アイドルマスターシャイニーカラーズ×ペルソナ5 作:フルーヴ
櫻木真乃とモルガナ
平日の昼下がり、283プロの屋上に一人の男がやってきた。
「今日はいい天気だな」
彼は雨宮蓮。数年前に世間を騒がせた怪盗団のリーダー、コードネームはジョーカー。なんやかんやあって283プロのプロデューサーになった。
「たまには屋上でというのも悪くない。さて、昼飯を食うか……」
そこに声が聞こえてきた。
「よお、今日は屋上で一人飯か? 好青年」
「まあ、そんなところだ、お前はどうだ? モルガナ」
聞こえてきた声の主はモルガナ、怪盗団でのコードネームはモナ。イセカイで知り合い、こちらの世界では黒猫の姿をしている。雨宮プロデューサーにとっては長年連れ添った相棒だ。
「よっと、事務所の近くは中々環境がいいな。散歩にはもってこいだ」
「なら事務所に住むか? 下にペットショップもある」
「ワガハイ、ペットとして扱われるのは少々癪だな」
「今とそんなに変わらない気がするが」
「何を言ってるんだ。ワガハイはレンのお目付け役だぞ。お前が何をするか見届ける義務がある。そして、人間になる方法もお前と一緒なら見つかる気がする! だから事務所に住むのはなしだ!」
「はは、そうだな」
「それに、お前がいるといろいろな場所に行けるしな! 現にお前はすぐ違う場所でつとめ……そういえば、改めて考えるとお前も災難だったな。社会人になってすぐに転職するはめになるとは」
「……それでもいい人たちに巡り合えたんだ。今更過去のことをどうこう言わないさ」
「まあ、結果オーライだな。心配するな、お前ならどこでもやっていけるさ。なんてったって怪盗団のリーダーだからな!」
同時刻、事務所内の階段でとある女の子が悩んでいた。
(午後からダンスレッスン……昨日、新しいステップをやるってトレーナーさんが言ってました。正直、あまり自信がないなあ……)
彼女は櫻木真乃。283プロが誇るイルミネーションスターズのセンターである。
(気分転換に屋上でも行って……あれ誰かいるみたいです)
「なら……か? 下に……」
(プロデューサーさん? 誰かと話しているみたいですが……他に誰かいるんでしょうか?)
ニャー
「はは、そうだな」
(……猫さん? プロデューサーさんが猫さんとお話しています。まるで私がピーちゃんに話しかけるみたいに……)
一部の人間以外はイセカイで喋っているところを聞いていないため、モルガナが喋ることを認知していない。そのため、一般人にはモルガナの声は猫の鳴き声に聞こえる。もちろん、真乃にはそのように聞こえているのだ。
(プロデューサーさんも愚痴を聞いてもらっているのかな? もしそうだとしたら邪魔するのは……)
「そこに誰かいるのか?」(ニャー)
「ん? どうした? 誰かいるのか……真乃?」
(! 見つかっちゃいました)
「こ、こんにちは。プロデューサーさん」
「こんにちは、真乃。ひょっとして俺に何か用事でもあった?」
「いえ、そういうわけでは……プロデューサーさんは何をしているんですか?」
「屋上で昼飯を食べていたんだよ。今日は天気もいいしちょうどいいと思ってな」
「えっと、そちらの猫さんは? もしかしておしゃべりしてましたか?」
「……ああ、そうだ」
(お、おい。そんなこと言って大丈夫か?)
モルガナは少し慌てている。
「ほわ、そうなんですね! もしかしてその猫さんはプロデューサーさんのペットなんですか?」♪♪
「ワガハイはペットじゃねーよ!」(ニャーッ!)
モルガナは大きな声をあげた。さっきペット扱いされたばかりだから少々気が立っていたのかもしれない。
「ま、まあそんなところだ」
「お、おい……」(ニャー……)
「やっぱりそうなんですね! 下のペットショップでも黒猫さんは見てませんし、なにより黄色い首輪が付いてたのでそうなんじゃないかと思いました。お名前を聞いてもいいですか?」
「ワガハイはモルガナだ」(ニャー)
「ああ、モルガナだ」
「モルガナさんですか、いい名前ですね。はじめましてモルガナさん、私、櫻木真乃っていいます」
「マノっていうのか。よろしくな、マノ」(ニャー)
「ふふっ、お返事してくれたみたいです。ありがとうモルガナさん。……プロデューサーさんもモルガナさんとおしゃべりしてるんですね。私もピーちゃんとよくおしゃべりします。灯織ちゃんやめぐるちゃんのこと、イルミネーションスターズのこと、お仕事のこととか……あ、あとプロデューサーさんのこともいっぱい話すんです」
(なるほど、レンがワガハイと喋っていることを明かしたのはこれが理由か。正直この子は自分の意見を言うのが苦手そうだ。そんな子に対して少しでも話がしやすくなるように似た話題を共有したんだな。さすがジョーカー!)
「あ、モルガナさん、ピーちゃんっていうのは私が飼っている鳩さんのことだよ! とってもかわいいんだ!」
(それにしてもよく話すな……よっぽどピーちゃんのことが好きなんだろうなマノは)
「それでこの前は……あのプロデューサーさん?」
「? どうしたんだ真乃?」
「あの、ずっと私の方を見ていますが、何かありましたか?」
「いや、ピーちゃんのことを楽しそうに話す真乃がかわいくてずっと見ていたよ。何というか癒されるというか、そういうところがやっぱり真乃の魅力の一つなんだなあって」
「ぷ、プロデューサーさん……は、恥ずかしいです……」♪♪♪ ☆彡
「? そうか? 本当のことなんだけどなあ」
「ほわわっ……」
「……あいかわらずだなお前も……ふあぁ……」(ニャ~……)
「そ、そういえば、モルガナさんすごく眠そうですね」
「ああ、今日はいい天気だからな。いつも早く寝るけどこれは仕方ないな」
「もしかして、一緒に寝てたりするんですか?」
「うん、さすがに暑いときはたまらないけどな」
「ふふ、少し羨ましいです。おしゃべりするなら、うーん、『ワガハイ疲れた。今日はもう寝ようぜ』とか言ってたり。ふふっ、なんちゃって」
「!」
「……聞こえてないよな?」(ニャー)
(そのはず……だが)
「それにしてもモルガナさんは本当に喋ってるみたいです。さっきも私が『ペットですか?』って聞いたときにモルガナさんが『ワガハイはペットじゃねーよ!』って言ってたような気がしました」
「?!」
「……偶然だよな?」ニャー……
(……偶然なのか?)
「どうしたんですかプロデューサーさん?」
「い、いや、な、なんでもないよ……それより時間大丈夫か? 午後からダンスレッスンが入ってたはずだけど……」
「ほわっ、そうでした。では遅刻する前にレッスン室に向かいますね。モルガナさん、プロデューサーさん、楽しいお昼でした。むん、おかげでレッスンを頑張れそうです! じゃあ、また会おうねモルガナさん!」
「お、おう」ニャー
(よ、よし楽しく話せたな)
▽▽▽
二人と別れレッスン場に向かう真乃の顔はとても楽しそうな顔であった。
(プロデューサーさんもモルガナさんとおしゃべりするんですね。ふふ、いつかプロデューサーさんとピーちゃんとモルガナさんでピクニックができるといいなあ)
パーフェクトコミュニケーション
親愛度+25
▽▽▼
一方残された二人は……
「……なあ、レン」
「……ああ、モルガナ」
「もしかして」
「真乃って」
「「ペルソナ使いか?」」