える声で
「うる……さい……っ!」
と言うも、鼻で笑われた。女は、しまった、と言わんばかりに口元に手を当てて、数歩さがってスカートの裾を少し上げる。
「自己紹介がまだだったわねぇ……ワタシは……そうね、ラプラスとでも、名乗ろうかしら?」
ふざけたように笑う女に
「ハッ……大層な名前……だね……っ!!」
痛みに堪らず膝を付き、荒い吐息を吐き出す。今だケタケタと笑う女は、青い輝きを放つ結晶を握り潰して…………そこから意識は闇に沈んだ。たった一言、耳に染み付いた。
「天使様も、案外鬼畜ねえ」
天使……?そう考える間もなく、まるで、頭に杭を打たれたかと錯覚するような焼ける痛みが体を駆け巡り、ぷつん、と糸の切れた人形のごとく地面に倒れ伏した。
キャラ設定のページは作るか否か迷ってます、よければコメントで意見を聞かせてもらえると嬉しいです。
皆様多分分かっていらっしゃると思いますけど主人公人間じゃないですからねw元エブ民としては力があるだけじゃ化物とは言えませんからね(持論)
あ、近々新作だします。更新は新作と同時進行でいくので、ダイジョブです。てかこれ見てくれてる人いんのかねwwwwwwww