アイドルマスターシャイニーカラーズ×ペルソナ5 作:フルーヴ
登ってもてっぺんにたどりつけない、ジャングルジムは私の中でそんな存在だった。
『俺が、行くからさ!』
ある日、男の人が一緒にてっぺんまで登ってくれた。それ以来、私は何か達成感というものを求めるようになったけど、全然だめだった。
『俺が、行くからさ!』
ある日、アイドルにスカウトされた。最初はいつものような感じで断ったけど、同じ場所で同じセリフを聞いた。もしかしたらこの人なら退屈な日常を盗んでくれるかも、そう思った。そして、本当に盗んでくれた。もし本当に怪盗団がいるならきっと……
▽▽▽
Night 新宿
「雨宮さん、また相性占いですか?」
「ああ、いつもすまない。千早」
彼女は御船千早。占い師。本当に人の運命が見える。過去に運命を変えることができた蓮によって助けられた。年上でも恋愛対象になり得る蓮とは、真や春と同様の関係である。そんな彼女の必殺技、相性占いは特定の人と仲良くなることができるのだが……
「プロデューサーも大変ですね。あ、それとも私と一緒にいたいからそのように?」
「……いや、単純にわからないんだ。その子が考えていることが」
「うーん、求めていた答えとは少し違いますが……まあ、あなたの頼みなので。では親密になりたい相手を思い浮かべてくださいね」
(透……一体何を考えているんだろう? 好きなことはなんだろうか。アイドル……楽しんでるんだろうか……?)
「……うーん、以前から言ってますけどもう友好を深めることができると思いますよ? あ、それとも奥義・相性占いいっときます? 5000円です!」
「千早……それじゃダメなんだ。上っ面だけわかっても……その……なんだ」
「冗談です、雨宮さんなら大丈夫!」
「千早、ありがとう」
「それじゃ、今夜は一緒に……店番よろしくお願いしますー。まずは客寄せからですよー」
「ああ。……はい」
別の日 Noon 新宿
透は雑誌撮影の仕事が終わって帰宅途中だった。
(あ、日誌書かなきゃ……やっぱりプロデューサーってあの人とは違う人なのかな……)
浅倉透。283プロのnoctchillの中心人物。とあるバス停でプロデューサーに出会った彼女は、彼女のオーラに惹かれた蓮にスカウトされる。最初は断った透だがある一言がきっかけで興味を持ち始め、そしてアイドルになることに決めたのであった。今はプロデューサーについて悩んでいるようだが……
「そこの女子高生さん。占いしていきませんか?」
たまたま透を見かけた千早は透に話しかけた。透に何かを見出したのかもしれない。
「え、うーん」
「開運占い、金運占い、相性占い、運命占いなどができますよー。1回5000円ですー」
「運命占い?」
「まあ、急に言われてもぴんとこないですよね。じゃあ勝手に占いますね。……もしかして、昔たまたま会った人と最近、再会しましたか?」
「え、なんでわかったの?」
「運命占いしたらそのような相だったのでー。何か気に障ったならごめんなさい」
「いえ、そんなことないです。ありがとうございます。じゃあ、ついでに占ってくれませんか? 相性占いで」
「はい! では、親密になりたい相手を思い浮かべてくださいね。じゃあ行きますよー」
透はプロデューサーのことを考えていた。
「ふむー、ふむふむ……」
千早がカードをめくったとき世界の何かが変わった気がした。
「貴方の気持ちが相手に届いたはずですよ。ふむ、今ならさらに友好を深める事も出来るんじゃないでしょうか」
「え、そうなんですか? わかりました。ありがとうございます。じゃあ……」
透は財布がないことに気づいた。
「もしかして、お財布失くされたんですか? ちょっと待っててくださいねー。……ふむふむ、あなたここに来るまでに仕事をしてませんでしたか? どうやらそこにあるらしいですよ」
「え、そうなんですか。じゃあ探しに行ってきます。すみません、財布なくて」
「いえいえ別に構いませんよー。何なら今日はお代はいいですよー。私は困っている人の標になりたいだけですのでー」
