亡霊殺しのニブルヘイム【練習用】   作:名無しのタラコ

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 ハーメルン様で執筆していらっしゃる方の作品を見てみると、自分の作品がとても拙く見えますね(事実)
 僕も頑張らないとなぁ…………。


chapter9~真実~

 そこは『無』だ、真っ白な空間だけがだだっ広くあるだけで、陸も、海も、空も、はたまた酸素すらないその世界に、ふ、と影が差す。

 マネキンのような生命感に乏しい影は、淡い光を放つ。

 何もなかった頭部には艶やかな髪が、薄手の布で出来た服が、赤い瞳が出来上がる。背中には六枚三対の羽が生え、天使のようにも見える。

 彼女ーー便宜上そう言うのならーーは、所謂『神』のような存在だ。

 しかし、彼女は人によって『創られた神』であり、今は人の制御下を離れ、独立して動いている。

 『無』の空間の一部が、突然渦を巻き、中から一人の女が現れる。

 不気味なまでの美しさは、天使めいた女も眉を潜める程だ。

 

 「アレはどうなりました?」

 枯れた老婆のような声が空間に響き渡る。

 

 「破片なら、もってるけどぉ?」

 重力を無視した軌道を描きながら、ガラスのような破片は天使の手の中に収まった。破片を弄びながら、ふわふわと浮遊した状態で女ーーラプラスに問いかける。

 

 「英雄の記憶の断片、そしてこれは……所謂『闇』の部分、おどろおどろしいですね」

 口元に手を当て上品に笑い、破片を中に浮かせる。

 これをわざわざ取りに行かせたのは、無論、英雄のコピーを作るためだ。

 あの英雄は知らないだろうが……アレは『異界』を渡り歩く事が出来るのだ。その一部だけでも『異界』を渡る事の出来る凄まじい力を内に秘めている『存在』が此方に在れば、中々に見応えのある茶番になる、そう、天使は思っている。

 いつの間にか笑っていたのか、女が怪訝な表情を向ける。

 

 「さて、次までには模倣品(レプリカ)を作り終えます。貴女は、差し詰めお人形のように黙って、動かないでくださいね」

 

 「はっ、分かってるつーの」

 気だるげに頭をボリボリとかきながら、ラプラスは目を閉じ、まるで人形のように動かなくなった。 

 忠実な犬とは、ここまで使いやすいのか。鼻で笑い、破片に力を入れる。

 『異界』を渡る力の一部と、多少の力しか破片にはないため、その他の……体や感情なる物は、此方が自作するしかない。全くもって面倒な事をしてくれたものだ。

 目映い光を放ち、徐々に徐々に人型となってゆく光を見つめながら、天使はうっとりとした表情で笑うのだった。

 ーーその光に照らされ、蟲のように蠢く闇も、光の存在を歓喜するように、ごぼごぼと水泡を立てながら笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 少女の金切り声が木霊する。それを突っぱねるかのようにもう一人の少女も声を荒げる。

 茶番じみた応報も、少女にとっては心踊る物だ。

 

 

 

 ーー嗚呼、これは夢か……ーー

 水の中でふわふわと浮いているような感覚を体全身で味わいながら、ヴェローチカ・グリムは鼻を鳴らす。

 これが走馬灯か、と呟くも、それは声にならなかった。

 

 抱き止めてはならない『物』を抱き止め、永劫の闇に葬られた聖女は、所詮只のガキだったのだ。下らない夢想に駆り立てられ、余多の犠牲を払って余多の命を救った。だが、彼女が払った犠牲は、もはや無視出来ないほどに膨れ上がっていたのも事実だ。

 

 そんな畜生に飼われた私は、早速ゴミとしか言いようがない。そんなことを思いながら、ヴェローチカはやれやれと言わんばかりに溜め息を吐く。

 聖女と言うに相応しい甲冑……対価を支払って顕現させる武器と同じく、使用するたびに対価として何かを奪って行く。

 そして、コレはその中でも飛び抜けて危険なものだ。使用者の命を少し蝕むのならまだまマシとも言えよう、この鎧は、使用者から全てを均等に(・・・・・・)奪ってゆくのだ。

 感覚を、味覚を、聴覚を、視覚を、そして理性と人間性を奪い去るそれは、ヴェローチカにとって恐怖の対象の一つになる。

 過剰とも言える聖性は、闇の住人であるヴェローチカに多大なダメージを与えるのだ。使用者も去ることながら、周りの人間も、その異常な聖性に嫌悪を感じ、決して近寄ろうとはしない。

 一人ぼっちの聖女様、理想主義者の聖女様、闇に葬られ、未来永劫その身に苦痛と恨みを味わい、死ぬにも死ねない存在へと成り下がった哀れな聖女様。

 所詮は光と闇、交わることのない平行線を辿る存在同士だ、私にも、それ相応の罪があり、そしてそれを贖罪する義務がある。そうヴェローチカは思っていた。

 

 

 

 

 ーーそして、こんな安らかな死が、両手を広げて私を抱き抱えに来るわけかーー

 安らかだ、ぞっとするほどに安らかだ。これが運命ならば、私は従うまでだ。

 ふ、と、ヴェローチカは違和感を覚える。体の隅から感覚が鈍くなり、まるで貧血に陥ったように頭が冷たくなる。吐き気を催す感覚に抗いながらも、ラプラスに抉られた左目が焼けるような熱を発する。

 眼帯を着けていた左目は、過去に聖女に貫かれ、ヴェローチカの第二の急所となった部位だ。それをラプラスは知っていた、なぜだ?

 

 

 ーー天使、か……ーー

 もしだ、もしも本当に天使が居たとしたら……考えただけでも冷や汗が吹き出る。聖性に弱い自分にとって、聖性の固まりとも言える天使は、唯一無二の大天敵となりうる。力もまともに振るえていない私が、亡霊と天使と戦い、生き残れるか……答えは否だ。

 電撃にも似た衝撃が、ヴェローチカの体を貫く。そうだ、そういうことなのだ!答えに糸も容易く辿り着いたヴェローチカは、突然、陸に打ち上げられた。

ーー全ての答えを、人格を、異界に置き去りにして……。




 第一章は完結し、第2章に突入♂します。記憶と+αを失ったヴぇろーちかちゃんはどう動くのか!異界に取り残された本物のヴェローチカはどう足掻くのか、自分自身もわくわくしてますo(^o^)oそれと、現実世界のヴェローチカと異界のヴェローチカを区別するため、現実世界のヴェローチカの名前を変えます。そこはご了承くだせえ
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