ええ、1年近くほったらかして出来たのは”閑話”です。
改めて言いますが、完結させる意思はあります。
ただ書き溜めとか無く、おおざっぱなストーリーと要所の設定だけ固めて行き当たりばったりで書くので……、ハイ。
あんまり期待せずお楽しみください。
時は、ソフィアが丁度博麗神社に着いた頃に遡る。やたら胡散臭い幻想郷の賢者に絡まれた後、妹紅は改めて目的を果たすべく来た道を戻り竹林へと向かっていた。
歩いていると、ふと、とある建物が目に付いたので少し寄り道しようと足を向けた。
「まぁ、別に輝夜と時間まで決めてた訳じゃないしな。どうせただでさえ遅れてるんだ。」
そして向かった先は、この里唯一の寺子屋である。
庭では1桁半ばから10代前半くらいの子供たちがわいわい遊び回っている。授業終わりの昼休みに当たったようで、妹紅は「丁度良かった」と建物に入る。
「おーい、慧音ー。いるかー?」
「ん?妹紅じゃないか。珍しいな、こんな時間に。」
そこには、授業のためのものだろうか。席に座りながら書類を纏めていた女性が居た。彼女━上白沢慧音━こそ、妹紅の気の置けない友人であり、この寺子屋で教鞭を執る女教師であり、人里における代表者でもある。彼女は”白澤”と呼ばれる妖怪と人間のハーフである半妖であり、妖の力を人を守るために行使することから人里の守護者とも見られている。
……本人はそれを、そんな大層なものじゃないと謙遜するが。
「や、ちょっとした野暮用でこの里に寄ってさ。その帰りについでに顔見せに来たんだよ。」
「野暮用?」
「ああ、外来人を竹林で見つけてな。とりあえず博麗神社までの道を教えてたんだ。」
妹紅は話しながら慧音の傍に寄り、近くの椅子に腰掛けた。
「外来人か。稀に現れるな。無事神社に辿り着けたのか?」
「そこまでは知らないさ。里を出るところまで。」
「何?神社までの道中で妖怪に襲われたらどうする。無責任じゃないか?送ると決めたなら、安全に辿り着かせるのもお前の役目だろう。だいたい━━!」
慧音の顔が真剣味を帯び、席から立ち上がった。説教モードである。
「ま、待て待て。怒るなよ、理由があるんだ。」
気の置けない友人といえど、説教は勘弁であると、にじり寄ろうとする慧音を両手で制しながら妹紅は慌てて弁明する。
「ソイツ、強いんだよ。」
「だとしても━━」
「だーかーらー!話を聞けって!」
妹紅は、慧音を落ち着かせながら、詳しく経緯を話し始めた。
〜少女説明中〜
「……まぁ、分かった。納得したよ。その外来人を1人にしても大丈夫だと判断した理由は。」
「わかってくれたなら何よりだよ……」
説得には十数分を要した。授業の時間はって?昼休みは長いからまだ時間に余裕はあるのだ。
「それにしても、魔法使いか……。」
「あぁ、それも元の世界でもトップクラスの使い手らしい。さっきも言ったが、事実、私と合流するまで1度も妖怪に襲われた様子もなかった。運が良かったんじゃない。その戦力を本能で感じ取って小妖たちがおそわなかったんだ。話してる感じ、嘘っぽさも感じなかった。」
「そんな奴を、八雲紫はどうして招き入れたんだろうな……。わざわざ呼んだ以上、そのソフィアなる人物も素直に帰るとも思えん。住居を求めてまた里に来るかも知れないな。」
「もしそうなればよろしく頼むよ。悪いやつじゃ無さそうだから。」
慧音の言葉を聞き、妹紅の声色が少し明るくなる。
「……嬉しそうだな。短時間でお前がそこまで心を開くとは。」
「え?そんな風に見えた?」
そうして話していると、子供たちがわらわらと教室に入ってくる。
「けーね先生!休み時間もう終わるよ!」
「あ、もこーだ!遊びに来てたの?」
「来てたんなら声掛けて俺らと遊んでけよー!」
妹紅と慧音は「もうそんな時間か」と、揃って席を立つ。立ち上がった2人……特に妹紅に子供たちが寄っていった。……子供からの人気は妹紅の方があるらしい。
「こら!休み時間も終わるんだぞ!席に着いて授業の準備をしろ!次は算術の時間だからな!」
「数字きらーい」「もこー先生の授業の方がいいー」などと言いながらも、これ以上遊んでも叱られることがわかっている子供たちが渋々席に着く。悲しいかな、厳しい先生は教え子には恐れられるものなのだ。たまに来ては子供の遊び相手となったり、臨時講師をやったりする妹紅の方が人気なのも致し方ないだろう。
「妹紅お姉さんはこれから用事なんだ、わがまま言わないように。」
「うん。そういうことだからな。私の授業は次の機会だ。」
妹紅はじゃあな、と子供たちに手を振りながら教室を出る。
「もしアイツが来たら、よろしく頼むよ慧音。銀色をした短髪の女だ。見れば恐らく、すぐ分かるだろ。」
「ああ、私としても少し興味がある。楽しみにしておくよ。」
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寺子屋を後にした妹紅は、また竹林への道を行く。
帰路にて考えることは、やはりあの外来人……ソフィアのことだ。
「八雲紫の話……どこまで本当なんだか。だが不可能じゃないんだろうな、アイツの能力なら。」
紫の考えるソフィアの「活用法」が全く分からない。異変解決の専門家?いやいや、博麗の巫女や自分から異変に首を突っ込みに行く奴が既に居るんだ。わざわざ紫がアイツを呼ぶ意味はないだろう?だが、アイツの持つ力を考えるのなら、やはりその力が目的なんだろう……。など、様々な思考をめぐらせるが。
「あーーーー、わっかんねぇ。そもそも腐っても賢者サマだ。それはもう大層な深謀遠慮があるんだろうよ。私なんかじゃ及びもつかない様なもんが。」
妹紅は思考を放棄した。紫の目的など、考えてもわかるわけが無い。彼女の言う”深謀遠慮”かも知れないし、ただの思いつきによる浅い行動の可能性もある。
そんなもの、「考えるだけ無駄」だと切り捨てて、妹紅の思考は変化して行く。
「帰っちゃうのかな?でもアイツ、また会おうみたいな事も言ってたし、やっぱり留まるかも知れない。
━━もし、そうなったなら。
「最初に会った縁もあるし、ある程度面倒見てやらないとなぁ。」
そして妹紅は竹林を抜け、奥にある建物へと向かった。