「……! ありがとうございます。でも財布を見つけたら払いに来ます」
それを聞いて透はお辞儀をして撮影現場に戻っていった。財布はそこにあった。
同日 283プロダクション事務所
「おつかれさまでーす、日誌届けに来ました」
「おつかれさま、透。今日もありがとう」
「うん。じゃあ、これで……」
(相変わらずわかりにくいな……本当に……)
「……せっかく来てくれたんだ。しばらくゆっくりしていってくれないか? はづきさんがアイス買ってきてくれてるんだ」
「うん。そうする」
(さて、日誌の内容は……え……)
『相性占いをしてもらった。仲良くなれるらしい。』
(確か今日の透の仕事は新宿の近くだったな……まさかな。まあ、相性占いの相手は俺とは限らないが……)
『もう友好を深めることができると思いますよ?』
(それとは別にちゃんと向き合わないとな。……そうだ)
「そうだ、ノクチルの仕事とってきたぞ。また海だ」
「……! そうなんだ」
「嬉しそうでよかったよ」
「うん。嬉しい」♪
「ははっ、やっぱりそうだったか。頑張って取ってきた甲斐があったよ」
「そうなの? ありがとう、プロデューサー」
「しかも、仕事は午前中までに終わるんだ。午後は自由だからみんなで遊ぶといいよ」
「え、そうなの? じゃあプロデューサーも遊ぼうよ」
「はは、たまにはいいな。小糸にも休めって言われてるし、その日は午後休を取ろうか」
「ふふ、一緒に泳ごうね、プロデューサー」♪ ☆彡
「海水浴は久しぶりだから楽しみだ」
「車で行くの?」
「ああ、そうだ。もし仮に社用車が使えなくてもレンタカーを借りようと思っているかな。電車の方がよかったか?」
「あー、プロデューサーが疲れるかなって思う。私は電車でもいいけど」
「うーん、あまり気にしなくていいんだけどな。送迎させてもらった方が俺は安心する」
「そうなんだ。じゃあ、車で」
「決まりだな。じゃあ……」ぐぅぅぅ……
蓮のお腹が鳴ったようだ。
「プロデューサー、まだご飯食べてないの?」
「ああ、そうだ。少し時間がなくてな」
「ちゃんと食べないとだめだよ」
「そうだな、心配させてごめんな」
「せっかくだから一緒に食べる? そういえば真乃ちゃんがこの前、おいしいカレーの店を教えてもらったって言ってたんだ。今から、一緒に食べに行こうよ。割り勘で」
「申し訳ないけどもうすぐ営業に行かなくちゃいけないんだ。また今度にしよう」
「あー、残念。じゃあ、今度連れてってよ」
「……ああ、もちろん。ちょうどいいからロケの日の夜に行こうかノクチルのみんなで」
「あー、うーん。まあそれはそれでいいね」
「えー、どういうことだそれは」
「んー、どういうことなんだろうね」
「はは、わからないなー、教えてくれないか?」
「ふふっ、やだ、教えない」
「「あははっ」」
(透と仲良くなれたみたいだ)
パーフェクトコミュニケーション
親愛度+10
▽▽▼
別の日 Noon
透は再び千早の元に訪れていた。
「無事仲を深められたようですねー」
「あー、この前はどうもありがとうございました。次は来週の予定について占ってもらえませんか。仕事に行くのと、遊びに行くので」
「遊びに行くんですか? 楽しそうでよかったですー。では占いますねー」
千早はカードを並べ、めくった。
「ふむふむ、これは……。塔の正位置が出ました。事故に気を付けてくださいねー」
「え……事故?」
「大丈夫です。未来に絶対はありませんから。たとえ悪い兆しでも、運命に負けない信念があればいくらでも幸せはやってきますよ。私は大切な人からそう教えてもらいました」
「……! はい、ありがとうございます。気を付けて行ってきます」
占いの結果は悪かったが、透は千早の言葉を信じることにした。彼女にはプロデューサーとノクチルのみんながいる。そのためいかなる運命でも乗り越えられる、そう感じたからである。しかし、この占いの結果は彼女に直接降りかかる困難ではないことを透はまだ知らなかった。
なんで死神とか刑死者(吊られた男)とかよりも塔の方が不吉なんでしょうね?